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前回の続きです。
イギリス英語風のアクセントで話すロスを真似て、R を強調してアイルランド英語(アイリッシュ)風に自己紹介したモニカ。
ロス: (in accent) Right. Will you excuse us for one moment? (Takes Monica aside.) (In his normal voice.) What are you doing? ([(ブリティッシュ)アクセントで] そうです。少し失礼してもよろしいですか? [モニカを脇に連れて行く] [(変なアクセントのない)ロスの普通の声で] 何やってるんだよ?)
モニカ: (normal voice) Oh, you can have an accent, but I can't? (To an exiting student in accent.) Top ‘O the morning to ya laddies! ([普通の声で] あぁ、あなたにはアクセント(訛り)があるのに、私にはない、って?(そんなのおかしいでしょ?) [退出する生徒に、アクセントで] おはよう、みんな!)
ロス: Would you just please stop? (お願いだからやめてくれる?)
(They turn back to Rachel and Professor Rathman.)
ロスとモニカはレイチェルとラスマン教授の方を向く。
Rachel: (in an Indian accent) Yes, yes, Bombay is bery, bery nice time of year. ([インド・アクセントで] そうです、そうです。ボンベイは、(今は)とてもとてもいい時節です。)
ロスはモニカを脇に連れて行って、「何でそんな話し方をしてるんだ?」と尋ねますが、モニカの返事は、You can have an accent, but I can't?
直訳すると、「あなたはアクセント・訛り(なまり)を持てるのに、私は持てないっての?」みたいなことで、あなたがブリティッシュ・アクセントなら、私がアイリッシュ・アクセントでもいいじゃん、と言いたいわけですね。
そして、さらに悪乗りした感じで、退出する学生に、Top ‘O the morning to ya laddies! と呼び掛けています。
ネットスクリプトでは音声に忠実にそう書かれていましたが、DVD字幕では、この部分は、Top of the morning to you, laddies! と表記されています。
この言葉は、「アイルランド英語の挨拶として認識されている、ステレオタイプなフレーズ」のようです。
オンラインの Macmillan Dictionary のサイトの中に、さまざまな言葉に関する記事を載せた blog が存在するのですが、その Macmillan Dictionary blog の中で、この Top of the morning to yourself というフレーズについての解説がありました。
Macmillan Dictionary blog : Top of the morning to yourself
簡単に言うと、「伝統的なアイルランドの挨拶としてよく知られているが、アイルランド人はもうあまり使わない」というフレーズだそうです。
さすがはオンライン辞書の中のブログ、説明が非常に分かりやすいので、もっと詳しく知りたい方は、是非、この Macmillan Dictionary blog をご覧になって下さい。
ちなみに、Macmillan Dictionary そのものには、この言葉は載っていないようです。
それが、このようにオンライン辞書の拡張機能のブログ内で説明されていることが、とてもありがたいなと思います。
オンライン辞書ならではの利点、と言える気もしました。
つまり、この挨拶は、アイルランド英語でイメージする言葉は?と言われてこれを挙げる人が多いけれど、実際にアイルランド人が使ってるのは聞いたことない、みたいな挨拶だということですね。
大阪人のふりをするために「まいど!」と「ベタな挨拶」をするような感じ、なのでしょう。
その挨拶の後、呼び掛け語のように laddie をつけていますが、(「呼び掛け語」であるため、厳密に言うと、Top ‘O the morning to ya, laddies! のようにカンマが必要になりますが)、その laddie という言葉は、スコットランド英語のようです。
研究社 新英和中辞典では、
laddie, laddy=【名】【C】 《スコ》 若い人 (⇔lassie)
(ちなみに、対義語で挙げられているのは、lassie=《スコ》 娘、少女、お嬢さん )
Macmillan Dictionary でも、
laddie : (Scottish, informal) a boy, or a young man
のようにはっきり「スコティッシュ(スコットランド英語)」だと書いてあります。
つまり、アイルランド英語を真似ているはずのモニカが、スコットランド英語も使っていることになりますが、これは、アメリカ人のモニカにとって双方の区別は難しく、ごっちゃにしてしまった、という感じなのかもしれません。
その2つの言語の区別がつかなくて、ちゃんぽんにしてしまっているところに、「それらの国の英語に疎いアメリカ人」っぽさが出ている、という演出なのでしょう。
そのアイリッシュっぽい英語を言った後、モニカはダンスみたいなしぐさをしていますが、これも「アイリッシュ・ダンス」の真似なのでしょうね。
ロスとモニカがラスマン教授の方に向き直ると、レイチェルが教授と話をしているのですが、レイチェルまでもが、いつものアメリカ英語とは違う言葉を使っています。
ト書きにあるようにそれは「インド英語」なのですね。
前回の記事でも、参考書籍として挙げさせていただいた、4カ国の英語 リスニング強化ブック (ジャパンタイムズ刊) の p.66 に「インドの英語」というコラムがあり、そこには以下の特徴が挙げられていました。
「 v を w のように発音する傾向がある」
ネットスクリプトでは、very を bery と表記してあったので、最初は「 v が b になるような音変化がインド英語の特徴なのかな?」と思ったのですが、発音の本によると、b ではなく、w になるようですね。
その規則に則ると、wery みたいな表記にすべきなのかもしれませんが、いずれにしろ、v を v の音では発音しない、という点では、今回のレイチェルの英語も、インド英語の特徴を拾っていると言えるように思います。
ドラマ「HEROES(ヒーローズ)」のモヒンダー・スレシュさん(インド出身という設定)の話していた英語も、こんな感じのインド英語でした。
また、他の特徴として、
「感想を述べるときに very という語を頻繁に使う」
「文意を効果的に強調するために、同じ言葉を繰り返して使う」
という説明もありました。
レイチェルの話すインド英語の、very, very nice time of year. の「very の繰り返し」が、まさに「インド英語」の特徴を出していた、というわけですね。
ノンネイティブの英語学習者にとっては、各国、各地方のアクセントの違いを知るのはかなり難しいことだと思いますが、ドラマや映画でそういう「極端なアクセント」が出てきた時には、わかる範囲で調べてみたりするのも悪くない…と個人的には思っています。
今回のように、そのアクセントの違いがジョークのネタになっている場合はなおさらですね。
この フレンズ6-4 というエピソードは、発音、アクセントネタが多く出てきたので、今回はその解説にポイントを置きましたが、厳密に完璧にその違いがわからなくてもいい、何となくでいいからその違いが認識できていると、こういうアクセントネタも楽しめる、ということをわかっていただけたら嬉しく思います。
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11:01
Wow, we really are bitches.
areはused to beでは?
解説をよろしくお願いします。
コメントありがとうございます。お返事大変遅くなり申し訳ありません。
目の前を通り過ぎていく学生に、レイチェルが親しげに Hey, sisters. と呼び掛けるも、無視された後のセリフが
レイチェル: Wow, we really are bitches.
ですね。
They really are bitches. なら、無視した相手の女学生のことを「嫌な女たち」と言っていることになりますが、このセリフは主語が we となっています。
仮に used to be なら「私たちは本当に嫌な女だった」という過去のことを述べていることになるでしょうが、このセリフは現在形 are が使われており、今の自分たちの話をしていることになると思います。
これは相手が無視したことから、「私たちは(彼女たちにとって)本当に嫌な女たち、ってわけね」のように自虐的に表現したセリフになっているということだと思いました。
相手のことを「最低な女たち」と毒づくよりも、「あら(あなたたちに無視されるなんて)私たちって最低女なのねぇ」と客観的に自虐することで、無視した相手へのむかつきを表しているというような面白さになると思います。
このギャグは、ギリシア文字で表される大学の sorority にからめたものでしょう。we はレイチェルと女子学生を指していて、その関係を sisters から bitches に言い換えることによって女子学生の態度が残念だったことを非難していると考えると筋が通ります。したがって be 動詞は現在形で OK です。
こんにちは。コメントありがとうございます。
おっしゃるように、ソロリティという組織についての会話であることから、we は「レイチェルと女子学生」の関係を指していると考える方がしっくりくる、と私も思いました。
英語でギリシャ文字で表現されている部分、
Oh, hey, look! There’s some Kappa Kappa Deltas! I was a Kappa.
については、DVDの和訳でも、
(字幕)フラタニティーの学生よ 私も入ってた
(音声)ああ見て。フラタニティーのトレーナーよ。私も昔、入ってた。
ときちんと訳出されていました。
(他の方への参考として)大学生の社交クラブのような組織であるフラタニティとソロリティについては、以下のウィキペディアで。
Wikipedia 日本語版 : フラタニティとソロリティ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%82%BF%E3%83%8B%E3%83%86%E3%82%A3%E3%81%A8%E3%82%BD%E3%83%AD%E3%83%AA%E3%83%86%E3%82%A3
ウィキペディアにも、
メンバー同士を「兄弟」・「姉妹」と呼び合ってお互いの硬い結束を強調するためである。
という記載があり、仲間意識から、sisters と呼び掛けたのに無視されたので、私とあなたたちは(仲間である)シスターズじゃなくて、bitches ね、と表現したということですね。
貴重なご意見ありがとうございました<(_ _)>