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シーズン6 第13話
The One With Rachel's Sister (妹はライバル)
原題は「レイチェルの妹の話」
チャンドラーとモニカの部屋。モニカ以外の5人がいるところに、モニカが帰ってきます。
チャンドラー: Hey, what are you doing here? Shouldn't you be at work? (ちょっと、ここで何してるんだよ? 仕事のはずじゃなかったのか?)
モニカ: (congested) Ugh, they sent me home. They said I can't work if I'm sick. ([鼻づまりで] あー、家に帰されたのよ。病気なら、仕事しちゃだめだ、って言うの。)
みんな: Ohh! (おぉ。)
チャンドラー: So sorry you're sick. (君が病気だなんて、かわいそうに。)
モニカ: I'm not sick!! I don't get sick! Getting sick is for weaklings and for pansies! (私は病気じゃないわ! 私は病気にならないの[かからないの]! 病気にかかる、っていう行為は、弱い人か、女々しい男向けのものよ。)
レイチェル: Honey, no one thinks you're a pansy, but we do think that you need a tissue. (She notices something hanging from Monica's nose, as does Joey.) (ハニー、あなたが女々しい男だなんて誰も思ってないわよ。でも、あなたにはティッシュが必要だってことは私たちみんな(強く)思ってるけどね。 [レイチェルは、モニカの鼻から垂れているものに注目する、ジョーイも同様にそれを見る])
仕事場で働いているはずのモニカが帰ってきたので、チャンドラーは驚いて、What are you doing here? と言っています。
これは日本語の「こんなとこで何やってんの?」と同じような感覚で、今何をしているかを問う「質問」ではなく、「どうしてここにいるはずのない君が帰ってきてるの?」という「驚き」のセリフになります。
Shouldn't you be at work? は、You should be at work. 「君は仕事中のはずだ」を否定疑問文にした形で、「君は仕事中のはずじゃなかったのか?」という意味。
モニカは帰ってきた理由を説明していますが、ものすごい鼻声でしゃべっています。
ト書きの、congested について。
動詞 congest は「(車などが)(道路などを)渋滞させる・混雑させる」という意味で、他に「…をうっ血させる、充血させる」という意味もあります。
それらを過去分詞 congested にすると、「混雑している」「充血している」という形容詞として使われるわけですが、今回のト書きの意味は、シーンを見て明らかなように「鼻づまり状態で」という意味になります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
congested [adjective] :
2. a congested nose, chest etc. is filled with thick liquid that does not flow easily, especially because you have a cold.
congestion [noun, uncountable]
nasal congestion
つまり、「congested nose や、congested chest などは、流れにくい濃い(粘度の高い?)液体で満たされている、特に風邪を引いている場合に」。
名詞形の congestion の例に出ている、nasal congestion は「鼻づまり」の意味ですね。
「鼻が詰まっています」と言いたい場合は、My nose is stuffy. や、My nose is stuffed up. などと言うことが多いように思うのですが、congested にもそのような意味がある、ということです。
「病気なら働いちゃだめだと言われて、家に帰されちゃった」という内容をモニカは言っていますが、2つの文の主語がどちらも they になっているところが、英語っぽいなと思いました。
「(私は)家に帰された。(私は)(働くことはできない)と言われた」という日本語が頭に浮かぶと、受身(受動態)を使うのかな?という連想が働きそうですが、別にわざわざ受動態にする必要はなく、職場の人(モニカの場合は職場であるレストランの経営者?)が「モニカを家に送り返した、モニカを帰宅させた」という能動態で表現するのが自然だ、ということです。
誰がそう命じたかを詳しく説明する必要もないわけですから、they と言えば聞いている方は、主語は職場の関係者だなとわかるので、それで十分というところでしょう。
「私が病気なら」と言ったモニカの言葉を受けて、みんなは同情するような声で、Ohh! と言い、チャンドラーは彼氏らしく、So sorry you're sick. と言っています。
ソーリーと言ってももちろん謝っているわけではなく、「かわいそうに、同情するよ」「遺憾に思うよ」みたいなニュアンス。
そうやって優しく声をかけてくれたにもかかわらず、モニカは「私は病気じゃない!」と叫んでいます。
I'm not sick!! I don't get sick! という連続した2文が、モニカらしい主張ですね。
「私は(今)病気の状態じゃない! (それに)私は病気にはかからないの!」みたいな感覚になります。
これまで何度も説明したように、don't get という「現在形」は、「習慣・習性」を表すもの。
「私は病気にかかるようなことはない」「私は病気にかからない人間なの」みたいにモニカは主張していることになります。
「病気にかからない人間」ってのは言い過ぎだろう…とツッコミを入れたくなるところですが、その後で自分でも言っているように、「病気は弱い人がかかるものだ」という先入観があるようで、負けず嫌いのモニカは、病気にすら負けたくないようです。
Getting sick is for weaklings and for pansies! を直訳すると、「病気にかかること、というのは、weaklings や pansies のためのものである」みたいになるでしょうか?
病気にかかるという行為は、そういう人たち向けのものであって、私のような強い人間には、getting sick ということそのものがあり得ないのよ!みたいに言いたいのでしょう。
weakling は「虚弱者、弱虫」。
-ling という接尾辞は、「…に関係する人」という感覚。
ですから、weakling は「弱い人」という感じですね。
「虚弱な人」が病気がちなのはやむを得ないことですが、モニカはそういう「虚弱体質」だけではなく、もっと広い意味の「弱い人」というニュアンスで使っているように思います。
ちなみに、-ling という接尾辞が使われている単語で、私がいつも思い出すのは、earthling という単語。
意味は「(宇宙人に対して)地球人」。
映画「インデペンデンス・デイ」で、デイヴィッド(ジェフ・ゴールドブラム)と、ヒラー大尉(ウィル・スミス)が、エイリアンの母船に潜入した後、自分たちの顔をエイリアンたちに見せる時に言っていたセリフが、
Look at us. Take a look at the earthlings. 「俺たちを見ろ。地球人を見ろ」
でした。
LAAD では、
earthling [noun, countable] : a word used by creatures from other worlds in science fiction stories, to talk about a human
つまり、「SF で、人間について語るために、別世界からの生物によって使われる単語」。
エイリアンが人間のことを「地球人」と呼ぶ場合の英単語が earthling だということで、説明にあるように、SF で使われる単語なわけです。
その次の pansy という単語について。
pansy は「パンジー、サンシキスミレ」というお花の名前ですが、俗語としては、「女々しい男」「同性愛の男」という意味があります(軽蔑的ニュアンスがあるので、注意が必要です)。
アカデミックな辞書である LAAD には(やはり)、お花の意味しか載っていませんでしたが、マクミランにはその俗語の意味も出ています。
Macmillan Dictionary では、
pansy [noun, countable] :
2. (informal) an insulting word for a man who is weak or easily afraid
a. (offensive) an offensive word for a gay man
つまり、「(インフォーマル) 弱い、または怖がりの男性に対する侮辱的な言葉」「(侮辱的表現) ゲイの男性に対する侮辱語」。
上のモニカのセリフは、ゲイのことを言っているわけではなく、マクミランで言うところの a man who is weak or easily afraid のような人物をイメージしての発言だと思います。
とにかくモニカの考えでは、「病気は弱い人がかかるもの」という意識が強く、「弱い人」をイメージする単語を2種類挙げてみた、ということでしょう。
「私は弱くないから病気にかからないの!」と力説するモニカをなだめるように、レイチェルは、「あなたが pansy だなんて誰も思ってない」と言っています。
このレイチェルのセリフは、no one thinks..., but we do think that... という「対比」がポイントですね。
do think の do は、think を強調しています。
「A だとは誰も思ってないけど、B だとはみんなが(強く)思ってるわ」みたいな感覚です。
「私は弱い人間じゃない」って主張するのはともかく、まずは鼻水を拭いたら?と言っているわけです。
そんなことを指摘されるほど、モニカが風邪を引いているのは明らかなのに、自分は病気じゃないと必死に主張しているのが、モニカらしい、というところでしょうね。
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