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ポールにもっと心を開いてもらいたい、と思っていたレイチェルは、何とか彼から子供の頃の思い出話を聞き出すのですが、そのことをきっかけに、ポールは次から次へと、つらかった思い出を語り出し、ついには泣きだす始末。
[Scene: Monica, Chandler, and Phoebe's, Monica is there as Rachel enters.]
モニカ、チャンドラー、フィービーの家。モニカがそこにいて、レイチェルが入ってくる。
レイチェル: Oh, my God! Oh, my God!! (なんてこと、なんてこと!)
モニカ: Still crying? (まだ泣いてるの?)
レイチェル: Like a little girl. I know. I know. I know. This is all my fault. I wanted him to open up. But God, I didn't know that I was gonna unleash this-this weepy, clingy, moist monster! (小さな女の子みたいにね。わかってる、わかってる、わかってる。これは全部私のせいよ。私が彼に心を開いてもらいたいって望んだんだもの。でも、あぁ、私は知らなかったのよ、こんなに涙もろくて、粘っこい、じめじめしたモンスターを解き放つことになるなんて。)
モニカ: Y'know, I only know of two surefire ways to shut a man up. And one of them is sex. (ねぇ、男を黙らせる2つの確実な方法がある、って聞いたことあるだけなんだけど。で、その1つは、エッチね。)
レイチェル: What's the other one? (もう1つの方法は何?)
モニカ: I don't know. I've never had to use the other one. I'm just saying, y'know, if we're having sex, he's not gonna be talking. (さあね[知らないわ]。もう1つの方法を使わなければならなかったことが今までなかったもの。ほら、ただこういうことよ、もし二人がエッチしているなら、男性は話したりしないもの。)
レイチェル: Oh, that's right. You're the talker. (They both reflect on that briefly) Anyway uh, great idea! Umm, I gotta go to the store. I told him that I would buy him some more tissues. (あぁ、その通りね。話すのはあなたの方だもんね。[二人は今の発言を一瞬考える] とにかく、あー、いいアイデアね! あー、私はお店に行かなきゃ。ポールに言ったのよ、彼にもっとティッシュを買ってくるって。)
モニカ: Oh, we have some.... (あぁ、(ティッシュなら)うちにあるわよ…)
レイチェル: No, you don't! (いいえ、あなたの家には、ないわ!)
「(ポールは)まだ泣いてるの?」と尋ねるモニカに、レイチェルは「ええ、小さな女の子みたいに(しくしく)泣いてるわ」と返します。
そのことについて苛立ち(いらだち)ながらも、そうなったのは自分のせいだとも認めていますね。
「わかってる、全部私のせいよ。私が彼に心を開いて欲しいと望んだから。でも知らなかったのよ(こんなことになるなんて)…」という流れですね。
weep は「涙を流して泣く」という動詞で、weepy はその形容詞で「涙もろい、涙ぐんだ」。
cling は「くっつく」という動詞で、clingy は「粘着性の、粘っこい、粘りつく」「まといつく」という形容詞。
moist は「湿った、湿っぽい」「(目が)うるんだ」という形容詞。moisture 「湿気、水分、モイスチャー」の関連語ですね。
leash は名詞で「(犬などをつなぐ)革ひも、鎖」。動詞では「(犬など)を革ひもでつなぐ」という意味になり、その動詞に un- という「逆の動作を表す接頭辞」をつけることで、「革ひもをはずす・解く」「束縛を解く、解放する」という意味になります。
「彼に心を開かせようとすることで、ジメジメ、ネチネチと泣いてばかりのモンスターを解放してしまうことになるなんて、知らなかったのよ!」と言いたいのですね。
ポールが泣きやまないと嘆くレイチェルに、モニカは、男を黙らせる2つの確実な方法について語ります。
surefire は「確実な、成功間違いなしの」という形容詞。
ここでの二人のやり取りを簡単に書くと、「2つの方法を知ってる、1つは○○」「もう一つは何?」「知らない」と言っていることになりますね。
2つ知っていると言いながら、1つは知らないと答えていることになり、矛盾を感じる気もしますが、これは、know of と know のニュアンスの違いを意識することで理解できる気がします。
know は「知っている」ですが、know of という形になると「直接的にではなく間接的に聞いて知っている」というニュアンスが出ます。
研究社 新英和中辞典では、
know=〔+of+【(代)名】〕(直接ではないが)〔…のことを〕間接的に知って[聞いて]いる
I know of him, but I don't know him (personally). 彼のうわさは聞いて(間接的に知って)いるが(個人的に)知り合ってはいない。 (注:あとの know は 【他】U「〈人と〉知り合いである」の意味)
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
know of somebody/something [phrasal verb]
1. to have been told or to have read about someone or something, but not know much about them
例) I only know of him - I've never actually met him.
2. to know that someone or something exists, used especially when asking for or giving advice.
例1) Do you know of any good restaurants in Chinatown?
例2) I know of one or two people who could help you with this.
つまり、1. は、「誰かや何かについて聞いたことがある、読んだことがあるが、それについてはあまり(多くのことを)知らないこと」。
例文は、「私は彼のことを聞いたことがあるだけだ[聞いたことがあるので知っているだけだ]。実際には彼に会ったことはない」。
2. は、「誰かや何かが存在することを知っていること、特に依頼する時、またはアドバイスを与える時に使われる」。
例文1は、「チャイナタウンに良いレストランがあるか知っていますか?」、例文2は、「この件で君を助けることができる人が1人か2人いるのを知っている」。
この know of のニュアンスを当てはめてみると、最初の know of を使ったセリフは、「男を黙らせる確実な方法が2つあると聞いたことがある」というような感覚になるでしょうか。
直接その2つの方法をモニカ自身が知っているわけではなくて、「確実な方法が2つある」って話を聞いたことある、という程度なのでしょう。
ですから、「1つ目は○○」と言えても、「2つ目は(あるらしいけど)私はよく知らない」という流れになるのですね。
know of と know の違いを感じたところで、その2つの方法について見てみます。
モニカによると、1つ目は「エッチ(すること)」で、2つ目は「知らない。使ったことないから」とのこと。
使ったことない、というのは、いつも1つ目を行なうことで問題が解決してしまうから、という意味ですね。
その後も、それを補足するような形でセリフが続いていますが、直訳すると、「もし私と相手の男性とがエッチをしているところなら、彼は話している状態にはならない」ということですね。
グチグチ、メソメソと泣きながら話をするような男性でも、エッチの最中にはそんな話はしないでしょ、エッチに持ち込めば彼を黙らせることができるでしょ、みたいなことですね。
それを聞いてレイチェルは「そうね」と同意した後、You're the talker. と言っています。
直訳すると、「あなたが話す(ほうの)人だ」みたいな感じです。
You're a talker. のように不定冠詞 a ならば、一般論として「あなたはおしゃべりだわ」という感覚になるでしょうが、ここで the talker と定冠詞 the で特定されているのは、if you two are having sex, you're the talker. 「あなたたち二人がエッチしている時には、あなたが話す人(話す担当)だもんね」みたいに言っていることになるでしょう。
別の言い方をすれば、You're the one who's talking while you two are having sex. という感じになるでしょうか。
そのように、the talker は「その状況で話すほうの人」という特定感が感じられる気が(私には)するわけです。
レイチェルは、モニカの話を聞いて、モニカがエッチしているところを頭に思い描いて、「ええ、確かに相手の男性は話さないわね、もっぱら話しているのはモニカの方だもんね」と言っているのだと思います。
ト書きにもあるように、そこで一瞬、奇妙で気まずい間(ま)が流れます。
言った瞬間、レイチェルも「あれ、まずいこと言った?」みたいな顔で視線を上にしていますし、モニカは伏し目がちで、顔がこわばっていて、レイチェルと視線を合わせようとしません。
モニカの顔には焦りみたいなものも見え、レイチェルも横目でモニカを見て、あっちゃー、みたいな顔もしています。
これは、モニカのエッチの様子を、レイチェルが詳しく知っていることを暴露してしまったために、お互い気まずくなっているわけですね。
偶然聞こえたのか、聞き耳を立てていたのかは知りませんが(笑)、そういう最中に聞こえてくるのは確かにモニカの声だけだわ、というのをレイチェルが言ってしまったために、「そんな時の声を聞かれてた?」と知り、恥ずかしくてレイチェルの顔を見られなくなってしまったわけですね。
レイチェルの方も、本来ならば、いくら(元)ルームメイトでかなりプライベートなことを知っていたとしても、あえてそれには触れないでいるのが、お互いのプライバシー尊重のためには必要だとわかっていたはずですが、モニカがエッチの最中の話を例えに出したのにつられて、つい、口が滑ってしまった、ということになるでしょう。
気まずい時に話を切り上げるのに便利な、anyway を使って、レイチェルは「お店に行かなきゃ。(泣いてばかりいる彼のために、涙を拭く)ティッシュを買ってくるって言ったから」と言いながら、そそくさと部屋を出て行こうとします。
モニカが言いかけた、we have some... は、we have some tissues here (in my apartment) ということですね。
「ティッシュなら(この部屋の住人である)私たちが持ってる」→「ティッシュなら、わざわざ外の店に買いに行かなくても、うちにあるわよ」と言っていることになります。
それに対してレイチェルは、No, you don't! と強く否定していますね。
「いいえ、あなたたちはティッシュを持ってないのよ! ここはティッシュはないのよ!」と断言している形になりますが、それは、気まずいことを言ってしまって早くここから逃れたいのと、この家のティッシュを借りれば、またすぐにポールのところに戻らないといけないので、外に出かけることでポールのところに戻るまでの時間を少しでも稼ぎたい、という思いの両方からでしょうね。
「あなたがあると言っても、ティッシュはここにはないの!」と強く言うことで、「ティッシュはないってことにしといて!」みたいな気持ちが込められるということですね。
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