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リチャードに出くわして、婚約指輪を渡し損ねたチャンドラー。
それを知らないフィービーとジョーイが、モニカを見た途端、「(指輪をはめている)手を見せて!」と騒いだことにチャンドラーは怒っています。
モニカは変に思いながらも、指輪のことだとは気付かず立ち去りますが、プロポーズを明日に延期したチャンドラーは、モニカにプロポーズのことを悟られないようにするにはどうすればいいか悩んでいます。
チャンドラー: This is terrible. What am I going to do? (こんなの最低だよ。俺はどうすればいい?)
フィービー: Look, she only suspects something, okay? She doesn't know for sure, so just throw her off the track. (ねぇ、モニカはただ何かをうすうす怪しいと思ってるだけよ、でしょ? 彼女は確実に知ってるわけじゃない、だからただモニカが手掛かりから離れるようにすれば(モニカをまけば)いいだけよ。)
チャンドラー: That's right, I can throw her off. I can make her think marriage is the last thing on my mind. (その通りだ、俺は彼女を混乱させることができるぞ。結婚なんて全く考えてないんだって彼女に思わせることができる。)
フィービー: Yeah! Yeah! Convince her that-that you're scared of commitment! (そうよ! そうよ! あなたはコミットメントを恐れてるって確信させるのよ!)
チャンドラー: I can do that. I've had 30 years of practice. (それならできるよ。俺は30年間実行してきたんだから[30年の実践経験があるから]。)
ジョーイ: Hey, being you is finally gonna pay off! (They give each other fives.) (おい、”お前であること”がついに報われることになるな! [二人はお互いにハイファイブをする])
she only suspects something の suspect は、「〜を怪しいと思う、〜にうすうす気づく」という意味。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
suspect : to think that something bad or secret is probably happening, true, or likely
つまり、「何か悪いことや秘密が恐らく起こっている、真実である、あり得ると思うこと」。
モニカの場合も、何か妙なことが起こっているとは感じるものの、それが何がははっきりわかっていない、という感覚ですね。
for sure は「確実に、確かに」なので、She doesn't know for sure は「確実に知ってる・わかってるわけじゃない」。
ぼんやりとした疑念を持っているだけで、何のことかははっきりしていないから、ただ、throw her off the track すればいい、とフィービーはアドバイスしています。
track は「足跡」「進路」「軌道」のような意味で、off the track は off の「離れる、分離」のニュアンスから、「軌道からはずれて」という意味になります。
throw off は「投げる、捨てる」+「分離」のニュアンスで「〜を投げ捨てる、振り捨てる」ことから、「(追っ手)から逃れる、(追っ手)をまく」という意味にもなります。
ですから、throw her off the track は、「モニカを軌道からはずれるように振り捨てる」という感覚で、「秘密が何かを掴もうとしている軌道(手掛かり)から離れるようにモニカをまく」というようなことになるでしょう。
そう言われてチャンドラーも、「その通りだ。俺はモニカを throw off することができる」と言っています。
I can make her think... つまり、「モニカに…だと思わせることができる」とも言っています。
モニカに思わせる内容は、marriage is the last thing on my mind と表現されています。
the last thing は「最後のこと」ですから、「最もしそうにないこと、最もやりたくないこと」という意味になります。
LAAD では、
the last person/thing : used for emphasizing that a particular person or thing etc. is much less likely, appropriate, or desirable than all others
つまり、the last person や the last thing とは、「ある人やあることなどが、他のものに比べてずっと可能性がないこと、適切でないこと、望ましくないことを強調するために使われる」。
そして、セリフにあった表現、be the last thing on somebody's mind も、LAAD に載っていました。
be the last thing on somebody's mind : to be the thing that someone is least likely to be thinking about
例) Marriage is the last thing on my mind right now.
つまり、「人がそれについて考える可能性が最も少ないことであること」。例文は、「今は、結婚のことは全く考えていない」。
この例文がチャンドラーのセリフとほぼ同じなのが興味深いですね。
「そんなことこれっぽっちも思っちゃいない」みたいな例文を作る場合に、「結婚」という言葉がイメージされやすいんですねぇ。
convince は「納得させる、確信させる」。
commitment 「男女の真剣で深い付き合い」をチャンドラーは恐れてると、モニカに確信させるのよ、ということです。
チャンドラーは「俺にはそれができる」と言って、I've had 30 years of practice. とも言っています。
practice は「練習」という訳語で覚えることが多いですが、この場合は、「実行、実践」「(実地の)経験」みたいな意味ですね。
つまり、「俺には30年の実践経験があるから」と言っていることになり、「深い付き合い恐怖症、結婚恐怖症ってやつをこの30年間ずっと経験してきたから、そういうふりをするのは慣れてるよ」と自虐的に言っていることになります。
それに対するジョーイの言葉も面白いですね。
pay off は「うまくいく、成功する、報われる」という意味。
LAAD では、
pay off: if something you do pay off, it brings success, especially after a lot of effort or after a long time.
つまり、「自分のする何かが pay off するとは、それが成功をもたらす、特にたくさんの努力の後、または長い時間の後に」。
being you は「お前である、ということ」という動名詞で、「お前であるということが、ついに報われることになる」と言っていることになります。
これまでずっと、コミットメント恐怖症で何もいいことなかったけど、そういうお前であることが、今回やっと報われるんだな、コミットメント恐怖症であったことが、やっと役に立つんだな、と言っているわけです。
「お前であることが、お前でいることがやっと報われる」とまで言われてるチャンドラーって…と同情したくなりますね。
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私は今年の春からフレンズにはまり、英語の勉強のために見ています。まさかこのような解説をしてくれる方がいると思わなかったので、このブログに出会えたことに感動しています!笑
ちょうどseason6を見終わったところで、タイミングもピッタリで驚きです。これから、勉強の参考にさせていただきます。ありがとうございます。
コメントありがとうございます。
おっしゃるように、挙げていただいたフレーズは、「意味はわかるけれど、自分からはすっと出てこない」ものばかりですね。こういう言葉がすんなり使えれば、かっこいいなと思います。
doubt は「〜ではないと疑う」で、suspect は「〜だろうと疑う」というような違いですよね。今回のモニカも、「何かある」ということに薄々気づいてはいるけれども、それが何かははっきりわからない、みたいことですから、doubt ではなく suspect を使うわけですよね。
生きた英語はキレがある、というお話には納得です。
また、いつも温かいお言葉、ありがとうございます。これからも頑張ります。
Ellyさんへ
初めまして。コメントありがとうございます。
拙ブログを見つけ出して下さって、ありがとうございます。英語の勉強のお役に立てるとしたら、大変光栄で嬉しいです。
タイミングもピッタリだとのこと、良かったです。ネタバレしないで済みますしね(笑)。
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