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チャンドラーがモニカにプロポーズの言葉を述べ始めた直後に、そのレストランの入り口にリチャードの姿が見えます。
元カレの登場に驚いたモニカは、思わず「リチャード!」と声をかけてしまい、チャンドラーのプロポーズの言葉は中断されてしまいました。
モニカ: Hey, it's good to see you! (まぁ、あなたに会えて嬉しいわ!)
リチャード: You too, you let uh, your hair grow long. (僕も君に会えて嬉しいよ。君は髪の毛を長く伸ばしてるんだね。)
モニカ: Yeah. Oh, that's right. You, you always wanted me to. Hey, I see you got your mustache back. (ええ。その通りよ。あなたはいつも私にそうして欲しいって言ってたものね。ねぇ、あなたはヒゲをまた生やしてるのね。)
リチャード: Well, my nose got lonely. (あぁ、僕の鼻が寂しくなってね。)
チャンドラー: (to Richard's date) And uh, you don't have a mustache, which is good. (She just smiles.) I'm Chandler. I make jokes when I'm uncomfortable. ([リチャードのデート相手に] それで、あなたにはヒゲがないですね、それは良かった。[彼女はただ笑うだけ] 僕はチャンドラーです。僕はジョークを言っちゃうんですよ、居心地の悪い時に。)
リチャードのデート相手: Hi, I'm Lisa. (こんにちは、私はリサよ。)
チャンドラー: Hi. (こんにちは。)
リチャード: Oh, I'm sorry. (Introduces them.) Lisa, (nodding at each) Monica, Chandler. We used to date. (ああ、ごめん。[彼らを紹介する] リサ、[それぞれにうなずいて(それぞれをあごで示して)] モニカ(と)、チャンドラーだ。僕たちはかつてデートしていた[付き合っていた]んだよ。)
チャンドラー: Richard! No one's supposed to know about us! (Richard just smiles at him.) See I, did it again. (リチャード! 誰も僕ら[私たち]のことを知っちゃいけないことになってるだろ[でしょ]! [リチャードはただチャンドラーに微笑む] ほら、僕はまたやっちゃいました。)
チャンドラーがプロポーズしようとしていたことにも気づかず、モニカは元カレとの再会を喜んでいる様子。
You let your hair grow long. を直訳すると、「君は君の髪の毛を長く伸ばすことを許している」という感覚。
髪の毛は放っておくと自然に伸びるものなので、ヘアカットするなどして短くすることなしに、自然に伸びるままに任せている、という感覚から、let 「〜の状態になることを許す、〜の状態にさせる」が使われているのですね。
grow は Hair grows. 「髪の毛が伸びる」という自動詞でも使えますし、He grows his hair. 「彼は髪の毛を伸ばす」の形で、人が主語、髪の毛が目的語の形でも使えます。
そういう意味では、let がない形の、You grow your hair long. / You've grown your hair long. なども使えそうですが、あえて let を入れることで、「髪の毛が伸びるのを、あえて許している」というような感覚が感じられる気がします。
You always wanted me to. は、You always wanted me to grow my hair long. が省略された形。
リチャードの「(今は)髪を伸ばしてるんだね」というセリフから、リチャードが昔、モニカに「君は髪の毛が長い方が似合うから、長く伸ばしたら?」と勧めていたことを思い出したのですね。
「長い髪の毛と言えば、あなたはいつも、伸ばせ伸ばせ、って言ってたわよねぇ」みたいに懐かしそうに思い出話をしているわけです。
つまり、リチャードと付き合っていた当時は、リチャードが伸ばせと言っても髪の毛を短く切っていた、だからリチャードはあえて「今は長く伸びるのを”許している”、前みたいに伸びたからってすぐに切ったりしないんだね」という意味で let your hair grow long と言った、ということにも繋がるわけですね。
見た目の変化を言われたモニカは、リチャードにも同じようなことを返します。
「あなたがヒゲを取り戻したのが私には見える、わかる」みたいなことで、「あら、あなたのヒゲは復活したのね」みたいなことですね。
get lonely は「寂しくなる」ですから、鼻の下にヒゲがないと、鼻が寂しがったんでね、みたいに言っていることになります。
ヒゲの話が出たので、チャンドラーは話に割り込んできて、リチャードと一緒にいる女性に対して、「あなたにはヒゲがないですね、それは良かった(それはいいことです)」みたいに言っています。
女性だからヒゲがないのは当たり前なのですが、リチャードと同じような豊かなヒゲを生やした男性を同伴していたとすると、リチャードがゲイのカップルみたいになってしまうので、「あなたがヒゲの生えていない女性で良かった、リチャードのデート相手が女性で良かった」と言っているようにも思います。
妙なジョークにどう反応したらよいか判断しかねる同伴の女性は、ただ微笑むしかありません。
チャンドラーは遅ればせながら、という感じで名前を名乗って、「僕はジョークを言うんです、uncomfortable な時に」と説明しています。
つまり、今はちょっと居心地が悪くて、そういう時にはいつも、こんなつまらない冗談を言ってしまうんですよね、僕って…みたいにちょっと自虐的な自己紹介をしているわけですね。
自分の彼女が元カレと親しそうに話しているのを見て、チャンドラーは面白いはずもありません。
「あなたは長い髪の毛の方がいいって言ってたものね」みたいに言われたらなおさらです。
そういう「ちょっと今僕は気分・機嫌が悪い」というところを、さりげなく盛り込んで、「そういう時にジョークを言うような人間なんですよ、僕は」と、「習慣・習性を表す現在形」を使って、説明していることになります。
チャンドラーが自ら名乗って、それに答える形でリサも名乗るのですが、それを見てリチャードは「おっと、申し訳ない」みたいに謝っています。
普通はこんな風に、初対面の人がいる場合には、両方を知っている人がそれぞれを紹介するのが礼儀ですよね。
モニカとリチャードがそれぞれの同伴相手をほったらかして、紹介するのを忘れていたことを詫びる感覚になるでしょう。
逆に I'm sorry. と言ってしまうことで、「モニカとの再会に驚いて、モニカと話すのに夢中になって、紹介するのをすっかり忘れてたよ、ごめんごめん」と言っている形になり、ほっとかれた人にしてみたら、「君たちのこと、忘れてた」みたいにはっきり認められた形になるようで、あまり良い気はしない気がします。
そういう部分に、モニカだけでなく、リチャードもモニカとの再会に驚き喜んでいる様子が伺えるわけですね。
リチャードはそれぞれを紹介して、「私たちはかつてデートしていたんだ、付き合っていたんだ」と説明します。
それを聞いたチャンドラーが即座に、リチャード!と言うので、「俺たちが今付き合っているのに、そんなことをわざわざ初対面の人に言うんですかぁ?」と抗議でもするのかと思いきや、ちょっと違った方向の抗議に変えて、それをジョークにしているところが、チャンドラーらしいです。
No one's supposed to know about us! の be supposed to はフレンズ頻出フレーズで、「〜することになっている」。
ここでは主語が否定語の No one 「誰も〜ない」になっていますので、つまりは、be not supposed to 「〜してはいけないことになっている」という意味になります。
「私たちのことについて、誰も知ってはいけないことになっている!」と叫んでいることになりますが、ここでの us とは、「リチャードとチャンドラー」のことですね。
モニカとチャンドラーを紹介した後、リチャードは「私たちはデートしていた」と説明しました。
つまり、具体的に「モニカと私は」とは言わなかったので、「私たち」と言った場合、「モニカとリチャード」か「チャンドラーとリチャード」かの2通りが考えられるわけですね。
リチャードはゲイではないと同伴女性も知っているでしょうし、いかにも元カップルっぽい会話を交わしていたので、その付き合っていた相手がモニカであることは、リサも瞬時にわかったはずですが、リチャードが we と言ったのを利用する形で、「そう、リチャードが言ったように、リチャードと僕はかつてデートしていた仲だったけど、誰もそれを知っちゃいけないことになっていたはずだ、僕らの仲を他の人に話しちゃいけないってことになってただろ?」と抗議しているかのようなセリフを言ったのですね。
こういうセリフは、「だめよ、リチャード、私たちが付き合ってたことは内緒にするって約束でしょ!?」みたいに、「チャンドラーがまるで女性(リチャードの元カノ)になったような気持ちで言っているセリフ」のように訳すと、雰囲気がつかみやすい気がします。
「モニカと僕は昔付き合っていてねぇ」みたいに嬉しそうに話すリチャードに対して、真正面から抗議できないチャンドラーは、ジョークのようにそう言うことが精一杯だった、という感じになるでしょう。
リチャードもそういうチャンドラーのジョークにどう反応していいかわからずただ微笑んでいるだけ。
チャンドラーは、See I, did it again. と言っています。
「もう一度それをした」というのは、さきほど言ったヒゲのジョークと同じで、I make jokes when I'm uncomfortable. 「居心地の悪い時にジョークを言ってしまう」というのを、またやっちゃった、ということですね。
とにかく、この場の気まずさをジョークでごまかすしかできない、チャンドラーのつらい立場に大いに同情してしまうシーンです。
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このシーンはチャンドラーがちょっと気の毒ですよね。
自分はリチャード&モニカカップルも好きだったので、こんな感じで敵役で再登場したのもちょっと残念だったです。
Be supposed toの表現は最初は全く慣れなかったのが、フレンズでたくさん聞いたお陰で、今では自分でもよく使うようになりました。
〜するべき、〜する予定になってる、〜と思われてる、期待されている
みたいに、色々な助動詞の意味を持っていると理解してあらゆる場面で使ってしまってます。聞き手に意味の判断を任せて。使い方が正しいのか分かりませんがどうなんでしょうか(^^;;
私も、リチャード&モニカカップル、好きでした。リチャードはいいキャラだったのに、こんな役回りでの再登場は、おっしゃるようにちょっと残念でしたよね。
be supposed to は本当にフレンズ頻出表現ですよね。「〜することになっている、〜するはずである」みたいな訳語で使われるのが多い気がしますが、suppose 「…だと思う、考える」の受身形なので、カバーする範囲は実に広いように思います。使い方が正しいかどうかの判断は難しいですが、実際にこんなニュアンスで使われていた、ということなら、同様の場面・状況でも使えるだろう、というような判断基準で、使えるか使えないかを判断するしかない、ということになるでしょうね。
I suppose 「私は…と思う」のような使われ方よりも、be supposed to として出てくる方が断然多い、ということに気付いたのはフレンズのおかげで、そういうことを学べるのがドラマで学ぶ利点なのだろうと思います。