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リチャードがモニカに「結婚して欲しい」と言ったことをジョーイから聞いて、チャンドラーは激怒しています。
チャンドラー: He's not supposed to ask my girlfriend to marry him! I'm supposed to do that! (リチャードは俺の彼女に結婚してくれなんて言っちゃいけないことになってるんだ[言うべきじゃないんだ]! 俺がそれをすることになってるんだよ!)
ジョーイ: I know! (そうさ!)
チャンドラー: Well what-- Y'know what I'm gonna do? I'm gonna go over there and I'm gonna kick his ass! (Pause) Will you help me?! (うーん、俺がどうしたらいいかわかるか? 俺はこれからあそこ(リチャードの家)に行って、リチャードのケツを蹴り飛ばしてやる! [間があって] 俺を助けてくれるよな?)
ジョーイ: Look, Chandler, I don't think us getting our asses kicked is a solution. Okay? Look, just go and find Monica! (なぁ、チャンドラー、俺たちのケツが蹴られてもそれは解決にはならないと思うぞ。だろ? なぁ、とにかく出かけて、モニカを捜すんだ。)
チャンドラー: You're right. (お前が正しいよ。)
ジョーイ: Yeah! (そうだよ!)
チャンドラー: Okay. (Starts running for the bedroom) I'm gonna get the ring! I'm gonna get the ring! (Does so) I'm gonna go find her and (starts running for the door) I'm just going to propose! (よし。[寝室に走って行く] 指輪を取ってくる! 指輪を取ってくる! [チャンドラーはそうする(実際に指輪を取る)] 俺はこれから彼女を捜しに行って、それから [ドアの方に走って行く] ただプロポーズするんだ!)
ジョーイ: Okay. (よし!)
チャンドラー: Okay great. (よし、いいぞ。)
ジョーイ: Dude-dude-dude! (おい、おい、おい!)
チャンドラー: What?! (何だ?)
ジョーイ: Let me know about that coconut phone, it might be good for the boat. (さっきのココナッツ電話のことを俺に教えてくれよな。ボートで役立つかもしれないから。)
チャンドラーは、フレンズ頻出の be supposed to を使って、「リチャードは俺の彼女(モニカ)に結婚を申し込むべきじゃない、俺がそうするべきなんだ」と言っています。
そして、「俺はこれから彼の家に言って、彼のケツを蹴ってやる!」みたいに強気な発言をしていますね。
ですが、少しの沈黙の後、「俺を助けてくれる?」みたいに、すぐ弱気なことを言ってしまうのが、チャンドラーらしいです。
その次のジョーイのセリフですが、これがちょっと面白いですね。
I don't think us getting our asses kicked is a solution. の構造が少しわかりにくいかもしれませんが、構造を単純化すると、I don't think (something) is a solution. と言っていることになります。
something を仮に A とすると、A が解決(解決法、解決策)であるとは思えない、ということなので、A では(A をしたところで)何の解決にもならないぞ、と言っているわけです。
その A が、us getting our asses kicked になるのですが、これは getting... という動名詞で、動名詞の主語が、us という目的格になっているパターンですね。(これまで何度も出てきましたが、口語では、動名詞の主語が目的格になることが多いです)。
この動名詞を文の形にすると、We get our asses kicked. 「俺たちは自分たちのケツを蹴られる」になります。
(ass は卑語なので、「尻」(butt)よりも、「ケツ」と訳す方がしっくりくると思うので、この後も「ケツ」という言葉が頻出しますが、お許し下さい…笑)
自分たちのお尻がキックされる状態を被る(こうむる)という感覚ですね。
この会話をなにげなく聞いていると、「リチャードのケツを蹴り飛ばしてやる」「そんなことしても(リチャードの尻を蹴っても)、何の解決にもならないぞ」と言っているように思ってしまいそうですが、もしそう言いたい場合なら、I don't think (us) kicking his ass is a solution. 「(俺たちが)彼のケツを蹴っても、何の解決にもならない」という文章になるはずです。
実はジョーイが言っているのは、「リチャードのケツを蹴ること」ではなく、「俺たちのケツが蹴られること」であって、それがこのセリフの笑いのポイントになっているわけですね。
「一緒にリチャードのケツを蹴り飛ばしに行ってくれるよな?」と弱気なチャンドラーに、「二人で行ったところで、逆に、頑強で大柄(おおがら)の彼にケツを蹴り飛ばされてしまうのがオチだ」と言っているのでしょう。
喧嘩しに行ったところで、逆に俺たちがヤラれるだけで、それじゃあ何の解決にもならないだろ、と言っているのです。
その後、勝てるはずのないリチャードに挑む前に、まずはモニカを捜せよ、とジョーイにしては冷静なアドバイスをしていることになるわけですね。
このジョーイのセリフの「ひねり」みたいなものは、聞き流してしまいがちな部分ですが、シットコム特有の「ラフトラック(laugh track、笑い声)」を意識していると、気付ける部分のように思います。
チャンドラーが、Will you help me? と情けないことを言った時にも、観客のラフトラックが入っていましたが、ジョーイが ... is a solution. と言った後には、それと同じ、もしくはそれを上回るようなラフトラックが入っていました。
「リチャードのケツを蹴りに行くぞ」「そんなことしても何の解決にもならないと思うぞ」だとすると、結構、常識的な当たり前の指摘で、そこで笑い声が入るのは違和感がありますよね。
この笑い声は、「(逆に)俺たちのケツが蹴られることになる」ことを当然のように想定しているジョーイのセリフに笑ってしまう、ということで、そのセリフの意味に気づき、ネイティブと同じように、このタイミングで笑うことができる、ということが、英語力を測る良いバロメーターになると言えるでしょう。
その後、モニカを捜しに行くことを決めたチャンドラーは、指輪を持って出掛けようとします。
それを引き留めるジョーイ。
最後に何か、良いアドバイスでもするのかと思いきや、Let me know about that coconut phone と言っているのに笑ってしまいますね。
前回の記事、教授とココナッツ電話を作ってた フレンズ6-25その3 で解説させていただいたように、船長のかっこうをしているジョーイを見て、チャンドラーがココナッツ電話のジョークを言ったのですが、ジョーイはそのことをまだ覚えていて、ボートで役立つかもしれないから、つまり、無人島で遭難して連絡が取れない時に、それが作れたりすると便利だから、みたいなことを言って、後で詳しくココナッツ電話のこと、教えてくれよな、と言っているのですね。
そのジョークを言った後、大変な事態になってしまって、チャンドラー本人もそんなジョークを言ったことを忘れているだろうというこの時に、「ここでそれを持ち出す?」的な面白さが、ジョーイらしくて楽しいです。
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2012年09月03日
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