2012年04月25日

来るとわかっている攻撃から身を守る フレンズ6-17その1

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シーズン6 第17話
The One With Unagi (バレンタインは手作りギフトで)
原題は「ウナギの話」


セントラルパークに、レイチェルとフィービーが帰ってきます。
護身術のクラスを受講してきたところで、これでもう不審者が襲いかかって来ても大丈夫、と自信満々の二人に、
ロス: Well, of course you can defend yourself from an attack you know is coming. That's not enough. Look, I studied kara-tay for a long time. And there's a concept you should really be familiar with. It's what the Japanese call (he holds two fingers up to his temple, and he does this every time he says this word) unagi. (そうだな、もちろん、来るとわかっている攻撃から自分の身を守ることはできるだろうね。(でも)それでは十分じゃない。ほら、僕は空手を長い間習ってただろ。それで、(空手には)知っておくべきある概念があるんだ。それは、日本人が言うところの… [ロスは2本の指を自分のこめかみに当てる、そして、ロスはこの言葉を言うたびに毎回こうする(このしぐさをする)] ウナギだ。)
レイチェル: Isn't that a kind of sushi? (それって、スシの種類じゃないの?)
ロス: No, it's a concept! (違うよ、概念なんだ!)
フィービー: Yeah it is! It is! It's freshwater eel! (そうよ(スシの種類よ)! 淡水魚の eel (ウナギ)だわ。)
ロス: All right, maybe it means that too. (わかったよ、多分、そういう意味もあるだろうけど。)
レイチェル: Ohh! I would kill for a salmon skin roll right now. (ああ! 今すぐ、サーモン・スキン・ロールをものすごく食べたいわ。)

護身術を学んだのでもうバッチリ!みたいに言う二人に、ロスは、of course you can defend yourself from an attack you know is coming と言っています。
an attack you know is coming は「これから来るだろうということがわかっている攻撃」というニュアンスですね。
来るとわかっている攻撃から身を守ることは当然できるけどね、ということで、その後、「それでは十分ではない」と言っていることから、不意の攻撃、思いがけない攻撃にも対処できないと意味がない、とロスが言いたいことがわかります。

ロスは「空手を長い間、習っていた」と言っていますね。
前のエピソード、6-15, 6-16 でも、ロスの空手の話が出てきましたが、その時と同じように、「カラーテイ」と発音しているので、ネットスクリプトも前回と同様に、kara-tay という表記になっています(普通は、karate という綴りになります)。

そして、君が be familiar with すべきコンセプト・概念がある、と言っていますね。
familiar with は「…をよく知っている、熟知している」なので、「よく知っておくべき概念がある」ということになります。
その次のセリフは、ロスのしぐさを表すト書きが長い文章で挿入されているのでわかりにくいですが、セリフそのものは、It's what the Japanese call unagi. となっています。
call は、「call+目的語+補語」の形を取った場合、「(目的語)を(補語)と呼ぶ、称する」という意味になりますね。
このロスのセリフでは、the Japanese call something unagi 「日本人が(…を)ウナギと呼ぶ」の目的語(この例では something に当たる部分)が、what として前に出た形になっており、what the Japanese call unagi は、「日本人がウナギと呼ぶもの」という意味になります。
知っておくべき概念がある、と言っておいて、その概念とは何かというと、「日本人がウナギと呼んでいるもの」だと説明しているのですね。

ウナギ、と言う時に、ト書きの説明にあるように、ロスは人差し指と中指を揃えてこめかみに当て、ちょっとひねってみせています。
そういうしぐさをすることで、何か高尚な概念の言葉っぽく見せようとしている感じですね。

ウナギという言葉を聞いたレイチェルは、それは a kind of sushi じゃないの?と聞き返しています。
アメリカでもすっかりポピュラーになった、スシ(寿司)の1つの種類じゃないの? スシネタじゃないの?ということですね。
「ウナギって、スシネタの名前じゃない」と言われたので、ロスは「違うよ、概念だよ」と必死に否定するのですが、フィービーにまで、「ウナギって、freshwater eel よ!」と言われてしまいます。
freshwater は「淡水の、淡水産の」、eel はまさに「ウナギ」という意味の英単語です。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
eel : BIOLOGY a long thin fish that looks like a snake and can be eaten
つまり、「ヘビのように見える長くて細い魚で、食べられる(食用可能)」。

ちなみに、一昨日の 4/23(月)の日経新聞夕刊の1面に、
「海外産ウナギ 新顔続々」「天然 NYから空輸」
という見出しが出ていました。
養殖用のシラスウナギの不漁により、ウナギの価格が高騰している、というニュースを最近よく耳にしますが、そのために、海外産のウナギを輸入する動きが起こっている、という話題です。
記事の中でも、「週に1度ニューヨークから空輸され、生きたまま樽に入れられた米国産ウナギ」のように言及されています。
ちょうど、今回、「ウナギの話」のエピソードを取り上げる時期に、米国産ウナギの話が新聞記事に出ていたのが、何だかとてもタイムリーだな、と思って嬉しかったので、ちょっと紹介してみました(笑)。

ロスは日本の空手という武術の概念の名前を言う時に、とっさに知っている日本語を口にしたのでしょうが、「それってスシよね、魚よね」とツッコミを入れられてしまい、「まぁ、そういう魚の意味もあるけどさ」と言わざるを得ません。
さらには、ウナギという名前から、スシを思い出したレイチェルが、「サーモン・スキン・ロール」という別のスシの名前を挙げてからかっています。

kill for は「…のためなら何でもする」というニュアンス。
オンライン辞書の、The Free Dictionary では、
kill for something
Sl. to be willing to go to extremes to get something that one really wants or needs. (An exaggeration.)
例) I could kill for a cold beer.

つまり、「スラング。人が本当に欲しい、必要だと思う何かをゲットするために、極端なことをするつもりがあること。誇張表現」。
例文は、「冷たいビールのためなら何でもする、冷たいビールがすっごく欲しい」。

「…のためなら何でもする」なので、「…が、ものすごく欲しい」というニュアンスとしても使われるわけですね。

フレンズ3-21その2 にも、
モニカ: I mean I would kill for this job. (この仕事のためならどんなことでもするわ。)
というセリフが出てきました。

ということで、ロスがウナギの名前を出したので、「ウナギで思い出したけど、私はスシのサーモン・スキン・ロールを、今、超〜食べたい気分!」と言って、引き続きスシネタでからかっている、ということですね。


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posted by Rach at 18:00| Comment(3) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いつも楽しく拝見しております

of course you can defend yourself from an attack you know is coming

のyou know is comingという表現は勉強になりました 一応、英文法では定義されていて、連鎖関係副詞?というそうですね、ネット検索したら例文が沢山出てきて参考になりました

耳で聞いた時には理解できるのに改めて文章で見るとなぜ理解できなくなるのか、という不思議な現象を最近体験します。このケースもそうでした。

英文法で考えると意味不明なことも耳から感覚的に理解する方が言語習得には効果的であることの好例ですね 多分、ネイティブの子供は何度もこうした表現を耳にするうち、自然と法則性が一般化されて、連鎖関係副詞という概念を知らなくともyou knowの部分が関係副詞の働きをしながら(?)挿入されているんだなということを無意識に理解するのでしょう。成人でも、きっと同じことが起こりそうです

とても参考になるサイトですね シーズン全部まとめてあってすごいですね 私なら途中で挫折していたとおもいます ただフレンズだけで単語拾えますか? フレンズだけで英検1級に必要な単語をカバーできますでしょうか たとえばascertainとかincidentallyはフレンズに登場しない単語です(逆転裁判というゲームに登場しました) こうした単語をどこで拾っていけばよいのか、考えあぐねております 英語アニメ(名探偵コナンなど)を使って英語を勉強しておりましたが、フレンズで学ぶ方がずっと効率がよさそうに感じます そういえば3ヶ国語を話すシリア人の方も、同じことを言っていました、「日本のアニメではなく、現地のドラマの方がいい」と。
何故、日本のゲームやアニメが英語吹き替えされたものは、英文が簡単になってしまう傾向にあるのでしょうか。そうした英文には難しい単語や表現がほとんど使われません。もしかして英訳している人が日本人だからなのでしょうか とにかくもともとが日本のアニメやゲームで英語を学ぶのは結構非効率な気がします (といいつつ、今日も名探偵コナンの英語をリスニングします)
フルハウスとかだとアレルギー反応がでてしまうのですが、フレンズのウナギの回は楽しいですね
後質問なのですが、イギリス英語とアメリカ英語って混ざってもよいのでしょうか、それらを区別せずに勉強しても、支障ないのでしょうか、効率上の問題ありませんでしょうか? 
じゃれみーぶレットのシャーロックホームズの英語では、沢山の単語を拾えるので、できればシャーロックホームズもやりたいです(bowler hat山高帽子など、実用性の無い単語があることが残念ですが それ以前に古すぎますでしょうか
Posted by HIKIKOMORI IN JAPAN at 2017年09月21日 08:48
それにしても役者の方のポーカーフェイスには驚きですね

よく、収録の途中に吹き出さないですよね
仏頂面で、よく演技できますね

欧米ではよく日本人男性はにやにやしていて気持ちが悪いと言われますが、かくいう私も部屋の片隅でほくそ笑んでいたり、不気味な表情で笑っていたりします 外国の方は自然な感情が抑圧されずに育ったから、吹き出したり、にやけたりせず、健全な笑い方をするのだと思います。だからいざというとき、突発的にこみ上げてくる笑いにならない。もしくは、それを抑圧しないから、自然な笑い方になる。日本人は、というか私は、笑う時に抑圧のフィルターが働くため、犯罪者みたいな笑い方になるのでしょう。そうした面からも欧米の人の人格は豊かだということが分かります
Posted by HIKIKOMORI IN JAPAN at 2017年09月21日 08:59
HIKIKOMORI IN JAPANさんへ
コメントありがとうございます。
拙ブログを楽しく見て下さっているとのこと、またとても参考になるサイトとのお言葉もありがとうございます。

you know is coming という表現は、単に「この先、来る攻撃」ではなくて「この先、来ると”わかっている”攻撃」のように表現できるところが興味深いですね。セリフで聞くと感覚的に理解できるというのもおっしゃる通りだと思います。

「フレンズだけで英検1級に必要な単語をカバーできるかどうか」の件については、”フレンズだけで”カバーするのはやはり難しいと思います。英検はアカデミックな試験で、出てくる単語のジャンルも大学受験の英語に近いものですから、フレンズのような「友達同士の会話がメイン」の作品にはあまり登場しないことになりますね。

ちなみに、ascertain はフレンズには出てこないようですが、私が見た作品では「ザ・ホワイトハウス(The West Wing)」「24」「アリー my Love(Ally McBeal)」などには出てきました。
incidentally は「フレンズ」にも出てきていて、拙ブログだと、
フレンズ2-24その25
落ち着いて、ノーマ・レイ フレンズ9-11その5
などで記事にしています。

英検1級に出てくるような「いかつい」単語は、例えば上で挙げたような政治が絡むドラマや、弁護士が出てくるようなドラマには登場しやすい気がしますね。

私は英検1級を受ける際、「Pass単」という有名な単語本を使って学ぼうとして、1週間で挫折した経験があります。結局、単語対策はほとんどしないままで、ただ、問題集の長文に出てきた単語は、その文脈の中で覚えるようにはしました。
たまたま、フレンズ1-4 に出てきた predicament 「苦境」という単語が、英検本番の語彙の穴埋め問題で出てきてラッキー♪ と思ったりもしましたが、私は多分今だに「英検1級の語彙問題に出てくるような単語」はあまり詳しくないレベルだろうと思います。
英検1級の1次試験は、仮に辞書を横に置いて調べながら解いたとしてもなかなか解けない、という類のものだと私自身は思っていて、私が合格できたのは(Pass単を放棄したことからも明白なように)語彙力ではなくて、「英文の構造を理解する力」だと思っています。
聞いたまま、読んだままに英文を理解する力を培ってくれたのは、間違いなく「フレンズ」を始めとする海外ドラマであると確信しているので、今でもこの方法で英語学習を続けていられるのですね。

英語を学ぶ際には、「日本のアニメではなく、現地のドラマの方がいい」というご意見には私も納得です。私もアニメファンで、実はインポート版のアニメDVD などをいくつか持っており、「この名セリフはこう訳されてるのかぁ〜」と楽しんだりしているのですが、それを使って英語を学ぼうとする時の最大の問題点は、
「英語に吹き替えられたセリフと、英語字幕とが一致していない」
という点です。
これは海外ドラマの「日本語字幕」と「吹替」が一致していないことと同じですね。
ある日本語のセリフを「英語の文字」と「英語の音」で訳す場合、それぞれの利点を生かして、「字幕は読んで内容がわかるような簡潔な表現を使い、吹替はニュアンスなどを含めた繋ぎ言葉なども頻繁に入る」という傾向があります。
日本のアニメを英訳した場合、「英語字幕と英語音声を一致させようとしていない」ので、聞いた音声が英語字幕で文字化されていない分、ちょっとイライラ(笑)してしまうのですね。
非英語圏の英語学習者用に「英語吹替も、別途、字幕表示する」などのサービスがあればいいのですが、英語でしゃべっているセリフと違う単語やフレーズや構文で字幕化されていると、「感覚的に理解する」ということが難しくなるわけです。

それから、「日本のゲームやアニメが英語吹き替えされたものは、英文が簡単になってしまう」というのもおっしゃる通りですね。
作品というのはやはり、オリジナルの言語のニュアンスが一番深くて、それを他の言葉に完璧に訳すのは難しくなります。内容としてはこういうことを言っているというのを伝えることが主目的で、日本語の細かい語尾や微妙な言葉の選択を、そのまま英語に完全に反映させるのは無理だと思います。訳者の受け止め方によって、どの表現を使うかという違いも出てきますしね。
そういう意味では「日本語のセリフを英訳したもの」はやはり「英訳」であって、「本物」とは言えない気がします。
「英語」を学ぶ場合には「英語として本物のもの」を教材にするのがベストで、「フレンズ」などの海外ドラマであれば「実際に使われている英語」を英語字幕で確認しながら学べるという点で「本物」なわけです。
逆にアメリカ人の方が日本語を学びたい場合なら、「フレンズの日本語版」を使って学ぶよりも、「日本語のアニメ」で学ぶ方が「本物の日本語表現」が学べることになるでしょう。

「フレンズ」に比べると「フルハウス」は、ほんわか、ほのぼのしているので、ちょっと刺激が足りないという方もおられるだろうと思います。
私は「フレンズ」がちょうどいい塩梅なので、これをずっと教材として使っているのですが、ご自分の好みに合う作品を選ぶのが何よりですね。

「イギリス英語とアメリカ英語が混ざっても良いか」というのは「これはイギリス英語だ」と頭のどこかで認識、区別などできていれば、それで問題ないと思います。
私は「新スタートレック」という作品が好きで、メインキャラにイギリス英語を話す人が2人いたのですが、「イギリスっぽい発音だな」と思いながら、特に問題なく楽しみ学べていました。

イギリス・グラナダTV製作の、ジェレミー・ブレットのホームズは本当に素晴らしい作品ですよね。私も大好きで、全巻ブルーレイBOX が家にあります。
推理物は、登場人物が知的で、出てくる単語も高尚で難しめのものが多いので、語彙を拾うのに良い教材になってくれると思います。
ヴィクトリア朝時代の設定ですが、英語のセリフそのものは、そんなに古びた感じはしないし、応用して使える表現もたくさんあると思います。
「這う男(這う人)(The Adventure of the Creeping Man)」の電報にあった、
"Watson. Come at once if convenient. If inconvenient, come all the same. S.H." 「ワトソン、都合が良ければ来い、都合が悪くても来い。シャーロック・ホームズ」
みたいなホームズっぽい言い回しを英語で学べるのは、実に楽しいなぁと思います。

「役者の方のポーカーフェイス」については、皆さん吹き出すことなくすごいなぁ、と思うのですが、たま〜に「俳優さんが素(す)で笑ってしまっている」シーンも出てきて、そんな場合にはネットスクリプトのト書きで、
(Lisa almost lost it there)[リサ・クドローはこらえ切れずに笑ってしまいそうになる]
のように役名ではなく俳優名として書かれていたりもしました。

日本人は男性に限らず「気まずいと、とりあえず笑ってしまう」というところはありますね。国や文化の違いによって、笑いの種類も様々ですが、「フレンズ」のような作品で、ネイティブと同じタイミングで「わはは」と笑えることは本当に楽しいなとしみじみ思います。
Posted by Rach at 2017年09月21日 15:46
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