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3回結婚に失敗することになりそうなことを、きまり悪く、バツ悪く思うロスに、
フィービー: Ross, it's not that big a deal! So you'll have been divorced three times. You'll still have a life, you'll go on dates-- (ロス、そんなの大したことじゃないわよ! それであなたは3回離婚することになるわ。それでもあなたには人生があるし、デートにも行くし…)
ロス: (interrupting) No! No, I won't. I'll be at the bottom of the dating barrel now. The only guys below me will be Four Divorce Guy uh, Murderer Guy, and, and, geologists. ([フィービーが言うのをさえぎって] 違うよ! デートなんか行くことないよ! 僕は今、デートの樽(たる)の底にいるんだよ。僕の下にいる男はこいつらだけだ、4回離婚男と、殺人者と、それから、それから、地質学者だ。)
フィービー: Ross, you're being ridiculous, okay? You are cute and smart and sweet and that is much more important than three stupid divorces! (ロス、あなたは何てばかなことを言ってるの、いい? あなたはセクシーで賢くて優しいわ。そしてそのことが、3回のばかな離婚よりも、もっとずっと大切なことなのよ!)
ロス: Oh yeah? Have you ever dated anyone who's been divorced three times? (ああ、そう? (じゃあ)フィービーは、3回離婚経験のある人とこれまでデートしたことあるの?)
フィービー: That's not really fair. Y'know? Most guys who have been divorced three times are like 60. Ross, nobody cares about this except you! This, this embarrassment thing is all in your head! Here, I'll show you. Come here. (そんなのあんまりフェアじゃないわ、でしょ? 3回離婚経験のある人はたいてい、60歳くらいだもの。ロス、あなた以外には、このことを気にする人はいないわ! この、このきまり悪いってこと[きまり悪いって気持ち]は、全部あなたの頭の中だけにあるのよ! ほら、私が教えてあげる。こっちに来て。)
you'll have been divorced three times は、「will have+過去分詞」という「未来完了形」の形ですね。
現在完了形が、現在を基準時として、それまでの「完了、継続、経験」などを表しているのに対して、will を使った「未来完了形」の場合は、「未来のある時点」が基準時になっています。
過去完了形だと「過去のある時点」が基準時になっているわけですね。
婚姻無効申請をすると、「結婚したという事実」そのものがなくなるので、法的に言うと離婚には当たらないはずです。
そのため、「婚姻無効申請(annulment)」を、「離婚歴がつくのを回避する手段」として使う人が実際には多いわけですが、ロスにとっては、3回結婚に失敗した、という事実は変わらないため、「婚姻無効申請をする」=「離婚歴3回になる、バツ3になる」という論理で、このエピソードのお話は進んでいっています。
法的な観点でいうとバツ3にはならないはずだけど、今のフレンズの話ではそれをすべてバツ3扱いのように言っている、ということを、再度ここで確認しておきますね。
いちいち、「離婚2回と婚姻無効1回」などと表現するのも面倒だからでしょうし、「3回結婚に失敗したこと」を「離婚歴3回」と表現しているのだと解釈して下さい。
ロスはまだ婚姻無効申請をしていないので、今はバツ2状態ですが、今後、それを申請すると、バツ3(同然)になる、申請後の「未来のある時点」で、「離婚を3回した経験がある」ことになる、というのが、今回の「経験」を表す未来完了形になるでしょう。
申請後にそういう離婚歴3回の男になるわけだけど、「(それでも)まだ、あなたには人生があるし、デートだってできるんだし…」みたいなことをフィービーは言おうとします。
ロスはそれを遮(さえぎ)って、No, I won't. と言っていますが、これは、No, I won't go on dates... 「僕はデートに出かけることはない」ということですね。
それは、僕が the dating barrel の底にいるからだ、みたいな理由も言っています。
barrel は「樽(たる)」、または「銃身、砲身」など、筒型のものを指します。
「樽の底」というのは、「最後の最後に残ったもの、残り物、残りかす」というイメージのようですね。
実際、scrape (the bottom of) the barrel というイディオムがあり、直訳すると、「樽の底をこすり取る、すくい取る」ということから、「残り物[残りかす]をかき集める、残り物を使う、残り物で我慢する、仕方なく[他に打つ手がなく]最後の手段・方策を使う」という意味になります。
日本語でも、「底溜め(そこだめ)になった部分をかすり取る」と言うと、そういうイメージが湧きますよね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
scrape the bottom of the barrel : (informal) to have to use something even though it is not very good, because there is nothing better available.
つまり、「それより良いものが利用できないという理由で、あまりよくないものだけれども、それを使わなければならないこと」。
date の対象になるような男性がたくさんいるとして、僕はその樽の底の方にいるんだよと、自虐的なことを言っているわけです。
The only guys below me will be... 「僕より下の男は…だけだ」と言って、ロスは3種類の男性を挙げています。
まず1人目はバツ4の男。自分はバツ3になるので、数字的に言って、バツ4の男には勝ってると言いたい様子。
2人目は、Murderer Guy 「殺人者の男」。極端な者との比較ですが、自分と殺人者を比較したくなるほど、今、自分を卑下してるんだ、と言いたいわけでしょう。
そして、3人目は、geologists 「地質学者」。
3番目に「地質学者」を挙げた後、ロスは自分一人でくすっと笑っています。
そのオチが自分で気に入っちゃったようですね(笑)。
ロスは古生物学者(paleontologist)なので、別の分野の学者の名前を挙げたわけです。
ロスは恐竜の化石などを採掘することもあって、土や地層などに関わる仕事ですが、同じようなものに関わる学者の名前を挙げて、「ま、僕は古生物学者だから、地質学者には負けてないけど」と、専門分野外の人にとってはいまいちピンとこない、マニアックな分類で勝ち負けを競っているという面白さでしょう。
過去記事、フレンズ3-12その2 でも、アルバートという名前の植物学者の話題が出た時に、
ロス: Oh God. Y'know, botanists are such geeks. (なんてこった。植物学者って、すごいオタクだぞ。)
と言っているセリフがありました。
ロスが恐竜オタクなのは、皆が認めるところですが、古生物学者のロスはなぜか、植物学者や地質学者に対して優越感を持っている、自分の方が男としてイケてると思っている、ということが、今回、そして 3-12 のセリフからわかるということですね。
You're being ridiculous. が、be being と進行形の形になっていることについて。
You're ridiculous. という普通の現在形だと、「いつもそうである、あなたは(いつも) ridiculous である」と言っていることになり、今回のように、are being という現在進行形を使うと、「今、この瞬間(だけ)、あなたは ridiculous である状態になっている」と、特定の瞬間の行為を指して相手の ridiculous さ具合を指摘していることになります。
このような、being の形は、フレンズ2-19その1 でも、I don't think you're being fair! というセリフで出てきました。
この being のニュアンスについては、その過去記事でも触れさせていただいた、「ハートで感じる英文法」の大西泰斗先生の「躍動する進行形」のご説明が非常にわかりやすいです。
ridiculous は「ばかげた」という意味ですが、ここでのフィービーのセリフは、「あなたはばかげた人である」と相手の人格を否定するようなことを言っているのではなくて、「僕よりひどい男と言えるのは殺人者」などと自虐的なことを言うことに対して、「そんなばかなことを言うのはよして」と「その瞬間のロスの発言や行動」を非難しているセリフになっている、ということですね。
Oh yeah? と文尾が上げ調子になっているのは、日本語で皮肉っぽく「ああ、そうかい? へぇー、そうなんだぁ」と言う感じと似ていますね。
Have you ever dated anyone who... は「…した人と(誰かと)今までデートしたことある?」という、相手の経験を尋ねる現在完了形。
3回の離婚が、男性としての魅力を損ねるものではない、と主張するフィービーに、「じゃあ、フィービーはバツ3の男とデートしたことあるわけ? 恋愛対象にしたことあるわけ?」と彼女自身の経験を尋ねているわけです。
フィービーはそのロスの質問に対して、強い調子で、That's not really fair. と言っています。
not really は部分否定なので、「あんまりフェアーじゃない、フェアーとは言えない」という感覚でしょう。
「じゃあ、そんなことを言うフィービーは、バツ3男とデートの経験あるわけ? 経験もないのに口先だけできれいごと言ってるんじゃないの?」みたいに言うロスに対して、「そんな質問、フェアーじゃないわ、私の経験あるなしなんて関係ないじゃない」と抗議しているように聞こえるのですが、その後のフィービーのセリフを聞いてみると、フィービーがフェアじゃないと言っているのは、また別のことのようです。
フィービーが言うには、「離婚歴3回の男性はたいてい60歳くらい」とのこと。
…って、んなわけないだろう!と笑ってしまうわけですが、フィービーに言わせると「3回離婚している人は、普通はそれくらいの年齢の人でしょ」ということのようですね。
ロスがバツ3だからって男性としての魅力は薄れてない、と励ましていたはずなのに、ロスがこの若さで3回離婚しているのは異常だと言っているようなものですから、いつもながらのフィービーのズレた発言だと言えるでしょう。
離婚歴3回だと60歳くらい、私がこの年でそんな年齢の人とデートするはずないでしょ、それをわかっていて、「フィービーはそういう男性とデートしたことある?」なんて質問を吹っかけるのはフェアじゃないわ、という抗議だったということです。
この後、近くの席に座っている女性3人組のところにロスを連れて行って、3回目の離婚をしようとしている男性とデートする気はあるかしら?と質問することになります。
I'll show you. は何かを教える場合に、特に「見せて、示して」教えること。
今から女性に事情を話して、相手がどう対応するか見せてあげる、というつもりがあるために、show という動詞を使っているということですね。
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