2012年03月07日

バフィー恋する十字架のパロディータイトル フレンズ6-14その3

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ジョーイは、フィービーの大ファンだという男性と少し話をするのですが、その彼が、「フィービーは the porn star (ポルノ女優)だ」と言うのでびっくり。
そのことをガンターに話すと、ガンターもフィービーが出演した作品を見たことあるとのこと(笑)。
そんなやり取りがあった後、モニカとチャンドラーの部屋に、気まずい顔をしたジョーイとロスが入ってきます。
モニカ: Guys, what's going on? (二人とも、一体どうしたの?)
ジョーイ: (holds up the movie) Phoebe's a porn star! ([映画(のビデオ)を上に掲げて] フィービーはポルノ女優なんだ!)
みんな: What?!! (何だって?!)
レイチェル: What are you talking about? (何言ってるの?)
(They all run over to Joey and Ross, Chandler grabs the movie and reads the title.)
みんながジョーイとロスのところに走ってくる。チャンドラーはビデオをひっつかみ、タイトルを読む。
チャンドラー: "Phoebe Buffay in Buffay The Vampire Layer." (「フィービー・ブッフェのブッフェ〜恋する十字架〜 [or 吸血キラー 聖少女ブッフェ]」。)
レイチェル: Oh, my God! (まあ、なんてこと!)
モニカ: That's Phoebe! Where did you get that? (それはフィービーだわ! あなたたち、どこでそれを手に入れたの?)
ジョーイ: Well, down at the adult video place down on Bleecker. (えーっと、ブリーカー通りにあるアダルトビデオ店で。)
ロス: And-and I, and I saw Joey was about to go in, so I ran in ahead of him to-to surprise him and, and then I pretended that I didn't know he was in there. (They all kinda look at him.) (それで僕は、ジョーイがその店に入ろうとしているのを見たんだ。だから、彼より先に走って店に入ったんだよ、彼を驚かすためにね。それから、僕はジョーイがそこにいるのを知らないふりをしたんだよ。 [みんながロスを見る])

ジョーイとロスが持っていたのは、フィービーが出演しているというAVでした。
"Phoebe's a porn star!" と言いながら、そのジャケットをみんなに見せたので、フレンズたちは驚いて駆け寄ってきます。
チャンドラーが読み上げたその作品のタイトル、"Phoebe Buffay in Buffay The Vampire Layer" は、ある作品名をもじった題名になっています。
タイトルの元になった作品は、サラ・ミシェル・ゲラー主演のアメリカドラマ「バフィー 〜恋する十字架〜」(原題:Buffy the Vampire Slayer)。
また、そのドラマの元になった映画「バッフィ・ザ・バンパイアキラー」の原題も、Buffy the Vampire Slayer といいます。
詳しくは、以下のウィキペディアで。
Wikipedia 日本語版: バフィー 〜恋する十字架〜

ウィキペディアの説明にもあるように、日本で放映された際には、ケーブルテレビでは「バフィー 〜恋する十字架〜」、地上波では「吸血キラー 聖少女バフィー」という邦題がつけられたようですね。
そのように邦題でもバフィーという名前(主人公の名前:バフィー・アン・サマーズ)が出ていることから、その作品を知っている人ならピンと来たかもしれませんが、Phoebe Buffay (フィービー・ブッフェ)の苗字 Buffay と、バフィー(Buffy)の綴りが似ているので( a があるかないかだけの違いなので)、こんなパロディータイトルが生まれたということです。

そのように、固有名詞 Buffy を Buffay に置き換えた面白さの他にも、AVのタイトルっぽいもじりも存在します。それが、layer という単語。
上にも書いたように、元々の原題は、the Vampire Slayer で、slay とは「…を殺害する」という動詞。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
slay : a word meaning "to kill someone violently," used especially in newspapers or old stories (SYN: murder)
つまり、「『誰かを乱暴に殺す』という意味の単語で、特に新聞や古い物語で用いられる。同義語 murder」。

ですから、the Vampire Slayer は、「吸血鬼を殺す者」なので、邦題で「バンパイアキラー」とか「吸血キラー」のように「キラー」(Killer)とつけられているのですね。(日本人には、スレイヤー=殺す者、のイメージがわきにくい、などの理由があったのでしょう。)
今回のフィービーのAVでは、その slayer が、layer に置き換わっています。
layer は名詞だと「層」という意味がありますが、この場合は、他動詞 lay に人を表す接尾辞 -er がついたものだと理解すべきでしょう。
他動詞 lay は「…を横たえる」という意味で、俗語の get laid は、have sex の意味になります。
「横たえられる、寝かされる」ことから、エッチする、という意味になるのですね。
the Vampire Slayer が「吸血鬼を殺す者」だとすると、the Vampire Layer は「吸血鬼を横たえる・寝かせる人」、すなわち、バンパイアとエッチする人、という意味になるでしょう。
ここでもまた、さきほどの、Buffy & Buffay と同じく、slayer の s- を取るだけの違いです。
それだけで急にポルノっぽいタイトルになってしまう面白さがあるわけです。
このタイトルをチャンドラーが読み上げた後、観客は大喜びし歓声を上げていますが、元のタイトルをちょこっと変えただけで、「いかにもそれっぽい」タイトルになってしまう見事さに観客も大ウケしている、ということでしょうね。

ちなみに、Wikipedia 英語版 : Buffy the Vampire Slayer in popular culture の Series television の項目の一番最初に、今回のフレンズでタイトルがパロディーとして使われたことも記載されています。

ブリーカー通り(Bleecker Street)のAVショップで見つけたんだ、とジョーイが言った後、ロスは何やら事情を長々と説明しています。
わざとらしく笑いながら、ジョーイとその店で出会った顛末を話していますが、その様子から、ロスはそんな店にいたことをジョーイに発見されてバツが悪かったようですね。
ロスもたまたまそのAVショップにいたから、二人はこうして一緒に帰ってきたわけですが、ロスは必死に、「僕はジョーイが店に入ろうとするのを見て、驚かそうと先回りしたんだ」みたいな言い訳をしています。
「先に店に入って、ジョーイがそこにいることは知らなかった、ってふりをしたんだよ」と言っていますが、その説明から、その店でジョーイがロスを発見して声を掛けた時、ロスはものすごくびっくりした様子を見せたんだろうな、ということが想像できます。
「あの時、僕はジョーイに発見されてすごく驚いたふりをしたけど、あれは演技なんだよ、だって僕はジョーイが店に入るのを知ってて先回りして待ってたわけだからね」みたいに、どう聞いても無理のある説明を懸命にしているのがロスっぽいと言えそうですね。


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posted by Rach at 16:14| Comment(4) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「バフィー・ザ・ヴァンパイア・スレイヤー」,懐かしいです.アメリカではカルト・ムービーとして大ヒットして(というのも変な表現ですが)スピンオフまで作られましたが,日本では全然でした.私も第一シーズンの途中で挫折してしまいました.
ただ,出演女優のサラ・ミッシェル・ゲラーやアリソン・ハニガンの魅力にはまり,彼女たちの出演した映画を見まくったものです.
サラ・ミッシェル・ゲラーは,あの「呪怨」のアメリカ版リメイクに出演し,日本で長期ロケを行なったそうです.その際の日本体験(ハイテクトイレの使い方がわからず,トイレの中から電話して使用法を訊ねたとか)をアメリカのインタビュー番組で語っているのが,今でも youtube で見られます.

昔話が長くなりましたが,パロディ映画の題名はどうせなら,「性少女ブッフェ」としてほしかったと思ってしまいました.いや,だからどうってことはないんですが・・・

それと,Bleecker Street と聞くと,私の年代ではサイモンとガーファンクルの「霧のブリーカー街」を思い出してしまいます.これも,英語学習に関係のない話ですみません.
Posted by さへき at 2012年03月08日 21:53
さへきさんへ
コメントありがとうございます。
おっしゃるように、日本ではアメリカほどはヒットしなかったみたいですね。私はとりあえずタイトルだけは知っていたのですが、実際に見たことはないんです。ですから、ウィキペディアに書いてあることを読んで、そうなのかぁ〜と思う程度だったので、詳しい情報を教えていただけて、とても助かります。ありがとうございます。

それから、パロディーのタイトルは「性少女ブッフェ」…! なるほど、そうすべきでしたね。スレイヤーがレイヤーに変わったところを、邦題でも出せれば…とは思ったのですが、キラーを別の言葉に変えることばかり考えていて、そっちの漢字には目が行きませんでした。「いかにも、”それ系”でありそうなパロディータイトル」を考えていただき、これまた助かります(笑)。

「霧のブリーカー街」ですか…。うーん、洋楽もそんなに詳しくないので、それも知らなかったです。勉強になります。またいろいろ教えていただけると嬉しいです。これからもよろしくお願いします。
Posted by Rach at 2012年03月09日 17:57
こんにちわ。はじめて書き込みさせていただきます。
6年くらい前、フレンズを観つつ英語の勉強していたことがあって、その頃にこのページを発見して参考にさせていただいていたのですが、最近になってまた勉強したいと思って、サイト名を思い出して久々に開いてみました。ずいぶんと学習が進んで本まで出されているのですね。びっくりしました。着実にご自身の目標を達成されれおり、羨ましく思います。これからも拝見させていただきたく存じます。よろしくお願いします。

ところで、このエピソードについてお教えいただきたいことがあって、書き込みさせていただきました。buffyのタイトルがなぜ面白いのかはrachさんの説明を読んでわかったのですが、このエピソードには他にもキワドイ(?)タイトルとしてlawrence of Alabia, Inspecther Gadgetがでてきますが、これらは何が面白いのかわかりますか??
Posted by jessie at 2014年04月21日 13:26
jessieさんへ
はじめまして。コメントありがとうございます。

6年も前に、拙ブログを見て下さっていたのですね。サイト名を覚えていて下さって、再検索して下さったこと、本当にありがとうございます!
そうなんです、おかげさまで本も出させていただいて、今もこうして楽しくブログを続けさせていただいております。
こちらこそ、どうかよろしくお願いします(^^)

さて、ご質問の2項目は、おっしゃる通り、「キワドイタイトル」ですね^^
その2つの名前も、「バフィー恋する十字架」と同様に、有名な作品のタイトルをもじってAV風(ポルノ風)タイトルにしていることになります。
このタイトルの部分ですが、ネットスクリプトと、DVD英語字幕では、表記に違いがあって、特に今回の場合は、その「表記違い」が、大きなヒントとなります。
2つを並べてみますと、
ネットスクリプト: Lawrence of Alabia, Inspecther Gadget
DVD英語字幕: Lawrence of a Labia, Inspect Her Gadget
のように違いがあります。
概して、ネットスクリプトの方が「聞いた音」のイメージで文字化しているため、ネタ元となっている有名作品の名前のイメージ(元々の音のイメージ)がより表れていると思います。
字幕の方は、「もじった意味」を表現することに重点が置かれている、という感じですね。

1つ目のネットスクリプトの方の言葉をあえて「カタカナ」で書いてみますと、「ロレンス・オブ・アラビア」なので、これは「アラビアのロレンス」になります。
Wikipedia 日本語版: アラビアのロレンス
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A9%E3%83%93%E3%82%A2%E3%81%AE%E3%83%AD%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%B9
邦題が「アラビアのロレンス」で、英語の原題が、Lawrence of Arabia ですね。
つまり、Arabia を Alabia のように、r と l を置き換えていることがわかるのですが、それで何の言葉を意味しているかは、英語字幕の a Labia という表記が大ヒントになります。

辞書を調べてみるとダイレクトな意味が載っているのですが、開き直って(笑)ここにも書いてしまいますと、labia とは「陰唇」という女性性器の部位を意味する単語です。発音は「レイビア」という感じですね。

国を指す「アラビア」の英語 Arabia も発音は「アレイビア」という感じですので、r と l の違いだけで、ほぼ同じ音のイメージになります。
本来、labia という単語はこの形が複数形(plural)で、この複数形の形で使われるものらしいので、a labia のように、単数の不定冠詞の a とセットで使われることはない、と思われるのですが、もじり、だじゃれ、言葉遊びのようなものなので、この形になっているのでしょう。

無理やり訳すと「labia が1つのロレンス」みたいなこと、、でしょうか(笑)。

2番目のタイトルは、ネットスクリプトの Inspecther Gadget を見てみると、inspector という英単語に似ているなぁ、と感じます。inspector は、「警部、警視正、検査官」みたいな意味ですね。
それで、Inspector Gadget というタイトルの作品があるかなと思って検索しようと、Google サーチボックスに、inspector まで入れたら、グーグル・サジェスト機能で、inspector gadget と表示してくれて(おぉ、助かる!)、検索結果から、そういう名前の作品名があることがわかりました。

Wikipedia 英語版: Inspector Gadget
http://en.wikipedia.org/wiki/Inspector_Gadget
「ガジェット警部」という名前で、日本でも放映されていたようです(が、私は全然知らなかった、、、)
Wikipedia 日本語版: ガジェット警部
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AC%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%83%E3%83%88%E8%AD%A6%E9%83%A8
そのアニメを基にして、1999年には実写映画も作られたようです(が、それもまた私は知らなかった、、w)

日本語版ウィキペディアの説明にあるように、
「不慮の事故(バナナの皮で滑って転ぶ)で死亡するが、フォンスリックスタイン教授の手によりサイボーグとして復活。全身にあらゆる装置(ガジェット)が仕込まれている。」
とのこと。その説明の通り、gadget は「装置」のことですよね。デスクトップに置かれているソフトのことをガジェットと呼んだりもしますよね。
改めて英英辞典の語義を見ておくと、
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
gadget : a word meaning a small machine or tool designed for a specific purpose
つまり、「特別な目的のために設計・デザインされた小さな機械や道具を意味する言葉」。

ということで、元ネタはその「ガジェット警部」こと、Inspector Gadget になります。

そして、英語字幕にあるように、そのタイトルをもじったものが、Inspect Her Gadget になるわけですが、直訳すると、「彼女のガジェットを検査しろ・詳しく調べろ」みたいな意味になるでしょう。
「彼女の○○を検査しろ」みたいな表現で、エッチっぽいタイトルにしているわけですから、このガジェットは、彼女の「持ち物、所持品」というよりは、「彼女の体のある部分、器官」を指しているのかなぁ、と思ったりします。かなり過激なAVタイトルだとすると、「性器」(sex organ)くらいのことを意味しているのかなぁ、と。
もしくは、やはり「機械」「道具」のイメージだとすると、何かそういうエッチ系の道具(話がだんだん過激になってきますね、、^^)を持っている主人公の話とか、、なんでしょうかねぇ?

私は、inspect 「詳しく調べる、検査する」という意味から連想される方の、前者の「体の部位」の方がビンゴかな、と思うのですが、正直よくわかりません。

いずれにしても、今回特に思ったのは、ネットスクリプトと英語字幕の綴り方の違いで、音のヒント、意味のヒントの両方がゲットできる、という面白さですね。

解説では飛ばしてしまった部分ですが、このタイトルのもじりは、非常にフレンズっぽい感じがするので、ご質問をいただけたおかげで、補足説明ができて良かったです。
貴重なご質問ありがとうございました(^^)
Posted by Rach at 2014年04月21日 16:56
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