ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。


フィービーは現在、ロスの家に居候中。
ロスが自宅にいると、セクシーな女性がやってきて、フィービーのマッサージを希望します。
その女性に触れられると思い、とっさに「フィービーはいませんが、僕もできます」とマッサージを引き受けるロス。
ですが実は、マッサージするのはその女性の父親である男性で、直接その肌に触りたくないロス(笑)は、サラダのスプーンを使って指圧のようなマッサージでごまかそうとします。
また、レイチェルのベッドでこっそり昼寝をしようとしたジョーイは、ベッドの中に、エッチな小説が隠されているのを発見してしまいます。
Her loins were burning. 「彼女の下腹部は燃えていた」というような描写の小説で、それをネタにジョーイは、セントラルパークでレイチェルをからかっていると、そこにロスがやってきます。
ロス: (takes a drink) Damn, this coffee's cold! Hey Rach, do you mind if I heat this up on your loins? (Joey and he both laugh.) ([コーヒーを一口飲んで] ああ、このコーヒーは冷たいよ! ねぇ、レイチェル、これを君の下腹部の上で温めてもいいかなぁ? [ジョーイとロスは二人とも笑う])
レイチェル: Y'know, I cannot believe you told him, Joey! (ねぇ、ロスに話したなんて信じられないわ、ジョーイ!)
ロス: So I guess you bought that book after we broke up, huh? (じゃあ、僕たちが別れた後に、その本を買ったんだね、だろ?)
レイチェル: Uh-huh, yeah I did, because I wore out my first copy when I was with you. (Exits.) (ええ、そうよ。だって、あなたと付き合っていた時に、最初の本を(読み過ぎて)だめにしちゃったから。[出て行く])
ロス: (chases her) Oh yeah, yeah? Well uh, when we were going out, I read tons of porno magazines! (Realizes a table of women overheard him.) (To that table.) ‘Sup? ([レイチェルを追いかけて] ああ、そうか、そうかい? 僕たちが付き合っていた時、僕もポルノ雑誌を山ほど読んだよ! [テーブルの女性が話を聞いているのに気づいて] [そのテーブルに] やあ元気?)
フィービー: (entering) Ross! How could you do that to an old man?! ([パークに入ってきて] ロス! どうしたらおじいちゃんにあんなことができるわけ?[どうしてあなたはおじいちゃんにあんなことしたの?])
ロス: (looking at the table) Excuse me, ladies. (To Phoebe) I'm sorry? ([テーブルを見ながら] 失礼、ご婦人がた。[フィービーに] なんだって?)
フィービー: My massage client. Arthur? His daughter called and said that some guy that worked for me gave him a really weird massage this afternoon. (私のマッサージのお客さん、アーサーよ。彼の娘さんが電話してきて、私のところで働いているある男が、今朝、アーサーに実に奇妙なマッサージをしたって言ってたわ。)
ロスはコーヒーを飲みながら、「なんてこった、このコーヒーは冷たいじゃないか」みたいにグチっています。
その後、do you mind if I... 「僕が…してもいい?」という表現を使って、これ(コーヒー)を君の loins で温めてもいい?と言っていますね。
loins で heat up する、という言い回しから、ロスも、その小説の Her loins were burning. という表現を知っていたことがわかります。
何も知らないふりをして、すでにジョーイからそのエッチな小説のことを聞いていたのですね。
ちなみに、loin という単語は、研究社 新英和中辞典では、
loin 【名】
T [複数形で] 腰、腰部
U 【U】 (獣類の)腰肉
と出ています。
動物の腰肉という意味は、サーロインステーキの「ロイン」のことですね。
sirloin は「腰の上部の肉」という意味になります。
そんな風に、体の部位としては「腰、腰部」を指すのですが、英英辞典では以下のように出ています。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
loins : [plural] (literary) the part of your body below your waist and above your legs, which includes your sexual organs
つまり、「(複数形)(文語、文学的) 身体の腰の下、脚の上の部分、性器を含む」。
Macmillan Dictionary では、
loins : [PLURAL] MAINLY LITERARY the part of your body below your waist at the front
a. someone's sex organs
つまり、「(主に文学的) 体の前面、腰から下の部分。a. 人の性器」。
(訳語がダイレクトですみません…笑)
つまり、いわゆる「腰」という部位の意味だけではなく、場合によっては sex organs そのものを指している言葉にもなる、ということですね。
今回の小説も、それ系のエッチな小説ですから、体の部位としての「腰」よりももっと具体的な部分を、あえて、loins という言葉で表している、という感覚になると思います。
DVDの日本語訳では「下腹部」と訳してありましたが、ダイレクトすぎず、エッチ系の意味っぽくもあるその日本語訳は絶妙だと思いました。
ロスにしゃべったの?!と怒るレイチェルに、ロスは「ふーん、僕と別れた後に、そんなエッチな小説を買ったんだな、レイチェルは…」みたいに言っています。
「僕と別れた後、僕とエッチができなくて(もしくは僕が恋しくて)欲求不満になって、それを解消するために、エッチな本を買ったんだね」と、勝ち誇ったように言っているわけですね。
そのロスのセリフに対して、レイチェルは yean I did と肯定し、「ロスと別れた後にその本を買った」という事実を認めます。
「やっぱり、ロスと別れた後に欲求不満になったの?」と一瞬、観客も思ってしまったかもしれませんが、その後のレイチェルのセリフが面白いです。
ロスと別れた後にその本を買った理由として、レイチェルは、because I wore out my first copy when I was with you. と説明しています。
wore out は wear out の過去形で、wear out とは「使い古す、使い切る、使ってすり減らす」というような感覚。
使い過ぎて、ボロボロになって、もう使い物にならなくなった、というような感じです。
my first copy は「私が買ったその本の1冊目」という感覚。
a copy は、同じ本が何部もある中での「1部、1冊」のニュアンスですね。
when I was with you は、「あなたと一緒にいた時」、すなわち、「あなたと付き合っていた時」。
あなたと交際中に、前の本を使い古してしまったから、別れた後で、新しいのをもう1冊買ったのよ、と言っていることになります。
つまり、レイチェルは、「あなたと別れてから、初めてそういう本に手を出したんじゃなくて、あなたと付き合っている時も、さんざんそういう本にお世話になってたけどね」と言っているわけですね。
すなわち、「ロスと付き合ってる時も、(満たされた感じがなくて)いつも欲求不満で、不満を解消するためにそういう本を読んでたわ」ということです。
wear out というフレーズを使うことで、「ボロボロになるほど使い切ってしまった」という感じが出るために、「ロスとの交際中、ロスに満たされることがなくて、エッチな小説に何度も手を伸ばした」ことがより強調されるわけですね。
ロスにとっては大変不名誉な捨て台詞を残して、レイチェルは立ち去ろうとします。
ロスはそれを追いかけて、同じようなことを言い返していますね。
when we were going out, I read tons of porno magazines! は文字通り、「僕らが付き合っていた時、僕はたくさんのポルノ雑誌を読んだ」。
付き合ってた当時は、僕だって満足できなくて、エッチな雑誌のお世話になってたさ!みたいなことです。
それを、去り行き際のレイチェルに向かって叫んだので、近くのテーブルに座っていた女性が、あっけにとられてロスを見ています。
「エッチな雑誌を山ほど読んだ!」と叫んでいるのを聞かれたことに気づいて、何事もなかったかのように、‘Sup? と軽い挨拶をするロスも面白いですね。
この ‘Sup? は、前回のエピソード、フレンズ7-1その2 で、19歳の役作りのためにジョーイが連発していたセリフですね。
そのジョーイの姿が記憶に新しい次の回で、ロスが「ロスらしからぬ」こういう挨拶をする、というのが、ファンにとっては楽しく思える部分でしょう。
「この人、一体どういう人なわけ?」みたいな、微妙な空気が流れる中、パークに入ってきたフィービーは、開口一番、How could you do that to an old man?! と叫んでいます。
直訳すると、「どうしたら(どのようにして)おじいちゃんにあんなことができるわけ?」みたいなことですが、それはつまり、「おじいちゃんにあんなことするなんて信じられない」という感覚ですね。
そのセリフを聞くと、ロスが、an old man に「何かとんでもないこと」をしたことが想像されるわけですが、「ポルノ雑誌を山ほど読んだ!」と言った直後のことなので、「この人は、高齢の男性にも、何かそういうエッチなことをしたんだろうか?」と思わせてしまうことになります。
性的な変質者みたいに思われたかもしれないと悟ったロスは、Excuse me, ladies. と丁寧にその場を離れ、フィービーに事情を問うています。
フィービーの話から、フィービーが言っているのは、ロスが老人に行った奇妙なマッサージのことであるとわかります。
work for は「〜のために働く」ということで、for 以下が会社名であれば、「〜に勤める、勤務する」、for 以下が人であれば、「〜の部下として働く」という感覚になります。
アーサーの娘さんは、ロスを「フィービーの下で働く助手」みたいに思ったようですね。
今回の一連のシーンは、レイチェルの捨て台詞と、それに同じように返すロスとのやり取りも面白いのですが、周りの人間が「何? この人?」みたいにロスのことを思っている雰囲気の中で、フィービーがさらにロスのイメージを悪くするようなセリフを言ってくる、という、畳み掛けるような展開も楽しいです。
「ポルノ雑誌を山ほど読んだ」の後だからこそ、フィービーのセリフに別の意味が出てきてしまう、というジョークになっているところが、フレンズらしいなと思いました。
ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。

