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シーズン7 第7話
The One With Ross's Library Book (SEX AND THE ジョーイ)
原題は「ロスの図書館の本の話」
モニカがシェフとして働いている時、チキン料理に文句をつけた客として、あのジャニスが登場します。
帰宅後、ジャニスに会ったことをチャンドラーに報告しているモニカ。
ジャニスが自分の今の彼氏を連れて、チャンドラーとモニカの結婚式に出席するつもりである、という話を聞いて、驚愕するチャンドラーですが…。
モニカ: Well, she cornered me! She asked me if the wedding was in town! I mean, what was I supposed to do?! (ジャニスが私を追いつめたのよ! 結婚式はタウンでするのかどうか、ジャニスが私に尋ねたのよ! 私はどうすれば良かったの?)
チャンドラー: Lie!!! How hard is that?! "Your check's in the mail!" "Oh, your baby's so cute!" "I can't wait to read your book, Ross!!" (嘘をつくんだよ! それがそんなに難しいか? 「君の小切手は郵送した!」 「わぁ、君の赤ちゃんはすっごく可愛いね!」 「君の本を読むのが待ちきれないよ、ロス!」)
モニカ: Come on! So she comes to the wedding! Maybe it won't be so bad. (やめてよ! それでジャニスは結婚式に来るわ! 多分、そんなにひどくないわよ。)
チャンドラー: What, do you think she's just gonna sit there quietly? You don't think she's gonna want to make a toast? You don't think she's gonna want to grab the microphone and sing "Part-time Lover"?! (ジャニスがそこで静かに座ってると思うか? ジャニスが乾杯の音頭を取りたがるとは思わないのか? ジャニスがマイクをひっつかんで「パートタイム・ラバー」を歌いたがるとは思わないのか?)
モニカ: Oh, my God. She's not gonna like the chicken that night either, is she?! (なんてこと。ジャニスはその(結婚式の)夜も、チキン(料理)にケチをつけるわよね?)
チャンドラー: Y'know what? It's gonna be okay. Y'know what? She's probably not gonna even want to come. (ねぇ、大丈夫だよ。ほら、ジャニスは多分、出席したいとすら思わないだろうね。)
モニカ: Really? (ほんと?)
チャンドラー: No! That was a lie! See how easy that was? (いいや! 今のが嘘だよ! 嘘をつくのがどんだけ簡単かわかるだろ?)
ジャニスに二人の結婚のことをしゃべってしまった、と聞いて、チャンドラーは唖然としています。
she cornered me! の corner は名詞ではいわゆる「コーナー、角、隅(すみ)」で、動詞では「(人・動物)を隅に追いつめる、窮地に陥らせる」という意味になります。
諺(ことわざ)の「窮鼠猫をかむ」(追いつめられた者は、強い者に対して攻撃する)を訳した英語として、A cornered mouse/rat will attack/bite the cat. というものがありますが、この英語を覚えておくと、「追いつめられたネズミ」という cornered のニュアンスがよくわかる気がしますね。
ジャニスが結婚式は町でするのか、と聞いてきたんだもん、私はどうすれば良かったの? どうすべきだったの?とモニカは訴えています。
それに対するチャンドラーの返事、Lie!!! が面白いですね。
「ラァァァァーイ」みたいに大袈裟な身振りも交えて言っています。
How hard is that?! は、「それ(今言った、嘘をつくこと)が、どれほど困難・難しいんだ?」ということですね。
「ただ、嘘をついときゃあいいのに、嘘をつくことの何がそんなに難しいっていうんだ」という気持ちです。
その後、3つセリフが続きますが、それは全部、「嘘をついてみた3例」ですね。
check は小切手なので、「まだ小切手が届かない」と先方に指摘されたら、「いや、もう郵送で送ったよ」とか言っておいて、急いで送る、みたいなことでしょう。
「君の赤ちゃん、とってもかわいいね」も、もしあんまり可愛くないなぁ、と思っても、とりあえずそう言っとくでしょ、みたいなことですね。
"I can't wait to read your book, Ross!!" は、最後の呼び掛け語の「ロス」がポイントです。
can't wait to は「〜するのを待つことができない」→「待ちきれない」という決まり文句ですが、「君の本を読むのが待ちきれないよ」と言った相手がロスであることが、Ross という文尾の呼び掛けでわかる、という仕組み。
本、というのは、この場合は論文みたいなイメージでしょうか。
ロスの学術論文は、専門外の人にはひどく退屈なものだけれど、それでも友人としては一応、「読むのが楽しみだ、待ちきれないよ」って言うだろ、それが「嘘」ってもんだ、とチャンドラーは説明しているわけです。
モニカは、ジャニスが式に出席すると言っても、そんなにひどいことにはならないんじゃない?と言っています。
それに対してチャンドラーは、「ジャニスが俺たちの結婚式で、黙っておとなしく座ってると思うか?」と尋ねています。
make a toast は「乾杯の音頭を取る」。
grab the microphone... 以下のセリフが面白いですね。
grab は「つかむ、ひっつかむ」という感じなので、grab the microphone はまさに「マイクをひっつかむ」感覚。
でマイクを握ったジャニスが何を歌いそうかと言うと、スティービー・ワンダーの Part-time Lover (笑)。
タイトルからして、「パートタイムの恋人」なわけですし、途中の歌詞も、
We are strangers by day, lovers by night
Knowing it's so wrong, but feeling so right
昼間は他人、夜は恋人
すごく悪いことだと分かってるけど、すごく正しいって気分だ
みたいなことですから、浮気や不倫をイメージさせる歌ですね。
式でジャニスが歌を歌うのも困るけど、何より困るのはそういう、結婚式なのに不倫の歌、のような「場にそぐわない曲」を歌いそうな気がするだろ、モニカはそんな気しないのか?とチャンドラーは言っているのですね。
ジャニスが出席しても、別に問題ないんじゃない?と言っていたモニカですが、チャンドラーがいろいろ言い出したので不安になり、「私のレストランでチキン料理にケチをつけたように、結婚式の料理も気に入らないって怒るんじゃないかしら」と心配しています。
そんな風に心配し始めたモニカに対して、チャンドラーは「きっと大丈夫だよ」みたいなことを言っています。
その言葉に安心したらしいモニカが「ほんと?」と言うと、チャンドラーは強い口調で、No! と言っていますね。
「きっと大丈夫だよ、多分ジャニスは来ないよ」って言った、まさにそれが「嘘」だよ。ほら見てみ、モニカがすぐに騙されたように、こんなにも嘘をつくのは簡単なんだよ、ジャニスに会った時も、こんな風に簡単に嘘をつけば良かったんだ、と言いたいわけですね。
このシーンの最初で「モニカはジャニスに嘘をつけば良かったんだ」というやり取りがあったので、最後の部分で「大丈夫だよ…っていうのが、まさにその嘘なんだよ」と見本を見せたのが、余計に面白く感じられるわけですね。
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