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前回の続きです。
ロスとレイチェルがベガスのチャペルで結婚式を挙げたのを知った後、
モニカ: This is insane! (こんなの、おかしいわ[正気じゃないわ]!)
フィービー: What's the big deal, y''know? It's not like it's a real marriage. (何がそんなに大ごとなの? 本当の結婚ってわけじゃないのに。)
チャンドラー: What? (何だって?)
フィービー: Yeah, if you get married in Vegas, you're only married in Vegas. (そうよ、ベガスで結婚したら、ベガスでだけ結婚してることになるのよ。)
モニカ: What are you talking about? If you get married in Vegas, you're married everywhere. (何言ってるの? ベガスで結婚したら、どこででも結婚してることになるわ。)
フィービー: (shocked) Really? ([ショックを受けて] ほんと?)
モニカ: Yeah! (そうよ!)
フィービー: Oh, my God! Oh, well. (なんてこと! ま、いっか。)
前回も説明しましたが、フィービーは、ものすごく驚いた顔で、Really? Oh, my God! と言った後、しばらく沈黙してから、急に気の抜けたような声で、Oh, well. と軽い調子で言っています。
「ベガスでの結婚が正式な結婚になるとは知らなかった」と驚いた後に、「ま、いっか」と軽く流した感じです。
フィービーのこの驚きようから判断するに、フィービーもお酒の勢いか何かで(笑)、ベガスで結婚式を挙げた経験があるようです。
ベガスでだけ通用する、お遊びの結婚式みたいに思っていたのに、それが正式な結婚と認められると知って驚愕の表情を浮かべている、つまり、自分は誰かと正式に結婚したことになっている、と驚いている様子ですが、それを深く悩むこともせず、軽く流しているのが、今回のセリフということになるでしょう。
このフィービーのセリフですが、フレンズ シーズン6のコレクターズセット Vol.1 に収録されている「メイキング・オブ・フレンズ」という映像特典で取り上げられていました。
その内容がなかなか興味深いものだったので、今日はその「メイキング」の中でのやり取りを見てみたいと思います。
「この、Oh, my God! のセリフの示す意味が観客にわかるかどうか?」について、キャストやスタッフが舞台上で相談しているシーンが、そのメイキングには出てきます。
その映像では、以下のようなやり取りが示されていました。
(観客に呼びかけ口々に質問しているのは、プロデューサーたち)
ナレーション: Marta and David run a very democratic show. There's a question as to whether or not the implications of a joke from Phoebe are understood. So what do they do? They put it to a vote. (マーサ(カウフマン)とデビッド(クレイン)(共にフレンズのプロデューサー)は、非常に民主主義的な番組を運営する。フィービーが言ったジョークの含み(言外の意味、暗示)が理解されたかどうかについての疑問がある。それで彼らはどうするか? それを投票(多数決)で決めるのだ。)
観客に問いかける。
Who did not get it? (わからなかった人は?)
Who did not get the fact... that Phoebe was married in Vegas? (わからなかった人…フィービーがベガスで結婚した(ことがある)という事実がわからなかった人は?)
From that joke. (今のジョークから。)
When she says, "Oh, my God!" (フィービーが「なんてこと!」と言う時に。)
That sometime in the past she was married in Las Vegas. (過去のある時に、フィービーがラスベガスで結婚した、ということが。)
You guys got it? Yes! (わかった? よし!)
You all got it? (みんなわかった?)
They got it? Great. Beautiful. (みんなわかったんだね。最高。素晴らしいよ。)
このメイキングのやり取りではっきり説明されている通り、フィービーが Oh, my God! とものすごく驚くこと=フィービーはベガスでの結婚歴があること、を示すジョークになっているのですね。
いつもこのブログでフレンズのジョークについての解釈を書くときには、「多分、こういう意味のジョークだと思います」のように、あくまでも「自分はそう思った、そう感じた」という私個人の見解を書くことになってしまいます。
また、読者の方から、別の解釈を頂戴した時にも、セリフの意図はそのセリフを書いた脚本家や製作スタッフに聞いてみなければわからないので、どれが正しいとは私には断言できない、みたいなことも言ったりします。
今回のこのフィービーのセリフに関しては、このメイキングのおかげで、脚本の意図の裏がしっかりとれた、という感じがして、とても嬉しいのですね。
このメイキングを見ていると、「観客の反応を確かめながらセリフを書き換えていっている」ということも示されていますが、「観客が意味やジョークを理解できたかどうか確認を取りながら撮影が進められている」というのも非常に面白いと思いました。
それはつまり、「ネイティブでもわかったかどうか微妙なジョークが存在する」ということでもあります。
私は英語ノンネイティブの日本人英語学習者として、フレンズのセリフを理解しようと努めているわけですが、こんな風に観客に「今のジョーク、わかった?」と問いかけている様子を見ると、何だか安心するのですね。
フレンズのジョークは、「もしかしたらわからなかった人がいるかもしれない」というレベルのものだとわかるからです。
the implications of a joke 「ジョークの含み」はあまりミエミエではレベルが低くなってしまいますし、かと言ってあまりにも遠回しだと笑えなくなってしまう、そういう実に微妙なものなのですね。
そういう微妙かつ絶妙なジョークなわけですから、あえて観客に想像の余地を残している場合もあるでしょう。
説明しすぎると却って興醒め(きょうざめ)ということもあるからです。
ですから、ノンネイティブがそのジョークを完璧に理解できなかったからと言って落ち込むことはないんだな、と、そのメイキングを初めて見た時に、私はしみじみ思いました。
このフィービーの驚きようからして、「自分もベガスで挙式したことがあったけど、それはベガスだけのもので正式な結婚じゃないと思ってた、じゃあ私は今でもその人と結婚したことになってるの?!」とフィービーが思っていることが想像されるわけですが、その時の観客の反応から「もしかしたら(ネイティブでも)それがわからなかった人がいるかもしれない」とプロデューサーたちが考え、それを観客に問うている…そのことで、「ジョークを理解するというのは、それほど難しくて微妙なことなんだな」とわかった、ということです。
私がいつも、「ジョークがわからない」と言って落ち込むのではなく、ネイティブをも唸(うな)らせるようなジョークが理解できたとしたら、それを大いに喜びましょう、ネイティブが普通に楽しんでいるエンターテイメント作品なのだから、それが少しずつでもわかるようになってくることを自信にしていきましょう、と言っているのは、このメイキングで観客とのやり取りという舞台裏を見たことが少なからず影響している気がします。
今回の場合も、ネイティブの観客に「今のジョークわかった?」と問うている、そのジョークをノンネイティブの自分も理解できていたとしたら、それは大いに自信を持っていい、ということになると思うわけです。
ガーン!という感じで、その衝撃の事実に驚くフィービーですが、それをいつまでも引きずらず、Oh, well. と軽く流してしまうところもまた、フィービーさ全開で楽しいなと思いました。
過去にベガスで結婚してそのままであれば、今でも「結婚している状態」、つまりフィービーは既婚者ということになるのですが、そんな重大なことを「ま、いっか」と流してしまうのが、コメディであり、メンバーの中でも特に人からズレた感じのフィービーだからこそ、納得できちゃう気がするのですね。
また、余談になりますが、この後、いつものオープニングシーンに続くのですが、今回のエピソードでは、クレジットに出ているメインキャストやスタッフの名前全ての後ろに、ARQUETTE (アークエット)の名前がついています。
これは、モニカ役のコートニー・コックスが、オフシーズン中に俳優のデヴィッド・アークエット(David Arquette)と結婚したことをお祝いしたものです。
エンド・クレジット前には、FOR COURTENEY AND DAVID WHO DID GET MARRIED という文字も出ます。
コートニーが彼の名字もつけた、Courteney Cox Arquette に改名したことから、他のみんなにもそのアークエットをつけてみた、という感じの「お遊び」のクレジットなんですね。
ちなみに、オープニングでフレンズのメインキャスト6人の名前が出る時、いつもはレイチェル役のジェニファー・アニストンが一番最初に登場しますが、今回は、モニカ役のコートニー・コックス・アークエットが一番最初に来ています。
それが最初に来ないと、この「全員アークエット状態」の意味がわかりにくいからでしょうし、また、結婚のお祝いということでコートニーをトップに持ってきた、ということもあるでしょう。
モニカのお相手のデヴィッド・アークエットは、フレンズ3-3 にゲスト出演していたことがあります。
アークエットさんの話 フレンズ3-3その9 で、デヴィッドのことについて、いくつか書いていますので、そちらもお読みいただけると幸いです。
二人は映画「スクリーム」シリーズで共演したことがきっかけとなったようです。
二人の間には、娘さんが一人いますが、最近(2010年頃)、別居報道も流れていました。
今日の記事は何だか「裏話」的なものばかりになってしまいましたね。すみません。
ですが、やはり思うのは、「ジョークの含み」を理解するのは難しいということ。
私もいつも、あーだこーだと持論をご披露していますが、それが必ずしも正解とは限らない、ということを理解していただいた上で、正解かどうか確認が取れなくても、ネイティブと同じようにドラマを楽しむことはできるんだ、ということもわかっていただけたらと思っています。
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実は,私はこのジョークがわかりませんでした.フィービーの驚きは,自分の中の常識が覆されたことへのものだろうと単純に考えていました.メイキングでのやり取りを教えていただけなかったら,「フィービーが結婚していた」という解釈は少し無理があると思っていたでしょう.
まあ,日本語のギャグですら,日本人すべてに通じるわけではないですからね.しかし,その場にいた全員がこのギャグを理解したというのにはちょっとおどろきました.最低一人は「わかったふり」をしていたというほうに一票.
ところで,シーズン2の4話で,フィービーが実は結婚していたということがわかりましたよね.つまり,フィービーは重婚していたということになるのでしょうかね.
ま,ここは深く突っ込まないほうがいいのかもしれません
insaneって会話で使える単語だったんですね。
もっとフォーマルな感じだと思っていました。
こうやって文章でみるとわかりますが、
音声でも楽しみたい場合どのように学習するのが
効果的でしょうか?
コメントありがとうございます。
このメイキングは、いろんな意味で本当に面白いなと思いました。撮影の技術的な部分だけではなく、脚本の成り立ちのようなストーリーやジョークにかかわる部分の舞台裏が紹介されている、という意味でも、フレンズのジョークを解説するブログを書いている人間としては、わくわくしてしまうんですね。
おっしゃるように、「フィービーが結婚していた」というのは、強引すぎる感じもします。フレンズ2-4 で、ダンカンと結婚していた話もありましたし、シーズン全体を通してみると、やはりかなり無理がある設定になってしまうのでしょうが、このエピソードに限って言うと、フィービーのあの驚きようはやはり、それくらいの意味があった、ということになるのでしょうね。オープニング前の爆笑ジョークなわけですから、非常にインパクトあるセリフだった、ということにもなるでしょうか。
日本語のギャグも日本人すべてに通じるわけではない、というのもまさにその通りですよね。上のプロデューサーとのやり取りでは、「全員わかった」みたいに言っていますが、私も「全員」ではなかっただろうと思います(笑)。全員わかるくらいの明らかなジョークなら、逆にそんな風に観客に問いかけたりしないでしょうし。観客の反応がイマイチだったので、ジョークが通じているかどうか不安になり問うてみた…であろう流れを考えると、プロデューサーの説明で、「あぁ、そういうことか、それで納得した」みたいに、観客全員が合点がいった、という程度かな、と個人的には思っているのですが…。
いずれにしろ、こんな風に、「ジョークの含みをはっきり説明する」というのは珍しいことだと思うので、実に貴重で面白い映像だなと思いました。
せどリッシュさんへ
はじめまして。コメントありがとうございます。
insane は上のセリフのように口語でも使われますが、「正気でない」という意味なので、親しくない人に対して使うとトラブルの元になるでしょう。まさに日本語の、「こんなのおかしい、正気じゃない」というのと同じで、気を付けないといけない言葉ですね。
私は、「フレンズ」のような海外ドラマをDVDで見て英語学習しています。DVDで音声や字幕を英語と日本語で切り替えながら見ることで、英語のセリフのニュアンスを理解しようという学習法です。
その学習法につきましては、
カテゴリー: DVD学習法
http://sitcom-friends-eng.seesaa.net/category/22147635-1.html
にまとめてあります。
一番下が一番古い記事になりますので、下の記事から順番にざっと読んでいただければ、私のおすすめするDVD学習法がどんなものか、わかっていただけるかなと思います。
わかりにくい部分などありましたら、ご質問下さいませ。