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[Scene: Joey and Rachel's apartment, Chandler is entering with a peace offering of a Joey Special, two pizzas.]
ジョーイとレイチェルの部屋。チャンドラーは仲直りの贈り物である「ジョーイ・スペシャル」、すなわち2つのピザを持って部屋に入ってくる。
チャンドラー: Joey? Got you the Joey special! Two pizzas! Joe? (The phone rings and he answers it) (On phone) Hello? (Takes the phone away from his mouth when he realizes what he just did and yells.) Damnit! (Back on phone.) Hello? (Listens.) No, Joey's not here right now, but I can take a message. I think. (Listens) He's still got a chance for the part?! Oh, that's great news! (Listens) Well, no, obviously not for the actor who was mauled by his dog. (Listens) Oh well, that's great. I will give Joey the message. Thank you! (Hangs up and goes to write the message on the Magna-Doodle.) Yes! (Reading what he's writing) Okay. Mac audition at 2:00. Allergy actor attacked. (Pause) By dog not flowers. (ジョーイ? お前にジョーイ・スペシャルを買ってきたぞ! 2枚のピザだ! ジョーイ? [電話が鳴って、チャンドラーはそれに出る] [電話で] もしもし! [自分が今したことに気づいて、電話を口から離して叫ぶ] くそっ! [電話に戻って] もしもし? [電話を聞いて] いいえ、ジョーイは今はここにいませんが、私がメッセージを受け取れます…と思います。 [電話を聞いて] 彼にまだ役のチャンスがあるんですか? あぁ、それは素晴らしいニュースだ! [聞いて] うーん、いいえ、明らかに、自分の犬に怪我させられた俳優にとっては、素晴らしいニュースじゃないですけどね。[聞いて] ああ、それは素晴らしい。ジョーイにそのメッセージを伝えます。ありがとう! [電話を切って、マグナ・ドゥードル(磁気お絵かきボード)にメッセージを書きに行く] よし! [自分が書いているものを読みながら] よし。マックのオーディションは2時。アレルギー俳優、襲われる。[間を置いて] 犬に、花じゃなくて。)
チャンドラーが嬉しそうな顔で、ピザを2枚持って部屋に入ってきます。
Got you the Joey special! は、主語の I が省略されていますが、「俺はお前に(お前のために)ジョーイ・スペシャルをゲットしてきた、買ってきた」というニュアンス。
ト書きでも、チャンドラーのセリフでも言及されているように、the Joey special とは、two pizzas 「ピザ2枚」のことなんですね。
「ジョーイ・スペシャル」という名前なので、ジョーイの好きなトッピングがいっぱい入っているのか?と思いきや、ただ「ピザ2枚」をそう呼んでいるところに笑ってしまいます。
ジョーイは大食漢でピザが大好きですから、「ピザ2枚」が「ジョーイ仕様」なわけですね。
最初のト書きでは、peace offering という言葉が使われています。文字通り、peace 「平和、和平」を offer するということで、「和平・和解の贈り物」という意味になります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
peace offering [noun, countable] : something you give to someone to show them that you are sorry and want to be friendly, after you have annoyed or upset them
例) Mike brought in some doughnuts - I think they were a sort of peace offering.
つまり、「自分が人を困らせたり、怒らせたりした後で、自分が申し訳ないと思っている、または友好的になりたいとと思っていることを相手に示すために、その人に渡す何か」。
例文は、「マイクはドーナツを持ってきた。それは一種の和解の贈り物だと思う」。
にこにこしながらピザ2枚を持って入ってきたのは、これでも食べて仲直りしようよ、という気持ちだということですね。
ジョーイの名前を呼ぶも返事はなく、その時、電話がなります。
反射的に電話を取ってしまったチャンドラー。
前にもこうやって電話を取ってしまい、その伝言をし忘れたことで、ジョーイはいまだに怒っているわけですから、「俺は電話を取っちゃいけなかったのに、また取っちまった!」みたいな感じで、Damnit! と言っているのですね。
「ジョーイは今ここにはいません、でも、自分がメッセージを取り次げます」みたいに言った後、おまけのように、I think と付け加えるのが面白いですね。
「メッセージ、俺が受け取れます…と思います、多分」みたいな感じで、前に一度メッセージを伝え損ねたことがあるので、絶対とは言えませんけど、多分、伝えられると自分では思ってます、みたいな感覚です。
電話を聞いていたチャンドラーは、「ジョーイにはまだ役のチャンスがあるんですか?」と驚きの声を上げています。
obviously not for the actor who was mauled by his dog について。
まず、見慣れない単語 maul (発音は「モール」)は、「(獣などが)…を傷つける」という意味。
LAAD では、
maul [verb, transitive] : if an animal mauls someone, it injures them badly by tearing their flesh
例) A six-year-old boy was mauled by a mountain lion.
つまり、「動物が人を maul するとは、肉を切り裂くことで人にひどい怪我をさせること」。
例文は、「6歳の少年が、マウンテン・ライオン(アメリカライオン、クーガー)にひどい怪我をさせられた(ひどく傷つけられた)」。
no, obviously not と言っていますが、これはその前の文、Oh, that's great news. を受けての否定文でしょう。
Obviously, that's not great news for the actor who was mauled by his dog. ということですね。
Oh, that's great news! Well, no, obviously not for him. 「それは素晴らしいニュースだ。いや、彼にとっては明らかにそうじゃないですけどね」みたいな感覚です。
そのように、for him と言えばいいところを、セリフで him = the actor を詳しく説明させることで、その彼がどういう状況かがわかるという仕組みです。
obviously 以下を前から順番にイメージしていくと、
「明らかに、それは良いニュースではない、自分の犬に怪我させられた俳優にとって」
という感じになるでしょう。
そのチャンドラーのセリフから、アレルギーCMの俳優が役を降りることになったのは、自分の犬に襲われたからだ、ということがわかるわけですね。
LAAD の語義にあったように、maul は、"injures them badly by tearing their flesh" というような、かなりひどい怪我を指しますから、自分の犬に襲われて大怪我をしたために、ドラマへの出演が不可能になったということになります。
嬉しいニュースを聞いたチャンドラーは、「メッセージをジョーイに伝えます」と言って電話を切り、ドアにかけてあるボードにメッセージを書き始めます。
ト書きには、Magna-Doodle とありますが、Magna-Doodle で、Google 画像検索すれば、それがどんなものかすぐにわかります。
詳しい説明は以下のウィキペディアで。
Wikipedia 英語版: Magna Doodle
そのウィキペディアの説明を以下に引用させていただくと、
Magna Doodle is a magnetic drawing toy, consisting of a drawing board, a magnetic stylus, and a few magnet shapes.
つまり、「マグナ・ドゥードルとは、磁気(式)のお絵かきおもちゃ(トーイ)で、お絵かきボード、磁気の筆、2、3個のマグネットの型で構成されている」。
磁気で絵や字を書いたりするボード、つまり、日本のメーカーだと、タカラトミーの「せんせい」シリーズのような「マグネットのおえかきボード」のことですね。
商品情報:せんせい:タカラトミー
doodle は「いたずら書き(をする)」という意味。
doodle は、過去記事、フレンズ3-15その5、フレンズ5-24その3 にも出てきました。
そして、magna はどうやら、magnet から来たようですが…。
ちょっと脱線してみますと、Magna 「マグナ」という言葉で思い出すのは、世界史に出てきた「マグナカルタ」(大憲章)という言葉。
研究社 新英和中辞典には、Magna Carta の語源として、
語源:ラテン語 ‘great charter' の意
と出ています。
つまり、ラテン語の magna は、英語の great という意味なのですね。
「磁気でお絵かき」という意味の、magnet/magnetic doodle という感じのネーミングでありつつ、magnet/magnetic を、magna- にすることで、great doodle 「偉大な・素晴らしい(?)いたずら書き」みたいな意味も込めたネーミングなのかも、と思ったりもします。
そのマグナ・ドゥードルにジョーイへのメッセージを書くチャンドラーは、それを声に出して読んでいます。(もちろん、観客や視聴者にメモの内容を聞かせるためですが…笑)
その内容は以下。
Mac audition at 2:00. Allergy actor attacked. By dog not flowers.
要点となる単語が簡潔に並んでいるのが、いかにもメモっぽいですね。
日本語にすると、「マック・オーディション、2時(に)。アレルギー俳優、襲われる。犬に、花(に)ではなく」ということになります。
日本語でメモする場合も、「2時 ○○より電話。見積もりの件。戻り次第電話下さい、とのこと」みたいに簡潔に書いたりしますので、省略を多用する感覚は日英同じと言えるでしょう。
Allergy actor attacked. を文章にすると、The allergy actor was attacked. 「例のアレルギー(CMの)俳優が襲われた」になりますが、冠詞や be動詞を省いているのが、いかにもメモっぽい書き方という感じがします。
特に、be動詞を省いて、attacked という過去分詞形だけで、「受け身」「受動態」の「襲われた」という意味を表しているのが、いかにも英語っぽいですね。
このように、be動詞を省略して、過去分詞形だけで「受動態」の意味を表すのは、新聞記事の見出しでよく用いられる手法です。
「その俳優が襲われた」とメモした後、チャンドラーはちょっと考えてから、By dog not flowers. と付け足しています。
He was attacked by a dog, not by flowers. という意味ですね。
メモなので、冠詞も省略されて、by dog となっていますが、複数形(flowers)の場合はちゃんと複数形の -s がつくんですね。
「襲われた、っていう話は、犬に襲われた、ってことで、花(たち)に襲われたんじゃないよ」とメモっていることになります。
それはその俳優が「複数の花に追いかけられるCM」で有名で、少し前にもチャンドラー自身が、「彼にデカい花を贈ってビビらせたらいいんじゃない」などとも言っていたので、彼を襲ったのは、あんな風に俺たちが話題にしてた「花」じゃなくて、「犬」なんだけどね、とちょっとジョークを入れてみたメモになっているのですね。
嬉しいニュースの伝言を書きながら、ちょっとオチもつけちゃった、みたいにご満悦なチャンドラーが可愛らしいです。
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このJoeyとChandlerの場面は話題もはっきりしていて、安心できるわかりやすさがありますね。でも間に出てくるJoeyがひどいことをしたことの回想シーンは、スラングも多くなかなかセリフ理解が大変でした。
ここに出てきたpeace offering ってなんか表現として良いですよね。仲直りのための贈り物とか申し出とか、感じがよく出た表現で、一度使ってみたいです。Friendsではこの種の仲直りがしょっちゅうですが、怒るけどミスは誰にでもあるから許すという土壌で、ミスへの言い訳はしたもののやっぱり自分が悪いから何か気持ちを示す、というアメリカ型平和解決手段とでもいうようなものかなと思います。
こちらにもコメントいただき、ありがとうございます。
今回は回想シーンが多いですね。いろいろと懐かしいシーンがいっぱい出てきましたが、確かにスラングが多い部分もありましたね。
peace offering って良い表現だなと私も思いました。セリフ解説をメインにしているため、ト書きの説明は軽く流す場合が多いのですが、これは英英辞典にも載っていて、利用価値も高い表現だと思えたので、ご紹介してみました。怒らせて仲直りする、というシーンはフレンズに多いですが、特に何だかこのシーンは、奥さんの好物を買ってきてご機嫌を取ろうとする旦那さん、みたいで微笑ましいです。「オファー」という言葉はもう日本語になっているので、日本人にもすんなり受け入れられる言葉だと言えそうですね。