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セントラル・パーク。フィービーが自分のギターを片づけていると、ある男性が近づいてきます。
男性: Are you Phoebe Buffay? (あなたは、フィービー・ブッフェさんですか?)
フィービー: Yeah. (ええ。)
男性: Can-can I get your autograph? I'm your biggest fan. (Holds out a napkin and a pen.) (あなたのサインをもらえますか? 僕、あなたの大大大ファンなんです。 [ナプキンとペンを差し出す])
フィービー: Oh, you're my biggest fan? I've always wanted to meet you! Hi! (Shakes his hand.) Sure! Yeah! (Signs the autograph) (まぁ、あなたは私の大ファンなの? いつもあなたに会いたいと思ってたわ! はーい! [彼と握手する] もちろん! いいわ! [サインを書く])
ファンの男性: Wow! Wow, thanks a lot! I just wanna say I think you're really talented. (わぉ、わぉ! ほんとにありがとう! これだけは言わせて、君はほんとに才能があると僕は思ってるんだ。)
フィービー: You're just saying that because you're my biggest fan. (The fan leaves and Joey approaches.) (To Joey) Joey, listen, take good care of that guy, okay? (Points) He's a fan. (To the fan as she's leaving) Bye! (Exits) (あなたは私の大ファンだから、そう言ってるだけだわ。[そのファンは去り、(ウェイターをしている)ジョーイが近づいてくる] [ジョーイに] ジョーイ、聞いて、今の男性によくしてあげて[良いサービスをしてあげて]ね、いい? [指差して] 彼はファンなのよ。[フィービーが立ち去る時にそのファンに向かって] じゃあね! [フィービーは出て行く])
ジョーイ: (to the fan) So, you saw me on Days Of Our Lives, huh? Want me to, want me to do a little Dr. Drake Remoray for ya? ([そのファンに向かって] それじゃあ、君は「デイズ・オブ・アワ・ライブズ」に出ている俺を見たんだな? 君のために、ちょっぴり、ドクター・ドレイク・ラモレーをやって欲しい?)
ファンの男性: I have no idea what you're talking about. But I, but I just got Phoebe Buffay's autograph! (君が何を言ってるのかわからないけど。でも、僕は、さっきフィービー・ブッフェのサインをもらったんだ!)
ジョーイ: Oh. You're Phoebe's fan! (あぁ、君はフィービーのファンなのか!)
フィービーのそばに近づいてきた男性は、「サインをもらえますか? 僕はあなたの大ファンなんです」と言います。
このように、「ファンなので、サインを下さい」の場合のサインは、autograph という単語を使いますね。
荷物の受け取りや、書類の署名の場合のサインは、名詞では signature 、動詞では、sign になります。
フレンズ2-18その9 では、配達された台本の受け取りのサインをしなければならない時に、
配達係: Could you sign? (受け取りのサインをして下さい。)
ジョーイ: No! No way! I'm not signing that! (いやだ! 絶対にいやだ! そんなのにサインしないぞ!)
というやり取りもありました。
「私はあなたの大ファンです」と言う場合は、通常、I'm a big fan of yours. のように、a big fan of+独立所有格、の形(a friend of mine と同じような形)で表現されることが一般的だと思うのですが、I'm your biggest fan. みたいな表現も「アリ」なんですねぇ。
英英辞典の用例を見てみると、
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
He's a big fan of Elvis Presley. 「彼はエルヴィス・プレスリーの大ファンだ」
Macmillan Dictionary では、
I'm big fan of Madonna. 「私はマドンナの大ファンだ」
という例文が出ていて、やはり、「私は〜の大ファンだ」という場合は、a big fan of の形を使うのが一般的、という印象を受けます。
(ちなみに、 a big fan of yours の流れで言うと、固有名詞の場合でも、a big fan of Elvis Presley's のような形にするのが文法的には正しいことになるでしょうが、特に固有名詞の場合は、わざわざ -'s までつけなくても問題ない、ということでしょう。)
そもそも、a big fan of yours の形になっているのは、a という不定冠詞と、your という所有格の併用が不可だから、ですね(例えば、a your fan のように、a と your を同時に前に付けることはできない、という意味)。
今回のセリフの場合は、a big fan of yours ではなく、最上級の the biggest fan of yours という意味で言っているために、the biggest fan of yours を、your biggest fan と表現することが可能だった、ということになるのかな、と思います。
過去のフレンズでも、"Joey's your best friend." のようなセリフがあったように、 所有格と最上級の組み合わせは「アリ」なので、biggest の場合だと、your biggest fan とシンプルに表現することが可能だったということでしょう。
biggest fan という最上級を使って、「あなたの最大のファン、あなたのファンの中でも一番のファン」みたいに言われたので、フィービーはゴキゲンです。
I've always wanted to meet you! と言って握手するのが面白いですね。
I've always wanted to... という現在完了形で、「いつもずっと…したかった、望んでいた」感が出ています。
「自分の最大のファン、っていう人にいつか会えるのをずっと楽しみにしてたのよ、やっと、私の最高のファンって人に会えて嬉しいっ!」みたいな感じですね。
I just wanna say I think you're really talented. を前から順番にイメージしていくと、「僕はただこう言いたいんだ、僕は思う、君はほんとうに才能がある、って」みたいな感じになるでしょう。
You're just saying that because... は、「…だから(…という理由で)あなたはただそう言ってるだけ」というニュアンス。
あなたは私のファンだから、そんな風に良いように思ってくれてるだけよ…という感じの謙遜ですが、フィービーの顔には、やはりそんな風に言ってもらえて嬉しい様子がありありと出ていますね。
take care of は「…の世話をする、面倒を見る」で、それをさらに「大切に、大事に、より良く」世話する感覚が、take good care of ですね。
ウェイターのジョーイが、お客さんを通常世話する以上に、もっと大事に、彼によくしてあげてね、という感じでしょう。
フィービーは、"He's a fan." 「彼はファンなの」と説明した後、店を出て行きます。
ジョーイはそのファンの男性に近づいて、「それじゃあ、君は、デイズ・オブ・アワ・ライブズに出ている俺を見たんだな?」と言った後、君のために、俺がちょこっと、ドクター・ラモレーをやる、演じるのを見たいかい?みたいに尋ねています。
その後、気まずい沈黙が流れ、彼は「君が言っていることがよくわからないけど、僕は今、フィービー・ブッフェのサインをもらったところなんだ!」と自慢します。
それを聞いてジョーイはやっと、a fan が、a fan of Joey ではなく、a fan of Phoebe であることに気付いたわけですね。
振り返ってみると、この男性がフィービーに声を掛けてきた時から、your/my biggest fan というフレーズが3回も繰り返されているのに、フィービーはジョーイに言う時にだけ、あっさり、He's a fan. と言っています。
ここでも同じように、He's my biggest fan. と説明していれば、ジョーイが「そうか、彼は俺のファンなのか」と誤解することもなかったわけですが、今回はわざとフィービーに、He's a fan. というセリフを(台本上)「言わせる」ことで、ジョーイが誤解するシーンを作り出すことができた、ということになるでしょう。
また、さすがのフィービーも、ジョーイに対して、He's my biggest fan. と自慢するのはもしかしたら恥ずかしくて、「彼、ファンなのよ」みたいにさらっと言ったという風に考えることも可能かな、とは思います。
フィービーとしては、a fan と言えば当然、a fan of mine だとわかってもらえると思って、of mine を省略したわけでしょう。
ですが、ドクター・ラモレーとしての過去の栄光(笑)をいつまでもひきずっているジョーイは、「彼によくしてあげてね、彼はファンだから」と言われれば、自分のファンだと思い込んでしまうのも無理のないことかもしれません。
そういう「ズレ」がフレンズらしくて面白いなと思いました。
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