2013年05月17日

カーカスというメタルバンド フレンズ7-17その2

皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は3位、「にほんブログ村」は10位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ


ブライダルショップでドレスを試着中、同じく結婚予定のメーガンという女性と知り合ったモニカは、彼女と結婚式についての話をしているところ。
メーガン: So uh, who's your photographer? (それで、あなたの(結婚式を撮影する)カメラマンは誰?)
モニカ: Jeffery. (ジェフリーよ。)
メーガン: We met with him. Did he show you the photos of the nude wedding he did? (私たちも彼に会ったわ。彼は、彼がやった[撮影した]あのヌード・ウェディングの写真をあなたに見せてくれた?)
モニカ: The Best Man? Wow! (あのベストマン? ワオ!(って感じよね))
メーガン: I know! I almost called off my wedding. Oh, who's your band?! (そうなの! 私はもう少しで自分の結婚式を取りやめにするところだったわ。あぁ、(結婚式で演奏する)バンドは誰?)
モニカ: Oh, my fiance wants The Swing Kings. (あぁ、私のフィアンセが、ザ・スイング・キングズがいいって言うの。)
メーガン: Oh, you're so lucky. My fiance wants the heavy metal band, Carcass. (まぁ、あなたはすっごくラッキーね。私のフィアンセは、ヘビメタバンドのカーカスがいい、って言うのよ。)
フィービー: Ooh, is that spelled with a "C" or a "K"? Oh, my God! It doesn't matter, they're both great! (わぁ、それって、C で始まるスペル? それとも K で始まるスペル? なんてこと。そんなのどうでもいいわ。両方とも最高だもの。)

結婚式に付き物のカメラマンについて、「あなたは誰にした?」みたいにメーガンは尋ねています。
モニカがジェフリーという名前を答えると、メーガンは、We met with him. と言っていますね。
「彼に会った」ということですが、meet という動詞は通常他動詞で使われることが多く(Nice to meet you. など)、その場合は with という前置詞は使いませんね。
ここでは、わざわざ、meet with のように with が使われているのですが、この meet with には、「約束して人に会う」というニュアンスがあるようです。

研究社 新英和中辞典では、
meet with=《米》 (約束して)〈人〉に会う、…と会見する、…と会談する
meet with union leaders 組合幹部と話し合う


LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
meet with somebody [phrasal verb] : to have a meeting with someone
つまり、「誰かと会合・打ち合わせをすること」。

ただ人と会う、というよりも、「事前に約束をした上で、正式に会う」という感じがする、ということなのでしょうね。
ですからメーガンのセリフの場合も、「あぁ、私も彼に会ったことある」という軽い感じではなくて、実際に結婚式のカメラマン候補として、事前にアポを取って、時間を割いて会っていろいろ相談した、というニュアンスがあるのでしょう。
その後で、「彼がやった(カメラマンとして仕事した) the nude wedding の写真をあなたも見せてもらった?」みたいに言っていることからも、「私のこれまでの仕事の具体的な内容を見てもらいましょう」みたいな感じの正式な打ち合わせだったことが想像できますね。
the nude wedding と聞いて、モニカは、「(あの)ベストマン? ワーオ!」と言っています。
モニカもその結婚式の写真を見せてもらったこと、その結婚式のベストマン(花婿付添人)のヌードが Wow! と言いたくなるほど素敵だった(笑)ということが、そのセリフからわかります。

メーガンは、モニカの口癖 I know! 「そうでしょ! そうなのよ!」と言って、もう少しで自分の結婚式を call off するところだったわ、と言います。
almost+過去形は、フレンズによく出てきますが、「もう少しで〜するところだった」。
実際にはそうしなかったけど、もうちょっとでそうしてしまうところだった、というニュアンス。
call off は「中止する、取りやめる」なので、メーガンは、「私もあのベストマンのセクシーなヌードを見て、この人と結婚したいから結婚やめる、みたいに思いそうになったわ」とジョークを言っているわけですね。

次にメーガンは「式で演奏するバンドは誰?」と尋ね、モニカは、チャンドラーが是非にと言っている、The Swing Kings の名前を答えます。
メーガンは、「スイングバンドだなんてあなたはラッキーね」と言いながら、「私のフィアンセは、ヘビメタバンドの Carcass がいいって言うの」と説明しています。
カーカスというバンド名を聞いたフィービーは、そのバンドの綴りって、Carcass? それとも Karcass? みたいに問うて、でも C でも K でもどっちでもいいわ、両方とも素敵だもん!みたいに、一人で盛り上がっています。

ネットで調べてみると、実際に、Carcass という名前のバンドは存在するようです。
また、K で始まる、Karcass というバンドは存在しないようです。

Carcass というバンドについては、以下のウィキペディアで。
Wikipedia 英語版: Carcass (band)
ウィキペディアでは以下のように説明されています。
Carcass are a British extreme metal band from Liverpool, who formed in 1985 and disbanded in 1995.
つまり、「カーカスはリバプール出身のイギリスのエクストリーム・メタル・バンド。1985年に結成され、1995年に解散」。

私はあまりヘビメタバンドには詳しくないので、このバンドの名前を知らなかったのですが、アメリカ、または日本では、どのくらいの知名度なのでしょう??
今回のエピソードの脚本を書いた人が、このバンドのことを意識して書いたのかどうかはわかりませんが、まさにそういう名前のメタル・バンドがいる、というのはなかなか興味深いです。
carcass というのは、「獣の死体」のように「死体」という意味の単語。
LAAD では、
carcass : the body of a dead animal, especially one that is ready to be cut up as meat
つまり、「死んだ動物の体、特に食肉として切断される用意ができたもの」。

ヘビメタなどでは死がキーワードになったりすることも多いので、「死体」というショッキングな名前をバンド名にするのはヘビメタっぽい、という発想なのでしょう。
ですから、Carcass というバンドの実在を仮に知らなかったとしても、ヘビメタバンドの名前っぽいネーミングにしてみた、ということはあり得るわけです。

実際の普通名詞の単語そのままをバンド名にすることもあるし、ちょっとスペルを変えて音は同じ、というバンド名にすることもある、という発想から、フィービーは、Carcass なの? それとも Karcass なの?と尋ねているようですね。
自分で C なの、K なの?と聞いておきながら、「でも C でも K でもどっちでもいいわ。どっちもかっこいいもの」みたいに一人で納得しているのも面白いです。
どっちの名前でも、これぞヘビメタバンドって感じがして、イケてるわよねー、みたいに言っているのですね。

ちなみに、carcass という単語が「死体」という意味であると知っていると、「いかにもヘビメタバンドっぽい名前」だということに気付き、余計にこのセリフが面白く聞こえますよね。
あまり普段は聞かなさそうな carcass という単語ですが、実は、過去のフレンズのセリフに登場したことがあります。
まずは、フレンズ1-7その2 で、停電になって、銀行のATMコーナーに有名モデルのジル・グッドエーカーと二人きりで閉じ込められたチャンドラーが、ジルが勧めてくれたガムを反射的に断ってしまった後、猛烈に後悔しているセリフ。
チャンドラー: Mental note: If Jill Goodacre offers you gum, you take it. If she offers you mangled animal carcass, you take it! (心のメモ: もしジル・グッドエーカーがガムを勧めてくれたら、それを受け取れ。もし彼女が切り刻まれた動物の死体を勧めてくれても、それを受け取れ!)

せっかく、有名モデルのジルが勧めてくれたのに断っちまうなんて俺って何てバカ、、、と後悔しているわけですが、何を勧められても絶対断るんじゃない、と自分に言い聞かせているその物体が「切り刻まれた動物の死体」、、というセリフです。
このセリフを聞いているだけで、mangled animal carcass のゾッとする感じが伝わってきますよね。
そんな風に、シーズン1で聞いた carcass という単語が印象に残っていれば、今回のエピソードで、ヘビメタバンド名として登場した時に、「あぁ、あの切り刻まれた動物の死体…のセリフで出てきた carcass か」と気付けることになるでしょう。

また、毛皮を火葬してもらう フレンズ5-6その3 では、動物愛護の精神が旺盛なフィービーが、ミンクの毛皮のことを、
cutting edge hairy carcass from, y'know, the steel traps of wintry Russia 「冬のロシアの鋼鉄製の罠からやって来た[取って来た]、流行の最先端の毛深い死骸」
と表現していました。
hairy carcass 「毛深い死骸」という、その身も蓋もない言い方がいかにもフィービーっぽくて、このセリフからも、carcass という言葉の残酷なイメージが想像されるように思います。
いろんなシーンのいろんなセリフの中で聞くことで、その単語のイメージがより明確になってくる気がしますよね。


ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ
posted by Rach at 15:48| Comment(2) | フレンズ シーズン7 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Rachさんこんにちは。お久しぶりです。いつもながらの深い解説ありがとうございます。seeは2回目以降、meetは初めて会ったとき、ちゃんと話したりするときはmeet with なんて昔習ったことを思い出しました。carcassという単語は知りませんでしたが、Friendsの中に何回か出てくるという解説を拝見するともう忘れませんです。こういう「ある単語の過去のセリフにあった」という検索はどのようにされているのでしょうか?
あと、このMeganという役の女優さん、顔に特徴があってどこかで見たような気もするのですがご存知ですか?
いろいろと雑感的ですみません。
Posted by koroyakun at 2013年05月17日 23:15
koroyakunさんへ
こちらこそ、いつもながらの温かいコメントありがとうございます。
see と meet の違いは、学校英語でも習ったりしましたね。実は私は、meet with という表現についてはこれまであまりなじみがなく、meet だけで足りるのにどうしてわざわざ with をつけてるんだろう?と思って、今回改めて調べてみた、ということでした。

carcass は日本人なら別に知らなくてもいいレベルの単語だと思うのですが、こんな風に Friends で何回も出てくることに気づくと、俄然なじみが増しますよね。carcass については、フレンズ1-5 で「切り刻まれた動物の死体」という日本語訳を書いた記憶があって、それがあまりな例え(笑)だったので印象深かったのです。確かその「死体」が carcass って単語を使ってた気がする、、と思って、ブログのサイドバーにある「ブログ内検索」のボックスに carcass を入れて検索したら、そのフレンズ1-7 と一緒に、フレンズ5-6 も引っ掛かり、「そう言えばフィービーもそんなセリフ言ってたなぁ」と思い出したというところです。

ブログの本文で言及した場合はそのように「ブログ内検索」ツールで調べることが可能ですが、それだとコメント欄のみで触れた事柄についてはヒットしません。私のブログのコメント欄も含めて検索する場合には、Google の検索ボックスに、
site:sitcom-friends-eng.seesaa.net/ carcass
と入れて検索しています。
コメントをいただいて初めて、あれやこれや調べる場合もあるので、コメントも含め検索できるこの方法は、私はよく使っています。

Megan 役の女優さんは、Andrea Bendewald (アンドレア・ベンドウォルド)というお名前みたいですね。私はどこかで見た気はしなくて、IMDb のフィルモグラフィーなどもざっと見てみましたが、やはり私が過去に観た作品への出演はないようでした。
ただ、Internet Movie Datebase の情報を見ていると、レイチェル役のジェニファー・アニストンにゆかりのある女優さんのようです。

IMDb : Biography for Andrea Bendewald
http://www.imdb.com/name/nm0070541/bio
では、以下のように出ています。

Trivia
She was a bridesmaid at Jennifer Aniston's wedding to Brad Pitt, and Aniston was the matron of honor at her wedding to Mitch Rouse.

Long time friend of Jennifer Aniston. They both attended Manhattan's High School for the Performing Arts.

Was married at the Saddlerock Ranch in Malibu, California. The matron of honor was Jennifer Aniston. The bridesmaids were Maria Bello and Kristen Hahn, and the flower girl was Saoirse McAllister.

つまり、ポイントだけ言うと、「アンドレアは、ジェニファー・アニストンがブラッド・ピットと結婚した時のブライズメイドだった」「ジェニファーとは長年の友達」「二人とも Manhattan's High School for the Performing Arts に通っていた」「アンドレアが結婚した時の matron of honor (花嫁付添役の既婚女性)がジェニファーだった」ということで、同じ学校に通い、長年の友人で、お互いの結婚式の付添人を務めた、ということになります。

そういう実生活でのジェニファーの友達が、結婚式がらみのエピソードでフレンズにゲスト出演しているんだと思うと、何だか面白いですね。ジェニファーとそういう話で絡んでしまうと、実生活でも友人、のイメージを引きずってしまいそうですから、あえて別人のモニカと絡んでいるのが、ちょうどいい感じになっている気がします。そういう裏話も楽しいですよね^^
コメントありがとうございました。
Posted by Rach at 2013年05月20日 14:39
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。