2011年09月03日

「合流」の道路標識 フレンズ6-3その6

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モニカの部屋。レイチェルの部屋をどうするかでモメていたものの仲直りした、その後のシーン。
モニカ: Okay, Come here, I want to show you something! (ねぇ、こっちに来て。あなたに見せたいものがあるの!)
チャンドラー: Okay! (オッケー!)
(They run to the living room where Monica has moved the chair back (Towards the step), the coffee table forward (Towards the TV), and taped a square outline on the floor.)
二人はリビングルームに走っていく。そこは、モニカが椅子を後ろに(段の方向に)動かしてあり、コーヒーテーブルは前に(テレビの方向に)動かしてある。そして、床には、正方形の輪郭(縁取り)が、テープで貼られている。
チャンドラー: Oh, my God! Someone's killed Square Man! (なんてこった! 誰かが「四角男」を殺したぞ!)
モニカ: This is where I thought the Barcalounger could go. You see you could see the TV, and still it's walking distance to the kitchen. (私はここに、バーカラウンジャー(安楽椅子)を置いてもいいなと思ったのよ。ほら、テレビも見れて、それでもなお、キッチンまで歩ける距離だし。)
チャンドラー: Oh, that's so sweet. I want to show you something too. (あぁ、それってすっごくいいね。俺も君に見せたいものがあるんだ。)
モニカ: Okay! (オッケー!)
チャンドラー: Y'know those big-big uh, road signs that say, that say "merge"? (ねぇ、ああいう大きな、大きな、道路標識があるだろ、「マージ(合流)」って書いてあるやつ。)
モニカ: Uh-hmm. (ええ。)
チャンドラー: Y'know? So I was thinking that we could get one of those signs and hang it over our bed. Because that's you and I together! "Merge!" (だろ? それで俺は思ったんだよ、ああいう標識の1つを手に入れて、それを俺たちのベッドの上にかけることもできるかな、って。なぜなら、それは、君と俺とが一緒、ってことだから! 「マージ(融合)」だよ!)
モニカ: Oh, my God! I love that! (なんてこと! それ、気に入ったわ!)
チャンドラー: Really? (ほんとに?)
モニカ: Uh, "No!" (あー、「ノー(禁止)」よ!)

モニカは「あなたに見せたいものがあるの」と言って、チャンドラーをリビングに連れてきます。
ト書きの説明にあるように、椅子とテーブルの位置を動かして空いた空間の床に、正方形が白いテープで形作られています。
それを見て、チャンドラーが、Someone's killed Square Man! と言っているのが面白いですね。
square は「正方形」で、Square Man のように大文字で書かれているので、「正方形の男」というよりは、固有名詞的な「スクエア・マン、正方形男」という感覚になるでしょう。
よく殺人現場などで、白いロープやテープで、被害者の倒れていた位置が人型で示してあることがありますね。
そういうイメージで、人型じゃなくて正方形だから、ここでこの正方形の形をした男が倒れていたんだな、誰かがついさっき、ここで、正方形男を殺したんだな、と言ってみせているわけですね。
日本の刑事ドラマでも、そういう「白い人型」のシーンはよく見かけますので、日本人にもわかりやすいジョークだと言えるでしょう。

Barcalounger は、チャンドラーが自分の部屋で愛用しているあの革製の椅子のこと。
This is where I thought the Barcalounger could go. を前から直訳していくと、「ここが、その場所である、私が思っていた、その安楽椅子が来ることができると」みたいになるでしょうか。
つまり、「四角で囲ってあるこの場所が、あの安楽椅子を置くことができると私が思っていた、その場所なの」ということになります。
I thought が挿入されることで、「私はそう思っていたんだけど」という意味を込めることができます。
チャンドラーの椅子なのでそれをどこに置くかはチャンドラーが決めるべきことだろうけど、私はこう思ったのよね、と、控えめに意見を述べる形になるでしょう。
それぞれ、自分のしたいようにしようとして喧嘩した後ですから、あまり自己主張しすぎないように気を付けている感じが出ています。
ここに椅子を置くことで、テレビも見れるし、still 「それでもなお、やはり、それにもかかわらず」、キッチンまで歩ける距離なのよ、と説明しています。
ここなら、テレビも見れるし、キッチンにも近いわ、絶好のポジションだと思うの、ということですね。

チャンドラーはモニカの思いやりの気持ちを素直に受け取り、嬉しそうにチャンドラーからモニカにキスし、ハグします。
その後、「俺の方も見せたいものがあるんだよ」と言っていますね。
そして、Merge と書かれた road sign 「道路標識、交通標識」の話をしています。
こんな風に大きく横に書いてある文字、みたいな感じで、手を横に動かして標識のイメージを表してもいます。

merge とは、「(2つ以上のものを)併合する、合併する」という意味が基本。
日本人英語学習者には、その名詞形の merger の方がなじみがあるでしょうか。
merger は「(会社の)合併」で、M & A 「合併と買収」は、mergers and acquisitions の略ですよね。

ここでチャンドラーが言っているのは、道路標識の話なので、ここでは「合流する」という意味になります。
英辞郎には、
merge into the left lane 左車線に合流する
merge onto the expressway 高速道路に合流する

などのように「(道路・車線)に合流する」という意味の例がいくつも載っていました。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
merge : if traffic merges, the cars from two roads come together onto the same road
つまり、「交通が merge すると、2つの道路からの車が同じ道路の上で一緒になる」。

チャンドラーは「合流あり。この先、合流注意」みたいな標識の話をしているようですが、そういうよくある標識の1つをゲットして、ベッドの上にかけたらどうかなと思ってたんだと言っています。
それは、you and I together ってことだから、と理由を説明していますね。
together は「共に、一緒に」「合わせて、結合して、合体して」などの意味があります。

上に書いたように、merge の意味の基本は「合併する」ということでした。
チャンドラーは、ベッドで二人が一緒になる…つまり、エッチしている時の様子を指して、(はっきり書いてしまうと、まさに文字通りの)「合体する」というイメージで、その標識をベッドの上にかけておきたいんだ、と言っているわけですね。

研究社 英和中辞典には、merge の語義として、
merge=〈二つ(以上)のものが〉溶け合う 〈together〉
The sea and the sky merged (together). 「海と空(の色)が溶け合っていた」

というようなきれいな表現も載っていましたが、そんな風に「二人が溶け合う」というような日本語にしたら、小説っぽくて美しいかも、と思ったりもします。

とにかくチャンドラーは、「合流」という標識を寝室にかけて、そういうエッチなニュアンスを示したジョークを実行したがっているわけです。
誰かがそれを見たら、ウケてくれそうだろ、みたいなことでしょうね。
モニカはその「合流」標識の話を聞いて、一瞬茫然として固まっていますが、その後、I love that! と嬉しそうな顔をしています。
「ほんとに(気に入った)?」と聞き返すチャンドラーに、モニカは、No! に力を入れて、チャンドラーの時と同じように、手を横に動かしています。
それも、標識を手でイメージしている感じですね。
「ほんとに気に入った?」「いいえ!」と返しているわけですが、その「いいえ」も、道路標識の「ノー(禁止)」のイメージを使っているのだと思います。
No Parking なら「駐車禁止」、No Passing なら「追い越し禁止」のように、道路標識で、No は禁止の意味で頻繁に使われますので、「合流」って標識はどう?と掲げてみせたチャンドラーに、「禁止」の標識で対抗した、「標識には標識を」の精神で切り返した、みたいなやり取りになるでしょう。
DVD字幕では "No!" と引用符がついているのも、そういう「標識」であることを示すためだと思います。

一瞬、嬉しそうな顔を見せて、ほんとに?と確認すると、「もちろんだめよ」とあっさり却下するパターンは、このカップルの「お約束」ですが、その「だめよ」が、標識繋がりになっているところに、脚本のひねりを感じて、面白いなと思いました。


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posted by Rach at 08:49| Comment(2) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
今回の解説にはありませんでしたが、最後のエンドロールでのジョーイの質問の回答が気になったので調べました。

Pillow fightはそのまままくら投げ、G. Stringはセクシーな水着姿、Doggy?の回答に女の子はKitten?子猫?と答えてジョーイは不正解にしていて、ここでのジョーイ好みの回答は何だったんだろう?と。

正解はDoggy style(sexual position)のようですね(笑)
こちらにありました。参考までにURL貼っておきます。
http://answers.yahoo.com/question/index?qid=20101206020116AA6rFbQ

こうやって気になることをちゃんと調べるの大事ですねーついついRachさんのブログで確認出来るからいいやーと怠けがちなんですが(^^;;
自分でももうちょっと調べる努力をしたいと思います。
Posted by かもお at 2013年03月31日 13:18
かもおさんへ
コメントありがとうございます。
エンドロールのジョーイの質問が「いかにもジョーイ」っぽいので、解説で取り上げるかどうか最後まで迷った部分でした。そのセリフが、ここでこうして日の目を見ることになって嬉しいです^^ ありがとうございます。
この記事を書いた当時、sexual position の話になるのがちょっと恥ずかしいかも、、と思って、珍しく(笑)躊躇してしまったのですが、その反動か、こうしてコメントの形で話を振られると、(以下のように)さらりと書けてしまうのは我ながら不思議(笑)。

おっしゃる通り、それぞれ、pillow fight =枕投げ、G-string = Tバック、そして、doggy は、doggy style のことですね。
英辞郎には、doggie の方の綴りで、doggie fashion, doggie style として出ています。いわゆる「バック」の体位のことですよね。

日本語にすると、「ワンワンスタイル、ワンちゃんスタイル」みたいなことで、その手の話を doggy/doggie みたいな幼児語で言ったりする、というのには、日英に共通の感覚があるようにも思いました。

自分でいろいろ調べてみて発見できた時の喜びは大きいですよね。そして自分で見つけたことだと、忘れにくい、という効果もあると思います。
コメントありがとうございました。
Posted by Rach at 2013年04月01日 14:51
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