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チャンドラーは、大学3年の時の話をモニカに話して聞かせています。
タコスを10個食べて、ディズニーランドのスペース・マウンテンに乗ったら、ロスが少し危うい(iffy)状態になり始めたんだ、と言ったので、
モニカ: Oh, my God. He threw up? (なんてこと。ロスは吐いたの?)
チャンドラー: No, he visited a town a little south of throw up. (Monica laughs hysterically.) So what was Phoebe's secret? (いや、ロスは「吐く」の少し南の町を訪れたんだよ。[モニカはヒステリックに(ひどく興奮して)笑う] それで、フィービーの秘密って何?)
モニカ: Oh, Nancy Thompson, from Phoebe's old massage place, is getting fired. (ああ、ナンシー・トンプソン、フィービーの前のマッサージ店の人がね、クビになるんだって。)
チャンドラー: That's it?! I gave up my Disneyland story for that? (それだけ? 俺はその話のために、ディズニーランド話を提供したのか?)
モニカ: That's right! You lose, sucker!! (Pause) Please still marry me. (その通り! お前の負けだ、バーカ! [間があって] お願い、まだ結婚してくれる?)
タコスを食べて、コースターに乗ったら、怪しい様子になってきて、ということなので、モニカは「ロスは吐いたの?」とダイレクトに尋ねています。
それに対するチャンドラーの返事が何とも回りくどいですね。
He visited a town a little south of throw up. を直訳すると、「ロスは throw up の少し南の町を訪れた」になるでしょう。
南、というのは、上が北の地図だと下の方を指しますから、(ちょっとお下品な話になりますが)口からじゃなくて、下から出ちゃった、みたいなことを言っていることになるでしょう。
DVDの日本語訳も、
字幕:口より下の方面に問題が
音声:いや、口じゃなくて、下の方に問題が起こったんだ
となっていましたが、つまりは、吐く代わりに、大の方をおもらししちゃったんだ、と言っていることになります。
ロスの妹モニカは、兄ロスがおもらしした話を聞いて、大ウケしています。
「こっちの秘密は話したぞ」とばかりに、チャンドラーは、「で、フィービーの持ってる秘密って何?」と聞くのですが、モニカの答えは、「フィービーが前に勤めてた店の同僚がクビになる」という話を伝えます。
名前を聞いたこともない赤の他人の解雇の話を聞かされたチャンドラーは、「それだけ?」と言った後、I gave up my Disneyland story for that? とも言っていますね。
give up は「あきらめる」と訳されることが多いですが、この場合は、「献上する、無償で提供する、引き渡す、明け渡す、犠牲にする」という感覚が近いでしょう。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
give up : LET SOMEBODY HAVE give somebody/something ⇔ up
to let someone else have something that is yours
つまり、「誰か他の人に自分のものである何かを持たせること」。
そんなつまらない秘密と引き換えに、俺はずっと隠していた秘密をモニカにしゃべっちまったのか?という、後悔のセリフですね。
モニカは勝ち誇ったように、That's right! You lose, sucker!! と言っています。
この言い方からもわかる通り、わざとフィービーと内緒話をして興味を引かせ、それを教えると条件を出して、先にチャンドラーから秘密を聞き出そうとしたのですね。
モニカたちの作戦勝ち、ということになります。
sucker は suck 「吸う」人、ということで、「乳飲み子」という意味もありますが、ここでは「だまされやすい人」というニュアンス。
英辞郎には、
sucker=【名-5】エサのように見えるものは何でも飲み込んでしまう魚、よく考えずにエサに飛び付く人、だまされやすい人、お人好し、ばか、カモ、考えが甘い人、世間知らず、乳児
と出ていますが、その説明からすると、エサに吸い付く(suck)人、みたいな意味で、sucker という言葉が使われるようですね。
仮に日本語で「吸い付くやつ」と表現した場合、「何にでもホイホイついていくやつ」みたいなニュアンスが感じられる気がしますから、イメージはわかりやすい気がします。
LAAD では、
sucker : (informal) someone who is easily deceived, tricked, or persuaded to do something, especially something that does not give them any advantage
例) You sent them money? Sucker!
つまり、「簡単に騙される、引っかけられる、何か、特にその人に何の利益ももたらさないようなことをするように説得される人」。
例文は、「彼らに金を送ったって? このカモが!」
憎たらしい感じ(笑)でチャンドラーを指差しながら勝利宣言したモニカですが、その後、しばらく間があってから、Please still marry me. とちょっと弱気な感じで言っています。
Please marry me. だと「お願いだから私と結婚して」ですね。
still は「まだ、これまで通り」「今でもなお」のようなニュアンスで、「前にプロポーズしてくれたわよね。こんな風にひどいことを言っちゃったけど、”今でも前と変わらず”私と結婚してね」みたいなことを言っていることになるでしょう。
負けず嫌いな一面が出た後で、「お願いだから、嫌わないで。結婚やめる、とか言わないでね」と付け加えるところが、モニカらしいですね。
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「He visited a town a little south of throw up.」は言われてみるとなるほどと思いましたがはい、聞いたときは全然わかりませんでした。モニカが何でそんなに反応しているのかな?と。上とか下とかに直結してるんですね。Friendsはためになる!という実感です、はい。いつもありがとうございます。
いつも温かいコメントありがとうございます。
「ちょっと南の町を訪れる」って、かなり回りくどい言い方ですよね。ですが、モニカの過剰な反応や、観客のラフトラックを聞いていると、「南=下の方」という連想はすぐに働くんだな、ということがわかります。英語では、南の方を down と表現することもよくありますしね。
コメディのジョークの面白さ、というのは、それなりの前後の流れがあって初めて理解できるもので、モニカとチャンドラーの1文ずつを例文として挙げても、なかなかピンと来ないものがあるでしょうね。こういうフレーズを実際に使うことはないとは思いますが(笑)、こういうフレーズで笑えるようにはなっていたいとは思うので、それにはやはり、ドラマという流れの中で理解していくのがベストなんだろうな、と思います。
こちらこそ、いつもありがとうございます。これからもよろしくお願いします。:-)