2013年02月12日

キンドル=焚き付ける フレンズ7-11その3

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いとこフラニーの結婚式に、両親と兄ロスは呼ばれたのに、自分だけ招待されなかった!と憤慨しているモニカ。
ロスは、モニカが招待されなかったのは何か手違いがあったのではないかと、シェリルおばさんに確認することにします。
ロス: So, I finally heard back from Aunt Cheryl and apparently it wasn't a mistake. Ahh, there's-there's limited seating in the hall-- (それで、やっとシェリルおばさんから返事を聞いたんだけどね。どうやら、手違いじゃなかったようだ。あー、広間に座席制限があって…)
モニカ: Limited seating?! (Screechingly) I am just one tiny person! (座席制限? [金切声で] 私はただの一人の小さな人間よ!)
ロス: Well yeah, but she doesn't know that. I mean, the last time she saw you, you would've turned one of those little wedding chairs into kindling. (あぁそうだね、でもおばさんはそれを知らないんだよ。だって、彼女がモニカを最後に見た時、あの時のモニカなら、あの小さな結婚式の椅子の一つを、薪(まき)に変えちゃってただろうから。)
モニカ: (disgusted) "Limited seating!" Oh, that is such a lame excuse! That's not the reason she's not inviting me! ([むっとして] ”座席制限!” あぁ、そんなのくだらない言い訳だわ! 彼女が私を招待しない理由はそんなんじゃない!)
ロス: Oh, what's the big deal?! I wasn't even invited to the ceremony, just the reception. And-and y'know what? If it makes you feel any better, Joan and I will just make an appearance and then, and then we'll-we'll leave early as a sign of protest. (あぁ、何がそんなに大ごとなんだよ? 僕だって式には招待されなかった、ただ披露宴だけだよ。それでさ、もし君の気分が良くなればって話だけど、ジョアンと僕はただ顔だけ見せて、その後、早めに帰るつもりなんだ、抗議の印としてね。)

finally heard back from somebody は「やっと・ついに、(人)から返事を聞いた」という感覚ですね。
hear from somebody で「人から話を聞く」ということになりますが、back を入れることで、「その人から返事が戻ってくる、返ってくる」というニュアンスが入ることになります。
どうやら、手違い(a mistake)じゃなかったようだ、とロスは言っていますね。
limited seating を直訳すると、「制限された座席、着席」のようになるでしょうか。
つまり、座席が限られている、という「座席制限がある」と言っていることになります。

「座席制限」という話を聞いて、モニカは、I am just one tiny person! と金切声で叫んでいます。
つまり、「私はただの一人の小さな人間だ」ということですね。
私が出席して、2人分、3人分の席を占めるわけでなし、小柄な私一人の座席分くらい、どうだっていうの?という気持ちですね。

ロスは、「でもシェリルおばさんはそのことを知らないんだ」と言っています。
彼女がモニカを最後に見た時、と言った後、ロスは、you would've turned... という表現を使っています。
You would have turned という would have+過去分詞の形は、「…していただろう」というニュアンスですね。
would には仮定のニュアンスが含まれていて、シェリルおばさんが最後に見た頃の、あの当時のモニカなら、そんな風にしていただろう…と言っていることになるでしょう。
昔のモニカはものすごく太っていたので、シェリルおばさんにはその頃のモニカのイメージしかない、だから、あの頃のモニカなら、小さな結婚式の椅子の一つを、kindling に変えてしまっていただろう…みたいに表現しているわけです。

kindling というのは、kindle という動詞に -ing がついた形ですね。
動詞 kindle は、他動詞で「(たきぎなどに)火をつける、燃やす」、「(情熱・興味などを)燃え立たせる、あおる」、また、kindle someone to do の形で「人をたきつけて〜させる」という意味にもなります。
日本語の「たきつける」(漢字では「焚き付ける」)も、「燃やすための火をつける」というのが元々の意味ですから、「火をつける」が「人の気持ちをしむける」に繋がる感覚は全く同じなわけですね。
広辞苑では、「焚き付ける」について以下のように説明されています。
たきつける(焚き付ける)
(1) 火をつけて燃やす。(2) おだてる。そそのかす。けしかける。


キンドルと聞くと、Amazon の電子ブックリーダータブレット「Kindle Fire」を思い出す方も多いでしょうね。
タブレットの名前には、冠詞 の a がついていませんが、kindle a fire だと「火をつける」という意味になります。
商品のネーミングというものは、一元的な意味だけではない広がりを求めるものですし、言いやすさや音の響きも大切なので、その意味はこれだ!と決めつけない方がいいだろうとは思うものの、やはり「火をつける」というニュアンスと無関係ではない…のでしょうね。

動詞 kindle の説明が長くなりましたが、ではその動詞に -ing をつけた kindling は何かと言うと、turn something into ... の形になっていることから、kindling は「名詞」であることがわかりますね。
動名詞「火をつけること」ですから、つまりは「点火、発火」「たきつけ」という意味になります。
そして、そういう「火をつけるための木、薪(まき、たきぎ)」という意味にもなるようですね。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
kindling [noun] [uncountable] : small pieces of dry wood, leaves etc. that you use for starting a fire
つまり、「火を起こすのに使う、乾いた木や葉などの小さな破片」。

日本語の訳語として「たきつけ」という言葉を使ったのですが、その「たきつけ(焚付)」というのも、「たきつける」という動詞を名詞化したものですよね。
広辞苑では以下のように説明されています。
たきつけ(焚付)
火をたやすく燃えつかせるために用いる枯柴・こっぱなどの類。


そういう意味では、英語の kindle & kindling の関係は、日本語の動詞「焚き付ける」と名詞「焚付(たきつけ)」の関係と全く同じと言えるわけで、言葉の発想の共通性が見えて、非常に興味深いなと思いました。

ですからロスのセリフは、「おばさんが最後に見た時のモニカだったら、結婚式の木製の椅子に座るだけで壊しちゃって、点火用の薪にしちゃってただろうね」と言っていることになるでしょう。
今はスリムになっているモニカですが、「当時のモニカの姿を想像するとそんな感じだったろ、だから椅子を壊されるのを恐れて、おばさんはモニカを呼ばなかったんだよ」と言っているようです。

それを聞いたモニカはさらに怒った様子で、「座席制限だなんて、そんなのくだらない言い訳よ!」と言っています。
a lame excuse は「まずい・下手な言い訳」。
lame という単語は元々、「足が不自由な」という意味があるのですが、その意味でこの単語を使うのは軽蔑的ニュアンスが感じられる恐れがあるので避けるべきだと言われています。
(ですが、英英辞典の LAAD にも、この意味はちゃんと載っています)。
ですから、フレンズでも lame が出てくるのは、この a lame excuse というフレーズがほとんどですね。
LAAD では、
lame : (informal) a lame explanation or excuse does not sound very believable
例) I don't want to hear any of your lame excuses for being late.

つまり、「lame な説明や言い訳というのは、あまり信用できると思えない(もの)。」
例文は、「遅刻したことに対する君の下手な言い訳を、私は一つも聞きたくないんだ」。

「人数制限なんてそんなの下手な言い訳よ。そんなのは、彼女が私を招待しない理由じゃないわ!」と激怒しているモニカに対して、「何をそんなに大騒ぎしてんだよ」とロスは言っています。
「僕だって、セレモニーには招待されてなくて、ただレセプションに招待されただけなんだ」とも言っていますね。
ceremony は「結婚式」で、reception は「披露宴」のこと。
日本の結婚式でも、親族は「結婚式と披露宴の両方」に呼ばれたりすることが多いですから、「式じゃなく披露宴だけ」にされていることが、「いとこ」のロスにとっては不満ということでしょう。
If it makes you feel any better は「もし(そのことが)君を少しでも気分良くするのなら」という感覚で、今から言うことでちょっとでもモニカの気分がましになるといいんだけど、みたいに言っていることになります。
appearance は「出現、登場、現れること」ということですから、make an appearance は「顔を出す、姿を現す」。
leave early は「早めに発つ・そこを離れる」、as a sign of protest は文字通り「抗議の印として」。
ですから、ロスは、「ジョアンと僕は顔だけ出して、その後、(親族なのに式に呼んでもらえなかった)抗議の印として、早めに披露宴を退場しようと思ってるんだ」と言っていることになります。
「モニカは招待されなかったと怒ってるけど、僕も披露宴だけだから早退するつもりなんだよ」と言うことで、「モニカと同じく、僕も失礼な話だな、って怒ってるんだ」ということを示しているわけです。
この後、(長くなるのでセリフは省略しますが)、「そのジョアンって誰?」という話になって、それがロスがパートナーとして連れて行く女性だとわかって、「私を招待しないのに、ロスはゲストを連れて来てもいいって言われてるの?」とモニカはますます怒ることとなります。
モニカをなだめようとした話で、またモニカが余計に怒ってしまう、というところが、いかにもフレンズっぽいですね。


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posted by Rach at 16:35| Comment(0) | フレンズ シーズン7 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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