2011年12月21日

主語複数形+目的語単数形の配分単数

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非公開コメントにて、文法に関するご質問を頂戴しました。
最初はどこかのコメント欄にてお返事しようと、自分なりの見解をまとめていたのですが、また(いつものように…笑)説明が長くなってしまったことと、文法的に興味深い話題だと思ったので、今日はそれを一つの記事として、投稿させていただきます。

なお、以下に書く内容は、正直、私も「確信」はありませんので、あくまで一つの意見としてお聞きいただけると幸いです。

まず、ご質問について。

1. They have a house.
2. They have their own house.
3. They have their houses.

they とは 友達3人で、別々に暮らしていて それぞれ家を一つ持っている。
という意味だと、1と2が正解ということでしょうか?
主語が複数形だと、そのあとに続く名詞を 単数にするべきか、複数形にするべきか いつも悩んでいます。


…というご質問でした。

以下に、私の見解を述べさせていただきます。

「別々に暮らしている3人の友達が、それぞれ家を一つ持っている」ということだと、
2. They have their own house.
が一番適切かなと思います。

1. They have a house.
でも、そのような意味に取れるとは思うのですが、複数の人間が1つの家を持っている、複数の人間で1つの家を共有している、つまり、They share a house. のように聞こえる可能性もあると思うのですね。
They have a house. という文の場合だと、前後の文脈がなければ、複数の意味に取れてしまう可能性があるということです。

主語が複数形の場合、目的語を単数形にするのか、複数形にするのか、でお悩みとのことですが、そのお悩みは大変よくわかります。
主語の複数の人を図に書いて、それぞれが家を持っていると絵にすると、家も複数個、書くことになるわけですから、そのイメージからすると、目的語も複数形の houses になるのでは?と思われるのも無理のない話だと思います。

このような「主語が複数形」の場合については、私が持っている文法書の
数研出版 「基礎と完成 新英文法」 (安藤貞雄 著)
基礎と完成 新英文法
に説明が載っていました。
この本でわかりやすくまとめて下さっているので、以下に引用させていただきます。
(ちなみにこの本は、典型的な「受験英語参考書」なのですが、私は学生時代からこの参考書が好きで、32歳で英語のやり直し学習を始めた時に、また新たに買い直した、という本です。)

p.496
第32章 呼応
400. 主語と目的語との呼応

次のような場合は、各人がそれぞれ1つずつ所有しているものなので、普通、単数を用いる (”配分単数”)
We have a nose. 「我々には鼻がある。」
The girls were nodding their head [heads]. 「少女たちは、うなずいていた。」 [単数の方が普通]


(引用終わり)

上の説明にあるように「配分単数」という言葉で説明される文法概念があるようです。

研究社 新英和中辞典の distributive の項目にも、

distributive 【形】【A】 〔文法〕 配分的な
the distributive singular 配分単数 《複数の観念を個別的に配分してさす単数形; たとえば We have a nose. における a nose》


のように「配分単数」という言葉が出てきます。
ここでの例文も、We have a nose. になっていて、これが「配分単数」を説明するのに最も適切な例だと言うことなのでしょうね。

ちなみに、形容詞の下の「名詞」の語義では、
【名】【C】 〔文法〕 配分詞、個別的[配分]代名詞[形容詞] 《each, every など》
と説明されています。
「配分」のニュアンスは、each や every のような感覚、だと理解するとわかりやすいですね。

そういう「配分単数」の場合は、「各人がそれぞれ1つずつ所有しているものなので」という部分がポイントになってくるかと思います。
上の例で言うと、「1人の人には、鼻は1つ、頭は1つ」という基本認識があるので、主語が複数形であったとしても、主語の複数の「それぞれの人には」鼻が1つある、「それぞれの人が」自分の1つの頭を縦に振る、というイメージが得られる、ということなのでしょう。
こういう文章の場合は、They = Each of them だと理解される、ということですね。

そのように、鼻や頭のように「各人に1つ」であることが前提となっているもの以外では、このような「配分単数」の原理は働かないようにも思います。
例えば、ご質問の a house であれば、一人の人が複数の家を持つことも可能だし、複数の人で一軒の家を持つことも可能なので、「各人がそれぞれ1つずつ所有しているもの」という前提が成り立たない、という気がするのです。
ですから、They have a house. だと、必ずしも「一人につき一軒」という前提がないために、They share a house. という意味に理解される恐れもあるだろう、と思うのです。

意味を明確にするためには、2. They have their own house. のように、目的語に own をつける、あるいは、主語を They ではなく、「彼らのそれぞれ」であることをはっきりさせるために、Each of them と表現すると、別の意味に取られる心配がなくなるように思います。

3. They have their houses. という文章も、意味がいろいろ取れそうな気がしますが、この形だと、「複数の人間が、それぞれ複数の家を持っている」と理解される可能性が高い気がします。

ということで、長くなりましたが、私の結論としては、「別々に暮らしている友達3人が、それぞれ家を1つ持っている」という英文だと、
They have their own house.
または、
Each of them has a house.
にするのが適切かな、と思います。
They have a house. だと、そういう意味にも取れるけれど、They share a house. だと思われる可能性もある、というのが私の意見です。

私は、ドラマや映画のDVDを見る時に、セリフをPC上にメモして、それをデータベースとして英語学習に使っているのですが、自分でざっと調べた限り、今回のご質問の答えとして使えるような、理想的な例を発見することができませんでした。
また、English Grammar in Use (Cambridge) のような英語で書かれた文法書も調べてみたのですが、the distributive singular (配分単数)の項目を(私が見た限りは)見つけることができませんでした。
ですから、説明の根拠となる情報が少ないので、最初に述べたように、正直あまり確信はありません。

また、皆様からのご意見もお待ちしております。


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posted by Rach at 16:22| Comment(10) | 英文法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
内容じゃないんですけど、挙げられている
「数研出版 「基礎と完成 新英文法」 (安藤貞雄 著)」
に飛びつきました。
フォレストを買おうかと思ってたんですけど、今日こちらを拝見したところ、
数研出版で英語の参考書?と、ちょっと驚きました。
多分偏見なのでしょうけど。数学のしか見たことなかったもので。
出版年も1987年とかーーーなり年季が入ってますよね。
しかし、アマゾンのレビューを見ると、評価は高いです。

おススメですか?

全く関係ないところに触れて、すみません。

Posted by しゅなたん at 2011年12月22日 08:59
しゅなたんさんへ
コメントありがとうございます。

記事内で名前を挙げさせていただいた
「数研出版 「基礎と完成 新英文法」 (安藤貞雄 著)」
に興味を持っていただけたようで嬉しいです。

確かに「数研出版」から英語の参考書?という意外性みたいなものはありますが、私はこの本は非常に良い参考書だと思っています。
ただ上にも書いたように、デザインや構成、中身が「いかにも受験参考書」という感じなので、学生時代から文法が苦手、とか、文法用語を見るとうんざりする、というような方にはあまり向かない本かなぁ、と思います。

何しろ私が高校生の時代から存在した本ですから、それはもうかなりの年季が入っているわけですが(笑)、今、こうしてドラマの生きたセリフを解釈するための参考書として使っていても、そういう「古さ」みたいなものはあまり感じません。

文法の説明も、形と形式的な訳にとどまるのではなく、それを使うことによって生まれる「深いニュアンス」の詳しい説明も載っています。セリフのような口語英語についての文法事項も掲載されていて、このブログでセリフの解釈をするにあたり、私はこの本に何度も助けてもらいました。

ということで、本としては非常に良い本で私のオススメだと断言できるのですが、文法が嫌い、苦手という人にはなじみにくい本だと思います。

私はフォレストは持っていないので、フォレストに関しては何も言えないのですが、まずは最初に、基本的な文法事項を網羅してあり、もう少し平易な本に取り組まれた後で、さらに文法分野を掘り下げたい、という場合には、この安藤先生の本は、非常に有効だと思います。文法を一から勉強するための本、というよりは、わからないことが出てきた場合に調べるための本、という感じで私も使っています。

この安藤先生の本は、アマゾンのレビューも非常に高いですね。レビューの内容にも納得です。1987年に出版された本だけれど、絶版になって欲しくない、まさに私もそういう気持ちです。

もしこの本のご購入を考えられるのであれば、まずは本屋さんなどで中身を手に取ってご覧になった上で判断されるのがベストかな、と思います。最近の英語参考書は、「優しく、読みやすく、簡単にまとめられた」本が多いように思いますが、この本はそういうものとはかなりイメージが異なる、「結構いかつい本」であることを意識した上で、検討していただけたらと思います。
Posted by Rach at 2011年12月23日 09:20
Rachさん、コメントありがとうございます!

なるほど、受験参考書ちっくなんですね。
そーゆーの、そんなに嫌いじゃないです。

今度本屋さんに行って手にとって見てみます。
あぁ、土日に行けばよかった。。。
古さも感じられないとのこと。
1987年出版で、改訂もされてなさそうな感じですので、
書き換えの必要もないくらい良く出来た参考書なのかなぁと
思っています。

どうもありがとうございました!



Posted by しゅなたん at 2011年12月26日 08:37
しゅなたんさんへ
こちらこそ、ご丁寧なお返事ありがとうございます。

受験参考書ちっくなものや文法用語がお嫌いではないのなら、中身の濃さを堪能していただける気がします。
本の奥付を見てみると、毎年のように増刷されているようですが、確かに 1987年(昭和62年)に改訂版が発行されて以来、改訂はされていないようですね。

私自身はこのブログを書く際に、「文法で悩んだら、まずとりあえずこれを見る」という感じでやってきましたが、特に不自由を感じることなく、他の文法書を買い求める必要も感じませんでしたので、やはり「良く出来た参考書」だと言えると思っています。
ただ、本でも教材でも「相性」というのが大切だと思うので、手にとって実際に見ていただければと思います。
Posted by Rach at 2011年12月27日 10:37
They have their own house. の場合たとえば3人が共同で1つの家を借りているのではなくて所有しているという意味の可能性があるのではないでしょうか。
Each of them have a house. は各人が1軒ずつ所有していることが明確ですが。
Posted by teruchan at 2012年09月04日 23:04
teruchanさんへ
コメントありがとうございます。

私も改めて考えてみたのですが、They have their own house. と言った場合、「各人が1軒ずつ」ではなく、「(例えば)3人が自分たちの(共同の)家を所有している」という意味にも解釈できそうな気がします。そういう意味では、この文章も、いろんな意味に取れてしまう文なのかもしれません。

そうなると、「各人が1軒ずつ」と明確に言いたい場合は、主語を Each of them にするのが、一番確実なのでしょうね。日本語でも、いろんな意味に取れる曖昧な言葉や文が存在しますが、「この文章は正しいか?」とか、「この文章はこの意味になるか?」という視点ではなく、「こういうことを言いたい場合は、どの英文が一番誤解なく伝えられるか?」という視点が大切なのだと思いました。

ご意見ありがとうございました。
Posted by Rach at 2012年09月05日 17:30
We are working as a teacher.のaも同じように考えればいいのですか
Posted by ジュンジュン at 2013年02月11日 14:16
ジュンジュンさんへ
コメントありがとうございます。
as a teacher の文の a も、上の記事内の We have a nose. などと同じ感覚だと思います。我々のそれぞれが、一人の先生として…ということですよね。
Posted by Rach at 2013年02月12日 15:46
Each of them has a house.
ではないでしょうか。
Posted by Tomato at 2013年05月09日 11:17
Tomatoさんへ
コメントありがとうございます。
ご指摘の通り、each (of them) は単数扱いですから、動詞は、have ではなくて、has になるはずですよね。
上の記事を、謹んで訂正させていただきます。

貴重なご指摘ありがとうございました。
Posted by Rach at 2013年05月10日 15:50
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