2012年07月25日

古生物学者なら掘り下げて フレンズ6-23その2

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モニカがチャンドラーに内緒で結婚式場を予約していたと知って、狼狽していたように見せていたチャンドラーでしたが、実は彼の方もモニカに内緒で、その式場を下見していました。
チャンドラーは婚約指輪を買おうと決め、そのことをフィービーと相談していた時に、ロス&ジョーイが入ってきたので、チャンドラー&フィービーはこそこそと逃げるように部屋を出て行ってしまいます。
その後の、セントラルパークでのシーン。
ロス: Hey, Pheebs, what-what was the deal with you and Chandler blowing us off before? (ねぇ、フィービー、少し前に、君とチャンドラーが僕たちを避けたのは一体どういうこと?)
フィービー: Yeah! That was so weird, huh? (そうね! あれってかなり変だったでしょ?)
ロス: Phoebe, why did you do it? (フィービー、どうしてそんなことしたの?)
フィービー: I didn't do it! It was Chandler! He's.... He's mad at you! (私がしたんじゃないわ! チャンドラーよ! チャンドラーが…彼があなた(たち)に怒ってるのよ!)
ロス: What?! Why?! (何だって? どうして?)
フィービー: Please, I think you know why. (全くもう、あなたはどうして(彼が怒っている)かを知ってると思うけど。)
ロス: I can't think of anything. (何も考えることができないよ。)
フィービー: Come on, Ross. You're a paleontologist. Dig a little deeper. (ちょっと、ロス。あなたは古生物学者でしょ。もう少し深く掘り下げなさい[掘り下げなきゃ]。)
ロス: Wait a minute, is it because Joey and I didn't invite him to that Knicks game a couple of weeks ago? (ちょっと待ってよ。それって2、3週間前に、ジョーイと僕とがチャンドラーをあのニックスの試合に招待しなかったから?)
フィービー: Do you think that's something that he'd be mad at you for? (それが、チャンドラーがあなた(たち)に対して怒ってることだとあなたは思うの?)
ロス: I guess it could. (可能性はあると思うよ。)
フィービー: Well, then I think that's it. (そう、じゃあ私もそれだと思うわ。)
ロス: Well, if he's angry, he really shouldn't just cover it up. I-I wish he would just tell me the truth. (うーん、もしチャンドラーが怒ってるなら、彼はそれを隠そうとすべきじゃないよ。本当のことをただ言えばいいのに、って僕は思うね。)
フィービー: Oh, if that's what you want, then you really should run him under hot water and bang his head against the table. (あぁ、もしそれがあなたの望みなら、そしたらあなたは彼を熱湯の下に通して、彼の頭をテーブルに打ちつけるべきよ。)

what's the deal? というのは、「どうしたの?」という意味。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
what's the deal? : used when you want to know about a problem or something strange that is happening
例) So what's the deal? Why is he so mad?

つまり、「今起こっている問題や何か変なことについて知りたいと思っている時に使われる」。
例文は、「それで、どうしたの? どうして彼はそんなに怒ってるの?」。

blow off は「吹く」+「分離」なので、「吹き飛ばす」が基本的な意味となり、そこから「避ける、無視する」という意味でも使われます。
「吹き飛ばす」という日本語からも、その対象となるものを軽んじて疎んじる感覚は感じられますよね。

「あれは一体どういうことなの?」と問われたフィービーは「ええ、あれって変だったでしょ」と様子がおかしかったことを認めます。
そして「どうしてそんなことをしたの?」と問い詰められて、「私がしたんじゃなくて、チャンドラーがやったことよ」と、自分のせいじゃないと主張します。
チャンドラーはあなた(or あなたたち)に怒ってるのよ、と言われても、ロスにはすぐには思い当たる節(ふし)がないようです。
「理由ならわかってるでしょ」「何も思いつかないよ」というやり取りの後のフィービーのセリフ、
You're a paleontologist. Dig a little deeper. が面白いですね。

paleontologist はロスの職業である「古生物学者」。
Dig a little deeper. を直訳すると、「もう少し(より)深く掘れ」になります。
ロスのように恐竜を研究している学者は、骨を発掘することが仕事の一つですよね(実際にシーズン1では中国での発掘調査の話も出てきました)。
また、dig deep には「深く掘り下げて調べる、探究する」という意味もあります。

Macmillan Dictionary では、
dig deep : to try very hard to find out information about someone
例) If I'd dug deeper, I might have found out what happened to his wife.

つまり、「誰かについての情報を見つけようと非常に努力すること」。
例文は、「もし私がもっと深く調べていたら、彼の妻に起こったことを見つけられたかもしれなかったのに」。

ですから、「ロス、あなたは古生物学者なんだから、もっと深く掘らなきゃ」と言いつつ、同時に「もっと深く掘り下げて調べなきゃ、探究しなきゃ」とも言っている、ダブルミーニングのしゃれになっているわけです。
日本語でも「深く掘り下げる」と言えば、「表面的なことだけではなく、深い部分まで徹底的に調べる・考える」というニュアンスになりますので、その感覚は同じですね。
ですから、このフィービーのセリフは、「あなたは古生物学者なんだから、もう少し深く掘り下げなさい」という日本語に訳せば、「発掘する」と「深く調べる、考える」との両方の意味で使っていることがわかるので、直訳してもそのまま日本語のしゃれとして通用する例の1つと言えるでしょう。
掘る、掘り下げる、という言葉の持つイメージは、日英同じだ、ということですね。

「もっと掘り下げろ、深く考えろ」と言われたロスは、「ニックス戦にチャンドラーを招待しなかった(誘わなかった)ことが原因かな?」と言います。
その後のフィービーの、相手の腹を探るようなセリフもなかなか面白いですね。
「ニックス戦が原因?」と言った時に、"Yeah, that's it!" 「そうよ、それよ!」と無責任に認めてしまうのも一つの手な気もするのですが、フィービーはあっさりそれを認めることはせずに、「それが、チャンドラーが怒っていることだと、あなたは思うの?」と問い返しています。
「そうである可能性はあると思う」と述べたロスに、フィービーはやっと、「それじゃあ(あなたがそう思うのなら)、それがそうだと[ニックス戦の件が、あなたが探している理由だと]思うわ」と言います。
誘導尋問みたいに相手の考えを引き出して、「あなたがそう思うなら、そうなんじゃない?」と、ちょっと責任逃れをしている感じがありますが、こういう展開にしておけば、「私がそうだと言ったんじゃない、私は嘘をついたわけじゃない」と後から言い訳できる気もしますしね。
嘘を言って何かしら理由を考えないといけない時には、こんな風に話を持っていけばいいのかも?と思えるような話術、テクニックにも思えます。

cover up は「(事実などを)隠す」なので、ロスは「怒ってるなら事実を隠さず、真実を話せばいいのに」と言っていることになります。
「ニックス戦のことで怒ってるなら、黙って無視したり逃げたりしないで、そのせいだってはっきり言ってくれればいいのに」ということですね。

tell me the truth という言葉が出てきたので、フィービーは、「もしそれがあなたの望みなら、もしあなたがチャンドラーに真実を話させたいなら」と言って、「彼を熱湯の下に通して、頭をテーブルに打ちつけるべきよ」と言っています。
このフレーズは、1つ前の記事、熱湯をかけて机に打ちつける フレンズ6-23その1 で取り上げたセリフに出てきましたね。
心を開かないポールを、「蓋の開かない瓶」に例えたフィービーに対して、「じゃあ、彼にお湯をかけてテーブルで頭を叩けばいいの?」のように、瓶の蓋を開ける行為を人間の彼に適用しろっての?みたいにレイチェルはジョークを言っていたのですが、フィービーは「それは人間の心を開かせる方法じゃなくて、人間に真実を吐かせる方法よ」と、まるで残虐な自白の拷問のように言っていた、というジョークでした。
そういうやり取りが視聴者の記憶に残っている間に、またここでそのネタが使われたことになります。
しばらく時間が経ってから、前に使ったギャグやジョークをもう一度使う、というのは、日本のお笑いでもよくある手法ですから、こういうものはコメディの王道と言えそうですね。


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posted by Rach at 16:55| Comment(0) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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