2013年02月20日

パスポート取得を許可するとでも フレンズ7-11その6

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6年ぶりに再会したデビッドと、幸せな時間を過ごしたフィービーでしたが、やはりデビッドはミンスクに戻ることとなり、さよならを言うことになります。
「友達の俺との約束より、恋人との約束を優先させるのか?」と怒っていたジョーイでしたが、タクシーで去ったデビッドを見送ったフィービーの姿を、後ろから静かに見つめています。
フィービー: (seeing him) Okay, now's not the time, Joey. All right? You can yell at me tomorrow. ([ジョーイを見て] いいわ、今はその時じゃないの、ジョーイ。いい? 明日私に怒鳴ってくれていいから。)
ジョーイ: No! No! No, Pheebs, I'm not gonna yell at you. I just y'know, started thinking about you and David and I... remember how bummed you were the first time he left. And I just.... Oh Pheebs, come here. (He hugs her.) Are you okay? (いや、いや、違うんだ、フィービー。俺は君を怒鳴ったりしないよ。俺はただ、君とデビッドのことを考え始めて、で、俺は…思い出したんだよ、彼が最初に旅立った時に君がどんなに落ち込んでいたかってことをね。だから俺はただ…あぁ、フィービー、こっちにおいで。[ジョーイはフィービーをハグする] 大丈夫?)
フィービー: No, I'm not okay. The only guy I've ever been crazy about is going to Minsk and I may never... I may never see him again. (Crying.) (ううん、大丈夫じゃない。私がずっと夢中だったただ一人の人がミンスクに行くの、それで私は二度と…二度と彼に会えないかもしれないのよ。)
ジョーイ: Hey, y'know you could always visit him. (ねぇ、いつでも彼のところを訪問できるんじゃないの?)
フィービー: Oh, right, like they're gonna let me have a passport. (ええ、そうね、まるで私にパスポートを持つことを(当局が)許可するみたいに言うのね。)
ジョーイ: Anything I can do? Whatever you need. (俺にできること何かある? 君が望むことなら何でも。)
フィービー: Well-But-Now, if-if you can achieve positronic distillation of subatomic particles y'know before he does, then he could come back. (They hug again.) (そうねぇ、でも、ほら…もし、もしあなたがデビッドよりも先に、素粒子の陽電子蒸留を成し遂げることができたら、そしたら彼は帰って来られるかもしれない。[二人は再びハグする]
ジョーイ: I could give it a shot. (挑戦できるかも。)

またミンスクに旅立ったデビッドを見送ったフィービー。
その悲しそうな姿を見て、「俺との約束を破りやがって!」みたいに怒っていたジョーイの気持ちも変わったようです。
フィービーはジョーイを見て、「今はその時じゃない」と言っていますね。
私のこと怒ってるの、よくわかってるけど、今はその話はしないで、という感覚。
You can yell at me tomorrow. は「明日、あなたは私に怒鳴ることができる」ですから、「(怒鳴りたいなら)明日怒ってくれたらいいから(お願いだから、今は、今日は、怒鳴るのをやめておいてほしい)」と言っていることになります。

落ち込んでいるフィービーを見てジョーイは、「違うよ、俺は君を怒鳴ったりしないよ」と言っています。
その後、「俺は考え始めて、それで思い出したんだ」みたいにも言っていますね。
6年前の君とデビッドのことを考えて、それで思い出したんだ、彼が君の元を去った、あの最初の時、君がどれほど bummed だったかを俺は思い出した、と言っていることになります。
bummed は「元気のない、落ち込んだ、へこんだ」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
bummed also bummed out [adjective] (spoken) : feeling sad or disappointed
つまり、「悲しい、または失望した気持ちである」。

言葉だけでは慰められないと思ったジョーイは、フィービーを優しくハグしてあげています。
Are you okay? と聞かれたフィービーが、No, I'm not okay. と言うのに、何だか泣けてしまいますね。
「大丈夫なんかじゃないわ」という感じで、その後、自分の今の状況を語って、こんな状態で私が大丈夫でなんかいられるわけないじゃない!みたいに言っていることになります。
be crazy about は「(人)に夢中である、ぞっこんである」なので、The only guy I've ever been crazy about は、「私がずっと夢中だった唯一の男性」になるでしょう。
その人がミンスクに行こうとしている、そして、その彼にもう二度と会えないかもしれないんだ、と説明しています。
フィービーも、これまでのエピソードで、いろんな男性とお付き合いしてきていますが、確かにデビッドは特別、という印象がありますね。
二人ともちょっと天然ボケみたいなキャラで、その二人のズレ具合が何とも微笑ましく思える不思議なカップルでもあります。
ですから、このフィービーのセリフも、それほど大袈裟には聞こえず、フィービーの率直な気持ちなんだろうなぁ、と思えるのですね。

ジョーイは「君は彼を訪問できるんじゃないの、彼のところに(行こうと思えば)行けるんじゃないの?」みたいに言っていますが、それに対するフィービーのセリフは、コメディらしいジョークになっています。
最初の Oh, right. は反語的なニュアンスの Oh, right. ですね。
よく、フレンズでは、Yeah, right. の形で出てきますが、相手の発言を肯定している感じではなくて、「ええ、おっしゃる通りよねぇ〜」みたいにちょっと皮肉っぽく返す感覚で、本音は「本気で言ってるの? 冗談でしょ」みたいなニュアンスが近いです。

その後、like... を使って「彼らが私にパスポートを持たせることになる」みたいに表現していますね。
この like は、フレンズのセリフによく登場する、「〜みたいに言うわねぇ」というニュアンス。
「〜みたいにあなたは言うけど、そんなわけないじゃない」のように、実際にはそんなわけない、と like 以下の表現を完全否定しているニュアンスになります。
they はパスポートを発行する機関や当局の人を漠然と指す感覚。
ですから、このセリフは、「当局の人たちが、私にパスポートを持たせてくれるかのようにあなたは言うけど、そんなわけないでしょ、私がパスポートを持てるわけないじゃない」みたいに言っていることになるわけです。
普通の人なら「は?」となりそうなセリフですが、フィービーという人は、家族の幸せに恵まれない幼少期を過ごし、元ストリートチルドレンで、その過去についてはフレンズたちもすべてを知っているわけではない、という不思議キャラの設定になっています。
そういうイメージがあるために、「国がパスポートを発行できないような、海外に渡航できないような、想像を絶するものすごい過去が、フィービーにはあるかもしれない」と思わせるので、「私がパスポート持てるわけないじゃない」みたいなセリフも、あながち嘘ではない気がしてしまうわけですね。
…って一体、フィービーは過去にどんなヤバいことをしたんだよっ!とツッコミたくなるようなセリフになっている、ということです。

「私はパスポートなんか持てない人間なのよ」みたいにフィービーが言うので、ジョーイは「他に何か俺にできることない?」と尋ねています。
しばらく考えていたフィービーは、「デビッドがそれをする前に、positronic distillation of subatomic particles を達成して・成し遂げてくれたら、彼は(ミンスクから)アメリカに帰って来られるかもしれない」みたいに言っています。
positronic distillation of subatomic particles はそのまま訳すと、「素粒子の陽電子蒸留」になりますね。
この言葉の意味はどうでもいい、というか(笑)、ここではとにかくそういう「小難しい専門用語」を使って、デビッドが研究し、成し遂げようとしていることを、ジョーイが彼より先にやってくれたら、デビッドは研究をやめ、アメリカに帰ってきてくれるかもしれない、と言っていることだけわかれば良いわけです。(多分、その研究内容も、言葉の上での創作だと思われ、実際にこういう研究があるわけではない、という気がしますし)

ちなみに、positronic と聞くと、新スタートレック(Star Trek: The Next Generation)のデータ少佐(Lieutenant Commander Data)の positronic brain (ポジトロニック・ブレイン、陽電子頭脳)を思い出すのは私だけ?(笑) (陽電子頭脳というのは、データ少佐だけが持っているものではなく、元々は、アイザック・アシモフの小説に出てきた言葉、だそうです)

そんな風に、デビッドが取り組んでいるのは、日本語に訳しても「は? 何それ?」みたいな難しい研究なのですが、「ジョーイがそれを成し遂げてくれたら…」みたいに言われたジョーイは、フィービーをハグしながらしばらく考えた後、give it a shot できるかもしれない、みたいに言っていますね。
give it a shot は、「試しにやってくみる、挑戦してみる」。give it a try と同じ意味です。
普通の人だったら、「そんなわけのわからない難しい研究、できっこないよ」と言うところでしょうが、ジョーイは多分、どの程度難しいのかすらわからないのでしょう(笑)、フィービーを慰めるためにハグしながら、「ま、やってみっか」みたいにあっさり言ってしまうところが、ジョーイっぽくて笑えるわけですね。


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posted by Rach at 16:13| Comment(8) | フレンズ シーズン7 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Positronic Distillation
というフレンズのハチャメチャ用語に関して
英語のブログ記事がありました。

http://positronicdistillation.com/about/

Rachさんが言及されたようにアシモフの
positronic brain にも触れています。
Positronの発見者Carl D. Andersonのミドル
ネームのイニシャルがDになっていますが
これがデビッドなんですね。
フレンズにデビッドを入れたシナリオライター
がこれを意識していたかどうかまではわかりません。

また配役として想像すらできませんがフレンズのデビッドを演じた役者さんはフレンズのジョーイ役のオーディションに出ていたんです。
Posted by teruchan at 2013年05月11日 14:56
teruchanさんへ
コメントありがとうございます。

やはり、Positronic と言えば、positronic brain ですよね。フレンズでデビッドと言えば、ロス役の David Schwimmer も思い出してしまいますが、映画「インデペンデンス・デイ」でジェフ・ゴールドブラム演じる主人公の名前が David だった印象が(なぜか)私には強く、何となく科学者っぽい名前なのかなぁ、と思ったりもします。

IMDb : Biography for Hank Azaria
http://www.imdb.com/name/nm0000279/bio
Personal Quotes
に、「ハンク・アザリアのフレンズに関する発言」が書いてありますね。

(2011, on Friends) Matthew Perry was the first friend I made in Hollywood.
(中略)
And I went and auditioned for Joey and got rejected,

つまり、「(チャンドラー役の)マシュー・ペリーは、私(ハンク・アザリア)にハリウッドでできた最初の友達だった」「私はジョーイのオーディションに行って、落とされた」。

彼がジョーイのオーディションを受けていたという件は、私は知りませんでした。マシュー・ペリーと仲が良いという話も興味深いですよね。
情報ありがとうございました。
Posted by Rach at 2013年05月13日 18:35
Rachさんこんにちは、ご無沙汰しています。

"I'm not okay" と言うセリフでボロボロに泣いてるフィービーには驚かされますし、いつもと全く違うキャラとのギャップにぐっときますね。

私ごとですが、日本に帰って来ました。今月TOEICを受けるので、フレンズとテキスト勉強で頑張っています(^^)
Posted by Hiro at 2014年10月09日 16:21
Hiroさんへ
こんにちは。コメントありがとうございます。

デビッドというキャラクターはシーズン1に登場していたこともあり、印象深いですよね。フィービーにとっても他の人とは違う何かがあるようで、確かにこのようにボロボロになっている感じはフィービーとしては珍しいな、と思います。

それから、ロンドンから帰国されたのですね! 素敵な想い出がたくさんおありのことと思います。そういう楽しい記憶を思い出しながら、英語学習も楽しんでいただけたら嬉しいです。

TOEIC 頑張って下さい。応援しています!(^^)
Posted by Rach at 2014年10月10日 13:15
初めまして、Rachさん。
英語勉強中のTSと言います。
このブログにはいつも勉強させてもらっています。

自分と理解が違うなと思った場所があったので、よろしければ考え聞かせて下さい。

1.
Phoebeのパスポートの下りはDavidにanother flight がin Julyだと言われたことを受けてかなと最初思いました。
一方で記事を見て、これはJoeyが聞いてない情報だし、確かに身の上のことを言ってるのかなとも思いました。
そう考えた理由がもしあれば教えてください。

2.
Joey のI could give it a shot.は、
どちらかというと、馬鹿にされつつ無理を言われたのに対し「チャレンジくらいはできるだろ、やらんけど」くらいなイメージです。
can やwill じゃなくてcould というのが、できればやるけど〜(ゴニョゴニョ)みたいな曖昧さを含ませてるように思えました。

Mr.HecklesのI could have cats. ように、実際には違うけどやろうと思えばやれるだろ的な感じかと。

Posted by TS at 2018年09月09日 01:00
TSさんへ
初めまして。コメントありがとうございます。「いつも勉強させてもらっています」と言っていただけて光栄です。

1.
パスポートの件ですが、まずジョーイは「いつでもミンスクの彼のところに行けるじゃないか」という内容を言っています。「彼がアメリカに帰ってくるのを待つんじゃなくて、フィービーがミンスクに行けば会えるだろ」ということですね。
それに対しての返事がパスポートのセリフなのですが「私がパスポートを持つことを彼らが(将来的に)許可することになるみたいに」という表現から、フィービーは今パスポートを持っていないことがわかります。つまり、フライトのあるなしではなく、フィービーがパスポートを持っていないから会えない、という話なのですね。
Actually, I don't have a passport. 「実は私パスポート持ってないの」に近い状況で、その場合だと「じゃあパスポートを取ればいいじゃん」ということになるのですが、フィービーの場合は「何らかの理由からパスポートを持つことが許可されていない」という内容になっていて、これまで壮絶な人生を送ってきたフィービーなら渡航許可が出ない理由が何かあるかも、、と思えて笑えるというオチになっているということです。
「彼ら(当局)が私にパスポートを持たせてくれるとでも?」みたいな内容だったので、それを聞いたジョーイも口を横にイーと広げて「そんな状況なら無理だな」みたいな顔をしたように思います。

2.
「素粒子の陽電子蒸留ができたら」というのはジョーイにはできないとわかって言っているとは思うのですが「ジョーイを馬鹿にした」というニュアンスはないように思います。
「俺に何かできることある?」と言われた後、フィービーは一瞬「優しいこと言ってくれるのね」みたいな表情を見せた後、無理だとわかりつつ陽電子蒸留の話をついまくしたててしまった、その後、意味がわからずポカンとしているジョーイを見て、やっぱり無理に決まってるわよね、みたいな感じで口を曲げた表情を見せた後、ジョーイに寄りかかるようにしてハグしてもらうという流れになっており、フィービーを優しくハグしているジョーイは「馬鹿にされつつ無理を言われた」と感じているようには見えません。

普通、無理なことを言われた場合には「俺にそれができればいいんだけどできない」という意味で I wish I could. のような答えになることが多いと思うのですが、どう考えてもできそうにないジョーイが「やろうと思えばできるかも。いっちょやってみるか」みたいに、あっけらかんと答えたのがここの面白さになっていると私は感じました。
I could give it a shot, but... 「やろうと思えばできるかもしれないけど、でも…」のようなゴニョゴニョ感は、このジョーイの言い方と表情からは感じられない気がするということですね。

I can give it a shot. 「俺、挑戦できるよ」よりも少し婉曲に「やろうと思えば挑戦できるかも」という感じで表現したのが、I could give a shot. のニュアンスだと思います。
「いやいや、やろうと思ってもできないって!」と見ている人がツッコミたくなるような面白さということですね。
Posted by Rach at 2018年09月09日 13:51
Rachさん

返答ありがとうございます、
すぐ書いてもらって頂いたのに見るまで時間経ってしまいすみません。

1.のパスポートの件は納得です

2.の方も書いてもらってる通りですね。

馬鹿にしてというのは語調が強すぎでした。「Joeyができる出来ない以前に、何を言ってるかも分からないだろうことを分かりつつPhoebeが言っている」という意味でした。

I wish I could. 確かにそうですね。
その場合こう言うんじゃない?と出してもらえるとすごく理解が捗ります。

(関係ないですが、I wish I could.というと1-1で家具組み立てに誘われたPhoebe のbut I don’t want to.が真っ先に頭に浮かびます。)

ありがとうございます!

Posted by TS at 2018年09月24日 01:18
TSさんへ
ご丁寧なお返事ありがとうございます。
お返事はお時間のある時に読んで下さればそれで結構ですので、どうかお気遣いなく(^^)

「その場合こう言うんじゃない?」というのを示すことで、そのように言っていただけると私としても大変ありがたいです。
1-1 のフィービーの I wish I could. は本当に面白いですよね。
フィービーのキャラクターがよく表れたセリフで、パイロット版の第1話にふさわしいセリフだったと思います。

こちらこそお返事ありがとうございました!
Posted by Rach at 2018年09月25日 15:33
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