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チャンドラーとモニカが踊りながら聞いていた音楽テープには、ジャニスの声が入っていました。
「君のために俺が編集したんだ」と言ってチャンドラーがモニカにプレゼントしたはずのそのテープは「ジャニスがチャンドラーのために作ったもの」であったことが発覚してしまいます。
その後のシーン。
[Scene: Monica and Chandler's, Chandler is trying to explain himself to Monica.]
モニカとチャンドラーの部屋。チャンドラーはモニカに弁明している。
チャンドラー: I am so, so, so, so sorry! (ほんとにほんとにごめんよ。)
モニカ: (not buying it) Uh-huh. ([そのチャンドラーの意見を受け入れずに] ふーん。)
チャンドラー: And I will cook anything you want in here. (points to the kitchen) And do anything you want... in there! (Points to the bedroom.) (それに、俺は君の好きなものを何でも料理してあげるよ、ここで[台所を指差す]。それから、君の好きなことを何でもしてあげるよ、あそこで! [寝室を指差す])
モニカ: (pointing to the kitchen) Yeah, you will! (Points to the bedroom) And are you kiddin' me?! ([台所を指差して] ええ(もちろん)、そうしてもらうわ! [寝室を指差して] それから(そっちの件は)ご冗談でしょう?!)
チャンドラー: Come on, Monica, it's our Valentine's Day. Please? Please-please, please? (ねぇ、モニカ、俺たちのバレンタインデーなんだよ。お願いだよ、お願いお願い。)
モニカ: Okay. (わかったわ。)
チャンドラー: Okay. (They hug.) (よかった。 [二人はハグする])
音楽テープから、またジャニスの声が…。
ジャニスの声: (singing) My funny valentine, sweet comic valentine! You make me smile with my heart [or You make me high over my heart!] ([歌いながら]♪マイ・ファニー・バレンタイン[私の楽しいバレンタイン]、愛しのゆかいなバレンタイン! あなたは私を心から笑わせてくれる♪)
(Monica breaks the hug and starts for the bedroom.)
モニカはハグをやめ、寝室に向かう。
チャンドラー: So are we going in there? (それで、俺たちはそっち[寝室]に行くの?)
モニカ: I am!! (Enter her room and closes the door behind her.) ((私たちじゃなくて)私が行くの! [自分の部屋に入り、後ろ手にドアを閉める])
ジャニスの声: (singing) Your looks are laughable [or You're look for laughable...] (She does the now patented Janice laugh.) ([歌いながら] あなたの顔は笑えちゃうわ… [今や特許を得た例の”ジャニス笑い”をする])
最初のト書きの explain oneself to someone を直訳すると、「自分自身(のこと)を人に説明する」という感覚ですね。
「自分の考えや立場を明らかにする、弁明する」というニュアンスになるでしょう。
チャンドラーは「本当にごめん」とストレートに謝っているのですが、モニカの表情や態度からは、その謝罪を受け入れる様子は見えません。
ト書きの、not buying it の buy は「買う」の buy ですが、ここでは、「信じる、受け入れる」という意味で使われています。
まさに、チャンドラーの「ごめん」という謝罪を受け入れていない様子が、not buying it なのですね。
チャンドラーは「いいこと思いついた!」みたいな顔をして、I will cook... というセリフを言っています。
このセリフは、過去記事、望むものを何でも、こっちとあっちで フレンズ6-17その3 で、モニカが言ったセリフとほぼ同じですね。
「自分は手作りプレゼントのことを忘れていたのに、チャンドラーはちゃんとそれを用意してくれていた」ことに感動し、「こっち(台所)で好きなものを何でも作ってあげるし、あっち(寝室)で好きなことを何でもしてあげる」と言った、モニカの情熱的な(笑)セリフでした。
そのチャンドラーの嘘がバレてしまい、今度はチャンドラーが謝る番、埋め合わせをすべき番になったので、チャンドラーは「今度は俺が全く同じことを君にしてあげるよ、それで俺のやったことの埋め合わせをしたいんだ」という気持ちで、同じセリフを言ったのでしょう。
ここでもまた、台所や寝室という単語は使わずに、here と there を指差しながら言っているのも、「あの時と同じように、俺のことも許してね」みたいな気持ちが込められているように思います。
それに対するモニカの返答が面白いですね。
台所を指差して、Yeah, you will! と言っているのは、「台所で料理する件については、もちろん、あなたはそうする、あなたにはそうしてもらうわ!」という感覚。
そして、寝室を指差しての、And are you kiddin' me?! は、「そして(寝室の件については)、あなた私に冗談を言ってるの?」と言っていることになります。
「寝室で何でも好きなことをしてあげる、とかって…、今、あなたは私を怒らせてるのに、そんな状況であなたとエッチするわけないでしょう?」という気持ちから、「冗談言うのもいい加減にしてよ、あなた、ふざけてんの?」みたいなことを言っているわけですね。
そういう「気持ち」の部分はくどくどとは説明せず、「(台所の件は)当然そうしてもらいます! (寝室の件は)冗談はやめて!」みたいに、指差しに合わせて言っているのが、セリフとして非常に面白いなと思います。
今はあなたとそんな気持ちになれないわよ、みたいに言われたのですが、チャンドラーは何とかモニカの機嫌を直そうと頑張ります。
「今日は俺たちのバレンタインデーなんだよ。お願いだよ」と必死なチャンドラーに、しばらくの間があってから、モニカも、しょうがない、という感じで、Okay. と言います。
二人はハグし、これで仲直りできた…と思った時に、またもや(笑)テープから、ジャニスの声が聞こえてきます。(喧嘩の原因となったテープを、停止せずにずっと再生状態にしてたんかいっ!とツッコミたいところですが、そこはまぁ、コメディーということで…笑)
今度のジャニスの声は、ナレーション風のメッセージではなく、ジャニス自身が歌を歌っています。
この曲は、My Funny Valentine 「マイ・ファニー・バレンタイン(ヴァレンタイン)」ですね。
Wikipedia 日本語版: マイ・ファニー・ヴァレンタイン
Wikipedia 英語版: My Funny Valentine
ネットスクリプトには、ジャニスが歌っているその曲の歌詞がセリフとして書いてありますが、実際の My Funny Valentine の歌詞とは一部異なっている部分があります。
以下にそれを対比しておくと、
(ネットスクリプト)
You make me high over my heart
(実際の歌詞)
You make me smile with my heart
(ネットスクリプト)
You're look for laughable
(実際の歌詞)
Your looks are laughable
この曲の歌詞を知らない状態で、ジャニスの声だけを聴いていると、ネットスクリプトに書いてあるような音に聞こえる感じはするのですが、ジャニス独特のキツい発音のため、違う風に聞こえてしまうだけかもしれません。
私的には、別にジャニスは「替え歌」を作ろうとしたわけでもなく、通常の歌詞通りに歌っているけれども、音がやや不鮮明だったため、ネットスクリプトのディクテーションをした方が、聞こえた音から想像した歌詞を書いた、というのが、ネットスクリプトと実際の歌詞との違いの原因かな、と思っています。
なので、上のセリフでは、一応、その曲の本来の歌詞を書いた上で、カッコ書きで、ネットスクリプトの歌詞も合わせて記載しておきました。
この曲は、今や、ジャズのスタンダードになっていますが、元々は、Babes in Arms というミュージカルの曲だったようです。
ウィキペディア英語版の My Funny Valentine の History の項目では、歌について以下のように説明されています。
In the song, Billie pokes fun at some of Valentine's characteristics, but ultimately affirms that he makes her smile and that she doesn't want him to change.
訳させていただきますと、
「その曲の中で、ビリーはバレンタインの特徴のいくつかをからかうが、最終的には、彼(バレンタイン)が彼女(ビリー)を笑顔にしてくれること、そして、彼女は彼に変わって欲しくないと思っていることをはっきりと認めている。」
歌詞では、「あなたの顔は笑える」みたいな、一見ひどい表現が並んでいますが、これは、相手の欠点みたいなものをいくつかあげながらも、いつまでもそんなあなたのままでいて欲しい、というラブソングなんですねぇ。
相手を絶賛、賞賛する美辞麗句が並んだラブソングよりも、ある意味、よりロマンティックなのかもしれません。
ジャニスが「マイ・ファニー・バレンタイン」を歌うのを聞いたモニカはハグをやめ、一人寝室に向かいます。
何も言わずに歩いて行ってしまったモニカに、So are we going in there? とチャンドラーは尋ねています。
それに対して、I am!! と答えて、ドアをバタンと閉めるモニカに笑えますね。
これは、Are we...? 「俺たち二人が…するの?」と尋ねたことに対して、I am! 「(私たち二人じゃなくて)私ひとりがそうするの!」みたいに答えている形です。
チャンドラーとしては、いったんは仲直りできたので、仲直りがまだ有効なら、俺も一緒に寝室に入っていいのかな?と言ったわけです。
が、仲直りした後で、またジャニスの声が、それも今度は歌を歌っていて、さらにはそれが、My Funny Valentine だったので、モニカにしてみれば、仲直りしようという気持ちもどこかに吹っ飛んじゃった、という感じなのでしょう。
それで、we だなんてとんでもない、寝室に入るのは私だけ、私一人よ、と言う意味で、I am!! と叫び、ドアを閉めたわけですね。
ちなみに、My Funny Valentine という曲は、上でも説明したように、バレンタインという名前の男性(Valentine "Val" LaMar)に向けての歌であることから、元々、「バレンタインデーの歌」として誕生したわけではないと私は思っているのですが、やはり、Valentine という名前から、バレンタインデーに関連付けられる曲、バレンタインデーと言えば思い出す曲であるのは間違いないと思います。
シーズン1のバレンタインデーのエピソードである、フレンズ1-14その4 では、
ジャニス: Hello, funny valentine! (はーい、楽しいバレンタインちゃん。)
チャンドラー: Hi, just Janice. (はーい、ただのジャニス。)
というやり取りもありました。
この funny valentine というフレーズも、やはり、My Funny Valentine という曲の歌詞を意識したものだと思えます。
このセリフでは、valentine のように小文字表記になっていますが、「バレンタインデーにカードを送る相手」という普通名詞の意味があるのですね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
valentine [noun] [countable]
1. a card you send to someone on Valentine's Day
2. someone you love or think is attractive, that you send a card to on Valentine's Day
例) Be my valentine!
つまり、1. は、「バレンタインデーに誰かに送るカード」、2. は、「愛している、もしくは魅力的であると思っている人で、バレンタインデーにカードを送る人(相手)」。例文は、「僕のバレンタイン(恋人)になって!」
シーズン1のセリフで、チャンドラーを、funny valentine と呼んでいたわけですが、それがこのシーズン6では、My Funny Valentine をチャンドラーのために歌ってあげるジャニスの「声」が登場する、というのも、シリーズ物ならではの面白さだな、と思います。
そして、"Come on, Monica, it's our Valentine's Day. Please?" と、二人のバレンタインデーであることを必死に訴え、モニカの気持ちがほぐれたところに、ジャニスが歌う My Funny Valentine という「バレンタインデーを思い出させるラブソング」が聞こえてくる…という構成が、ちょっとベタすぎるかもしれませんが(笑)、コメディーの王道だと言える気もします。
最後のト書きの、She does the now patented Janice laugh. も面白いですね。
patented は「特許を得た、特許を受けた」ということなので、直訳すると、「ジャニスは、今や特許を取った”ジャニス笑い”をする」という感覚になるでしょう。
実際に、Janice laugh という名前で特許を取ったわけではないようですが(笑)、ジャニスの専売特許のようになっているあの独特で有名な笑い声が、テープに入っていることをト書きで表現しているわけですね。
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一つ思たんですが、最初のモニカが2つのところを指したところで、
何度か見返したんですが、逆になってるんではないでしょうか?
ほんとなら料理の方を、are you kidding me、となるはずだと自分も思ってたんで、何回かチェックしてみましたが、位置的にベッドの方を指して言ってたと思います。
確認お願いします^^
すいません><
コメントありがとうございます。
モニカもチャンドラーも、ト書き通りに、here でキッチンを、there で寝室を指差していた…ということでよろしいんですよね?
このセリフは、その指の指す方向がポイントとなるので、違っていたらどうしようかと思ったのですが、合っているようで良かったです(笑)。