2011年12月05日

「招かれざる客」のシドニー・ポワチエ フレンズ6-9その1

皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は5位、「にほんブログ村」は9位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ


シーズン6 第9話
The One Where Ross Gets High (チャンドラーは嫌われ者?)
原題は「ロスがハイになる話」


今日は感謝祭。モニカは誰かと電話中。
モニカ: (on phone) Okay, great. Bye. (Hangs up as Chandler enters.) So guess who's coming to Thanksgiving dinner? ([電話で] オッケー、いいわね、バーイ。[電話を切る。そこにチャンドラーが入ってくる] それで、感謝祭のディナーには誰が来ると思う?)
チャンドラー: Sidney Poitier? Hehheh. (シドニー・ポワチエ? へへ。)
[Chandler throws his coat on the couch]
チャンドラーは自分のコートをカウチの上に投げる。
モニカ: (not amused by Chandler's joke) I miss Rachel. (To Chandler) No, my parents. ([チャンドラーのジョークに楽しんでいない様子で] レイチェルが恋しいわ。[チャンドラー] 違うわ、私の両親よ。)
チャンドラー: Oh! That's great, they haven't seen the place since I moved in! (おー! それって最高だね、俺がここに越してきて以来、君の両親はこの場所を見てないもんね。)
[Monica goes to fiddle with something on the table.]
モニカはテーブルの上にある何かをいじりに行く。
モニカ: Yeah, and y'know, if you could not mention to them that we live together, that would be great! (Quickly trying to change subjects) I was thinking we would eat around 4. (そうね、でね、私たちが一緒に住んでることを両親に言わないでいてくれたら、ありがたいわ! [急いで話題を変えようとする] 4時ごろに食べようかなって考えてたの。)
[Monica goes to the stove.]
モニカはコンロに行く。
チャンドラー: (shocked at the news) Why can't I tell them that we live together? ([そのニュースにショックを受けて] 俺たちが一緒に住んでることをどうして俺が言っちゃいけないんだ?)
モニカ: Because they don't know we're dating. (Again, trying to quickly change subjects.) Do you think we should eat in the kitchen? (Goes to the sink and the stove to cook.) (だって両親は私たちがデートしているのを知らないから。[再び、話題を素早く変えようとする] 私たち、台所で食べるべきだと思う? [料理するために、シンクとコンロに行く])

電話を切ったモニカは、ちょうど部屋に入って来たチャンドラーに、So guess who's coming to Thanksgiving dinner? と尋ねています。
それに対してチャンドラーは、Sidney Poitier? と言った後、自分で「ナハハ」みたいな乾いた笑い声を出しています。
その様子からも、このチャンドラーの返しが、彼のジョークであることが想像できますね。
そのジョークの後、モニカは遠い目をして、I miss Rachel. 「レイチェルが恋しい、愛しい」と言っています。
何か質問すると、とりあえずジョークで返してくる、今の会話パターンにちょっとげんなりしているらしく(笑)、レイチェルが同居人だった時はこんなんじゃなかったのに、レイチェルがいた頃は良かったわ…みたいに言っているわけですね。

シドニー・ポワチエはアメリカの俳優。黒人男優として、アカデミー主演男優賞を初めて受賞した人としても有名です。

Wikipedia 日本語版: シドニー・ポワチエ
Wikipedia 英語版: Sidney Poitier
IMDb : Sidney Poitier

その名優シドニー・ポワチエが出演した作品のうち、1967年公開の、Guess Who's Coming to Dinner というタイトルの映画があります。(邦題は「招かれざる客」)

Wikipedia 日本語版: 招かれざる客
Wikipedia 英語版: Guess Who's Coming to Dinner
IMDb : Guess Who's Coming to Dinner (1967)

IMDb では、この映画の内容が以下のように説明されています。
Matt and Christina Drayton are a couple whose attitudes are challenged when their daughter brings home a fiancé who is black.
訳しますと、「マット&クリスティーナ・ドレイトは夫婦で、自分たちの娘が黒人のフィアンセを家に連れてきた時、その態度が試される」。

その説明通り、黒人の差別問題をテーマにした映画で、白人夫婦の娘が連れてきた、その黒人のフィアンセを、シドニー・ポワチエが演じているわけです。
映画のタイトルを訳すと、「ディナーに来るのは誰だと思う?」という意味になりますが、それは、「娘がディナーに招いた黒人のフィアンセ」=「シドニー・ポワチエ」を指しています。
この映画のタイトルとよく似たセリフ「感謝祭のディナーに来るのは誰だと思う?」と言ったモニカに対して、その映画での客人、シドニー・ポワチエの名前をチャンドラーは出したわけですね。

このように、今回のフレンズのセリフでは、単にセリフがタイトルと似ていたことからの連想でしたが、この「招かれざる客(Guess Who's Coming to Dinner)」という映画は、黒人差別を真正面から取り上げた映画として、強くアメリカ人の心に刻まれているようです。

政治ドラマ「ザ・ホワイトハウス」(The West Wing) 1-11 でも、セリフの中にこの映画の話題が出てきました。
The West Wing では、黒人差別との関連でセリフに登場していましたので、それをここでご紹介します。(これから The West Wing を見ようと思っておられる方は、ネタバレの恐れがありますのでご注意下さい)

バートレット大統領は、自分の娘ゾーイが、大統領私設秘書の黒人青年チャーリー・ヤングをデートに誘ったと聞いて、浮かない顔をしています。
レオ・マクギャリー主席補佐官: Got a racial problem? (人種問題ですか?)
バートレット大統領: A racial problem? (人種問題だって?)
レオ: It's okay to admit it. (そうだと認めても構いませんよ。)
バートレット: I don't! (私は人種問題を抱えてるんじゃない!)
レオ: Okay. (そうですか。)
バートレット: I don't have a racial problem. (私は人種のことで悩んでいるんじゃないんだ。)
レオ: Okay. (わかりました。)
バートレット: I'm Spencer Tracy at the end of "Guess Who's Coming to Dinner." (私は「招かれざる客」のラストのスペンサー・トレイシーなんだよ。)
レオ: Okay. (そうですか。)
バートレット: Racial problem! ((それを)人種問題だなんて!)
レオ: I'm just saying.... (私はただ…)
バートレット: My problem is not that she's white, he's black, it's that she's a girl and he's not. To say nothing of he's older than she is. (私の悩みは、娘が白人でチャーリーが黒人だってことじゃない。娘が女で彼は女じゃない、ってことなんだ。彼が娘よりも年上だってことは言うまでもなく。)
レオ: She's 19. He's 21. (ゾーイは19歳。チャーリーは21歳です。)
バートレット: Yeah, but a guy learns a lot in those two years. (そうだな、でも、男はその2年間で多くのことを学ぶんだ。)
レオ: Okay. (そうですね。)
バートレット: Tracy was good in that movie. (あの映画での、トレイシーは良かった。)
レオ: Yeah. (ええ。)

「招かれざる客」で白人夫婦を演じているのは、スペンサー・トレーシー&キャサリン・ヘップバーン。
バートレット大統領は、自分の娘が黒人青年をデートに誘ったので、自分はあの映画の父親スペンサー・トレイシーと同じ状況、気持ちだ、と言いたいようです。
上の一連のやり取りの最後でも、「あの映画のトレイシーは良かった」とその演技に感銘を受けた様子が伺えます。
白人である自分の娘が黒人と付き合う、という話になると、まっさきにあの映画が頭に浮かぶ…ということもよくわかりますね。

また、その映画に関する以外のセリフでも、上のバートレットのセリフは、娘を持つ父親の気持ちがよく表れていて興味深いなと思います。
「黒人だから不安を感じてるんじゃなくて、彼が男でしかも年上だからだ」と言う大統領に対して、レオは恐らく「年上と言っても、たった2歳だけですよ」という意味で、19歳と21歳という年齢を出したのでしょう。
その19歳から21歳の2年の間に男は多くのものを学ぶ、と言っているのも、自分も男としてその時期を経験してきたから、ああいう年齢の男性がどういう感じかわかるだけに余計に心配なんだ…というような、娘を心配する父親らしい気持ちがよくにじみ出ていると思います。
(「招かれざる客」に関する部分はここまで)

ジョークで返したチャンドラーに対して、今夜の夕食に来るのはうちの両親よ、と説明するモニカ。
それを聞いたチャンドラーは「俺がここに引っ越して来て以来、君の両親はこの場所を見てないから、そりゃあいいや」みたいに言っています。
「そうよねぇ〜!」と嬉しそうに同調するかと思いきや、モニカは「私たちが同居してることをあなたが言わないでいてくれるとありがたい」みたいに超早口で言った後、慌てて話題を変えています。
「そうしてもらえると助かる」みたいに言うものの、あまりその理由は詮索しないで、聞かないで、みたいな感じがありありと感じられますね。

mention は「…に言及する、話に出す、…に触れる」という感覚。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
mention : to talk about something or someone in a conversation, piece of writing etc., especially without saying very much or giving details
つまり、「会話や文書の中で、何かや誰かについて話すこと、特に、多くのことを言ったり、詳細を話したりすることなしに」。

語義説明にあるように、「多くのことや詳細を語ることをしないで」というのがポイントだと言えるでしょう。
まさに日本語の「…のことに触れておく」という程度の軽い感覚だと言うことですね。

「言わないでくれるとありがたい」というのは「お願いだから、同居してることは両親には黙ってて」と言われたのと同じなので、チャンドラーはショックを受けています。
どうして言えないの? 言っちゃだめなの? と問うチャンドラーに「だって、私たちがデートしてる、付き合ってるってことを両親は知らないから」と理由を説明するモニカ。
ト書きにもあるように、またもや素早く話題を変えていることから、とにかくモニカはその話題をさっさと切り上げたい、あれやこれやとチャンドラーに突っ込まれたくないと思っていることがよくわかりますね。
この後も、モニカがチャンドラーの質問をはぐらかし続けるのですが、最終的にモニカに "they don't like you" 「うちの両親は、あなたが好きじゃない」と言われ、衝撃を受けることになります。
最終的にその事実をチャンドラーに告げるまでの間に、モニカが話題を変えることで、その話から逃げよう逃げようとしている様子を英語のセリフから感じることができれば、いい感じかな、と思います。


ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ

posted by Rach at 16:07| Comment(4) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
待ってましたー (&ご無沙汰しております)

このエピソードは私のベスト5に入るくらいの回なのです。
(1位はやはりリベラーチェの House of Crapかな?)
特に後半の怒涛のように押し寄せるギャグの嵐はすばらしー。

最近はスピードアップして脱線する?ことがあまりなくなった
Rachさんのようですが(失礼!)私的にはどんどんやって欲しい感じです。

なかなかコメントすることとができないでいますが、毎日一回ずつ
ポチっとすることは続けてますので安心してください。
両方のランキングで1位を是非取りたいですね。
突然ですみませんでした。

P.S
そういえば、24(TwentyFour)を見始めているというRachさんの話がありましたが、どこまで進みましたでしょうか? 
自分は全シーズン制覇しましたが、最後は大変なことに!
ネタばれはできないですが、、、
これからはフレンズとスパイ大作戦だけに絞って頑張ります。 
Posted by チャン虎ー at 2011年12月05日 22:54
チャン虎ーさんへ
ご無沙汰しております。コメントありがとうございます。

今回のエピソード、面白いですよね。何しろ、しょっぱなから、いきなりの「シドニー・ポワチエ」返し、ですからね(笑)。この映画の原題を知っている人なら、モニカのセリフがそのタイトルに似ていることにすぐに気づくでしょうから、予想通りのチャンドラーらしいジョーク、というところなのでしょう。
リベラーチェのエピソードも懐かしいです。今回のポワチエもそうですが、固有名詞のジョークの背景がわかると、ものすごく楽しいですよね。何だか、英語圏の人と文化を共有できたような一体感が感じられると言いますか。

お気づきの通り、確かに最近はあまり脱線しなくなりましたねぇ。何かのはずみで昔の記事を読むと、あまりの無軌道ぶりに我ながら唖然とすることもあるのですが(笑)、読者の方の迷惑や邪魔にならない程度に、時たま脱線もしてみたいな、と密かには思っております。

それから、ランキングを毎日一回ずつポチっとして下さっている、というお話、誠にありがとうございます。とても嬉しいです! 読者の方に楽しんでいただけているかどうかを知る指標はいろいろあるのかもしれませんが、私的にはランキングのポイント数の日々の動きが、読者の方の反応を一番よく示してくれているように思っていて、それを大いに参考にし、また励みにさせていただいています。本当にいつもありがとうございます。

「24 (TWENTY FOUR)」は、シーズン3を見終わったところで止まっています…というか、止めています。次のシーズンも見たいのですが、他にもいろいろと(上の記事でも取り上げた The West Wing など)見たいものがたくさんあって、自分の中である程度の優先順位をつけながら、複数の作品を見ている状態です。
「24」は、いったん新しいシーズンの第1話でも見てしまうと、次が気になってしょうがなくて、一気に見てしまいたい衝動に駆られるので、あえて今はシーズンが終わったところで「止めている」わけです。私も全シーズン制覇したいと思っています。お互い頑張りましょう!
これからもよろしくお願いいたします。
Posted by Rach at 2011年12月07日 15:59
偶然その映画を見たことあるのをこの記事を見て思い出しましたw

なるほどこのジョークはそこから来ているのかw

いやはやこれらのジョーク全部理解するのって一つの学問を学ぶのと同じくらい難しいw
Posted by fred at 2012年02月23日 17:05
fredさんへ
コメントありがとうございます。
「招かれざる客」を見たことがおありであれば、このセリフの出典がそれだとわかると、余計に面白く感じられますよね。

こういうサブカルネタは、ノンネイティブが理解するのは難しい部分も多いですが、今はネット検索のおかげで、以前よりずっとヒントを見つけやすくなっている気がしますよね。
Posted by Rach at 2012年02月24日 16:57
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。