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チャンドラーが引っ越すので、今夜はチャンドラーとジョーイにとって最後の晩になります。
最後の晩に、「金を賭けてフーズボールをしよう」と提案したチャンドラーに、
ジョーイ: What, are you crazy? You haven't beaten me once since my injury-plagued '97 season. It would be easier if you just give me your money. (何だって? お前はバカか? 俺がけがに悩まされた97年以来、お前は一度も俺に勝ってないんだぞ。お前がただ俺に金を渡す方が、簡単だろうよ[手っ取り早いだろうよ]。)
チャンドラー: Yes, it would. What do you say to $50? (そうだな、その方が簡単だろうな。50ドル(賭ける)ってのはどう?)
ジョーイ: Okay, you're on. (オッケー、受けて立つよ。)
チャンドラー: Okay, let's play! The big game. Italy versus... China, apparently. (オッケー、じゃあプレーしよう! ビッグゲームだぞ。イタリア対…中国、らしいな。)
(They start playing.)
二人はゲームを開始する。
金を賭けてフーズボールをやる、っていうアイデアはどう?みたいに言ったチャンドラーに、ジョーイは、What, are you crazy? とまで言っています。
そんな提案するなんて、お前は正気か?みたいな感じですね。
beat は「…をたたく」で、「(相手・敵)を負かす」という意味にもなります。
haven't beaten me once since... で「…以来、一度も俺を負かしたことがない」ということですね。
injury-plagued は「けがに悩まされた」。
plague は名詞で「疫病、伝染病」という意味で、動詞だと「(人)を疫病にかからせる」という意味から、疫病だけに限らず、「(人)を…で悩ませる」という意味にもなります。
日本のスポーツニュースでも、「けがに悩まされた1年でしたが」のようなフレーズを聞くことがありますが、まさに、injury-plagued が「けがに悩まされた」という英語表現なのですね。
ですから、my injury-plagued '97 は「俺がけがに悩まされた1997年」ということになります。
97年はけがをしてて、お前に負けたこともあったけど、けがから復活して以来はお前には負けなし、なのにお前はその俺に勝負を挑もうってのか?という感じです。
It would be easier if you just give me your money. を直訳すると、「もしお前がお前の金を俺に渡したら[くれたら]、その方がより簡単だろう」。
チャンドラーが負けるのは目に見えてて、どうせそっちが俺に金を払うことになる。それならわざわざゲームなんかしないで、最初から金を俺にくれてた方が、もっと簡単だぞ、その方が余計な手間がかからず、楽で手っ取り早いぞ、ということですね。
勝ち誇ったようにそう言うジョーイに対して、チャンドラーも、Yes, it would. つまり、「あぁ、確かに(お前の言う通り)そっちの方がより簡単だろうね」と答えています。
過去記事、フレンズ6-6その2 で解説したように、収入が不安定なジョーイには家賃や光熱費などの費用を払うのが大変だろうから、と、チャンドラーはしばらくそういう費用の面倒をみようと申し出ていました。
でも、ジョーイは、Joey Tribbiani does not take charity... anymore. 「ジョーイ・トリビアーニは、施しを受けない…もうこれからは」と強い調子で拒絶していました。
費用を負担する、もしくはお金を直接ジョーイにあげる、と言ってもまた拒まれるので、金を賭けたゲームという体裁にして、さりげなくジョーイに金を援助しようとしているわけですが、そんなチャンドラーの気持ちに気付かず、「そんなゲームするくらいなら、直接金をくれる方が簡単だ」などとジョーイが言うので、「ほんと、そっちの方が実際ずっと楽なんだけどね」と認めているわけですね。
チャンドラーが、Yes, it would. と言った後、ラフトラック(観客の笑い声)が入りますが、観客もそういうチャンドラーの意図をわかっていて笑っているわけですね。
知らぬはジョーイばかりなり、というところです。
What do you say to $50? は、前回説明したように、What do you say to (名詞)? の形ですね。
前回は、What do you say SV? という文が続いていましたが、このように名詞が続く場合は、前置詞は to になることに注意しましょう。
You're on. は「お前はオンだ、オンの状態だ」という感じですが、以下の英辞郎の語義と説明がわかりやすいと思います。
You're on.=受けて立ちましょう。/いいとも。/話は決まった。(無理な依頼、賭け事や挑戦などを提案されて受けて立つときに使う)
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
you're on! : (spoken, informal) used to accept something such as a bet or an offer.
例) "I bet you $20 he won't come." "You're on!"
つまり、「賭けや申し出のような何かを受け入れる時に使われる」。
例文は、「彼は来ないって(方に)20ドル賭けるよ」「(その賭け)受けて立つよ」。
ゲームを始めよう、と言ったチャンドラーは、ビッグゲームだぞ、と言いながら、Italy versus... China, apparently. とも言っています。
apparently は「(見たところでは)どうも…らしい」。
LAAD では、
apparently [adverb]
1. [sentence adverb] based on what you have heard is true, although you are not completely sure about it
2. according to the way someone looks or a situation appears, although you cannot be sure
つまり、1. は、「(文副詞、文全体を修飾する副詞) 自分が本当だと聞いたことに基づいている、それについて自分は完全には確信してはいないけれども」。
2. は、「誰かの見た目の様子や、状況の様子に従って、自分は確信を持てないけれども」。
「そんな風に聞いた」とか、「見た目や状況からそう思える」けれども、どちらも「自分としては確信が持てない」というのがこの語義のポイントですね。
「どうやらそうらしい…けど、自分としては絶対そうだとは言い切れない、確信が持てない」という感覚です。
前回の、お互いが自分たちの先祖の料理を持ってきた、の話の続きで、お前がイタリアで、俺は中国…なんだったよな、どうやらね…みたいな感じのセリフです。
さっきのお前の話では、どうやら俺は中国系らしいよね、と他人事みたいに言ってみせて、自分は納得してないところを少し見せている感覚だろうと思います。
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この場面で、恐らく日本版にはないところなのでしょうが、チャンドラーが "What do you say to $50?" といった直後のジョーイのセリフで、
"I say to it: '50 dollars, you are more than I have.'
というのがあるのですが、これはお前は俺より金持ちだなというニュアンスでいいんでしょうか?
Rachさんの意見が聞きたいです!
お久しぶりです。コメントありがとうございます。
おっしゃるように、日本版DVDでは、
チャンドラー: What do you say to $50?
ジョーイ: Okay, you're on.
のようになっているのですが、北米版ではその間にセリフが入っているのですね。
そのカットされた部分が、
チャンドラー: What do you say to $50?
ジョーイ: I say to it: '50 dollars, you are more than I have.'
になっているのであれば、訳は、
チャンドラー: 50ドルっていうのはどう?(50ドルに対してお前は何て言う?)
ジョーイ: 俺は50ドルにこう言うね。「50ドルよ、お前は俺が持ってるよりも多い」って。
みたいになるでしょうか。
What do you say to というのは「〜はどうですか? 〜をどう思いますか?」という決まり文句ですが、直訳すると、「(to 以下)に対してあなたは何と言いますか?」ということですよね。
チャンドラーは普通の決まり文句として、「50ドル(賭けること)はどう? どう思う?」と尋ねたのに対して、ジョーイはそれを冗談ぽく、直訳のニュアンスで受け止めて、「50ドルに対して俺が何を言うか、って? 俺はこう言うね、『なぁ、50ドルさんよ、俺が持っている(俺の所持金)よりも、お前さんの方が多いね』」のように、冗談ぽく言ってみた感覚になると思います。まるで「50ドル」を「50ドルくん」みたいに擬人化して、その擬人化した「50ドルくん」に、俺はこう言うよ、と言ってみせたセリフが、「君は俺の所持金よりも多いね」で、それはつまり、「俺は50ドルも持ってない」ということを、「50ドルくんへのセリフ」で表現してみせたことになるのかな、と思うわけです。
これが、「50ドル賭けようって言うってことは、チャンドラーは今、50ドル持ってるんだな。お前は俺よりも金を持ってるんだな」と言いたい場合なら、"$50? You have more than I have." みたいに、you の方も動詞は have になるでしょうね。ここでは、「チャンドラーが50ドル持っているかどうか」を言っているのではなくて、「50ドル、という金額は、俺が持っている所持金よりも多い」ということを、50ドルくんへのセリフみたいにして表現している、というのがポイントなんだろうと思います。
youが指しているのが50ドルだったんですね!
しっくりきました!ありがとうございます!
お返事ありがとうございます。
you=50ドル、なのがこのセリフのポイントですね。
しっくりきたと言っていただけて嬉しいです。