2012年01月19日

財布の紐をゆるめる フレンズ6-11その3

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レイチェルは、家具・インテリアショップの「ポタリー・バーン」で「薬剤師(薬屋)のテーブル」(an apothecary table)を購入するのですが、同居しているフィービーがそういう「大量生産の家具」が嫌いだと知り、フリーマーケットで買ったと嘘をつきます。
ところが、ロスの部屋に行ってみると、ロスが全く同じ薬剤師のテーブルを買っていたので、レイチェルは大慌て。
フィービーに見つからないように、ロスがポタリー・バーンで買ったシーツを上にかぶせてテーブルを隠します。
その後、フィービーがやって来て…
レイチェル: Ooh, Phoebe's here! Okay, let's turn out all the lights and we'll just watch the movie! (あー、フィービーが来たわ! オッケー、明かりを全部消して、映画を観ましょう!)
フィービー: Okay. Hey. Ooh, cool sheet! (Notices the sheet over the table.) (いいわ。まぁ、素敵なシーツね! [テーブルの上に掛けてあるシーツに気付く])
ロス: Oh, you like it? You wanna know where I got it? (おぉ、気に入った? それをどこで買ったか(手に入れたか)知りたい?)
フィービー: Sure! (もちろん!)
レイチェル: He got it at a flea market! (ロスはそれをフリー・マーケットで買ったのよ!)
フィービー: You bought your sheets at a flea market? Ross, come on, you gotta loosen the purse strings a little. (ロスは自分のシーツを、フリーマーケットで買ったの? ロス、ちょっと、あなたは財布の紐をもう少し緩(ゆる)めないといけないわね。)

ポタリー・バーンで、レイチェルもロスも購入した、an apothecary table 「薬剤師のテーブル」。
ここで、apothecary という単語について解説しておきます。
このエピソードの最初の方のシーンで、このテーブルについて語るセリフがありました。
レイチェル: Monica, look. Look, look, look. Here is that table that I ordered. (Shows her the picture.) (モニカ、見て。見て見て見て。これが私が注文したテーブルよ。[モニカに(ポタリー・バーンのカタログの)写真を見せる])
モニカ: You got it from Pottery Barn? (それをポタリー・バーンで手に入れたの?[買ったの?])
レイチェル: Yeah! It's an apothecary table. Does anyone even know what an apothecary is? (そうよ! apothecary table なの。an apothecary って何かを、知っている人はいる?)
チャンドラー: A pharmacist. (薬剤師。)
レイチェル: "A pharmacist." (Rachel mocks him.) (「薬剤師。」 [レイチェルはチャンドラーの真似をする])

レイチェルが、an apothecary table を買ったのよー!と得意げに言っておきながら、「で、apothecary って何? 誰かその意味を知ってる人、いる?」みたいに尋ねたので、チャンドラーは「そんなことも知らずに買ったのかよ、「薬剤師」のことだよ」と説明してあげたのですが、そのチャンドラーの言い方にどことなく「バカにされたような」印象を受けたのでしょうね。
レイチェルは、チャンドラーのセリフを、いやそうな顔で、大袈裟に真似ています。
「そんなことも知らずに買って、悪うございましたね」みたいな気持ちなのでしょう。

レイチェルも知らなかったように、apothecary という言葉はそれほどメジャーな単語ではないようで、現在で言うところの、pharmacist 「薬剤師」なのですね。

研究社 新英和中辞典では、
apothecary 【名】【C】 《米・英古》 薬屋 《人》(注:もと英国では医療も行なった)
語源:ギリシャ語「貯蔵庫」の意

と出ています。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
apothecary [noun] [countable] : someone who mixed and sold medicines in past times
つまり、「昔、薬を調合し、売っていた人」。

ポタリー・バーン嫌いのフィービーに見つからないように、シーツでテーブルを隠した後、フィービーがやってきます。
電気を消して、映画を観ましょう!と言うレイチェルですが、フィービーはテーブルの上のシーツに気付きます。
ちなみに、日本語では「シーツ」と言いますが、英語の場合は、今回のようにテーブルの上に掛けた1枚ものを指す場合には、単数形の sheet になっていることにも注意しましょう。

ロスが得意げに、「それ好き?(気に入った?) どこで買ったか知りたい?」と言うので、話題がポタリー・バーンに移ることを恐れたレイチェルは、「ロスはそのシーツをフリーマーケットで買ったのよ!」と横入りして答えます。

フリーマーケットは、もう「フリマ」と訳されているくらいで、すっかり日本語になっていますが、日本語で言うと、「のみの市」ですね。
flea はいわゆるピョンピョン飛ぶ小さなあの「ノミ」です。

LAAD では、
flea market [noun, countable] : a market, usually in the street, where old or used goods are sold
つまり、「たいていは通りでのマーケット(市場)、そこでは古い物や中古品が売られている」。

レイチェルが「ロスはそのシーツをフリマで手に入れた」と言ったので、フィービーは、You bought your sheets at a flea market? と驚いています。
注目すべきは、ロスやレイチェルが got、つまり、get 「入手する、手に入れる、ゲットする」の過去形を使っているのに対して、フィービーは、bought、つまり、buy 「(お金を出して)買う」の過去形を使っている点です。
何かを買った、と言う場合、「手に入れた」ということを言いたいだけであれば、got を使うことが一般的には多いように思います。
buy/bought だと「”お金を出して、払って”(もの)を買う、購入する」というイメージが強いため、「お金を出して」というところをさほど強調する必要がない場合には、get/got の方が望ましいということでしょう。

ここでフィービーがわざわざ、got ではなく、bought と言っているのは、「ロスは自分のシーツをフリーマーケットで”買った”わけ?」と、「お金を払って購入した」ことに焦点が置かれていることになります。
そのフィービーのセリフからは、「身体に接するような、衛生用品とも言えるシーツを、「古いものや中古品を売っている」フリマであなたは買ったわけ?」というニュアンスが感じられます。
それって、不潔じゃないの、不衛生じゃないの?と言いたいわけでしょう。

その後のセリフ、You gotta loosen the purse strings a little. という表現が、なかなか興味深いです。
直訳すると、「あなたは財布の紐を少し緩(ゆる)めなければいけない」ということになりますが、それは、「財布の紐を緩める」という日本語の表現と全く同じですね。
紐を緩めると、中からお金が出やすくなるわけですから、「そんなにケチケチしないで、もっと大らかにお金を使うべきなんじゃない?」と言っていることになるでしょう。

以下、少々、日本語の慣用表現の話に脱線します。

ちなみに、広辞苑で「財布」の項目を調べると、財布を使った慣用句が6種類載っています。
「財布の口を締める」「財布の尻を押える」「財布の底をはたく」「財布の紐が長い」「財布の紐を頸に懸けるよりは心に掛けよ」「財布の紐をにぎる」

結構、「財布の紐」という言葉が使われている中で、「財布の紐を緩める」は広辞苑には載っていないんですねぇ…何だか、意外なのですが…。

三省堂の新明解国語辞典では、財布の項目の用例として、「財布のひもが堅い」が載っており、以下、慣用句としては、「財布の口を締める」「財布の底をはたく」「財布の紐(ひも)を握る」「財布の紐(ひも)を緩める」が出ています。
意味は、
財布の紐を緩める=むだな金を使う

これらの財布にまつわる日本語表現を見ていて面白いなと思うのは、「財布の紐を緩める」の反対語は、「財布の口を締める」だと言うこと。
意味は、
(広辞苑) むだ金を使わないように気をつける。
(新明解) むだ遣いしないようにする。


「しめる」と「ゆるめる」なんだから、どっちも「紐」にするか、どっちも「口」にするかで統一すればいいものを(笑)、「緩める方は紐」で、「締める方は口」なんですね。
口を締めるの「口」は、いわゆる「がま口(がまぐち)」財布のイメージなのでしょう。
…では、「紐」は?

Wikipedia 日本語版: 財布 の中で、「紐」に関係しそうな部分を見てみると…。

欧米では17世紀に紙幣が登場するのと時を合わせて登場した。それ以前は紐付きの小さな袋が硬貨をいれて財布として使われていた。

日本では江戸時代に、藩紙が使われるようになって広まり、懐紙入れの技術を応用して作られた。紙幣が流通する以前は、中央に穴があけられた硬貨が使われており、穴に紐を通して持ち運ばれていた。


ウィキペディアの記述を参考にすると、欧米の昔の財布は、「紐付きの小さな袋」、つまり、巾着袋みたいなものだったので、紐とはその巾着袋の口の紐を指すようです。
日本の場合は、「穴に紐を通して」、つまり、上の記述は銭形平次みたいなイメージを彷彿とさせますね。

ただ、そういう銭形平次みたいなお金の穴に通した紐のイメージだとすると、「財布の紐」と言うよりは、「金(かね)の紐、銭の紐」って感じですよね。
私はあまり時代劇には詳しくないのですが、日本の時代劇で懐(ふところ)から出した財布って、折り畳んだ後、紐みたいなものでクルクル巻いていたような気がするのですが…。
もしそういう形状だったとすると、「財布の紐」は「布製の財布をくるくる巻く紐」ってことでいいのかなぁ??

もはや英語の話ではなくなっていますが、とにかく日英どちらも、財布の紐、the purse strings のように、同じ表現が使われているところが、私的には「すごく面白い」と思ったわけです。

the purse srtings というフレーズは、ちゃんと LAAD にも載っています。
hold/control the purse strings : to control the money in a family, company etc.
tighten/loosen the purse strings : to allow more or less of a family's, company's etc. money to be spent

つまり、hold/control the purse strings は、「家庭、または会社の金をコントロールすること」。
tighten/loosen the purse strings は、「家庭、または会社の金を、多かれ少なかれ使うことを許すこと」。

ということで、まさに日本語に直訳した通りの意味で、「フリマでシーツを買うなんて。あなた、そこまでケチケチしないで、もっと財布の紐を緩めないとだめよ」とフィービーは忠告していることになるわけです。
本当はポタリー・バーンで買った新品なのに、フリマの中古品のように言われてムッとしているロスには同情しちゃいますね。


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posted by Rach at 14:02| Comment(0) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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