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ジョーイが利用しているクリーニング店では、壁に俳優の写真が飾ってあります。
ジョーイも以前、Days of Our Lives にドクター・ラモレーとして出演していた頃は飾ってもらっていたのですが、降板になると同時に写真を外されてしまいました。
今回、テレビドラマ「マック&チーズ」で主演することになったので、また写真を飾ってもらえると、張り切ってそのクリーニング店を訪ねるのですが、「テレビガイドに載ってないからダメだ」と言われてしまいます。
放映前だから載ってないだけだ、と言って、作品のビデオテープを置いていったジョーイが、再び店を訪ねるシーン。
[Scene: The Dry Cleaners, Joey is trying to get his picture up again.]
ドライクリーニング店、ジョーイはもう一度、自分の写真を飾ってもらおうとしている。
ジョーイ: (entering) Hey! So, did you watch the tape of my show? ([入ってきて] やあ! それで、俺の番組のビデオを見てくれた?)
クリーニング屋: I did. (見たよ。)
ジョーイ: All right, let's get me back up there! (Holds out his picture.) (よし、あそこに俺(の写真)を戻そうぜ! [自分の写真を差し出す])
クリーニング屋: No! You don't go up on the wall! (だめだ! お前はあの壁には載せられない!)
ジョーイ: What? But you saw the show! (何だって? でも君はその番組を見たんだろ?)
クリーニング屋: Yes, it was very offensive to my people! (見たよ、俺たちにとって、ものすごく侮辱的だった!)
ジョーイ: Dry cleaners? (クリーニング屋に(とって侮辱的だった)?)
クリーニング屋: Russians! It showed them as terrorists and villains! (ロシア人に、だよ! その番組は、ロシア人をテロリストや悪党のように見せてる。)
ジョーイ: Okay! Okay, look! You-you-you got Harrison Ford up there! (よし、よし。見ろよ! 君は、君は、ハリソン・フォードをあそこに飾ってるじゃないか!)
クリーニング屋: That's right. Mr. Ford is a very good customer. He brings a lot of clothes. You bring us nothing! (確かにそうだよ。フォードさんはとってもいいお客さんなんだ。彼はたくさんの服を持ってきてくれる。君は全然持ってこない!)
ジョーイ: Okay, well, that may be true. But, in-in Air Force One, okay, the Russians were terrorists! And evil! And plus, he kills a bunch of them! That-that-that's offensive to Russians. (わかった、そうか、それは本当かもしれないな。でも、映画「エアフォース・ワン」では、ロシア人はテロリストだったぞ! そして悪者だった! それに、ハリソン・フォードはたくさんのロシア人を殺すんだ! それって、それって、ロシア人にとって侮辱的だろ。)
クリーニング屋: I've never seen it! (俺はその映画を見たことないんだ。)
ジョーイ: Oh you should, it's great! (おぉ、君は見るべきだよ、最高だぜ!)
(The Dry Cleaner stares at him and Joey retreats.)
クリーニング屋がジョーイをじっと見るので、ジョーイは後退する。
今度こそ、写真を飾ってもらえると、ジョーイは張り切ってやってくるのですが、ジョーイが主演する番組のビデオを見たというのに、写真は飾れない!と拒む店員。
彼は、「その番組が my people に対して、すごく offensive だった」と、拒む理由を説明しています。
offensive は「侮辱的な、無礼な」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
offensive : very impolite or insulting, and likely to make people angry and upset (OPP: inoffensive)
to
例) Your behavior was deeply offensive (= very offensive) to me.
つまり、「非常に無礼で、侮辱的で、人を怒らせたり、憤慨させたりしそうな」。
例文は、「君の行動・態度は私にとって非常に侮辱的だった」。
上の例文にもあるように、「…にとって侮辱的である」と言う場合には、be offensive to のように、前置詞 to を使います。
上のセリフでもすべて、to が使われていますね。
my people は、「自分が属しているグループの人々」という感覚ですね。
俺たちのような人間にとって侮辱的だ、というニュアンスです。
それを聞いてジョーイは、「my people って言うのは、クリーニング屋さんのこと?」みたいに聞き返しています。
ジョーイにとっては、「彼はクリーニング屋さんだ」というイメージ・情報しかないので、「俺ら」と言われたらそれしか思い浮かばないわけです。
店員は、my people っていうのは、ロシア人、ってことだよ! と訂正しています。
この人はロシア人で、ロシア人を侮辱する番組だ、と怒っているわけですね。
彼が言うには、「その番組はロシア人をテロリストや悪党として見せている」とのこと。
「マック&チーズ」は、探偵のお話なので、敵にそういうロシア人が出てくるのでしょう。
villain は「悪者、悪党」「悪役、敵(かたき)役」。
発音は、「ヴィラン」という感じです。
怒る彼のセリフを聞いて、ジョーイは、「でも、ハリソン・フォードの写真をあそこに飾ってるじゃないか!」と指摘します。
それを聞いた店員は、「彼はいいお客さんで、たくさん洗濯物を持ってきてくれるんだ。君は全然持ってこないくせに」みたいにジョーイを非難しています。
ハリソン・フォードは大スターなので服もたくさん持っている、それに対して仕事の少ない売れない俳優のジョーイは持っている服も知れている、みたいなことでしょう。
服の話は確かにそうだろうけど、と言って、ジョーイは、ハリソン・フォードが主演していた映画「エアフォース・ワン」(原題も Air Force One)の内容について話しています。
日本語も英語と同じタイトルなので、ピンと来た方も多いでしょうね。
私もこの映画は映画館に見に行きましたので、印象深いです。
Wikipedia 日本語版: エアフォース・ワン (映画)
ジョーイの説明通り、この映画は、ロシア人テロリストが大統領専用機「エアフォース・ワン」をハイジャックする話です。
上のウィキペディアの「あらすじ」にも、「エアフォース・ワンに同乗させたロシアのテレビクルーが、実はテロリストだった」という内容が書いてあります。
その映画では、ロシア人が悪者として描かれていて、ハリソン・フォードはロシア人テロリストを殺してたのに、そっちの方がよっぽどロシア人にとって侮辱的じゃないのか?とジョーイは言いたいのですね。
ですが、店員はあっさり、「俺はその映画を見たことない」と言います。
「映画の中でハリソン・フォードがどんな役をしていようが、俺は見てないから構わない」みたいな感じです。
一方、ジョーイの方も、「あの映画のハリソン・フォードは…」と非難めいたことを言っておきながら、店員が「映画は見てない」と言うと、即座に「見てないなら見るべきだ、いい映画だぜ」と返します。
店員を説得するための例として出したのに、そのきっかけなど忘れたかのように、普通に勧めてしまうところが、ジョーイらしいですね。
そう言ってみても、店員の態度は変わらず、ジョーイはたじろいで後ずさりすることになります。
ここでちょっとトリビアネタ。
このクリーニング屋さん(The Dry Cleaner)を演じているのは、、Ilia Volok (イリア・ヴォロック)という俳優さん。
この顔に見覚えがあったので、IMDb (Internet Movie Database)を調べてみると、「バーン・ノーティス 元スパイの逆襲」(Burn Notice)に出ていました。
その話を少し前に見たことがあったので、私の記憶に残っていたようです。
そのエピソードは、「バーン・ノーティス」の 1-5 (パイロット版の前後編を1話とカウントすると、1-4 に当たる)「スパイの旧友」(Old Friends)。
Jan Haseck という役で、設定は、Czech hit-man 「チェコの殺し屋」。
それを調べた流れで他の出演作品のリストを見ていると、この俳優さんが、まさに上のやり取りで話題にあがっている映画「エアフォース・ワン」にも出演していたことがわかりました!
ウラジミール・クラシン(Vladimir Krasin)という名前のロシア人テロリストの一員として出演しているようです。
IMDb : Ilia Volok
の Filmography にも、今回の「フレンズ」のゲスト出演と「エアフォース・ワン」の出演が載っています。
このクリーニング屋さんは、「エアフォース・ワン」って映画は見てない、みたいに言っていたのですが、その彼は実はその映画に出ていた!という「楽屋オチ」ネタだったということです。
仮にそういう背景を知らない場合でも、「ハリソン・フォードの写真を飾っておきながら、あの大作映画の「エアフォース・ワン」を見てないだなんて、そんなことある?!」とか、「映画の中でロシア人を悪者にしていても、別に俺は見てないから問題ない、みたいに言うのってアリなの?!」という面白さを感じることはできますね。
ですが、「映画は見てない」と言っている彼自身が、その映画の出演者であり、ハリソン・フォードの敵であるロシア人テロリストを演じていた、ということがわかれば、余計にこのやり取りを面白く感じることができるでしょう。
「知ってる人ならより楽しめる、わかる人にはわかる」セリフになっているということですね。
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