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チャンドラーは、リチャードの家を訪れます。
そこにモニカの痕跡を感じ取って、モニカはどこだ?と問い詰めるチャンドラーに、「モニカはここに来ていたけれど、出て行った」と告げるリチャード。
チャンドラーは、リチャードに怒りをぶつけています。
チャンドラー: It was working till you showed up, you big tree! I mean, this isn't fair. You had your chance with her! You had your chance and you blew it! And this is my chance and I am not going to blow it because we are meant for each other! And this has all just been one stupid mistake! (Sits down heavily.) I was gonna propose tonight. (あんたが現れるまでは、うまくいってたんだよ、この巨木(ノッポ)め! だって、こんなのフェアじゃないよ。あんたはモニカとのチャンスがあったんだ! そのチャンスがあったのに、それをダメにした! そして、これは俺のチャンスなんだ、俺はこのチャンスを逃したりしない、だって俺たちは(お互いのために生まれてきた、赤い糸で結ばれた)最高のパートナーだからだ! ただ、ずっと、バカな間違いが一つあっただけなんだよ! [どっしりと座り込む] 今夜プロポーズする予定だったのに。)
リチャード: You were gonna propose? (Sits on the arm of the couch.) (君はプロポーズするつもりだったのか? [カウチの腕に座る])
チャンドラー: Yeah, I even (pause) got a ring. (Puts in on the center cushion.) Did you get a ring? (そうさ、俺は [間があって] 指輪を買いさえしたんだ[指輪だって買ったんだ]。[センタークッションの上に指輪を置いて] あんたは指輪を買ったか?)
リチャード: No, I don't have a ring! (Pause) You go get her, Chandler. (Pause) And can I give you a piece of advice? If you do get her, don't let her go. Trust me. (いや、僕は指輪は持ってない。[間があって] 彼女を掴まえに行け、チャンドラー。[間があって] そして、1つアドバイスをしてもいいか? 彼女を手に入れたら、彼女を行かせるな[彼女を離すな]。本当だぞ[僕を信じろ]。)
チャンドラー: Y'know, Richard... you are a good guy. (なぁ、リチャード…。あんたはいいやつだな。)
リチャード: I know. (Pause) I hate that! (知ってる[そうだな]。[間があって] それがいやなんだよ[いやになるよ]!)
(Chandler gets up and runs out, but as soon as the door closes behind him he opens it, runs back in, picks up his ring Richard is holding up for him, and runs back out.)
チャンドラーは立ち上がり、走って出て行くが、彼の後ろでドアが閉まるやいなや、チャンドラーはドアを開け、走って戻ってきて、リチャードがチャンドラーのために掲げている指輪を取って、また外に走って行く。
「あんたが現れる前はうまくいってたんだ!」とチャンドラーは言っています。
you big tree は、「この、big tree め」みたいな感じで、背が高くて大柄なリチャードのことを、そう言っているようですね。
少し前のシーンで、モニカがジョーイに、「私と結婚したがってる人もいるんだから。リチャードよ」と言った時に、ジョーイは、自分の頭より少し上の方に手を上げて、「リチャードって、あの背の高いリチャードのことか?」みたいな仕草もしていました(ちなみに、IMDb によると、リチャード役のトム・セレックの身長は、192cm だそうです)。
そして、「こんなのフェアじゃない。あんたはモニカとのチャンスがあったのに、それをダメにしたんだぞ」とも言っています。
blow は自動詞では「風が吹く」「息を吹く」「爆発する」などの意味があり、他動詞だと「〜を吹き飛ばす」「〜を爆破する」という意味がありますね。
そこから、目的語に chance が来た場合には、「(好機・チャンス)を逸する、棒に振る」という意味になります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
blow : RUIN/LOSE OPPORTUNITY [transitive] (informal) to miss a good opportunity or ruin something, by making a mistake or by being careless
例) We've blown our chance of getting that contract.
つまり、「良い機会(好機)を逃すこと、または何かを台無しにすること、間違いを犯すことや注意不足であることによって」。
例文は、「その契約を取るチャンスを逃してしまった」。
リチャードはチャンスがあったのにそれを逃した、と言った後、「これは俺のチャンスで俺はそれを逃さない、なぜなら…」と続けています。
その理由として言った、we are meant for each other! について。
LAAD では、
be meant for somebody/something : to be intended for a particular person or purpose
例) a book meant for children
つまり、「ある人やある目的のために意図されていること」。例は、「子供向けの本」。
be meant for each other : if two people are meant for each other, they are very good partners for each other
例) Judith and Eric were meant for each other.
つまり、「2人の人間が be meant for each other ということは、その二人はお互いにとって、非常に良いパートナーである、ということ」。
例文は、「ジュディスとエリックは、良いパートナーである」。
Macmillan Dictionary では、
be meant for : if two people are meant for each other, they are suitable for each other as romantic partners
つまり、「2人の人間が be meant for each other ということは、ロマンティックな関係(恋愛関係)のパートナーとして、お互いにふさわしい(適している)ということ」。
mean が「意図する」という意味であることから、それを受動態にした、be meant for は「〜のために意図されている」というような意味になり、「〜のために作られている、〜のために生まれてきた」のような意味にもなるわけです。
そういう意味では、このチャンドラーのセリフは、「俺たち(俺とモニカ)は、お互いのために作られている、お互いのために生まれてきた」のような訳にすることも可能なようですが、
マーク・ピーターセンさんの 続・日本人の英語 (岩波新書) によると、そのような日本語訳ほど大袈裟なニュアンスではないようです。
「続 日本人の英語」の p.8 小指に結んだ赤い糸 という項目で、映画「雨に唄えば」の "You Were Meant For Me" という歌の日本語訳についてのお話をされています。
そのお話の中で、日本人の学生に、実験的に you were meant for me を和訳してもらったところ、
「君は僕のために生まれてきたんだ」
「あなたは私と出会うために現われた」
という訳になった、という話が出てきます。
その訳に対するピーターセンさんの見解は以下のようになっていました。
いずれも、実際問題として、日本の男性が真面目な顔をして言えるような台詞ではなさそうだが、英語の原文は、むしろあっさりした言い方で、和訳に比べたら、はるかに口にしやすい。
つまり、mean の意味を汲んで訳すと、「〜のために生まれてきた、〜と出会うために現われた」というような意味になるけれど、You are meant for me. や、We are meant for each other. というような言い回しそのものは、和訳の日本語から感じられるほどの大仰しさ(おおぎょうしさ)はなく、もっと普通の言い回しだということのようです。
映画「雨に唄えば」の(日本語の)字幕スーパーでは、
「ふたりは結ばれていた、小指を赤い糸で」
と訳されていたそうで、それに対して、ピーターセンさんも、
確かに、"meant for" は、前から縁があったという意味である。
とおっしゃっています。
だとすると、上のチャンドラーのセリフも、「俺たちはお互いのために作られている、生まれてきた」と訳すよりも、「俺たちは赤い糸で結ばれてるんだ」と訳す方がしっくりくる、とピーターセンさんならおっしゃるのかなぁ?と思ったりもします。
説明が長くなりましたが、be meant for の元々のニュアンスはやはり、「〜のために意図されている、作られている」という感覚ではあるけれども、We are meant for each other. のような決まり文句を訳す場合は、上のロングマンやマクミランの語義のように、「お互いにとって非常に良いパートナーである、ふさわしい・適している」のような感覚で訳せばそれで良いのであって、あまり大袈裟に訳すと「訳しすぎ」ということになる、ということかなと思いました。
ちなみに、過去記事、隠れた主語の神が前面に出てくる フレンズ3-16その13 でも、meant について、ピーターセンさんのご意見を参考にして、記事を書いていますので、興味のある方は併せてご覧下さい。
次の、this has all just been... について。
これは、has been という現在完了形になっていますが、シンプルな現在形にすると、This is one stupid mistake. になります。
これ、つまり、今回のことは、1つのバカな間違いだ、と言っているわけですが、それを現在完了形にして、「今回のことは(それが始まった時から今までずっと)すべてただ、1つのバカな間違いであっただけなんだ」と言っている感覚になるでしょう。
ちょっとしたバカな手違い、勘違いで、こんなことになっちゃってるだけなんだ、と言いたいのでしょうね。
チャンドラーは、I was gonna 「俺は〜する予定だった(のに)」を使って、今夜モニカにプロポーズする予定だったことをリチャードに告げます。
それまでは、「僕だってモニカを愛しているんだ」と、簡単には譲る気配のなかったリチャードですが、「今夜プロポーズするつもりだったのに」と言われて、やっと、チャンドラーの真剣さに気づいたようですね。
「俺は指輪を買った。あんたは指輪を買ったか?」とまで言われて、リチャードもようやく身を引く決心が出来たようです。
You go get her. は、Go and get her. または、Go to get her. という意味。
口語的に and や to が省略され、go get の形になり、さらに命令文を強調するニュアンスで、主語の You がついた形ですね。
Can I give you a piece of advice? は「僕が君に一つアドバイスをあげてもいいかな?」。
advice は不可算名詞(Uncountable)なので、一つのアドバイスは、an advice ではなく、a piece of advice になることも、ここで一緒に覚えておきましょう。
If you do get her, don't let her go. の do は、get を強調するニュアンス。
彼女をゲットしたら、掴まえたら、彼女を行かせるな、と言った後、Trust me. と言うのに泣けますね。
彼女を手に入れたのに、僕(リチャード)はそれを手離してしまった、僕はそのことをすごく後悔してるから、君もそうならないように気をつけろよ、彼女を絶対に離すなよ、と彼女に未練がある元カレらしいアドバイスをしているわけですね。
すごく後悔してる元カレの言うことだから、信じろ、絶対間違いないから、みたいな感覚が、Trust me. に出ているように思います。
チャンドラーの本気度を知って、身を引き、さらには激励するようなアドバイスもしたリチャード。
チャンドラーも、彼に対して怒っていたことは忘れ、素直に「あんた、いい人だね」と言っています。
これは、チャンドラーがリチャードの部屋に来た直後に言っていたセリフ、
チャンドラー: Oh, my God. I can't believe this. Y'know, I thought... I thought you were a good guy. (なんてこった。こんなの信じられないよ。俺は…俺はあんたはいい人だと思ってたのに。)
と対照的なセリフですね。
モニカに愛を告白して、モニカを悩ませる結果となった、あんたはいい人だと俺は思っていたのに、そんなことをするなんて…(あんたは何てひどい人間なんだ)、というのが、I thought と言った時の気持ちですね。
それがまたここで、「やっぱり、あんたはいい人だな」と、最初の頃の印象に戻ったということです。
リチャードの I know. I hate that! も面白いですね。
「君の言う通り、僕はいい人間で、それがいやなんだよ」という感覚。
チャンドラーがプロポーズすると聞いて、身を引いた自分のことを、「もっといやな人間になって、モニカを奪っても良かったのに、自分の人の良さがいやになるよ」みたいに自虐的に言っているのですね。
その後、チャンドラーは慌ててモニカを捜しに行きますが、ト書きにあるように、いったんドアが閉まった後、また戻ってきて、部屋の中ではリチャードが手を高く挙げて、指輪の箱を持っています。
モニカに今夜プロポーズするんだ!と決意表明をしたのに、肝心の指輪の箱を忘れて行った、というドジっぷりが、シリアスなシーンの後の笑いとなっていて、何だかフレンズらしくてホッとしますね。
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このシーンは男2人が1人の女性をめぐって対峙シーンでフレンズの中では珍しいですよね。ちょっとドキドキしました。
いい奴だな、と言われて"I know. I hate that!" と言う所でリチャードの素敵な男性の一面だけじゃなく人間臭さも立って良かったですね。
コメントありがとうございます。
このような対峙シーンは本当に珍しいですよね。コメディと言えども、シーズンのクライマックスでは何があるかわからない、それこそハッピーエンドになるとは限らない、という気持ちがあったため、私も初見の時には、本当にドキドキしながら見ていました。どうか別れることにはならないで!という祈る気持ちで。
"I know. I hate that!" みたいなセリフを言わせることで、リチャードというキャラクターも救われますよね。二人の間を邪魔するキャラとしてだけの印象が残ると、せっかくの「珍しく大人の素敵なキャラ」が台無しになってしまうところでしたから。