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前回の続きです。
フィービーがデートしているカイルという男性は emotionally unavailable (感情的に利用不可)だとロスが言うのでフィービーは怒っています。
フィービー: Well, maybe he wouldn't be if she didn't bring the office home every night! (そうね、多分、彼はそうならないと思うわ、もしホイットニーが毎晩、仕事を家に持ち帰らないなら。)
ロス: Well, excuse her for knowing what she wants to do with her life! (申し訳ないけど、彼女は自分の人生に関して、やりたいことが何か、わかってるんだよ。)
フィービー: Yeah well, she certainly knew what she was doing New Year's Eve 1997. (そうね。1997年の大みそかに自分がやっていたことを、ホイットニーはよーくわかっていたわよね。)
ロス: (angrily) I knew you were gonna throw that in my face!! That was three years ago! She apologized and apologized! What more do you want?!! ([怒って] そのことを僕の顔に投げつけるだろうってわかってたよ! あれは3年も前のことなんだ! 彼女は謝りに謝った! それ以上、何が欲しいんだよ!)
フィービー: (gets up and starts to leave) We want the last 6 years back!! ([立ち上がり、去ろうとして] 私たちは最後の6年を返して欲しいのよ!)
ロス: So do we!! So do we!! (Ross notices a couple has been staring at them.) I'm sorry you had to see that. (僕たちもだ! 僕たちもだ! [ロスは二人をずっと見ているカップルに気づいて] あんなものを見せちゃってごめんね。)
離婚協議中の夫婦、カイルとホイットニーのそれぞれとデートする仲になった、フィービーとロスは、お互いのデート相手を弁護し、配偶者を非難する、というやりとりを続けています。
ロスが、カイルのことを、emotionally unavailable 「感情的に利用不可」、つまり、「心がここにあらず、妻に対して全く気持ちが向いていない、感情がないも同然」みたいに表現したことに対して、フィービーは反論しています。
he wouldn't be if she didn't bring... は仮定法過去ですね。
be の後には、emotionally unavailable が省略されていて、「もしホイットニーが bring しないなら、カイルは感情的に利用不可にはならないだろう」という感覚になります。
bring the office home every night は、「毎晩、オフィスを家に持ち帰る」みたいなことなので、つまりは、会社の仕事を家に持って帰る、ということですね。
excuse her for knowing what she wants to do with her life! について。
excuse は、何と言っても、Excuse me. 「失礼(します)」のような形でよく使われる単語ですが、元々は「容赦する」「許す、勘弁する」という動詞です。
過去記事、私なら彼女に近づかない フレンズ7-4その6 でも、
ロス: if you'll excuse me, I-I'm gonna go hang out with some people who don't know the Space Mountain story. (失礼させてもらえるなら、僕はこれから、スペース・マウンテンの話を知らない人たちと一緒に過ごしに行くよ。)
というセリフがありましたが、「あなたが僕を許してくれるなら、僕はこれから〜に行く」ということから、「これから〜に行くために、僕は失礼するよ」というニュアンスになるわけですね。
knowing what she wants... は、「ホイットニーは自分の人生でやりたいことがわかっている」。
excuse her for knowing... を直訳すると、「彼女がそれを知っていることをお許し下さい」みたいなことですが、つまりは、「彼女が人生でやりたいことをわかっててごめんね」→「申し訳ないけど、彼女は自分の人生でやりたいことをよーくわかってるんだ」みたいに言っているわけです。
仕事を家に持ち帰る、と非難するけれど、彼女にはキャリアプランがあって、それに基づいてやっていることなんだ、自分の人生の目標に向かって頑張ってるんだ、それを認めず、非難する夫って、どういうやつだよ、みたいな感じですね。
このように、それぞれのデート相手の立場に立って、それぞれの意見を代弁するような形でしゃべっているのが、このシーンのやりとりのポイントとなります。
「彼女は知ってる、わかってる」と言ったことに対して、フィービーは、「ええそうね、彼女は何でもわかってるわよね、1997年の大みそかにしたこともしっかりわかってるんだもん」みたいに返しています。
それを聞いてロスは、「あれは3年も前のことだ。彼女は謝ったのに、それ以上、どうしろって言うんだよ」みたいに答えていますね。
具体的にその大晦日に何があったのか、ということはあえて詳しくは語っていません。
とにかく、「その日に何か後々までモメるような大事件があった」ことだけが観客にはわかるようになっています。
ロスとフィービーは他人の話なのに、その事情を深く知っていて、多くを語らずとも、「またそのこと? その件についてはもう何度も謝ったのに」みたいに即座に反応しているのがおかしいのですね。
他人のことなのに、何でそこまで詳しいねん!?みたいな面白さがあるわけです。
I knew you were gonna throw that in my face!! について。
throw 〜 in my face は「私の顔に〜を投げつける」という感覚。
「ほら、これについてはどうなんだよ!」みたいに、挑戦的な感じで、ある話題を持ち出す、眼前に突き付ける、みたいなことでしょう。
「僕は彼女の代弁者として、彼の代弁者である君がその話を持ち出すだろうと思っていたよ」という意味で言っているのですが、まるで一瞬、その彼女がロスに乗り移ったみたいに、「あなたはきっとその話を持ち出すだろうと思っていたわ!」と、自分のことのように怒りながら語っているように見えるのが、このセリフのポイント。
他人の喧嘩なのに、いつしか自分たちがその当事者であるかのような気持ちになって口論している、ということですね。
英語では、語尾などで男女の言葉の違いを出すのは難しいですが、このセリフが「いつしか自分たちが当事者になった気持ちでしゃべっている」ということを考慮すると、このロスのセリフも女言葉で訳した方が、本来のニュアンスが出るように思います。
実際、ロスの叫び方は、女性のそれをイメージしている気がしますしね。
上では一応、ロスがしゃべっているセリフとして、男言葉で訳しましたが、実際に頭の中で聞こえているイメージは、「あなたがそのことを私の顔に投げつけるだろうって思ってたわ!」という女言葉で捉えた方がしっくりくるように思います。
She apologized and apologized! はまさに日本語の「彼女は謝りに謝った」というニュアンスで、英語では、apologized and apologized のように同じ動詞を and でつなげて繰り返すことで、「重ねて何度も謝る」という感じを生み出せる、というのも興味深いです。
What more do you want?! も文字通り、「それ以上何が欲しい?」ですね。
あのことについては、何度も何度も謝ったのに、まだ私に詫びさせたいの? 一体私にどうしろって言うの?ということですね。
フィービーは立ち去りながら、「その最後の6年間を返して欲しい」と言っています。
ロスもそれに同意する形で、「僕たちもだ」と言っていますね。
ここではそれぞれが we という主語と使っていますが、これは恐らく、フィービーの言う we は、「カイル&フィービー」で、ロスの言う we は、「ホイットニー&ロス」を指していることになると思います。
あくまでも彼と彼女の話を代弁しているだけならば、
フィービー: He wants the last six years back!! (彼はこの6年間を返せ!って思ってるわ。)
ロス: So does she!! So does she!! (彼女だってそうさ、彼女だってそうさ。)
となるでしょう。
それがここでは、フィービーとロスがそれぞれ、自分の友人の肩を持っている、「彼はこの6年間を返せ!と思っているし、私も返せ!って言いたいわ」「彼女もこの6年間を返せ!と同じことを思ってるさ。僕だって返せ!って言いたいよ」みたいな感じで、ここでは、彼も彼女も、フィービーもロスもみんな、その「彼と彼女の6年間は無駄だった」みたいに思っているということですね。
フィービーとロスは、彼と彼女のそれぞれの立場から詳しい話を聞いていて、自分のことのように相手に腹を立てているから、We = He and I または She and I という言葉が出てきたのでしょう。
ロスにとってもフィービーにとっても、全く関係のない出来事なのに、まるでその6年間の修羅場を見てきたかのように怒っているのが面白いのでしょうね。
ロスもフィービーも、最初はデート相手の弁護をしていただけですが、それがだんだんエスカレートして、代理喧嘩がいつの間にか、本人が乗り移ったかのような本当の夫婦喧嘩みたいになってしまっている、という「他人の喧嘩に感情移入しすぎ」の面白さが、このシーンの見どころです。
フィービーは怒って出て行くし、ロスはギャーギャー叫んでいるし、とても代理の喧嘩とは思えない、他人の喧嘩でどうしてそこまで盛り上がれるの?という面白さですね。
フィービーが出て行って一人残ったロスは、自分の方を不審そうに見ているカップルに気づきます。
I'm sorry you had to see that. は文字通り、「君たちがそんなものを見なければいけなかったことを、申し訳なく思う」という感覚。
見たくはなかったろうに、あんな醜態を見せちゃってごめんね、ということで、ここでもまた、「自分のことでもないのに、醜態をさらすほどの大喧嘩」をしてしまったことの面白さが強調されているわけですね。
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2012年11月22日
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