ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。


シーズン6 第20話
The One With Mac and C.H.E.E.S.E. (ジョーイ再び大ブレイク!の予感)
原題は「マック&チーズの話」
[Scene: Joey and Rachel's apartment, Joey is memorizing his lines. Chandler, Rachel, and Phoebe are there as well.]
ジョーイとレイチェルの部屋。ジョーイは自分のセリフを覚えているところ、チャンドラー、レイチェル、フィービーもそこにいる。
チャンドラー: (To Joey) So uh, what's this thing you're auditioning for? (それで、お前がオーディションを受けようとしているこれは何なんだ[どんなやつだ]?)
ジョーイ: Oh, it's a new TV show. Yeah. I'm up for the part of Mac, Machiavelli, or "Mac"! Yeah, I'm a detective and I solve crimes with the help of my robot partner. He's a, he's a computerized humanoid electronically enhanced secret enforcer. Or-or "C.H.E.E.S.E." (あぁ、新しいテレビ番組なんだよ。そう、俺が立候補してる役は、マック・マキャベリ、または(通称)”マック”だ! そう、俺は探偵(or 刑事)で、ロボットのパートナーの助けを借りて事件を解決するんだよ。彼は、コンピュータ(化された)人型電子強化秘密執行人、または(通称)”チーズ”だ。)
レイチェル: So Mac and C.H.E.E.S.E.? (それじゃあ、マック&チーズなの?)
ジョーイ: That's the title! Yeah! Y'know they really lucked out that the initials spell "cheese." (それがタイトルなんだよ! そうなんだ! ほら、その頭文字(イニシャル)のスペルが「チーズ」だなんて、二人はほんとにラッキーだったよな。)
チャンドラー: That is lucky. (実にラッキーだ。)
チャンドラーは、「ジョーイがオーディションを受けようとしてセリフを練習してるこれは何?」と尋ねています。
ジョーイは、新しいテレビ番組なんだ、と言って、役柄を説明していますね。
up for は、「〜に立候補して」という感覚。
up には「立ち上がる」のようなニュアンスがありますので、「〜に対して立ち上がる」という感覚は、立候補の「候補に立つ」ような「立」の字にも繋がるように思います。
Machiavelli という名前は、世界史で習う「君主論」の著者マキャヴェリと同じですね。
ちなみに、その思想家マキャヴェリはイタリア人です。
ジョーイもイタリア系アメリカ人なので、イタリア系っぽい名前のついた役にジョーイが応募した、というところも、自然な流れと言えるのでしょう。
or "Mac" と言いながら、手を鉤爪(かぎづめ)のように大袈裟に曲げていますが、これは、引用符のジェスチャーですね。
これまでのフレンズでも、両手の指をチョキの形というか、カニのハサミのようにして、「” ”」= double quotation marks (クオーテーションマーク、引用符)を表すしぐさが何度も登場しましたが、今回のは、ジョーイが得意げにやたらと大袈裟な感じで身ぶりしているのが印象的です。
detective は「刑事」「探偵」。
a police detective なら「刑事巡査」、a private detective なら「私立探偵」になります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
detective :
1. a police officer whose job is to discover information about crimes and catch criminals
2. someone who is paid to discover information about someone or something
例) a private detective
つまり、1. は、「犯罪に関する情報を発見すること、または犯罪者を捕えることが仕事である警察官」。
2. は、「誰かや何かに関する情報を見つけるために金を支払われる人(支払いを受けて誰かや何かに関する情報を見つける人)」。
日本語の「刑事」「探偵」ではえらくイメージが違いますが、元々、「見つける、発見する」という意味の動詞 detect から来た言葉だと思われますので、「発見することを仕事にする」という意味では同じということなのでしょう。
detector なら「発見器、探知器」という意味になり、a lie detector は「ウソ発見器」、a smoke detector なら「煙探知器」になります。
「ロボットのパートナーの助けを借りて事件を解決するんだ」と言った後、そのパートナーのことを説明するジョーイ。
a computerized humanoid electronically enhanced secret enforcer みたいな長い名称をジョーイが間違わずに言えたのはすごいなと思いつつ(笑)、前から順番に訳すと、
「コンピュータ化された、ヒューマノイド(人型)の、電子的に、強化された、秘密の、エンフォーサー」
になります。
動詞 enforce は、「(法律などを)実施する、施行する」「強化する、強制する、強要する」。
enforcer は、enforce する人、みたいな意味になるわけですが、英辞郎には、
enforcer=執行者、用心棒
という意味が載っています。
LAAD では、
enforcer : someone such as a police officer who makes sure that people obey rules and laws
例) the police and other law enforcers
つまり、「人々が必ず規則や法律に従うようにさせる、警察官のような人」。
Macmillan Dictionary では、
enforcer : someone who is given the responsibility for making sure that a particular thing happens or is done, usually in government or business
つまり、「あることが必ず起こるように、またはなされるようにするための責任を与えられた人、たいていは政府、またはビジネスで」。
Merriam-Webster Dictionary では、
1. one that enforces
「enforce する者」という意味と並んで、以下の語義も載っていました。
enforcer :
2. a violent criminal employed by a crime syndicate; especially : HIT MAN (= a professional assassin who works for a crime syndicate)
つまり、「犯罪シンジケートによって雇われた暴力的犯罪者、特にヒットマン(犯罪シンジケートのために働くプロの殺し屋)」。
ロングマンの語義は「警察官」のイメージで、Merriam-Webster のは「ヒットマン」と、これまたイメージが大きく違います。
(その「ヒットマン」の意味が、英辞郎の「用心棒」のニュアンスでしょうね。)
マクミランは、「政府、またはビジネスで」とあるので、「警察官」と「ヒットマン」の両方を網羅しているようにも見えます。
force 「力」という言葉が入っているように、力づくで人を従わせるというようなイメージがあるわけで、人として守るべき法律に従わせる場合だと、「政府の法の執行者」である警察のイメージとなり、それがビジネス、特に「犯罪シンジケート」の場合だと、その掟を徹底するためのヒットマンなり用心棒になったりする、という感覚でしょう。
で、マックの相棒であるロボットの彼が enforcer だとすると、そのイメージはどんな感じになるのでしょうね?
マックの相棒であることから、正義の味方だと思われるので、ヒットマンや用心棒ということはないでしょうが、secret 「秘密の」とついているところから、なんとなく(日本の時代劇で言うところの)「大江戸捜査網」の隠密同心とか、「必殺仕事人」のようなものを想像してしまうのは私だけ?(笑)
「秘密裏に法を執行する」ような a secret enforcer のニュアンスが、「闇にはびこる悪を成敗する」感覚に繋がる気が(私には)するのですが、実際のところはどうなのでしょう??
そういう「秘密の執行人」のニュアンスだとした場合、コンビを組んでいるマックは、「公的機関の警察官」よりは、「私立探偵」の方に近いことになるのでしょうか??
または、LAAD の enforcer の説明に「警察官のような人」とあったので、ことさら「力づくで執行する」イメージを連想する必要はなく、単に、a police officer の言い換え語句として使っているだけという可能性も否定できない気はします。
ただやはり、secret とわざわざついているのが、意味深な気はするのですが…そういう「人型ロボット」が存在すること自体が「機密」なのかもしれない…。
とにかくジョーイは、そういう「長い正式名称」を述べた後、or 「または、別名」と言って、またもや手で引用符のジェスチャーをしながら、"C.H.E.E.S.E." と名前を言っています。
cheese ではなくて、大文字でピリオド付きなのは、acronym 「頭字語(頭文字でできた語)」だからですね。
ジョーイが希望している役がマックで、相棒のロボットがチーズだと聞いて、レイチェルは、「じゃあ、そのコンビは、マック&チーズなの?」と驚いています。
ジョーイは、「まさにそれが番組のタイトルなんだよ!」と嬉しそうに台本を見せます。
どうして、「マック&チーズ」というネーミングで、レイチェルやジョーイが喜んでいるかと言うと、アメリカのお手軽でメジャーな料理に macaroni and cheese 「マカロニ&チーズ」というものがあるからです。
フレンズ5-8その2 にもその料理が登場しており、コメント欄でもその話題について触れています。
mac'n'cheese や、mac and cheese とも呼ばれるので、コンビ名がその料理名と同じになるんだ!と喜んでいるわけですね。
luck out の luck は名詞で「運」ですが、luck out の形で動詞として使うと、「運が良い」という意味になります。
LAAD では、
luck out [phrasal verb] : to be lucky
例) We lucked out and found someone who spoke English.
つまり、「ラッキーであること」。例文は、「私たちはラッキーで(運良く)英語を話す人を見つけた」。
the initials spell "cheese" は、spell が動詞で、「その頭文字が、cheese と綴る[という綴り(スペル)になる]」という感覚。
ですからジョーイは、「相棒の正式名称の頭文字の綴りが cheese になるなんて、彼ら(マック&チーズの二人)はほんとラッキーだったな」と言っていることになるでしょう。
それを聞いたチャンドラーは、少しあきれた顔をして、"That IS lucky." のように、is の部分を強調して言っています。
「そのことは、確かに・実に、ラッキーだよな」と言っている感覚ですが、これはチャンドラーの皮肉ですね。
番組の制作サイド(笑)としては、最初に「マック&チーズ」というコンビ名にしよう、というコンセプトがあって、そのために「縮めたら cheese になるようなそれらしい正式名称」を考えたはずです。
「cheese になるように、そういう名前のキャラ設定にしたんだぁ〜」と感心すべきところを、「相棒の名前を縮めたらチーズになって、コンビ名がマック&チーズになるなんて、すっげーラッキーじゃん!」と言っている、そのズレ具合が「いかにもジョーイ」っぽいわけですね。
今回のネーミングは最初からその略称ありきの名前なのがミエミエなのに、何も考えずにつけた名前の略称が偶然「チーズ」になったかのようにジョーイが感心しているので、「もしほんとに”偶然”そうなったんだったら、そりゃあ、ラッキーと言うほかないよな、まさにラッキーそのものだよな」と皮肉っぽく返している、その気持ちが、IS を強調している部分に込められているということですね。
ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。

