皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は8位、「にほんブログ村」は10位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
モニカ、チャンドラー、フィービーの家にジョーイが入ってきます。
モニカ: How was your first day? ((ドラマの)初日はどうだった?)
ジョーイ: Pretty great! Except I did get a little attitude from the robot. (かなり良かったよ! ロボットから、ちょっとした(無礼な)態度をもらったってこと以外はね。)
チャンドラー: Damn those robots. They're supposed to be our faithful servants! (あのロボットめ! あいつらは我々(人間)の忠実なしもべであるはずなのに!)
ジョーイ: Anyway, it wasn't the robot, it was the guy who controls him. Yeah, he doesn't like me. He had C.H.E.E.S.E. knock over the sandwich table right when I was reaching for one! Ohh! (とにかく、(問題なのは)ロボットじゃなくて、(ロボットの)彼をコントロールする男なんだ。そうさ、彼は俺のことが好きじゃないんだよ。彼は(ロボットの)チーズにサンドイッチのテーブルをひっくり返させたんだ、ちょうど俺がサンドイッチに手を伸ばそうとした時にだぜ! ああ!)
フィービー: Well, why don't you just get him fired? (ふーん、ただ彼をクビにさせたらどうなの?)
ジョーイ: I may have to. I hate to do it. But I'm the star! Y'know? There's a limit to how many sandwiches I can eat off the floor. (そうしなくちゃいけないかもしれないな。それをするのはいやだけど。でも、俺はスターだ、だろ? 何個のサンドイッチを床から食べられるかには限度があるよ。)
ジョーイが、自分が出演するドラマ「マック&チーズ」のために出掛けていたことを知っているので、モニカはジョーイが帰ると、「初日はどうだった?」と尋ねています。
How was your first day? は、初仕事の日はどうだったかを尋ねる定番表現ですね。
ジョーイは、Pretty great! 「かなりグレイトだったよ!」と答えるのですが、その後、Except を付け足して、「…ということ以外はね」と言っています。
フレンズにはこういう except の使い方がよく登場しますね。
先に全般的な感想を言っておいて、後から付け足しのように、「ただし…ということを除いてはね」と言っている感覚になります。
ジョーイのこのセリフも、Except が聞こえた時点で、「何かグレイトとは言い切れない出来事があったんだな」ということがわかるわけです。
attitude は「態度」ですから、I did get a little attitude from the robot. を直訳すると、「俺は例のロボット(=相棒役のチーズ)から、ちょっとした態度をもらった」と言っていることになります。
a little attitude と言っているだけで、それが、good なものなのか、bad なものなのかがわかりませんが、そのように bad などの形容詞がつかない形でも、「無礼な態度」というニュアンスを出すことができます。
Macmillan Dictionary では、
attitude : (informal) a proud confident way of behaving that some people consider rude
つまり、「(インフォーマル) 無礼・傲慢だと見なす人もいるような、高慢・尊大で自信に溢れたふるまい方」。
rude という言葉が使われていることからもわかるように、この語義のポイントは、「自信満々の態度で、それを無礼だと見なす人もいる」というところですね。
今回のジョーイのセリフも、「ジョーイにとっては無礼に感じられた尊大な態度」を言っていることになるでしょう。
ロボットが俺に無礼な態度を取った、という意味と呼応するように、チャンドラーも、Damn those robots. と吐き捨てるように言っています。
このような、Damn は、日本語だと「〜め!」と憎々しげに言う感覚が近いですね。
They're supposed to be our faithful servants! の be supposed to (be) は(今回のエピソードでは、何度も出てくるフレーズですが)、「〜するはずである、〜であるということになっている」という感覚。
faithful servants は「忠実なしもべ」なので、「彼らロボットは、我々人間の忠実なしもべであるはずだ」と言っていることになります。
これはもちろん、チャンドラーが本気でロボットに怒っているわけではなく、SFなどでよく使われる「ロボット工学三原則」(Three Laws of Robotics)の第二条(の前半部分)、
「ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない(A robot must obey the orders given to it by human beings)」
という原則を持ち出して、ジョークにしているわけですね。
ロボット工学三原則については、以下のウィキペディアで。
Wikipedia 日本語版: ロボット工学三原則
Wikipedia 英語版: Three Laws of Robotics
ジョーイは、そのチャンドラーのジョークを anyway と軽く流して(笑)、it wasn't the robot, it was the guy who... と言っています。
この it wasn't A, it was B の形は、「問題となっているのは、A ではなくて、B だった」という感覚。
ロボットからそういう無礼な態度をもらったけど、実際はロボットが問題なんじゃなくて、ロボットを操る男が問題なんだよ、ということです。
(ジョーイがチーズのあまりのチープさを見て、バカにしたような発言をしたので、発明者であり操縦者の彼はジョーイを嫌っているのです。)
He had C.H.E.E.S.E. knock over の had は使役動詞で、チーズに knock over させた、ということですね。
同じ使役動詞でも、let は「許可して・許して〜させる」、make は「強制的に・むりやり〜させる」というニュアンスがありますが、この have は「許可」でも「強制」でもない中立な感覚があります。
操縦者の彼がロボットを操作しているので、make でも良いようにも思いますが、このロボット自身に自我があるわけではないので、「何らかの意思に反して〜させる」というニュアンスを出す必要もないために、中立的な have を使っているのかな、と思います。
knock over は「ひっくり返す」。
right when I was reaching for... は「…に手を伸ばそうとしたまさにその時に」という感覚ですね。
日本語だと、「サンドイッチに手を伸ばそうとした時に、テーブルをひっくり返されたんだ」という語順が自然な流れになるでしょうが、英語ではこのように、時を表す副詞節は後ろに来ることも多いですね。
その英語の語順の感覚を出して訳すと、上のような訳になるわけで、日本語だと倒置にして強調したように聞こえる感覚になるでしょうか。
Why don't you just get him fired? の get him fired は「その男をクビにされた状態にする」という感覚。
fire という他動詞は「(人)をクビにする」という意味ですが、ジョーイ自身は、彼をクビにする権限を持っていないので、Why don't you just fire him? とは表現できないわけですね。
そういう権限のある人に話して、クビにさせたら?というのが、フィービーのセリフのニュアンスになります。
ジョーイは、「そうしないといけないかもしれないな。そうするのはいやだけど」と言っています。
自分のことを嫌っているし、嫌がらせもされたわけですが、彼をクビにすることには躊躇の気持ちもあるようですね。
それでも、「でも俺はスターだ、だろ?」と言って、ロボットを使っての嫌がらせに黙ってるわけにはいかない、みたいにも言っています。
「俺にもスターとしてのプライドってもんがあるんだ!」みたいな強気な発言に聞こえるのですが、その後のセリフで、「それでもスターか?!」とツッコミたくなるような発言が出てくるところが、ここのオチになっています。
そのオチの、There's a limit to how many sandwiches I can eat off the floor. について。
There's a limit to... は「…には限界・限度がある」。
何に対して限界・限度があると言っているかと言うと、how many sandwiches I can eat off the floor、つまり、「何個のサンドイッチを、床から食べることができるか」ということになります。
eat off の off は「分離」のイメージ。床にあるものを床から取って食べる、という感覚になります。
さきほど、ロボットのチーズがサンドイッチのテーブルをひっくり返した、と言っていることからも連想されるように、その時にサンドイッチが床に落ちてしまった、その床に落ちたサンドイッチを何個食べれるかにも限界があるだろ、と言っていることがわかります。
「何個食べられるかにも限界がある」と言っていることから、「何個かは食べた」ことがわかりますね。
「俺はスターなんだ、バカにされてたまるか!」みたいな流れから、「そのスターの俺が、床に落ちたサンドイッチなんか食べられるかよ!」と言うならまだしも、「床に落ちたサンドイッチを、そう何個も何個も食べられるもんじゃないだろ(今回は(いくつか)食べたけどさ)」と言っている、その「スターらしからぬ、みみっちぃ話」が、ジョーイっぽいオチになっているわけですね。
実際のところ、本当のスターであれば、スタッフが嫌がらせをしたことを怒ったとしても、「落ちたサンドイッチ」のことをそんなにしつこく話題にはしないでしょう。
フレンズ6-20その6 では、チャンドラーがジョーイを捜すために、サンドイッチを出すあらゆる店に行った、というセリフもありました。
また、フレンズ6-18 では、以下のような、床に食べ物を落とすシーンが出てきました(残念ながら、解説では飛ばしてしまった部分ですが…)。
ジョーイの家に住むようになったレイチェルが床にスパゲティを落とした時、ジョーイは「気にすんなよ。ここはジョーイん家だぜ」と言って一緒にスパゲティを落としたりしています。
ですが、面白がってたくさんのスパゲティを床に落としたレイチェルに、
ジョーイ: All right, don't waste it. I mean, its still food. (He picks it up and eats it.) (よし、(もう)無駄にしちゃだめだ。だって、それはやっぱり(まだ)食べ物なんだから。 [ジョーイは落ちたスパゲティを拾い上げ、それを食べる])
こういう過去のエピソードから、「ジョーイはサンドイッチが大好物」で「落ちたものでも食べる」ことが視聴者にはわかっているので、「床に落ちたサンドイッチを食べる話」をするジョーイのセリフが、余計に面白く感じられるわけです。
シリーズ物ならではの「お約束」ジョークだということですね。
ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
2012年06月30日
この記事へのコメント
コメントを書く