2012年05月30日

顔の尻じゃなくアゴエクボ フレンズ6-19その3

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今、彼氏のいないレイチェルは、会社で行われるチャリティー・パーティーに連れて行く男性を探しています。
そこで、チャンドラー&モニカと、フィービーとがそれぞれ、自分の知り合いの男性をレイチェルに紹介しようとしていて、どちらの男性が素敵かを言い合っているところ。
フィービー: My guy is a lawyer who does volunteer work. And, he has one of these (She squeezes the skin on her chin together to form...) (私の(連れてくる)男性は、ボランティアの仕事をしてる弁護士なの。そして、彼は、例のこういうのがあるの。[フィービーはあごの皮膚を強く押して寄せて、…を形作ろうとする]
チャンドラー: A face ass? (顔の尻[けつあご]?)
フィービー: A chin dimple! (あごのエクボよ!)
モニカ: Well, uh y'know, our guy works with Chandler and he' really nice and smart and he's a great dresser! (うーんと、ほら、私たちの(連れてくる)男性はチャンドラーの同僚で、彼は本当に素敵で賢くて、おしゃれなのよ[服のセンスもいいのよ]!)
フィービー: Have you seen your guy's body? (そのあなたたちの男性の体を見たことあるの?)
チャンドラー: No, our guy is just a floating head. (いや、俺たちの男はただの浮かんでる頭なんだ[頭が浮かんでるだけなんだ]。)

チャンドラー&モニカ対フィービーで、「自分たちの紹介する男の方がいい」という自慢合戦みたいになっています。
私の男、つまり、私がレイチェルに紹介しようとしている男性は、ボランティアの仕事をしている弁護士なの、と説明した後、フィービーは、And, he has one of these... と言いながら、ト書きにあるような動作をしてみせています。

one of these を直訳すると「こういうものの一つ」ということなので、「よくある、みんなも知ってる、こういうもの(の一つ)」という感覚。
フレンズのセリフにには、one of those の形でよく登場しますね。

ト書きの説明では、「フィービーは、何かを形作るために、自分のあごの皮膚をぎゅっと寄せる」とあります。
そうすることで、あごに「へこみ」を作っているのですが、それを見たチャンドラーが、A face ass? 「顔の尻?」と言うのには笑ってしまいました。
その後、フィービーがむきになって A chin dimple! 「あごのエクボよ!」と言っています。

確かにフィービーが形作った「それ」は、チャンドラーが a face ass と表現したように、顔のうち、あごの部分がお尻のように2つに割れた感じには見えます。

以下のウィキペディアに、そういうあごについての説明が載っています。

Wikipedia 日本語版 : 割れ顎

参考になりそうな部分を以下に引用させていただきます。

割れ顎(われあご)とは、顎が縦に二つに割れているように見える状態から派生した造語。
二つに割れた形状が、尻を連想させるため、ケツ顎/尻顎(どちらも「けつあご」と読む)と呼ばれることも多い。


通常は「割れ顎(われあご)」と言うようですが、上の説明にもあるように、そういうあごのことを日本語では「けつあご」と言ったりしますよね。
「二つに割れた形状が、尻を連想させるため」とのことですが、アメリカ人のチャンドラーも同様に「お尻」を連想して、a face ass 「顔の尻」と形容したのが興味深いなと思いました。
「尻」のニュアンスが共通しているからでしょう、DVDの日本語字幕でも、チャンドラーのセリフは「ケツアゴ?」と訳されていました。

それぞれが「自分が紹介する男性自慢」をしているので、もちろんフィービーはそのあごをチャームポイントとして言っているわけです。
それを「尻」呼ばわりされたので、これは A chin dimple よ!と言って怒っているのですね。

dimple は「えくぼ」、または「小さなくぼみ」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
dimple : a small hollow place on your cheek or chin, especially one that forms when you smile
つまり、「頬やあごのくぼんだ場所、特に微笑む時に形成するもの」。

その語義にもあるように、日本人が普通「えくぼ」で想像する、ほっぺたのえくぼ以外にも、あご(chin)のへこみも dimple と表現することがわかりますね。
a chin dimple と表現すれば、頬のえくぼと、より区別しやすくなるわけですね。
a dimpled chin だと、「えくぼのある・えくぼのできたあご」ということになります。

私が連れてくる彼には、「あごエクボ」があるのよ!と自慢しているように、そう言えば、外国の俳優さんには、そういうあごの持ち主が結構いますよね。
(「あごが割れてる」と聞くと、私の場合はなぜか真っ先に、一休さんの「新右衛門さん」を思い出してしまうのですが…笑)。
アメリカの俳優さんだと、カーク・ダグラスやジョン・トラボルタなどが有名ですね。(そう言えば、ここ数日、ニュースでジョン・トラボルタの名前をよく目にします…)
彼らの写真を見ていると、「あごが割れている」というよりも、「あごのエクボ」と表現する方がぴったりな感じです。
そういう a chin dimple には、男性のワイルドなセクシーさみたいなものが感じられる気はしますよね。
日本語で、特にそれを「けつあご」と表現してしまうような場合は、顔の特徴を言っている感覚で、あまり褒め言葉のようなニュアンスは感じられませんが、英語で言うところの、a chin dimple には、フィービーがわざわざそれを挙げるくらいの「長所」として考えられていることが、このやり取りからわかります。
日本では「八重歯」がチャームポイントになったりしますが、外国ではそうではない…みたいに、文化や風習の違いで、「何を魅力的に感じるか?」というのも異なってきますよね。
どこの判断基準が正しいか正しくないか?を考えるのではなく、そういう「国民性の違い」みたいなものを感じて「なるほどぉ〜」と思うのも、ドラマを見る楽しみのように思います。

モニカは、自分たちが連れてくる男性のことを説明しています。
our guy works with Chandler は「私たちの男性はチャンドラーと一緒に働いている」ということで、つまりはチャンドラーの同僚。
同僚という単語は a colleague ですが、そういう単語が浮かばない場合はこのように「チャンドラーと一緒に働いている(人)」と表現すればいいということです。
実際、Chandler's colleague みたいに表現するよりも、(he) works with Chanlder と言う方が、英語としてより自然に聞こえるように思います。

その人は、本当に、nice で smart で、a great dresser なのよ、と自慢するモニカ。
日本でも「ベストドレッサー賞」などと言いますが、こういう場合の dresser は「(服を)着る人」というシンプルなニュアンス。
「服を着る」という自動詞 dress に、人を表す -er をつけた単語ですね。
LAAD では、
a fashionable/stylish/sloppy etc. dresser : someone who dresses in a fashinable, stylish etc. way
つまり、「ファッショナブル[スタイリッシュ]・ドレッサーとは、ファッショナブルな[スタイリッシュな]方法[様子]で服を着る人」。

これを当てはめると、a great dresser は、someone who dresses in a great way ということになり、「素敵な感じに服を着ている人」、つまり、服の趣味が良いとか、おしゃれだとか言っていることになります。
こんな風に、a good/great 動詞+-er で、「〜するのが上手な人」という意味でよく使いますね。
このやり取りの後にも、
モニカ: Our guy's a great dancer! (私たちの彼は、ダンスが上手なの!)
というセリフも登場します。
日本語で「ダンサー」と聞くと、何だかプロのダンサーみたいなイメージを浮かべてしまいそうですが、モニカも言っていたように、その彼はチャンドラーの同僚ですから、「ダンサーという職業の人」ではないでしょう。
単に「ダンスを踊る人」という意味の dancer で、dance が上手だから、a great dancer と言っているわけです。
これを直訳で、「その彼は”偉大なダンサー”なの」みたいに訳してしまうと、随分とニュアンスが違ってしまうことになるでしょう。
「彼はキスが上手なの」と言いたい場合は、He is a good kisser. と言えばいいわけで、「〜するのが上手な人」→「a good/great 動詞+-er」の形は、人の説明をするのに便利な表現だと言えそうですね。

モニカが自分たちの男性の服のセンスを褒めたので、フィービーは、body つまり、彼の体を見たことある?と尋ねています。
その話の流れから、「その彼は、中身の肉体も素敵かしら?」みたいに話を持って行こうとしていることがわかりますが、チャンドラーは当然そのことに気づきながらも、No, our guy is just a floating head. とジョークで返しています。
No という最初の否定は、No, we haven't seen our guy's body. 「いいや、俺たちはその男性の体を見たことはない」という意味。
それだけなら、普通のやり取りなのですが、チャンドラーは彼の体を見たことない理由として、our guy is just a floating head と言っています。
「俺たちの男は、ただの”浮かんでいる頭”なんだ」みたいなことで、「いや、彼の体は見たことない、だって彼は”顔だけ人間”だから」みたいに冗談を言っているのですね。

フィービーは男性の魅力の一つとして、彼がいわゆる「ナイスバディ、セクシーバディ」の持ち主かどうかを聞くために、「彼の体(つまり裸体)を見たことある?」と聞いたわけですが、チャンドラーはそれをわかっていながら、「彼の体? そういや見たことないなぁ、彼は頭がプカプカ浮いてるだけで、体がないやつなんだよ」みたいにジョークで返したわけですね。


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posted by Rach at 16:49| Comment(2) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。興味深く記事を読ませて頂いているMaiと申します。A face assとchin dimpleの表現おもしろいですね^^butt chinという言い方もよく耳にしますが、フレンズではユニークな英語が満載なので本当に勉強になります!
Posted by mai at 2012年05月31日 17:12
maiさんへ
はじめまして。コメントありがとうございます。
また、butt chin の件も、情報ありがとうございます。

Wikipedia 英語版: Cleft chin
http://en.wikipedia.org/wiki/Cleft_chin
の中にも、a chin dimple などと並んで、butt chin という呼び方が書いてありますね。まさに日本語の「けつあご」のニュアンスで、全く同じ言い回しが存在するのは、非常に興味深いです。

勉強になります、と言っていただけて光栄です。どうかこれからもよろしくお願いいたします。
Posted by Rach at 2012年06月01日 18:28
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