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ジョーイのリクライニングチェアを動かそうとしていたレイチェルは、背もたれを思い切り引っ張って、椅子を壊してしまいます。
レイチェルは、買って弁償するわ、と言って、椅子を買いに行くことになります。
二人の留守中、チャンドラーがやってきて、その椅子に座った途端、背もたれが取れてしまいます。
自分が壊してしまったと誤解したチャンドラーは、自分の同型の椅子と取り替えることで、壊したことをバレないようにしようとしているところ。
[Scene: Joey and Rachel's, Chandler has replaced Rosita with his chair.]
ジョーイとレイチェルの家。チャンドラーはロジータ(ジョーイの椅子)を、自分の椅子と取り替えたところ。
チャンドラー: Good chair. Now, if anybody asks, your name is Rosita! (He runs out the door, grabs the back of Rosita, and we can hear Joey and Rachel talking as they are coming up the stairs. Neither of them have reached the landing yet.) (いい子にしてろよ。で、もし誰かが尋ねたら、お前の名前はロジータだからな! [チャンドラーはドアを走り出る、ロジータの背中部分を握って。ジョーイとレイチェルが話しながら階段を上ってくる声が聞こえる。二人のどちらもまだ踊り場には到達していない]
(They enter their apartment.)
ジョーイとレイチェルは自分たちのアパートメントに入る。
ジョーイ: Poor thing. Cut down in her prime. (かわいそうに。全盛期に[女盛りに]切られちゃって[カットされちゃって]。)
レイチェル: Joey, the new chair will be here in an hour. Maybe we should actually move Rosita out of here. Y'know, start the healing process? (ジョーイ、あの新しい椅子が1時間後にここに来るのよ。多分、私たちは実際にロジータをここから出すべきだと思うの。ほら、立ち直りを始めるのよ。)
ジョーイ: Well, I guess you're right. Maybe, maybe I'll take her down to the incinerator. It's gonna be so said, and kinda cool. (He goes to remove the back, but it doesn't come off. So he sits down in it, puts his feet up, stands up, and looks back at it.) She's healed! (そうだな、君が正しいと思うよ。多分、多分だけど、俺は彼女を焼却炉に連れて行く。すっごく悲しいだろうけど、ちょっとかっこいいよな。[ジョーイは背もたれを動かそうとするが、取れない。そして彼は椅子に座り、足を上げ、背もたれを立てて、椅子を見返す] 彼女、治ってる!)
レイチェル: That's weird. (そんなの、変よ。)
ジョーイ: No, it's not weird. It's a miracle! (いや、変じゃない。奇跡だ!)
レイチェル: It's not a miracle, Joey! I'm sure there's some explanation. (奇跡なんかじゃないわ、ジョーイ! 間違いなく、何か説明があるはずよ。)
ジョーイ: Oh, there is! If you want something enough and your heart is pure, wondrous things can happen! (あぁ、説明はあるね! もし人が何かを充分に望んで、その人の心がピュアなら、すごいことが起こるんだよ!)
壊れたジョーイの椅子を、自分の椅子と取り替えたチャンドラーは、椅子に向かって Good chair. と言っていますね。
「良い椅子」ということですが、これはその椅子のことを「この椅子はいい椅子だなー」と感想を述べているのではなくて、犬などのペットに対して、Good boy. 「いい子だ」と言うのと似たニュアンスがあるように思います。
ジョーイの椅子の場所に据え付けて、「よし、お前はいい子だ、その調子で頑張れ」みたいな意味で言ったのでしょう。
その後の、Now, if anybody asks, your name is Rosita! というセリフが面白いですね。
「もし誰かが尋ねたら、お前の名前はロジータだ!」ということですが、ジョーイが自分の椅子にロジータという名前をつけていることを、元ルームメイトのチャンドラーは当然のごとく知っていた、ということがこのセリフからわかるのが、ジョーイ&チャンドラーコンビらしくて楽しいわけです。
チャンドラーが壊れていない椅子に取り替えたとも知らず、ジョーイは椅子を見て、Poor thing. と言っていますね。
日本人は poor と聞くと、まずは「貧しい、貧乏な」という意味を連想しがちですが、英語の日常会話では「かわいそうな、哀れな、気の毒な」という意味でもよく使われますね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
poor boy/girl/Joe etc. : (spoken) used to show pity for someone because they are so unlucky, unhappy etc.
例) The poor thing (= used about a person or animal) looks like she hasn't eaten in days.
つまり、「(話し言葉) ある人が非常に不運である、不幸である、という理由で、その人に対して、あわれみの情を示すために使われる」。例文は、「そのかわいそうな人は、何日も食べていないように見える」。
ロングマンの例文にも出てきているように、なにかあわれみを誘うものに対して、poor thing という言葉が使われるのですね。
「かわいそうな人、かわいそうなもの」、あるいは「かわいそうに」と訳すのが適切でしょう。
「かわいそうに」と言えば、私は、「機動戦士ガンダム めぐりあい宇宙編」のサイド6の湖畔でアムロとララァが出会ったシーン…を思い出さずにはいられないのですが(笑)、飛べなくなった白鳥を見て、ララァが「かわいそうに…」というところ、「ガンダム特別編」という英語字幕も出るDVDでは、その部分はやはり、Poor thing... と訳されていました。
あの時のララァのセリフ「かわいそうに…」は英語では "Poor thing..." になるんだ、と説明すれば、まぁ、わかる人にはわかっていただけるのではないかなぁ、というお話でした(^^)
in one's prime は「全盛期に、最盛期に」。
She's in her prime. だと「彼女は女盛りだ」になりますね。
cut down は She was cut down の She was を省略して言っていることになります。
文字通りに訳すと、「切り落とされた」というところですが、椅子の背もたれが完全にもげてしまったことをそう表現しているのですね。
ジョーイは椅子にロジータという女性名を付けて、それを女の子扱いしているわけですから、椅子として絶好調の時期だったのに、そんな時に突然、背もたれがもがれてしまって…という意味で、「女盛りに(背もたれを)切り落とされちゃって」と嘆いているのですね。
ロジータの死を悼み続けるジョーイに、レイチェルは前向きに行動することを勧めています。
新しい椅子が1時間後に来るから、壊れたロジータをここから外に運び出すべきだ、ということですね。
healing process は「ヒーリング・プロセス」でもわかる気がしますが、つまりは「癒しの・治癒の過程」、「痛手から立ち直ること」を指します。
悲しみや痛みを癒す過程を徐々に始めていかないといけないわ、みたいなことですね。
それを聞いたジョーイは同意して、「俺は彼女(椅子のロジータ)を incinerator に連れて行く」と言っています。
incinerator は「焼却炉、火葬炉」。
不要になった家具として焼却炉に持っていくということでしょうが、ロジータを火葬場に持って行って彼女を見送る、という意味では、悲しいけど、クールでもあるね、と言っているのでしょう。
そう言って、壊れているはずの背もたれをはずそうとするのですが、それははずれず、変に思ったジョーイは、いつも通り椅子を操作していろいろ試してみています。
チャンドラーが置き換えた椅子だと知らないジョーイは、She's healed! と叫んでいますね。
「彼女は癒されて、治ったんだ!」と言っているわけです。
感動しているジョーイに、彼よりは現実的なレイチェル(笑)は、「椅子が治るなんて、そんなの変よ、おかしいわ」と言っています。
ジョーイは「変じゃないよ、奇跡なんだ!」と言い張りますが、レイチェルも負けじと、「奇跡じゃないわ」と言って、I'm sure there's some explanation. とも言っていますね。
I'm sure は「…を私は確信している」ということで、何を確信しているかと言うと、「何か(しらの)説明が存在する」と言っていることになります。
椅子が勝手に治ってるなんてありえないんだから、何か裏が、理由があるはずよ、椅子がこんな状態になっていることについて説明がある、説明がつくはずよ、と言っているのですね。
説明という言葉を聞いて、ジョーイは「ああ、確かに説明はあるよ、説明できるよ」みたいに同意しています。
その後の言葉、If you want something enough and your heart is pure, wondrous things can happen! について。
この you は「一般の人」を表す you ですね。
「人が何かを充分に(たくさん)望めば、そしてその人のハートがピュアなら、wondrous なことが起こり得るんだ!」というニュアンスになります。
wondrous は、wonder に形容詞語尾の -ous がついた形ですが、綴りは、wonderous ではなく、woudrous になることに注意しましょう。
研究社 新英和中辞典では、
wondrous 《詩・文語》 【形】 すばらしい
と出ており、誌的、文語的表現だと言うことですね。
wonder の形容詞で「すばらしい」という意味だと、wonderful がありますので、wondrous を使う機会はあまりないかもしれませんが、もし使う場合は綴りに気を付けよう!という単語だということです。
「壊れた椅子が勝手に治ってるなんて、そんなのおかしい。何か他に説明できることがあるはずよ」と言った冷静なレイチェルに対して、「説明できるさ。人がいっぱい何かを望んで、その人の心がピュアなら、すばらしいことが起こるんだよ!」と言っている、まさにそのジョーイのピュアさ(笑)が、このやりとりのオチになっている、ということですね。
このジョーイのセリフはコメディにおけるジョーク、ではありますが、「心のピュアな人が何かを猛烈に望むと、すばらしいことが起こる」という、この言葉自体はなかなかに素敵な言葉で、私もジョーイのようにピュアな心を持ち続けたいと思いました(笑)。
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2013年03月18日
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