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クラップス(サイコロ2つの目を当てるゲーム)で絶好調のモニカ。隣にはチャンドラーがついていて、二人の周りには人だかりができています。
モニカ: Okay, good. Okay, what do I want now? (オッケー。それでいいわ。で、今度は何(の目)が欲しい?)
チャンドラー: Ahh, ooh, try a hard eight. (あー、うー、ハード8(エイト)でどう?[ハード8でやってみて])
モニカ: What? (何?)
チャンドラー: Two fours. (4が2つだよ。)
モニカ: Okay. (Rolls the dice) (わかった。[サイコロを転がす])
賭博の胴元(The Croupier): Eight! (8です!)
酔っ払いのギャンブラー(A Drunken Gambler): (To Chandler) Don't you let her go. You're a lucky guy! ([チャンドラーに] 彼女を手放すなよ。お前はラッキーな男だ!)
チャンドラー: Thank you, Mr. Drunken Gambler! Okay, you get this and uh, we get the biggest suite in the place! (Everyone cheers) Wait-wait-wait-wait! We (motions to Monica and him.) get the biggest suite in the place. (ありがとう、ミスター・酔っ払いギャンブラー! よし、モニカがこれをゲットしたら[これに成功したら]、俺たちはこの場所で一番大きなスイート(ルーム)をとるぞ! [みんなは歓声を上げる] 待って待って待って待って! 俺たち[チャンドラーは、モニカとチャンドラー(自身)を身振りで示す]が、この場所で一番大きなスイートをとるんだ!)
モニカ: All right. The biggest suite in the place. Come on! (Rolls the dice.) (わかった。この場所で一番大きなスイートね。来い! [サイコロを転がす])
チャンドラー: (sees the roll) Yes!! I love you! I can't even remember what we were fighting about! ([サイコロの振りを見て] よし! 愛してるよ! 俺たちが何のことで喧嘩してたのか思い出すことすらできないよ!)
モニカ: Oh, that's because I had lunch with Rich-- Me neither! Okay, what do I want now? (あぁ、それは私がランチを食べたからよ、リチャ…。私も思い出せないわ! よし、今度は何の目が欲しい?)
チャンドラー: Another hard eight. (もう1回、ハード8だ。)
モニカ: Hard eight? Let's call it easy eight! (ハード8? イージー8って呼びましょうよ!)
チャンドラー: Okay, okay, I'll tell you what. You roll another hard eight... (pause) and we get married here tonight. (オッケー、オッケー。ねぇ、こういうのはどうかな。モニカがもう一度、ハード8を出したら… [しばしの間] 俺たちは今夜ここで結婚するぞ。)
酔っ払いのギャンブラー: Go! Come on! Roll! (行け! やれ! 転がせ!)
みんな: Roll-roll! (転がせ、転がせ!)
モニカ: Shut up! It just got interesting! (黙って! ちょうど面白くなってきたところなのよ!)
仲直りしたチャンドラーが隣にいる状態で、モニカはサイコロを転がしています。
what do I want now? は、モニカが次はどんな目を出すかを、自分で決めないで隣のチャンドラーに決めてもらっている感覚ですね。
「今度は私は何の目が欲しい?」ということで、これから投げるのにどの目を狙って投げたらいいかなぁ?とチャンドラーに尋ねている感じになるでしょう。
チャンドラーは、hard eight にトライしてみて、と言っています。
モニカは一瞬、何?と聞き返していますが、チャンドラーは4が2つだと説明してくれていますね。
彼の説明によると、2つのサイコロを転がして合計8になる、それも4が2つのぞろ目で8になることを「ハード8(エイト)」と呼ぶようです。
その後、実際に転がして、2つのサイコロの目の合計が8になり、そばで見ていた酔っ払いのおじさんが「彼女を手放すなよ」みたいなことを言っています。
Don't you let her go. は、Don't you...? という否定疑問文ではなく、Don't を使った否定命令文の強い形ですね。
Don't let her go. 「彼女を(どこかへ)行かせるな」→「彼女を手放すな」を強調する形で、省略されている主語 you をつけたものが、You don't let her go. となり、それを倒置にしてさらに強調したのが、Don't you let her go. の形になります。
チャンドラーは、you get... we get の形を使って、「モニカが…をゲットしたら、俺たちは…をゲットする」のように言います。
get は非常に幅広く使える単語なので、その後に続く目的語によって、いろいろな日本語の動詞を当てはめることができます。
そのため、日本語に訳そうとする場合、どういう単語にしようかと一瞬迷ってしまうところですが、逆にその汎用性を利用して、とにかく何かを「ゲットする」んだ、というくらいの大きな広いイメージで捉えていた方が、そういう迷いがない分、タイムラグなしにニュアンスをすんなり理解できる気がします。
英語を英語のままで理解する場合には、get の基本的な語義である「得る、手に入れる」というイメージをきちんと理解できていればそれで問題ない、ということになるでしょう。
今回のセリフも、モニカが get this するというのは、あえて日本語で言うと「これを取る」という感じ、今から投げようとしているサイコロの勝負に勝つことを意味します。
get the biggest suite は、「一番大きなスイート(ホテルのスイートルーム)をとる」、つまり、「部屋をとる、予約する、そこに泊まる」ことを示します。
the biggest suite in the place は、「この場所で最大のスイート」、つまり、このホテルで一番大きなスイートということ。
「次のゲームも当てたら、一番大きなスイートをとるぞー!」と言った後、周りで見ていた観客も歓声を上げていますが、チャンドラーは「みんなは誤解してるようだけど、we っていうのは、ここにいるみんなのことじゃなくて、俺たち二人のことだからね」としぐさで示しています。
みんなでその部屋でどんちゃん騒ぎをするとかじゃないからね、と釘を刺している感じでしょう。
ト書きの see the roll の roll は「(サイコロの)ころがし、一振り」という感覚。
サイコロがころがって、その結果の目を見る、というのが、see the roll のニュアンスでしょう。
またもや、目が当たり、大喜びのチャンドラーは、「俺たちが何のことについて喧嘩していたのか、思い出すことすらできないよ!」と叫んでいます。
モニカは、「それは私が…したからよ」と正確な理由を言おうとしますが、せっかく仲直りしたのに、またその喧嘩の原因を思い出させるようなことを言うこともない、と気づいて、Richard という名前の途中で言うのをやめ、「私も思い出せないわ」と言ってごまかします。
I had lunch with Rich-- のように、途中で言うのをやめた英語を、そのニュアンスを出して日本語に直すのは難しいですね。
日英では文章の構造が異なるので、自然な日本語では「私がリチャードとランチを食べた」のように、どうしても、「リチャードと」が「ランチを食べた」の前に来てしまいます。
「リチャードと」と言いかけて途中でやめた「リチャ…」みたいなニュアンスを日本語に出そうとすると、「私がリチャ…とランチを食べた」ではおかしいし、「私があの人とランチを食べたからよね、ほら、リチャ…」みたいに言うと、ものすごくわざとらしいセリフになってしまいます。
英語の構造が、「私はランチを食べた、リチャードと」という形であるために、with Rich-- で絶句するのが自然になるわけですが、日本語の場合はその with 「…と一緒に」が前に来ることもありませんから、「あぁ、それは私がリチャ…」くらいで絶句することになり、「誰かとランチを食べたけど、その相手が問題だった」というニュアンスを日本語に出すのがどうしても難しくなる、ということです。
次の目をチャンドラーに相談するモニカ。チャンドラーはまた、ハード8だと答えます。
チャンドラーが何度も hard eight だと言うのを聞いて、モニカは、hard eight って言うけど、easy eight って呼びましょうよ、みたいに言っています。
これは、hard と easy を、「難しい」と「簡単な」のニュアンスで使っているようですね。
合計が8になるにしても、それが4のぞろ目だとより確率が低くなる、だから、4の目2つの8をハード8と呼んでいるのでしょうが、モニカは今、絶好調で、ハード8を出すのがそんなにハードな(難しい)気がしない、だから、「こんなのはハード8じゃなくて、私にとってはイージー(簡単な)8よ、だからイージー8って呼んで」と言っている、自信満々の強気なセリフなのかなと思いました。
この hard eight のニュアンスについては、以下の Urban Dictionary の説明が詳しいです。
Urban Dictonary : hard eight
その説明によると、2つのサイコロの合計が8になる組み合わせ(combination)のうち、6と2、3と5は、the easy way で、4と4の組み合わせが、the hard way であるとのこと。
やはり、そのように数が同じ「ぞろ目」の組み合わせを、hard numbers と呼ぶようです。
その語義にも、easy と hard が使われていることからも、ツキまくりのモニカにとっては、4と4の組み合わせさえ、hard じゃなくて、easy だわ、と言っていることになるでしょう。
ちなみに、ウィキペディアで hard eight を調べると、
Wikipedia 英語版: Hard Eight
Hard eight describes a dice roll in the game of craps wherein each of two dice land on "four."
と出ています。
つまり、「ハードエイトは、クラップスのゲームで、2つのサイコロのそれぞれが4で着地する[4の目が出て止まる]というサイコロのころがしを意味する」。
また、その説明の後に、
The term may also refer to: として、Hard Eight (film) や Hard Eight (novel) が存在することも示されています。
allcinema : 映画「ハードエイト」 によると、1996年のアメリカ映画のようですが、日本では劇場未公開のようです。
やはり、ギャンブラーやカジノにまつわるお話のようですね。
それまでも次が当たりだったらこうする…みたいにいろいろ言っていたチャンドラーですが、ここで、ものすごい提案をしています。
次にもう1回、ハードエイトを転がしたら、つまり、ハードエイトの目を出したら、俺たちは今夜ここで結婚する!という宣言です。
観客からもオー!という声が上がっていますし、モニカはチャンドラーを見つめて固まっています。
ゲームを見ている人たちは、「やれ、転がせ!」とはやし立てますが、モニカは Shut up! と言ってみんなが騒ぐのを制していますね。
get interesting は「興味深くなる、面白くなる、面白くなってくる」ですから、It just got interesting! は「ちょうど面白くなってきたわ、面白くなってきたところなのよ!」という感じでしょう。
みんなは茶化すように騒ぐけど、こちらは人生がかかった真剣な話なのよ、それまでのお遊びのゲームじゃなくて、話がにわかに興味深いものになってきたんだから、他人はちょっとの間、黙ってて!みたいな気持ちなのでしょうね。
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の訳として
「あぁ、その原因は私がランチに付き合った相手がリチャ…。」
というのはどうでしょうか。
もちろん一般的には日本語だと文末に否定が入る可能性があって元の英語と同じ意味にはならないでしょうけどこの場合では一度話題に出て肯定文だというのは周知のことなのでリチャードの名前が出たところで言い淀む感じは出せると思います。
コメントありがとうございます。
そうですね、おっしゃるように、先に主語として「私がランチに付き合った相手が」と言っておけば、「リチャード」を最後に持ってくることが可能ですね。この最後に「リチャード」で言い淀む感じが、まさにモニカの英語のセリフの感覚だと思います。
日本語訳を考える場合に、不自然にならず、なおかつ、同じタイミングで笑ったりできるように訳すのは難しいなぁ、と思いながら、上の記事を書いていたのですが、的確な訳を考えていただけて嬉しいです。
一緒に考えて下さってありがとうございました。