2012年07月20日

彼女はそれを信じた? フレンズ6-22その6

皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は5位、「にほんブログ村」は10位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ


モニカが、モーガン・チェイス美術館で挙式するためのリストに名前を書いたと知り、チャンドラーはパニックになって、しばらく行方がわかりませんでした。
チャンドラーを家で待っていたモニカは、彼が帰ってくると、「おふざけでリストに名前を書いただけで、あなたにプレッシャーを与えるつもりなんかなかった」と必死に弁解し、チャンドラーもそれで納得した様子。
仲直りのハグをした後、
モニカ: All right. I'm gonna go tell Joey that (laughs) that you're back. I was really worried about you. (Exits.) (よーし(それじゃあ)、ジョーイに言ってくるわ [笑って] あなたが戻った、って。私はほんとにあなたのことを心配してたんだから。)
フィービー: (entering from her room) Hey, did she buy it? ([自分の部屋から出てきて] ねえ、モニカはそれを(本当だと)信じた?)
チャンドラー: Totally. (すっかりね。)
フィービー: So did Hildy show you the place? (それで、ヒルディはその場所を見せてくれた?)
チャンドラー: Yeah. It's beautiful. (ああ、きれいだね。)
フィービー: I can't believe you're gonna ask Monica to marry you. (あなたがモニカに結婚を申し込むなんて信じられない。)
チャンドラー: I know. (そうだね。)
(They hug.)
二人はハグする。

モニカは「あなたが戻った、ってジョーイに言ってくるわ。ほんとに心配したんだから」と言って、部屋を出て行きます。
何ともいえない表情で、モニカを見送るチャンドラー。
そこに、自分の部屋からフィービーが出てきて、Hey, did she buy it? と言い、チャンドラーは、Totally. と答えています。
この buy は「買う」ではなくて、「…を(本当だと)信じる」というニュアンスですね。
つまり、「彼女はそれを信じた?」「ああ、すっかり信じたよ」と言っていることになります。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
buy : BELIEVE [transitive] (informal) to believe an explanation or reason, especially one that is not very likely to be true
例) She'll never buy that excuse.

つまり、「ある説明や理由を信じること、特にあまり本当ではないようなことを」。
例文は「彼女はそんな言い訳は絶対に信じないよ」。

ロングマンの語義にあるように、buy は、「あまり本当ではないようなこと」を信じる場合に使われる単語です。
例文も、「そんな”嘘なのがミエミエの下手な言い訳”を彼女が信じるはずない」みたいなニュアンスですよね。
それを考えると、buy が使われたフィービーとチャンドラーの会話からだけで、「チャンドラーが本当とは違うことを言った、何か嘘を言った」らしいことが察せられます。
観客も視聴者も、このやり取りを聞いた瞬間に、「あれ? 何だかちょっと様子が違う」と感じたはずです。
チャンドラーがパニクって、モニカがそれをなだめて…というシーンだったはずが、何かそこには裏がある?と思える瞬間ですね。
フィービーが突然、部屋から出てきたのに、驚く様子もなく、むしろフィービーがそこにいたことを知っていたかのような様子であることも、「裏には何かある」ことを示していますね。

その次のやり取りで、ついに真実が明らかになります。
日本語訳なしの英語のセリフだけで、その「どんでん返し」に気づけた人は、ドラマを英語で楽しめていると言えることになるでしょう。

フィービーが「それで、ヒルディはその場所をあなたに見せた?」と言い、チャンドラーは、「ああ、きれいだね」と答えています。
ヒルディという名前はこのエピソードで何度か出てきたように、モーガン・チェイス美術館の人の名前ですね。
挙式のキャンセルが出たので…とモニカ宛に電話をかけてきた人です。
その美術館の(どうやら結婚式担当の)人が、「その場所をあなたに見せた?」と言っているわけですから、その言葉から、「チャンドラーは、その美術館を訪れ、式場となる場所を見せてもらった?」と言っていることがわかるわけです。
その問いに「ああ、きれいだね、きれいな場所だね」と答えるチャンドラーの笑顔がとても素敵ですね。
観客からもオー!という歓声が上がっています。
英語のセリフで見ていて、この観客と同じタイミングで歓声を上げることができた人、それが「英語を英語のまま理解できている人」だと思います。
「感動のシーンを英語のセリフで理解できた」ということは、何よりも自分の自信となります。
だからこそ、できるだけ「ネタバレ禁止」状態で見るように、私はお薦めしているのですね。

このシーンは本当に、何度見ても泣けてしまいます。
あれほど「コミットメント(commitment=特定の相手と深く真剣に付き合うこと)恐怖症」だったチャンドラーが、モニカに内緒で一人で式場の下見をしてきた、ということが、このセリフからわかるからですね。
"Yeah. It's beautiful." と言う時のチャンドラーの顔には、「コミットメント恐怖症」だった頃の面影はありません。
ずっと結婚に憧れていたモニカのために、人生最大の決心をして、それに心から満足している男の顔、です。

「式場の下見をしてきた?」「ああ、素敵なところだったよ」というやり取りだけで、もう、「チャンドラーはついにモニカと結婚する意志を固めた」ことがわかるのですが、フィービーはさらにそれをはっきりさせる形で、「あなたが結婚してってモニカに言うなんて、あなたがモニカに結婚を申し込むなんて、信じられない」と言っています。
I know. は「そうだね」という感覚で、「フィービーがそれを信じられないっていうのはよくわかるし、俺自身も自分がここまでできたことに驚いてるよ」という感じでしょう。

この時のフィービーの声も、チャンドラーの声も震えています。
もちろん、フィービー、チャンドラーという役を演じる役者としての演技であるのはもちろんですが、演じているリサ・クドロー、マシュー・ペリー自身も、自分たちが演じてきたフレンズのキャラクターの成長を感じて、感無量になっているようにも見受けられます。
演じる俳優たちと、観客、視聴者が一体となって、チャンドラー&モニカのこの画期的な出来事を一緒に喜び合えるのが、観客を入れた舞台で撮影しているシットコムの醍醐味と言えるかもしれませんね。


ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ
posted by Rach at 17:16| Comment(7) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
一つ前に記事でコメントしなくてよかった笑
Rachはいつも一つあとの記事で取り上げるとこは少し間を挟んだシーンが多いので、前のとこで今回のコメントを載せようとしてました((((;゚Д゚)))))))ネタバレにならなくてすんだ笑

シーズン6のチャンドラーは普段と違った意味でとても好きです。成長が多いから(^∇^)
ベガス帰ってから自分から同棲の提案も、(確かS6w)フィービーカップルとのディナーでのトイレでも、そして特に、このシーンでも。
昔のおちゃらけて笑いを取ってた姿とは別人です。
Posted by Fred at 2012年07月20日 19:59
Fredさんへ
コメントありがとうございます。

おっしゃるように、連続するシーンの場合は、「続きは次回にします」と私も書いたりするので、見極めが難しいですよね(笑)。

この記事で取り上げたやり取りは、重要なターニングポイントとなるところなので、解説で取り上げようと決めていました。私自身、このエピソードを初めて見た時に、このどんでん返しにものすごく驚いたのでやっぱり外せないだろうなぁ、と。

本当に、シーズン6のチャンドラーは「成長」してますよね。ロスとレイチェルがあんな状態(笑)なので、どうしてもチャンドラー&モニカの仲ばかりが気になってしまいます。基本的に一話完結のシットコムでありながら、シリーズ全体を通して見ると、それぞれのキャラがいろんな経験をして取り巻く状況も変わってくる、のが、フレンズを見続けてしまう理由なのかな、と思います。

私も男性キャラではチャンドラーが一番好きなのですが、ジョークの帝王みたいなチャンドラーだけでなく、このシーズン6のチャンドラーもとても魅力的で素敵だと思っています。:-)
Posted by Rach at 2012年07月23日 18:16
ターニングポイントって言うのは本当ですね。

何度も見返してると、失ってくる感覚ですが、
一番最初になにも知らずにフレンズを見て、このシーンを見たとき、
思わず、胸が踊って、無意識に『ワォ!』って言ったのを覚えてます。

ぜひこの感動は他の人にも知ってもらいたい(>_<)
Posted by fred at 2012年07月23日 20:50
fredさんへ
お返事ありがとうございます。

私も最初に見た時には、思わず声が出てしまったのですが、「俺はまだ準備できてないってわかってるよね」「わかってるわ」というやり取りを見て、モニカと同じように切ない気持ちになった後だったので、余計にこのシーンに感動してしまったんだと思います。

本当に、こういう感動を多くの方とシェアできるといいなと思いますね。
Posted by Rach at 2012年07月25日 17:46
こんにちは。
ここのシーン最高ですね!いつかこんなシーンがあればいいなと思っていましたが、まさかブルースウィルスがゲスト出演している回でこんなサプライズが待っているとは(笑)
思わずこのシーンだけ5回ぐらい繰り返して見てしまいました。

僕はいつもおちゃらけたチャンドラーが6人の中で1番好きなので、すごく感動しました。
俳優さんの笑顔がなんとも言えず満足そうな顔で、演技ではなんかじゃないと思わせてくれますね。
シーズン6の残りがどう展開していくのか楽しみです!
Posted by かもお at 2013年04月27日 11:31
Rachelさん、こんにちは(^^)

自分もチャンドラーファンなので、キャラクターの成長を感じるこのシーンは感動的でした。
訳あってシーズン10の前半を観てしまっていて、フィービーの「プロポーズするのってdesperateじゃない?」のシーンを観ていたので逆にこのチャンドラーの意志の変化に驚かされてしまいました。

buyはどうしても買う、と言う意味にひっぱられてしまって、正しく瞬時には理解出来ずどんでん返しに観客と同じタイミングで気付けないのが悔しいですね。

応援クリックやってみました(^^)
英語ブログって沢山あるんですね〜
Posted by Hiro at 2013年04月29日 03:53
かもおさんへ
コメントありがとうございます。
本当にここのシーンは最高ですよね。演じる俳優さんたちも、本当に嬉しそうで、ずっとフレンズを見続けてきたファンへの素晴らしいプレゼントになったと思いました。
これだから目が離せない、って感じがしますよね。


Hiroさんへ
コメントありがとうございます。
このシーンは、本当にチャンドラーの成長が感じられますよね。いつもおちゃらけてばかりのチャンドラーだからこそ、このシーンでの姿に感動できちゃうわけでしょう。

buy はやはり「買う」がまっさきに浮かんでしまいますが、フレンズでは何度か「…を(本当だと)信じる」というニュアンスで出てきました。そういうのも、生きた英語をたくさん浴びることで自然に馴染んでくると思います。

それから、応援クリックありがとうございます。とても励みになります。
クリックしていただくと、各英語ブログのランキング一覧にジャンプしますが、英語ブログってたくさんあるんですよね。私自身、このランキングで、他の方の英語ブログをたくさん知りましたし、逆にこのランキングから私のブログを訪問していただくことも多いので、ブログランキングへの登録で、私の英語ブロガーとしての世界も大きく広がった気がしています。
Posted by Rach at 2013年04月30日 15:30
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。