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トナーの電話営業の仕事を開始したフィービーは、最初に電話に出た相手(アール)が、「僕はトナーなんかいらない。だってこれから自殺するんだから」と言ったので、説得を試みています。
[Scene: The telemarketing office, Phoebe is still trying to talk Earl out of suicide.]
電話勧誘のオフィス。フィービーはまだアールを説得して自殺をやめさせようと頑張っている。
フィービー: All right so Earl, let's just forget about the people at the office, okay? There-there's gotta be someone else in your life worth sticking around for! What about-what about your family, your friends, or maybe your girlfriend? (いいわ、それじゃあ、カール、オフィスの人のことはとりあえず忘れましょ、いいわね? あなたの生活に、その人のためにそばにいる価値がある、他の誰かがいるはずよ! あなたの家族はどうなの? あなたの友達は? もしくは、彼女とか?)
アール: (laughs) Yeah! Right! ([笑って] ああ! 全くそうだねぇ!)
フィービー: Oh, sorry. Boyfriend! (あぁ、ごめんなさい。彼氏ね!)
アール: Okay, I should, I should probably be getting back to my thing now. See ya. (Hangs up.) (よし、僕は、僕はもう自分のことに戻るべきだよ。じゃあね。[電話を切る])
フィービー: No! I'm not finished yet! Don't! Don't you dare hang up on me!!! (だめよ! 私(の話)はまだ終わってない! やめて! 私の電話を切ったりしないで!)
監督: (walking by and overhearing that) (to the rest of the staff) The new girl's good. ([そばを歩いていて、それを耳にして][残りのスタッフに] あの新しい子、いいわねぇ(頑張ってるわねぇ)。)
最初のト書きの、talk someone out of ... は「人を説得して…をやめさせる、人が…しないように説得する」ですね。
その人があることから out of できるように talk する、という感覚です。
少し前にアールが、「自分が自殺するって電話で言っても、オフィスの誰も反応しないんだ」と嘆いていたことを受けて、フィービーは let's just forget about the people at the office と言っています。
この just は「とにかく、とりあえず」忘れましょう、という感じですね。
そんなことを言ってたって始まらないから、それは忘れて、別の方向で物事を考えましょう、というニュアンスになるでしょう。
オフィスの人はあなたに無関心かもしれないけど、他に worth sticking around for な人がいるんじゃないの?みたいに問うていますね。
worth doing は、「〜する価値がある」。
stick around は「近くにいる、あたりにいる」という感覚。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
stick around : [phrasal verb] (informal) to stay in the same place for a little longer, especially in order to wait for something that you expect to happen
例) Stick around - there'll be dancing later.
つまり、「同じ場所にもう少し長くいること、特に起こると予期されることを待っているために」。
例文は、「ここにいて。後でダンスがあるよ」。
around は「周辺に」で、動詞 stick は「くっつく」の意味で捉えたらよいでしょう。
その人のそばにいるべき価値がある、と思える人が他にいるはずでしょ?と言っているわけですね。
あなたが自殺したら悲しむ人がいるはずよ、と言いたいわけです。
家族、友達、彼女…と順番に挙げてみたフィービーに対して、最後の girlfriend のところで、アールは自虐的な感じで、Yeah! Right! と言って笑います。
こういう Yeah, right! はフレンズでもよく出てきますが、表情とイントネーションからわかるように、皮肉っぽく使う表現です。
文字通り訳すと、「はい、その通り」になりますが、意味は全く逆で、「はいはい、おっしゃる通りでございますねぇ…」みたいに、相手があまりにもありえないこと、信じられないこと、ばかなことを言ってきた時の返しに使うフレーズになります。
そのニュアンスを察したフィービーは、「あ、ごめんなさい、(彼女じゃなくて)彼氏ね」みたいに言っていますね。
アールは、「オフィスのみんなにも無視されるようなこの僕に、彼女なんかいるわけないだろ」みたいに自虐的に笑ってみせたのですが、フィービーはそれを勘違いして、「あ、そっか、この人はゲイなんだ」と思って、「ごめん、あなたの場合は彼女じゃなくて、彼氏よね」みたいに言い直したということです。
電話で話しただけの相手に、勝手にゲイだと勘違いされてしまうアールって一体…というところです。
説得しようとするフィービーに、アールは、I should probably be getting back to my thing now. と言っています。
get back to my thing は文字通り「僕のことに戻る」という感じですが、そのように、「僕の仕事、僕のすべきこと、僕の用事に戻る」と言いたい場合には、こんな風に my thing を使えばいいんだ、ということがわかりますね。
漠然とした言い方ではありますが、こういう thing の使い方を覚えておくと、いろいろな場面で応用が効くように思います。
「自分の用事の戻らなきゃ」と言って、アールは一方的に電話を切ってしまいますが、電話が切れた後も、フィービーは電話に向かって大声で叫んでいます。
I'm not finished yet! は「私はまだ終わっていない」、つまり、「私の話はまだ終わっていない」ということですね。
Don't you dare hang up on me! の、Don't you dare は、普通に Don't と言うよりもさらに強調した形。
Don't you dare! だけでも、「やめなさい!」という意味になります。
dare (to do) は「あえて〜する、思い切って〜する」という意味があるので、「あえて挑戦的にそんなことをわざわざしないで」みたいな感覚が入るのかなぁ、と思います。
LAAD では、
don't you dare! : said to warn someone not to do something because it makes you angry
例) Don't you dare hang up on me again!
つまり、「自分を怒らせるから、という理由で、誰かに何かをしないように警告するために言われる」。
例文は、「二度と私の電話を切るな!」
このロングマンの例文は、again がついているだけで、フィービーのセリフと全く同じですね。
人からの電話を一方的に切るというのはやはり失礼なことですから、Don't you dare! 「そんなことするな、やめなさい」という例文に使うのに典型的なフレーズだったということでしょう。
電話の相手に叫んでいるフィービーを見て、そばを通りかかった監督(電話応対の指導をし、監督している女性)は、残りのスタッフに、The new girl's good. と言っています。
「あの新しい女の子はグッドね」と言っているわけですが、この部分、DVDの日本語音声では「やるわね、新人」と訳されていました。
まさにそういうニュアンスですね。
営業の電話では、相手が一方的に切ってしまう場合も多いでしょうから、叫んでまで食い下がるようなフィービーのような例は大変珍しいのでしょう。
まさか、電話の相手の自殺を食い止めようと説得しているとは思いもしませんから、「あんなに叫んでまで電話を続けようとするなんて、今度の新入り、やるわねぇ」という気持ちで、The new girl's good. と言ったわけですね。
このフィービーの様子を見ると、「おぬし、なかなかやるな」みたいな言葉が日本人にも浮かんでしまうわけですが、「やるな、やるわねぇ」ってどう言うんだろう?と悩む必要はなく、誰それ is good. で十分、言葉が足りるということが、このセリフでわかっていただけたらと思います。
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