2011年11月04日

600万ドルの男 フレンズ6-7その2

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フィービーと同居することになったレイチェル。ジョギングをするつもりのレイチェルは、一緒に走ると楽しいわよ、とルームメイトのフィービーを誘います。
ですが、その走り方が独特だったため、そのことをロスとモニカに話しているところ。
[Scene, Central Perk: Rachel, Ross and Monica are there]
セントラルパーク。レイチェル、ロス、モニカがそこにいる。
レイチェル: You guys, I'm telling you, when she runs, she looks like a cross between Kermit the Frog and the Six Million Dollar Man. (ねぇみんな。はっきり言って、フィービーが走ると、カエルのカーミットと600万ドルの男を足して2で割ったような感じに見えるのよ。)
ロス: Monica had such a crush on him. Yeah, she used to kiss his poster every night before she went to bed. (モニカは彼にぞっこんでね。そうさ、モニカはベッドに入る前、毎晩、彼のポスターにキスしてたもんだったよ。)
レイチェル: Oh! I used to do that too! (まあ! 私もそれと同じことをしてたわ!)
モニカ: Did you also have his album, "It's Not Easy Being Green"? (あなたも彼のアルバムを持ってた? 「緑でいるのも楽じゃない」ってアルバムを。)
レイチェル: Oh, Mon... (Kisses her on the cheek) (あぁ、モニカ… [モニカの頬にキスする])
モニカ: So Phoebe runs weird, huh? (それで、フィービーは変な走り方をするのね?)
レイチェル: Yeah, yeah and you know what, I know she's gonna wanna run again, I just don't know how to get out of it, I mean, I live with her. (そうよ、そうなの、それでね、フィービーはまた走りたいって言うだろうけど、それを免(まぬが)れる方法がわからなくて。つまり、私はフィービーと一緒に住んでるわけだから。)
モニカ: Why don't you just be straight with her? Tell her the truth. (ただフィービーに正直に言ったらどう? 真実を言うのよ。)
ロス: Yeah. (そうだよ。)
レイチェル: You're right, you're right. I should just tell her the truth. (あなたは正しい、正しいわ。ただ真実を言うべきよね。)
[Phoebe enters]
フィービーが入ってくる。
フィービー: Hey! (はーい!)
ロス: Hey! (やあ!)
レイチェル: Pheebs, Monica tripped me, I don't think I can ever run again, ever! (フィービー、モニカが私を転ばせたの。だから、また走ることは無理だと思うの。)
フィービー: Why? Why would you do that? (どうして? どうしてそんなことをしたりするの?)
モニカ: I don't know. Rachel, I'm, I'm sorry that I hurt your ankles. (さあね、レイチェル。ごめんね、あなたの足首を両方とも痛めちゃって。)
レイチェル: Ankle. (片方よ。)
モニカ: We'll see. (今にわかるわ。)

フィービーが走る様子を、レイチェルは、she looks like a cross between Kermit the Frog and the Six Million Dollar Man. と表現しています。
look like は「…のように見える」で、a cross between A and B は、「A と B の異種交配、雑種、混血種、交配種」。「A と B の間のクロス」みたいに直訳しても、何となくそういう意味であることは想像できますね。

研究社 新英和中辞典には、
cross=折衷, 中間物, どっちつかずのもの 〔between〕
例) Brunch is a cross between breakfast and lunch. 「ブランチとは朝食とも昼食ともつかないものである」

という意味も載っています。

また、英辞郎には、
cross between=【名】A と B を足して2で割ったような人
という語義が載っていますが、今回はまさにそういうニュアンスだと思います。

そのように、フィービーの走り方は、何かと何かを足して2で割ったような感じ、と説明しているわけですが、その2つの例のどちらもが大文字で始まる固有名詞になっていますね。

まずは1つ目の Kermit the Frog について。
「カエルのカーミット」は、「セサミストリート」に登場するマペット。
「Google 画像検索」をすると、たくさんの画像が出てきますので、それを見たら思い出す、という方も多いでしょう。

Wikipedia 日本語版: カーミット
Wikipedia 英語版: Kermit the Frog
IMDb: Kermit the Frog (Character) from "The Muppet Show" (1976)

次に、the Six Million Dollar Man について。
「The Six Million Dollar Man」はアメリカのテレビドラマで、事故の後、改造手術を受けてサイボーグとなり、情報機関のエージェントとして活躍するお話のようです。
日本でも放映されていたそうですが、残念ながら私は見たことありません。
最初は「サイボーグ危機一髪」というタイトルで放映されていて、途中から「600万ドルの男」にタイトルが変更されたようです。
「600万ドルの男」というタイトルに記憶がある方なら、英語で the Six Million Dollar Man と言われてもピンと来たかもしれませんね。

Wikipedia 日本語版: 600万ドルの男
Wikipedia 英語版: The Six Million Dollar Man

Amazon ではこちら。
600万ドルの男[サイボーグ危機一髪] DVD-BOXI[初回限定版]
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日本語版ウィキペディアの「ストーリー」にあるように、
この改造手術の費用に600万ドル(放映開始当時の日本円で約18億円)かかったというのが番組タイトルの由来である。
とのこと。
また、同じくウィキペディアによると、
両足―最高時速60マイル(≒96km/h)で走れる(100m走3秒7)
おお、めっちゃ速い!(笑)。

「地上最強の美女 バイオニック・ジェミー」というタイトルは聞いたことあったのですが、それはこの「600万ドルの男」のスピンオフなんですね。
Wikipedia 日本語版: 地上最強の美女バイオニック・ジェミー

カーミットというマペットは、手足がひょろ長い感じですよね。
さらにそれが「600万ドルの男」のサイボーグのように、すごいスピードで走り抜けていく、みたいな感覚なのでしょう。
実際にそのフィービーが走っている映像も、「(カエル+サイボーグ)÷2」と表現するのがドンピシャリ!な感じの、手足の動かし具合でした。

そんな風に、カエルのカーミットと600万ドルの男を彷彿とさせるような走り方だった、とフィービーが説明した後、ロスは、「モニカは彼にぞっこんだった、惚れ込んでた」と言っています。
夜寝る前にポスターにキスまでしてたんだ、とも言っていますね。
それを聞いたレイチェルは、「まぁ、私も彼が大好きで、同じようにポスターにキスしてたものだったわ!」みたいに言っています。

同じような大ファンだったと聞いて、モニカはさらに「じゃあ、レイチェルも(私と同じように)、"It's Not Easy Being Green" っていう彼のアルバムを持ってた?」と尋ねています。
それを聞いた後、レイチェルは、「まぁ、モニカったら…」みたいなちょっと同情するような顔をして、モニカの頬にキスしていますね。

"It's Not Easy Being Green" は直訳の通り、「緑でいるのは簡単ではない、楽じゃない」という意味。
この意味から想像できるように、これは、600万ドルの男の方ではなくて、カーミットのことを言っていることになります。
カエルのカーミットは、全身、緑ですものね。

実際に、カエルのカーミットの歌にそういうタイトルのものがあるようです。

Amazon ではこちら。
It's Not Easy Being Green [VHS] [Import]
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It's Not Easy Being Green: And Other Things to Consider
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2番目に挙げた方は、歌のアルバムではなくて、「本」のようですが、表紙の絵がなかなか味があるので、参照してみました。

つまり、モニカが大好きだった、というのは、ヒーローの600万ドルの男、の方ではなくて、カエルのカーミットだった、というオチだったわけです。
レイチェルの方は、600万ドルの男、の方だと思って話していたので、「まぁ、あなたがキスしてたのは、カーミットの方だったの…モニカったら…」みたいに、同情するような感じで頬にキスをした、ということでしょう。

一瞬、気まずくなったモニカは、フィービーの走り方に話題を戻します。
レイチェルは、「またフィービーは一緒に走りたいって言うだろうけど、どうやったらそれから逃れられるかわからない」みたいに言っています。
I live with her. つまり、私は今、フィービーと同居してるから、走りに行こうとしたら絶対に相手に気づかれてしまうから隠しようがない、ということですね。
モニカは、be straight with her とアドバイスしています。
straight は「まっすぐな」ですから、この場合は、「正直に、率直に、包み隠ししないで」。

フィービーの走り方が変わってるから、一緒に走りたくないの、と正直に言っちゃいなさいよ、ということです。
それに同意したらしいレイチェルでしたが、フィービーが入ってくると、Monica tripped me. と言っています。
trip は他動詞では「(人)を転ばせる、つまずかせる」。
まるでモニカが自分の足をひっかけて、レイチェルをつまずかせた、そして転んじゃった、みたいな言い方です。
それで足を痛めちゃったから走れなくなったの、みたいに言い訳しているのですね。
「モニカが私をつまずかせた」という話を聞いて、フィービーはモニカを非難しています。
フィービーに真実を話すと言いながら、自分を悪者にしたレイチェルにあきれたモニカは、「あなたの両足を痛めちゃってごめんなさいね」と皮肉っぽく言っています。
レイチェルは、「両足じゃなくて、片足だけよ」と言うのですが、それに対してモニカは、We'll see. と言っていますね。
We'll see. は「(結果がどうなるか)今にわかるだろう」「成り行きを見守ろう、様子を見よう」というような意味。
つまりこれは、「今は片足だけだけど、それが両足になるかもよ」みたいに言っているセリフになります。
フィービーに真実を告げたくないがために、モニカを悪者にした自分勝手なレイチェルに対して、「そんなことで私を巻き込むのなら、片足だけ足首を痛めたって話が、まじで両足痛めることになっちゃうかもよ」と、そのうちに本当にレイチェルの両足首がケガすることになるかも、と脅しているわけですね。
今は作り話の上での話だけど、あんまりふざけたこと言うと、片足どころか両足の足首を痛めさせるように、思いっ切り、レイチェルをつまずかせるわよ!と言っているわけです。
日本語だとただ「足首」と言うだけで、英語の ankle/ankles のように、単複の違いをわざわざ出すことはあまりしませんが、英語では普通に言う場合でも、必ず単数か複数かを言及することが必要になってきます。
そういう「単複の区別」を使って、「レイチェルは片足の足首だって言うけど…それはどうかしらね、これからが見ものね」みたいに脅して仕返しているところが、フレンズらしいオチだと思いました。


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posted by Rach at 15:19| Comment(4) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「600万ドルの男」は,あまり見てはいませんでした.色気づき始めたころの当時の私には,「バイオニック・ジェミー」や「チャーリーズ・エンジェル」の方が魅力的でしたね.(笑)
そんな私が「600万ドルの男」で思い出すのは,オープニング・シーン,それに主人公が走っている姿です.彼がフルスピードで走るときは,いつでもスローモーションになり,独特のBGMが流れます.彼が走って来るのを正面から写すやり方が,特に多かったように思います.

確認のために youtube でいくつかビデオを見たのですが,そこにつけられたコメントの中に「シリーズの中で彼がスローモーションじゃなく走っているシーンが,3,4回ある(それしかない)」というものがありました.それくらいスローモーションを多用してたんですね.
ちなみに「バイオニック・ジェミー」もそうでした.現在から見ると,子供だましで大げさすぎる手法なのですが,当時はそれなりに納得していたように思います.

ですから,フィービーが走るシーンは,その写し方を含めた大仰さへのパロディ(またはオマージュ)なのだろうと思います.
それを手足が長くて細身のフィービーが,カーミットのように無闇に手を振り回すのが,「カエルのカーミットと600万ドルの男を足して2で割ったような感じ」となるのでしょう.

ところで,その後のモニカがカーミットのポスターにキスしていたというくだり,私は完全にギャグを見逃していました.アルバムのことも,ああ,リー・メジャーズがなんかアルバムを出してたんだろうな,などと思っていました.orz
それで,"It's Not Easy Being Green" を聞いてみたんですが,これがなかなかいい曲でした.特に歌詞が深くて,「セサミ・ストリート」,なかなか侮れないな,と思ってしまいました.
Posted by さへき at 2011年11月05日 00:16
さへきさんへ
コメントありがとうございます。
やっぱり、「そういうお年頃」には、「バイオニック・ジェミー」や「チャーリーズ・エンジェル」の方がよろしいわけですね(笑)。
「600万ドルの男」のウィキペディアを読んでいると、「チャーリーズ・エンジェル」のファラ・フォーセットとリー・メジャーズが結婚していたとか、彼はジェミー役にファラを推していたとか、いろいろと裏話がわかって面白いです。

英語版ウィキペディアには、the slow-motion running についての記述もありますね。さへきさんのコメントの「その写し方を含めた大仰さへのパロディ(またはオマージュ)」という表現は、まさにその通りだと私も思いました。

今は、YouTube などの動画サイトのお蔭で、そういう映像を手軽に見ることができるのは本当にありがたいですよね。著作権的に微妙なものもありそうなので、このブログからはリンクははらないことにしているのですが、私も実際にいろいろ探して見てみたりしています。実際に彼が走っている映像を見ると、こんな風に走りの説明に使われた理由がわかる気がしますね。

また、カーミットがその歌を歌っている映像は、私も見ました。味のあるいい歌(笑)でした。

Wikipedia 英語版: Bein' Green
http://en.wikipedia.org/wiki/Bein'_Green
では、この歌のことが書いてありますね。(ということは、正式なタイトルは Bein' Green なのかも)
そのウィキペディアの説明の中に、
The song's signature line "It's not easy being green" is a phrase that has since appeared in many contexts in pop culture.
という記述があって、その後、この歌が象徴することがらをいろいろ挙げているのが興味深いです。
melancholy, identity, individuality, self-love, celebration of diversity (race, color), environmentalism などなど。

イギリスBBCで、It's Not Easy Being Green というタイトルのテレビ番組があるようです。
Wikipedia 英語版: It's Not Easy Being Green
http://en.wikipedia.org/wiki/It%27s_Not_Easy_Being_Green

これは、how to live an environmentally friendly, low impact life についての番組のようで、green の「環境に優しい、地球に優しい」という意味を使ったタイトルですよね。
ウィキペディアの説明に、
The series takes its title from the first line of the song "Bein' Green" (most famously associated with Kermit the Frog).
とあり、カエルのカーミットの歌の最初のセリフ(歌詞)を番組タイトルにしたようです。
まさに、a reference to environmentalism として使われている例だと思います。
うーん、やっぱり「セサミ・ストリート」は、奥が深い…。

興味深いコメントありがとうございました。
Posted by Rach at 2011年11月08日 14:12
Rachさん

いつも勉強させていただいております。
またまたの新書の増刷おめでとうございます!

さて質問ですが、
レイチェルのセリフ
I don't think I can run ever again,ever!

のeverの使い方が難しいなと。。。
2回出てきているので強調する意味だと思いますが、
二度と走らないとは思わないって思ってしまい。。。
everってnot と一緒になって、もう絶対に永遠に〜しないみたいに使われる感じがしたので、、、なんか意味が通じないなと思いました。なんか基礎的な感じもしますが、お時間のある時によろしくお願いします。
Posted by katuo at 2019年07月18日 11:26
katuoさんへ
コメントありがとうございます。そして増刷についての温かいお祝いのお言葉もありがとうございます!(^^)

I don't think I can run ever again, ever! を日本語風に「私は〜と思う」のように I think で始める形にすると、
I think I can not run ever again, ever! になりますよね。
not ever = never なので、置き換えてみると、
I think I can never run again, ever! になると思います。

never ever は、never をさらに強調した形で、研究社 新英和中辞典には以下のように出ています。

never ever=《口語》 決して…ない
I'll never ever trust him again. 「私は二度と彼を信頼しない(つもりだ)」

この例文のような never ever と連続した形だけではなく、文の最後に ever を付ける形もあり、今回のレイチェルのセリフは後者に該当するということになると思います。

ブログ記事では、ever のニュアンスをあまり出さずに訳してしまいましたが、ここで改めて、I don't think I can run ever again, ever! を訳してみます。
文字通りに訳すと「もう一度走れるとは思えないわ」になりますが、not という否定語は、内容的には can run の方にかかっていると考えた方がいいと思うので、「もう二度と走れないと思うわ、決してね!」のように、最後の ever でさらに否定を強調するニュアンスで訳したら良いのかなと思います。

このように文末に ever がつくパターンを調べてみると、以下のものがありました。

発信音と間違えられる名前 フレンズ3-6その3
http://sitcom-friends-eng.seesaa.net/article/388470911.html
チャンドラー: I'm never gonna find a roommate. Ever. (ルームメートが見つかりそうにないよ。ムリだ。)

俺だってやりたいことはある フレンズ3-9その2
http://sitcom-friends-eng.seesaa.net/article/388471026.html
フィービー: Oh, can I play too? I've never played football, like ever. (まぁ、私もプレーできる? 私はこれまでにフットボールをやったことないのよ、そう、全くね。)

興味深いご質問ありがとうございました(^^)
Posted by Rach at 2019年07月20日 21:04
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