2011年08月01日

墓碑に刻まれる言葉 フレンズ6-2その1

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シーズン6 第2話
The One Where Ross Hugs Rachel (愛に目覚めるとき!?)
原題は「ロスがレイチェルをハグする話」


フレンズ6-1 の終わりのシーンで、ロスはレイチェルに、「婚姻無効手続きは済ませてきた」と言います。
ですが、レイチェルが先にセントラルパークを出た後、ロスはこっそりとフィービーに、「実は婚姻無効の手続きはしてない。だから僕とレイチェルはまだ結婚したままなんだ」と衝撃的な告白をします。
フレンズ6-2 はその続きのシーンから始まります。
ロスとレイチェルがそのまま映画に行こうとするのを、フィービーが追いかけてきます。
レイチェルを無理やりタクシーに乗せて、映画館に向かわせた後、二人きりになったところで、フィービーはロスを問い詰めています。
フィービー: (To Ross) You didn’t get the annulment?! ([ロスに] 婚姻無効を申請しなかった、ですって?)
ロス: I know. (そうなんだよ。)
フィービー: Ross?! (ロス?!)
ロス: Well, I tried! But when I got to my lawyer's office, all I could hear was: "Three divorces! Three divorces!" Look, I just don't want my tombstone to read "Ross Gellar: Three Divorces." (僕もやってみたんだよ! でも、弁護士事務所に着いた時に、僕に聞こえたのはこの言葉だけだったんだ、「3回離婚! 3回離婚!」ってね。ねぇ、僕はただ、自分の墓碑にこう書いて欲しくないんだよ、「ロス・ゲラー:3回離婚」って。)
フィービー: Don't be worried about that! Your tombstone can say whatever you want it to say! It could say, "Ross Geller: Good at Marriage." Y'know what? Mine's gonna say, "Phoebe Buffay: Buried Alive." (そんなこと気にしないでよ! あなたの墓碑は、あなたの望むことを書けるのよ。こんな風にも書けるわ、「ロス・ゲラー:結婚が得意」とか。ねぇ、私の墓碑はこうよ、「フィービー・ブッフェ:生き埋め[生きたまま埋められる]」)
ロス: Look, all I know is, I-I can't have another failed marriage! (ねぇ、僕にわかってるのは、僕はもう1回結婚に失敗するわけにはいかない、ってことだけだ。)
フィービー: So, okay, what? You're gonna be married to a girl who doesn't even know about it? Op, woman! Sorry. (そう、じゃあ、何? 結婚してるってことを知りもしない女の子と、あなたは結婚してることになるの? あっ、(女の子じゃなくて)女性よ! ごめん。)

婚姻無効を申請していないと聞いて驚くフィービーに、ロスは申請しなかった理由を説明しています。
all I could hear was: は、「僕が(弁護士事務所に行った時に)聞こえたことの全ては〜だった」ということで、つまりは、そこに行った時に耳に聞こえてくるのは、この言葉だけだった、という感覚になるでしょう。
Three divorces! を、サイレンのような甲高い声で叫んでいますが、「3回離婚、バツ3」という言葉だけが頭の中を響き渡ったんだよ、と言いたいようです。

tombstone は「墓石、墓碑」。
tomb は「墓」ですね。tomb の最後の -b の音は発音されず、発音は、「トゥーム」のようになります。
櫛の comb の発音もそうですね。comb の場合は日本語でも「コーム」とカタカナ表記されますのでご存知の方も多いでしょう(厳密に言うと二重母音なので、カタカナで書くと「コウム」が近いですが)。

read は「(本などを)読む」ですが、ここでの意味は、「(何かが、何かの表示・掲示が)…と書いてある、…と読める」という感覚ですね。
ですから、I just don't want my tombstone to read "Ross Gellar: Three Divorces." は、僕の墓碑に "Ross Gellar: Three Divorces" と書いてあるのを僕は望まない、僕の墓碑に "Ross Gellar: Three Divorces" と書いて欲しくない、と言っていることになります。
3回離婚したら、僕のイメージはそれで固まってしまって、みんな僕と言えばそれを思い出す、ついには死んだ後の墓碑に、墓碑銘(墓碑に刻まれる言葉)としてそのことが記されることになっちゃうよ、そんなのはいやだ、と言いたいのですね。

それを聞いて、フィービーは、Your tombstone can say whatever you want it to say! と言っています。
今度は、さきほどの read の代わりに、say が使われていますが、これも同じニュアンスで、「(何かに)…と書いてある、出ている」という感覚ですね。
「墓碑がそう言っている」というように擬人的な感覚で捉えるとわかりやすいでしょう。
このフィービーのセリフを直訳すると、「あなたの墓碑は、あなた(ロス)が墓碑に言って欲しいと思うことを何でも言うことが可能である」ということで、つまりは「あなたが書いて欲しいように望むことを何でも墓碑には書けるのよ」ということですね。
自分の墓碑なんだもん、自分の好きなことを書いてもらえばいいじゃない、いやなことは書かなければいいじゃない、と言っていることになります。

そして、It could say と言って、こういうのを書くのも可能だわ、と言って挙げた例が、"Ross Geller: Good at Marriage"
(be) good at... は、「…が得意である」という意味なので、「ロス・ゲラーは結婚が得意である」と書いてあることになります。
離婚が3回になりそうなロスに対して、「離婚3回」というネガティブなニュアンスじゃなくて、「結婚を3回もしちゃうほど、結婚が得意」って書けばいいのよ、と言っているわけですね。
なかなかタバコをやめられない人が、「禁煙? 今年に入ってもう3回も禁煙したから、禁煙は得意だよ」と言っているのと同じような感覚の面白さです。
励ましているようで、さらにロスの離婚を茶化しているようになってしまっているわけですね。

さらには、「私の場合はこう書くわ」と言って、"Phoebe Buffay: Buried Alive" と言っています。
bury は、「…を葬る、埋葬する」「…を埋める」という他動詞。
発音が「ベリー」となることにも注意しましょう。
ここでは、buried という受け身の過去分詞で使われていて、alive は補語になっていて、「alive の状態で埋められる」、つまり、「生きたままの状態で埋められる、生き埋めにされる」という意味になります。
「私の墓碑にはこう書くの!」と嬉しそうに言っているのに、その刻まれた言葉が「生き埋め」って…というギャップの面白さですね。
墓碑を見た人は「えっ、この人、墓に生き埋めにされたの?!」とほぼ間違いなく驚くでしょうから、死んだ後も愉快犯のように誰かを驚かせたい、みたいなことかもしれません。

もう二度と、結婚に失敗できないんだ、と言うロスに、フィービーは、You're gonna be married to a girl who doesn't even know about it? と問うています。
前から意味を取っていくと、「あなたはある女の子と結婚する状態になる、その女の子というのは、そのこと(自分がロスと結婚しているということ)について知りもしない」という感じですね。
「結婚してるって知らない子と、結婚を続けるつもり?」という非難になります。
「(人)と結婚している」という場合、be married to (someone) のように、前置詞 to が使われることにも注意しましょう。
日本人の感覚だと、with を使ってしまいそうになりますが、be married with... のように with が使われるのは、I'm married with two children. 「私は結婚して2人の子供がいます」のような場合になります。

フィービーは自分でその言葉を言った後、自分の言葉にギギギと悔やんだような顔をして、慌てて、Woman! と言い直しています。
a girl と言ってしまったことを失礼だと思って、あわてて woman と言い換えているのですね。
レイチェルのような大人の女性に対して、girl だなんて言っちゃった、という感じですが、この場面でフィービーが気にしてるのはそこかい?!みたいな面白さがあるわけでしょう。

ちなみに、墓碑に刻まれる言葉(墓碑銘)の話で、別のドラマを思い出しました。
大統領とその側近を描いたドラマ「ザ・ホワイトハウス」(原題:The West Wing)のシーズン1第2話「非業の死」(原題: Post Hoc, Ergo Propter Hoc)に以下のやり取りがありました。

バートレット大統領: C.J., on your tombstone, it's gonna read, "Post hoc, ergo propter hoc." (CJ、君の墓碑には[君の墓碑銘は]こう書かれるだろうな、"Post hoc, ergo propter hoc" と。)
CJ: Okay, but none of my visitors are going to be able to understand my tombstone. (えぇ、ですが、私の墓参りに来た人は誰も私の墓碑銘(の意味)を理解できないでしょうね。)
バートレット大統領: Twenty-seven lawyers in the room, anybody know "post hoc, ergo propter hoc?" (この部屋には27人もの弁護士がいて、"post hoc, ergo propter hoc" を知ってる者は誰かいないのか?)

少々批判的なことを言った報道官のCJに、大統領は、君の墓碑にはこんな言葉が書かれるだろうな、と言ってみせているわけですが、こんな風に、「私の・君の墓碑には…と書かれる」というフレーズは、ちょくちょく使われる表現だということですね。
「その人はこういう人であった」のようなその人の特徴的な部分を示すのに、墓碑銘のことを持ち出すことがよくある、ということでしょう。
日本では「お墓」というと、戒名の書かれた仏教のお墓を連想する人が多くなってしまうでしょうから、こういうフレーズは会話には出てきませんよね。
墓碑銘を刻む文化がある国ならではの表現だと言えるでしょう。
ここでもフレンズと同じように、動詞には read が使われていることにも注目です。

また、「フレンズ」と「ザ・ホワイトハウス(TWW)」の墓碑銘を比較してみると、フレンズの方は、「3回離婚」と「生き埋め」(!)で、それに対して TWW は「ラテン語」(それも、その場に居合わせた弁護士資格を持つような側近たちにもパッとわからないような高尚なラテン語)が使われているのが興味深いです。
同じ墓碑銘に絡めたセリフであっても、それぞれの作品のカラーに合った内容になっているのが面白いなと思いました。


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posted by Rach at 17:19| Comment(0) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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