2013年03月15日

この値段なら誰もが欲しがる フレンズ7-13その3

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[Scene: The telemarketing office, Phoebe is hard at work.]
電話勧誘のオフィス、フィービーは熱心に仕事中。
フィービー: (on phone) Hi. This is Phoebe from Empire Office Supplies. Can I speak to your supply manager, please? (Listens) Earl. Thanks. (Listens) Hi, Earl. This is Phoebe from Empire Office Supplies. I'd like to talk to you about your toner needs. (She's reading from the script.) ([電話で] こんにちは。こちらはエンパイア・オフィス・サプライズのフィービーです。そちらの備品担当者とお話できますでしょうか? [電話を聞いて] アールですね。ありがとう。[聞いて] こんにちは、アール。こちらはエンパイア・オフィス・サプライズのフィービーです。そちらのトナーがご入り用かについてお話したいのですが。[フィービーは原稿を読んでいる])
[Cut to Earl's office, who is played by Jason Alexander, George from Seinfeld. They cut back and forth between Phoebe's and Earl's offices with each of their lines.]
アールのオフィスに画面がカット。アールを演じているのはジェイソン・アレクサンダー、「サインフェルド」のジョージである。セリフごとに、フィービーとアールのオフィスに画面がカットする。
アール: I don't need any toner. (私はトナーは全く必要ありません。)
フィービー: I'm hearing what you're saying, but at our prices, everyone needs toner. (あなたのお話はわかります、ですが我々の値段なら、誰もがトナーを欲しがります。)
アール: Not me. (僕は違うな。)
フィービー: May I ask why? (なぜだか理由をお尋ねしてもよろしいですか?)
アール: You wanna know why. You wanna know why? (なぜだか知りたい? 君はなぜだか知りたいの?)
フィービー: I surely do! (はい、とても知りたいです!)
アール: Okay. I don't need any toner... because I'm gonna kill myself. (わかった。僕はトナーは全く必要ないんだ…なぜなら、僕はこれから自殺するから。)
(Phoebe desperately tries to find the scripted response to that line.)
フィービーはその答えに対する、原稿化された答えを必死に探そうとする。
フィービー: (doesn't have any luck) Umm, is-is that because you're out of toner? ([うまく行かず(答えが探せなかったので)] あー、それって、そちらがトナー切れだから?)

電話勧誘の仕事にさっそく取り掛かっているフィービー。
1件目の電話で、少し前に練習した通りの言葉を言って挨拶しています。
全て手元にあるマニュアルに書いてあるので、間違いなく言えるわけですね。

「サプライマネージャーをお願いできますか?」と聞いたところ、相手が「担当者はアールという名前で、今そちらにお繋ぎします」と言って、アールに電話を回してくれたらしいことが、セリフからもわかりますね。
担当者が出た後は、マニュアル通りに名乗って、トナーのニーズはいかがですか?と尋ねています。
これ以降、電話でのやり取りとなり、画面では、電話で話している二人の人間を交互に映すことになるのですが、フィービーの電話の相手について、ト書きでちゃんと説明してありますね。
説明の通り、アール役のこの人物は、ジェイソン・アレクサンダーという俳優さんで、アメリカの人気シットコム Seinfeld (邦題は「となりのサインフェルド」)で、ジョージ・コスタンザ(George Costanza)を演じている人です。
もちろん、サインフェルドのジョージとして出演しているわけではありませんが、見た人はみんな、そのイメージで見ているわけで、そこがこの出演のポイントでもあるわけでしょう。
実際、この後のやりとりを見ていると、サインフェルドのジョージのキャラそのまんま、みたいな役回りになっているので、サインフェルドを見たことある方なら、余計に楽しめるエピソードになっていると思います。
ご存じない方は、以下のウィキペディアの解説をどうぞ。
Wikipedia 日本語版: となりのサインフェルド

トナーのニーズを尋ねられたアールは、典型的な断りのセリフ、I don't need any toner. 「トナーは必要ありません」と答えていますね。
そう言われたらこう答える、とマニュアルにあるらしく、フィービーはビジネス英語っぽく、I'm hearing what you're saying, but at our prices, everyone needs toner. と返します。
I'm hearing... の文章を直訳すると、「あなたが(今)言っていることを私は聞いています」になりますね。
つまり、「こちらはトナーは必要ない」とおっしゃっているのはちゃんと聞こえていますが、理解していますが、それでも、我々の値段なら、我々が提示しようとしているこのお買得のお値段なら、必要ないと言っている人でもみんな欲しいと思うようになるんですよ、みたいな返しをしていることになります。

Not me. は「僕は違うな」という感覚で、前文である everyone needs toner. を受けて、I don't need toner. と言っていることになります。
みんなが欲しがろうと、僕は欲しいとは思わない、みたいなことですね。
そんな風に拒絶された場合は、マニュアルには理由を問えと書いてあるらしく(笑)、フィービーは即座に May I ask why? と返します。
May I...? は「…してもよろしいですか?」という、人に丁寧に許可を求めるフレーズですね。
友達同士の会話なら、Why? 「どうして? 何で?」みたいにぞんざいに言うところですが、ここは営業の電話なので、「なぜあなたがトナーが必要ないかの理由を私がお尋ねしてもよろしいでしょうか? 理由をお聞かせ下さいますでしょうか?」と丁寧に質問しているわけです。
トナーは要らん!と言っている人にしつこく理由を尋ねようとしているのですから、相手を怒らせないようにそれくらい丁寧に言わないといけない、というマニュアルの指導なわけですね。
大抵の客は「いらない」と言って話を終えようとするので、「どうして要らないんですか?」と話を続けることで、話を発展させる糸口を掴もうというテクニックなのでしょう。
「どうして?」と言われたら、人は何とか理由を説明しようとするものですが、そのほとんどはマニュアル上で想定されている答えでしょうから、ああ言えばこう言う、でそのうち相手が折れてしまうように話を持って行くこともできる、ということです。

「理由をお聞かせ下さいませんか?」と言ったフィービーに、相手は確認するように、「君は理由を知りたい?」と何度も言っています。
当然のように「知りたいです」と答えたフィービーに対して、アールは「僕はこれから自殺するから、トナーは必要ないんだ」と想定外の答えを返してくることになります。
その答えを聞いたフィービーは、ト書きにあるように必死に問答集に該当のセリフを探すことになりますが、当然、そんな答えが返ってくるとマニュアルに書いてあるはずはありません。
ト書きの doesn't have any luck は、have luck 「うまくいく、成功する」の否定形ですから、「僕は自殺するから」に対する的確な返事をマニュアルで見つけることができなかった、ということ。
困ったフィービーは、Is that because you're out of toner? 「それは、あなたがトナー切れだから?[そちらのトナーが切れてるから?]」とトンチンカンな答えを返すことになります。
トナーの営業の電話なので、「トナーが切れているのなら、是非当社のトナーをお使い下さい」みたいな話の持って行き方がマニュアルにも書いてあるのでしょう。
「そちらに何か問題があるのなら、それはトナーのニーズが間に合っていない、ということ。ですから今、トナーの購入を強くお勧めします」みたいな感じの営業電話のイメージですね。
トナー切れが、さまざまな悪いことの原因なんですよ、みたいな話の展開のマニュアルを応用しようとしたのでしょうが、自殺しようという相手に、トナーがどうのとか関係ないやろ!的な面白さとズレ具合が、フィービーっぽいオチになっているわけですね。


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posted by Rach at 15:50| Comment(2) | フレンズ シーズン7 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Rachさんこんにちは、いつも丁寧にお返事ありがとうございます。

このエピソードは全シーズン通して自分が一番笑ったと思うくらいウケました(^O^) 自殺を思いとどまらせようと奮闘するのはフィービーらしさ全開でしたね。電話のやりとりも参考になるし、実践で使えそうですね。

ところで私事ですが、先月のTOEICの結果が出ました。L:485 R:405 total:890 で四年前に比べて270点アップしました!900点を目指していたのでちょっと悔しいですが、イギリス生活とフレンズ学習の成果でリスニングはかなり伸びたし満足です。でもレイチェルさんは990ですよね?すご過ぎます…。来年は英検の一級と準一級も受けるつもりなので頑張ります(^^)
Posted by Hiro at 2014年11月18日 18:40
Hiroさんへ
コメントありがとうございます。

このエピソード、面白かったですよねぇ〜。おっしゃるように「営業用の電話」ですから、この電話のやりとりは英語学習的にも有用ですよね。

それから、TOEIC、270点アップされたとのこと、おめでとうございます! リスニングの伸びについて「イギリス生活」と並んで「フレンズ学習」も挙げて下さっていることは、こういうブログを書いているものとしてとても嬉しいです。実際に英語圏で生活しながら、ドラマでもインプットできるというのは理想的ですね。

私も「フレンズ英語学習」と「英語資格試験」(英検やTOEIC)を両輪にして、英語学習をしてきました。自分の英語力の伸びを、資格試験で確認できると、それが自信となり、さらなる伸びにも繋がりますよね。
英検の1級と準1級も是非頑張ってください。応援しています!(^^)
Posted by Rach at 2014年11月19日 15:11
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