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ミシェルズというレストランを予約したものの、ホリデーシーズンのため混んでいるから、今45分待ちと言われてしまったチャンドラーとモニカ。
「案内役の人にお金を渡したら、先に入れてもらえるわ」とモニカが言うのですが、チャンドラーはなかなかお金をスムーズに渡すことができずにいます。
[Scene: Michelle's, Chandler and Monica are discussing how to bribe the Maitre d'.]
ミシェルズ(レストラン)、チャンドラーとモニカはレストランの案内人をどうやって買収するかを話し合っている。
モニカ: It's easy! Just keep it casual! Give him a kind word, shake his hand and give him the money! (簡単よ! たださりげなく(カジュアルに)すればいいだけよ! 彼に優しい言葉をかけて、握手して、彼にお金を渡すのよ!)
チャンドラー: How do you know so much about this? (こんなことをどうしてそんなによく知ってるんだ?)
モニカ: I don't know. (さあね。)
チャンドラー: Richard used to do it, didn't he? (リチャードが昔、そうしてたんだ、だろ?)
モニカ: We'd be eating our soup right now. (今頃は、スープを食べてるところだったろうに。)
チャンドラー: Mustached bastard. (ヒゲ野郎め。)
モニカ: (sees two people exit) Okay, those people just left, come on! Quick! Give him the money and get their table! ([二人の客が出るのを見る] いいわ、あの人たちがたった今出たわよ、さあ、早く! 彼にお金を渡して、あの人たちのテーブルをゲットするのよ!)
チャンドラー: (walks up to the Maitre d') Excuse me.... ([案内人の方に歩いて行って] すみません…)
[Chandler can't find his money in the pocket. In the meantime, another couple shows up, and Chandler turns away to look for his money]
チャンドラーはポケットの中のお金を見つけることができない。その間に、別のカップルが現れ、チャンドラーは自分のお金を探すために、向きを変える。
男性客(Male Guest): (to the Maitre d') Good evening. (Shakes his hand) ([案内人に] こんばんは。[彼と握手する])
チャンドラー: (finds his money) Ahh-hahaha! (Turns around to give the Maitre d' his money, but he isn't there anymore) ([お金を見つけて] あー、ははは! [案内人にお金を渡そうと振り返るが、彼はもうそこにはいない])
まずト書きの、Maitre d' というのは、maitre d'hotel の略ですね。
maitre d'hotel は「ホテルの支配人」「レストランの案内役、給仕長」のこと。
見てわかるようにフランス語で、master of the hotel という意味だそうです。
前のシーンで、案内役にお金を渡そうとしたものの、お金を持った手と逆の手で握手してしまい、うまく渡すことができなかったチャンドラー。
モニカは、チャンドラーに、お金の渡し方を教えています。
keep it casual は「それを、casual に keep する」という感覚ですね。
お金を渡そうとするその行為を、「さりげなく、カジュアルに」すればいいの、と言っていることになります。
もう日本語の「カジュアル」になってしまっていますが、英英辞典での語義は以下の通り。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
casual : RELAXED/NOT CARING
relaxed and not worried, or seeming not to care about something
つまり、「リラックスした、もしくは心配していない、または何かを気にしているように見えない」。
その後、「彼に親切な言葉をかけて、握手して、お金を渡すのよ」とも言っていますね。
お金の渡し方をテキパキと指示するモニカに、チャンドラーは、How do you know so much about this? と不満そうな顔で言っています。
日本語では「どうして知ってるんだ?」と訳すことになりますが、この「どうして」というのは、Why 「どうして、なぜ?」ではなくて、How 「どのようにして?」の方ですね。
案内役へのお金の渡し方を知っている「理由」を尋ねているのではなくて、「どのような経緯でそんなことを知っているのか?」を尋ねる感覚になります。
そのチャンドラーの言い方に非難のニュアンスを感じたモニカは、I don't know. 「さあね」とトボけるのですが、チャンドラーは今度ははっきりと、「(年上の元カレ)リチャードが(かつて)それをしてたんだな、そうだろ?」と問い詰めます。
それに対してのモニカの返事、We'd be eating というのは「仮定法」ですね。
We would be eating ということで、we というのは、リチャードとモニカのことではなく、やはり今ここにいる私たち、「チャンドラーとモニカ」を指しているのだと思います。
何を仮定しているかについては、「もし、リチャードがしていたみたいに、あなたがさりげなくお金を渡していたら」ということでしょう。
そしたら、まさに今ごろ私たち(チャンドラーとモニカ)は、スープを飲んでいるところだっただろう、という感覚になります。
would be eating という進行形になっているのが余計に、「うまくお金を渡して席に通されていたら、今ごろは、スープを”飲んでいる最中”だったのに、まだ受付の前でちんたらしてるなんて…」という感じが出ますね。
Mustached bastard. は「口ひげを生やした、いやなやつ(野郎)」という感覚。
「リチャードがそうしてたんだろ?」という問いには、リチャードの名前を出さずに答えたモニカでしたが、リチャードが昔そうしてた、ということは話の流れから明白なので、「リチャード、あのヒゲ野郎め」みたいに、憎々しげに言っているのですね。
その後、食べ終わった客が出てきたので、「ほら今がチャンスよ」とばかりに、チャンドラーをせかすモニカ。
ですが、お金を渡そうとしたら、今度はお金をどこにしまったかわからないでもたもたしてしまいます。
そのうち、別の客がやってきて、まさにモニカが言っていたようなカジュアルな感じで握手をして、すぐに席に案内されることになります。
やっとお金を見つけたチャンドラーは、どうだ!とばかりにお金を渡そうとしますが、もう案内役は別の客を案内した後だった…というオチですね。
この部分、セリフは簡単なものしかありませんが、英語学習者にとっては、この部分のト書き表現が、いろいろ勉強になるように思います。
お金が見つからなくて案内役に背を向けている間に、別の客が入ってしまって、振り返れば誰もいない…という感じが、よく表現されていますよね。
can't find, turn away, find, turn around という動詞の流れを意識してこのト書きを読むことで、自分が一連の動作を文字にする場合の参考になるのではないか、と思いました。
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NYCの有名なレストランでもお金渡せば良い席に変えてくれることはあるらしいので、順番もありそうですね。
Why do you know? よりHow do you know?というのは英語の感覚ですよね。何故?というのは相手を疑っている(非難している)感じがあるからなのでしょうか?どのようにして?という感じのほうがスムーズな流れなんでしょうね。
I know your telephone number.
Why do you know mine? よりHow did you know that?のほうが自然な感じですよね?
こんにちは。こちらこそ、いつもありがとうございます。
アメリカは、サービスの良し悪しでチップが大きく変わる世界ですから、やはりチップを渡すことで、良い対応をしてもらえる、ということは大いにありうるでしょうね。融通をきかせることができる職権のある人間のメリットみたいなものでしょうからね。
私もいつも、How do you know...? を「どうして…を知ってるんだ?」と訳した後、「どうして、と言っても、why じゃなくて、how なんだ」と毎回確認しては、そういう英語っぽさを学べる楽しさをしみじみ感じています。Why? は reason を尋ねることになりますが、確かに「なぜ?」と問われると、日本語でも非難、詰問されている感覚に聞こえてしまいますよね。こういう場合にすっと how が出てくるかどうか、が、英語の感覚に慣れているかどうかの、一つのバロメーターになる気がします。
おっしゃる通り、日本語の「どうして(そんなこと)知ってるの?」は、単語を1つ1つ英単語に置き換えようとすると、Why do you know...? と言いたくなってしまいますが、実際は、How did you know...? のように「どうやって(どういう経緯で)知ったの?」となるのが自然ですよね。今、知っているということは、過去のどこかの時点でそれを知るという状況があった、それがどんなことだったのか知りたい、みたいなことですよね。
貴重なご意見ありがとうございました。
さりげなくチップを渡すテクニックについての話題が実は以前にも登場しています。
リチャードとモニカが恋人同士でチャンドラーやジョーイが彼をかっこよいと真似まで仕出した頃、
シーズン2-20話にセントラルパークでこんなやり取りがありました。
CHANDLER: Yeah, he let us drive his Jaguar. Joey for 12 blocks, me for 15.
RACHEL: Wow, he must like you the best.
JOEY: Oh, what about that thing he did when he tipped the guy who showed us to our seats. You never even saw the money, it was like this. [With money in his palm] Hey Chandler, thanks for showing us to our seats [shakes his hand and passes the dollar].
CHANDLER: You're welcome. Hey Joey, thanks for parking the car [passes the dollar back].
このやり取りにはモニカもちゃんと同席していました。
おそらくRachさんもこんなことがあったなんて忘れていたのではないかと思います。
ぼくもRachさんがこれを話題にしていたと錯覚してしまったのでこの場面を探し出すのに一苦労しました。
コメントありがとうございます。
ちょうど、過去記事、フレンズ2-20その11
http://sitcom-friends-eng.seesaa.net/article/388470545.html
で取り上げているシーンですね。チップを渡すシーンと言えば、やはりこれを思い出すファンの方は多いでしょうね。リチャードがフレンズたちとは違う「大人の男性」である、という部分がよく表わされていたと思います。
ちょうど、今回の記事では、チャンドラーたちがリチャードのチップの渡し方の話をしていたわけですから、その過去記事へリンクをはっておけば良かったですね。この記事を投稿した当時は、なぜかそれを思いつかなかったようです。
今こうして、コメント欄で 2-20 のやりとりをご紹介していただいたおかげで、チップに関するリチャードとチャンドラーの話を比較して楽しめるようになります。ご紹介ありがとうございました。