2012年11月16日

話の出所を考えろ フレンズ7-5その3

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フィービーは、セントラルパークで知り合ったカイルという男性とデートします。
カイルは妻と離婚しようとしているところで、その妻ホイットニーがセントラルパークに現れたため、フィービーはロスに、「自分たちが逃げられるように、ホイットニーの気をそらして」と頼みます。
その翌日、フィービーがロスの家にいる時にホイットニーが訪ねてきて、ロスはホイットニーとデートしたことを認めています。
フィービー: Well look-look, okay Ross, Kyle just told me some really bad stuff about her. (ねぇ、いいわ、ロス。ホイットニーに関する本当にひどいことを、カイルが私に話してくれたばかりなのよ。)
ロス: Like what? (例えば、どんなこと?)
フィービー: Like she's really mean, and she's overly critical, and-and-No! She will paint a room a really bright color without even checking with you! (例えば、彼女はものすごく意地悪だとか、過剰に批判的だとか、それからそれから…彼女は人に相談することなしに、部屋をすっごく明るい色に塗ろうとしてるわ。)
ロス: Okay. (そうか。)
フィービー: And! She uses sex as a weapon! (それに! 彼女はエッチを武器として使うのよ!)
ロス: Fine! Thank you for warning me. At breakfast, I'll be on full alert for room painting and sex weapons. (結構だ![上等じゃないか!] 僕に警告してくれてありがとう。朝食で、部屋のペイントと、エッチの武器に対して完全警戒体制でいるよ。)
フィービー: You're still gonna go out with her?! (それでもまた、彼女とデートするつもり?)
ロス: Yeah! (ああ!)
フィービー: Well, didn't you hear what I just said?! (私がたった今言ったこと、聞いてなかったの?)
ロス: Pheebs, come on! I mean, consider the source! Of course her ex-husband's gonna say that stuff. Now, if you'll excuse me.... (フィービー、いい加減にしてよ! だって、話の出所(でどころ)を考えてよ! もちろん、彼女の元夫はそんなことを言うだろうさ。で、僕が失礼させてもらえるなら…)
フィービー: (interrupting him) No, listen to me! She is crazy! ([彼を遮って] だめよ、私の話を聞いて! 彼女はクレイジーなのよ!)
ホイットニー: (outside the door) Uh, your door isn't soundproof. ([ドアの外で] あのー、あなたの部屋のドア、防音じゃないんだけど。)
フィービー: You see? Nothing is good enough for her. (ほらね? 彼女にとっては、十分に納得できる良いものなんてないのよ[何にでもケチをつけるのよ]。)

カイルの元妻ホイットニーとデートしたロスに、フィービーは警告しています。
元夫のカイルから、彼女に関するひどい話をいろいろ聞いてるわ、というところですね。
意地悪で、過剰に批判的で、と言った後、部屋の塗り替えの話をしています。
check with は「(人)に相談する」。
with you の you は、フィービーからみた「あなた」であるロスではなくて、一般の人のニュアンスですね。
you と表現することで、ロスをも含めた一般の人を指すことになり、「あなたに相談もなく、部屋を明るい色に塗り替えたりするのよ」と表現することで、実際にそんなことされたら、あなたもムッとするでしょう?というような連想を引き出す効果があると言えるでしょう。
実際のところは、夫カイルに相談もなく、ということですから、without even checking with her husband 「自分の夫に相談することさえしないで」になるわけですが、夫と限定せずに一般の人 you を使うことで、「例えば、あなたとか、他のどんな人にも相談することなく、勝手に一人でそういうことを決めちゃう人」という印象を与えられるわけですね。

use sex as a weapon は文字通り、「sex を武器として使う」ですね。
weapon のこのような意味は、LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、以下のように出ています。
weapon : a type of behavior, knowledge of a particular subject etc. that you can use against someone or something when you are in a difficult situation
例) She was afraid the information would be used as a weapon against her.

つまり、「自分が難しい状況にいる時に、誰かや何かに対して使うことのできる、ある行動、またはある題材に関する知識」。
例文は、「その情報が彼女に対する武器として使われることを彼女は恐れた」。

ロスは「僕に警告してくれてありがとう」と言って、「朝食の席で room painting と sex weapons について、full alert の状態でいるようにするよ」と皮肉っぽく言っています。
朝食の席では、実際にはそんな心配、関係ないけどね、というところでしょう。

そんな警告をしても、ロスの気持ちが変わる様子はありません。
「私の話、聞いてたの?」と怒るフィービーに、ロスは consider the source! と言っています。
ソースを考慮しろ、ということで、このソースは日本語にもなっていますが、「情報源、話の出所」という意味ですね。
「どこが出所となった話か、よく考えてみてよ。離婚協議中の夫が、そういう妻に関する悪いことを言うのは当然だろ」ということですね。

話が平行線なので、ロスは廊下の外で待たせているホイットニーと一緒にでかけるためにドアに向かうのですが、フィービーは「彼女はクレイジーなのよ!」と大声で叫んでいます。
その後、ドアの向こうから、「あなたのこのドア、防音じゃないんだけど」というセリフが聞こえるのが面白いですね。
今までのやり取り、ホイットニーに関する悪口の数々が、全て本人に筒抜け、丸聞こえだったということです。
「丸聞こえなんだけど」をオチにしてCMブレイク…でも良かったのでしょうが、ここではさらにフィービーのセリフで、もう一つのオチを付けています。
フィービーのセリフは、「ほらね。彼女にとって good enough なものは何もない」。
「これは良いわね、これだけあれば十分よ」というように、何かに対して満足することがない、どんなものも、彼女にとっては good enough 「十分に良い」とは言えない、ということをフィービーは言っていることになります。
これは、部屋の色を勝手に塗り替えたり、何かと批判的だったり、という彼女の性格の話の続きで、「あなたの家のドアは防音じゃないのね」と言ったことに対して、「ほらね、ホイットニーは、他人の家のドアにまでケチをつけてるじゃない。何にでも文句を言いたい人なのよ、ちょっとやそっとじゃ満足しない傲慢な人なのよ」みたいに言っているわけです。
さんざん悪口を言った後、「ドアが防音じゃないわよ」と言われたら、「しまった、今の悪口、全部聞かれちゃった!」と焦るのが普通ですよね。
ですが、悪口を言ってしまったことに対する反省は全く見せずに、「ほら、ドアにケチをつけてるでしょ」と彼女の欠点を勝ち誇ったように言っているのが、いかにもフィービーっぽいと言えるでしょうね。


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posted by Rach at 16:44| Comment(2) | フレンズ シーズン7 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
このエピソードには面白い表現がたくさんあるのでそのぶん興味深い解説もたくさんありますね。フィービーの Nothing is good enough for her の部分は個人的には「彼女の魔力に太刀打ちできるものは何もない」のようにとらえていたので興味深く読ませて頂きました。
Posted by kurt at 2012年11月21日 14:17
kurtさんへ
コメントありがとうございます。
また、興味深い解説、と言っていただき、ありがとうございます。

Nothing is good enough for her. については、
DVDの日本語訳が、
「ほら 何でもけなす/ほらね、とんでもないことを言い出す」
となっていて、私も最初に聞いた時にそういうニュアンスだろうと思ったので、上のような解釈となりました。
enough を否定したフレーズを見ると私は、映画「007 ワールド・イズ・ノット・イナフ」(原題: The World Is Not Enough)を思い出すのですが、Wikipedia にも、

「ワールド・イズ・ノット・イナフ」(世界を手に入れてもまだ足りない)はボンド家の家訓。

という説明があり、「十分ではない」→「物足りない、それだけでは不満である」というイメージが浮かんだ、ということもあったようです。一つの解釈としてお聞きいただければ幸いです。

それと、今気づいたのですが、このフィービーのセリフは「CMブレイク前のオチ」ではありませんでした(CM前のオチは、How you doin'? というセリフの方でした)。ここに謹んで訂正させていただきます(笑)。
Posted by Rach at 2012年11月21日 14:50
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