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離婚協議中のカイルとホイットニーという夫婦がいるのですが、現在、カイルはフィービーと、ホイットニーはロスとデートする仲になっています。
カイルとホイットニーが、お互い、離婚しようとしている相手のことを悪く言っているので、そのデート相手であるフィービーとロスも、険悪なムードになっています。
フィービー: So, how are things going with Crazy? Has she cooked your rabbit yet? (それで、クレイジー女とはどうなってるの? 彼女はもうあなたのウサギを料理したかしら?)
ロス: Listen, you are hearing one side of the story, okay? And FYI, she must've shown Kyle over 30 paint samples before she painted that room! And his response to each one was, "I don't give a tiny rat's ass." (ねぇ、フィービーは話の一面を聞いてるんだよ、いい? それにね、参考までに言っておくと、あの部屋をペイントする前に、ホイットニーはカイルに、30以上のペイントサンプルを見せたはずだよ。そしてそれぞれ(の色)に対する彼の返事は、「どうでもいい」だったんだ。)
フィービー: Yeah well, maybe she should've spent a little less time decorating and a little more time in the bedroom. (そうね、多分、ホイットニーは部屋の装飾の時間をもう少し減らして、寝室での時間をもう少し増やすべきだったのよ。)
ロス: Well, I don't think we are gonna have that problem, but maybe that's just because I am not emotionally unavailable! (そうだな、僕たちの場合はそんなことは問題にならないと思うけどね。多分、僕は感情的に利用不可じゃないから[感情面で手があいていない、ってことはないから]。)
フィービー: You think he's emotionally unavailable? (カイルは感情的に利用不可だって思ってるの?)
ロス: I think he can be. (彼ならありうると思うよ。)
Crazy と大文字表記になっているのは、固有名詞、ニックネームの感覚ですね。
「例のクレイジーさんは、あのクレイジー女は」みたいな感じでしょう。
自分のデート相手であるカイルが、元妻(正確には離婚協議中の妻)であるホイットニーの悪口を言うので、フィービーはホイットニーに対して悪いイメージしか持っていないことがこのセリフからもわかります。
Has she cooked your rabbit yet? 「彼女はもう、あなたのウサギを料理したの?」というのは、マイケル・ダグラス、グレン・クローズ主演の映画「危険な情事」(原題: Fatal Attraction)のシーンが元ネタですね。
私はこの映画を見たことないのですが、「ウサギを煮る」シーンがあるという話を何度か耳にしたことがあったので、わかりました。
Wikipedia 英語版: Fatal Attraction の Plot に、以下の説明が載っています。
At one point, while the Gallaghers are not home, Alex kills Ellen's pet rabbit, and puts it on their stove to boil.
「ある時、ギャラガー家の人が家にいない間に、(グレン・クローズ演じる)アレックスが、エレン(マイケル・ダグラス演じるダン・ギャラガーの娘)のペットであるウサギを殺して、それをコンロに置いて煮る」。
その英語版ウィキペディアには、以下のようなさらに興味深い記述がありました。
Bunny boiler
The slang term "bunny boiler" has passed into popular parlance as a term for a jealous mistress, based on the infamous rabbit boiling scene from the movie. The phrase's first use in print was on December 6, 1990 in the Dallas Morning News, in which Glenn Close described her character in that film using the term.
つまり、「”バニー・ボイラー”という俗語は、嫉妬深い(不倫の)愛人に対する言葉として、よく知られる用語となった。この映画の悪名高い、ウサギを煮るシーンをベースにしている。このフレーズの印刷物での初使用は、1990年12月6日のダラス・モーニング・ニュースで、その中でグレン・クローズは、その言葉を使いながら、その映画での自分のキャラクターを描写した」。
英辞郎にも、bunny boiler という単語が出ており、語源もこの映画だと書いてありますので、有名なフレーズのようですね。
you are hearing one side of the story はまさに直訳通りの「君は話の一面(片方のサイド)を聞いている」ということ。
夫カイルの言い分だけを聞いているから、それが真実とは言えない、という感覚ですね。
FYI は、フレンズにちょくちょく登場しますが、for your information で「参考までに」。
she must've shown 「彼女は見せたに違いない」と言って、その部屋を塗る前に30以上の色サンプルをカイルに見せたはずだ、と弁護しています。
少し前に、「ホイットニーは、夫に相談もなく、部屋を派手な色に塗り替えたのよ」というフィービーの話があったのですが、それがカイルから聞いた一方的な見方だとして、ほんとのところはこうだったんだよ、ちゃんとホイットニーはカイルに相談してたんだよ、と言っているわけですね。
ホイットニーはちゃんと夫に相談したのに、夫の返事はこうだったんだ、という感じで、ロスは、"I don't give a tiny rat's ass." と言っています。
rat's ass を直訳すると、「ネズミの尻」ですが、ass は卑語なので、どちらかと言うと、「ネズミのケツ」とお下品な言葉で表現した方がさらにニュアンスが出るでしょう。
Merriam-Webster Online Dictionary には、以下のように出ています。
rat's ass : (vulgar) a minimum amount or degree of care or interest : hoot, damn −usu. used in the phrase don't give a rat's ass
つまり、「(卑俗な言葉) 気にかけること、または興味の最小の量、または度合。hoot や damn と同義。たいていは、"don't give a rat's ass" のフレーズで使われる」。
つまり、「ネズミのケツ」は小さいので、I don't give a rat's ass. は、それくらいのちっぽけな興味すらない、全く気にかけない、俺にとっちゃどーでもいい、みたいな「俺の知ったことか」的なニュアンスになるようですね。
英辞郎にも、
give a rat's ass about=〈卑〉(人)のことを気に掛ける
と出ています。
ロスがこの言葉を言ったのは、サンプルをちゃんと見せたホイットニーに対して、I don't know. 「わからないなぁ」くらいの返事ならともかく、"I don't give a tiny rat's ass." 「けっ、んなこと知るかよ。どーでもいいわ」みたいに下品なセリフで返事した、カイルの方が悪いんじゃないのか?という気持ちがあるのでしょう。
カイルを非難されたフィービーは、カイルを擁護しようとします。
should've spent a little less time decorating は、「部屋を装飾すること(部屋の色塗り)にもう少し少ない時間を費やすべきだったのに」。
a little more time in the bedroom の前には、should've spent が省略されていて、「ベッドルームでもう少し多くの時間を費やすべき、過ごすべきだったのに」。
つまり、「部屋の塗り替えなんかしてる時間があったら、それをベッドルームの時間に回すべきだったのよ」と言っているわけですね。
妻として、夜のお勤め(笑)にもっと時間を割くべきだったんじゃないの?ということです。
I don't think we are gonna have that problem の we は、ロスとホイットニーのこと。
そんなことは、僕とホイットニーの間なら、問題にならないと思うな、ということです。
その理由は、that's just because I am not emotionally unavailable 「それはただ、僕は emotionally unavailable じゃないから」。
available は「利用できる」という意味で、「手があいている」「(時間があって)会える」みたいな意味でも使いますね。
「手があいている」という意味で、TOEIC でも頻出の単語です。
ロスの言い回しは、小難しいと言うか、回りくどいと言うか、あまりダイレクトな言い方ではありませんが、要は「感情的に”(手が)あいていない、会えない”」みたいな言い方は、「感情面、気持ち的にはいないのも同じ、接触できないのも同じ」みたいな感覚と言えるでしょう。
「”僕は”感情的に利用不可じゃないから」みたいに、アイ(I)を強調したロスの発言を聞いて、「じゃあ、カイルは emotionally unavailable だとあなたは言いたいわけ?」とフィービーは返します。
あの彼なら、そういうこともあるんじゃない、みたいに、ロスはそれを認めていますね。
寝室での時間を増やせと言われても、夫のカイルは心ここにあらず、という感じで、全く妻ホイットニーに気持ちを向けようとしないんだから、しょうがないじゃないか。僕が相手なら、ちゃんと気持ちをホイットニーに向けてあげられるから、そんなことにはならないよ、ホイットニーも寝室の時間を過ごす気になれるよ、みたいなことで、それを emotionally unavailable みたいな、いかつい表現で言うところが、ロスらしいところだと言えるでしょう。
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