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フレンズ2-5その12 のコメント欄 で、セリフに関するご質問をいただきました。
私なりの解釈をあれこれ書いていたら、ものすごく長くなってしまったので、コメント欄でのお返事ではなく、今日はそれを1つの記事として投稿します。
初期の頃のシーズン2のお話なので、このエピソードを見た方も多いかもしれません。
懐かしいエピソードを思い出しながら、楽しんでいただけると幸いです。
(ご質問その1) I'm all cried out today. について
これは、チャンドラーが、泣いている女性にポケットティッシュを渡した後のセリフで、彼のセリフは以下のようになっていました。
チャンドラー: No, you keep the pack. I'm all cried out today.
相手が1枚だけ取って、残りを返そうとするので、「そのポケットティッシュのパックごと、君が持っといてよ、とっといてよ」というのが、you keep the pack. ですね。
この「ティッシュは丸ごと君が持っといてよ」という直前のセリフが、I'm all cried out today. にうまく繋がっているように思います。
文法的な構造から解釈しようとすると、be cried out という形が、be動詞+過去分詞なので、一見、受動態かな?と思ってしまいそうですよね。
ここでの all は「全く、すっかり」という副詞ですが、「俺は今日、すっかり cry out ”された”」という受け身の意味というよりは、「俺は今日、すっかり cried out な”状態”だよ」という感じが近い気がします。
では、cried out とはどういう状態かと言うと、burned out 「燃え尽きた、精根つき果てた」のような、-ed+out と同じ感覚のように思うのです。つまり、「泣き果てた、泣き尽くした」というニュアンスかな、と。
ですから、チャンドラーのセリフは、「俺は今日、すっかり泣き果ててるんだ、泣き尽くしてるんだ」ということで、「俺は今日いっぱい泣いちゃって、もう涙は出ないから、残りのティッシュは全部君にあげるよ」のように、泣いている女性にキザな言葉を言ってみた、ということだと思います。
「俺はもう今日は使わないから、君に全部あげる」ということだと、前後の辻褄も合う気がしますしね。
「泣き尽くした、泣き果てた」という意味になる裏付けを取る目的で、Google のサーチボックスに、「"all cried out" meaning」と入れて検索してみました。
すると、UsingEnglish.com というサイトのフォーラムで、まさに "all cried out" のフレーズに関する質問と答えがありました。
UsingEnglish.com: All cried out
"All Cried Out" というタイトルの歌があるようで、それにまつわる質問でした。
ちなみに、All Cried Out という曲は、以下のようにいくつかあるようです。
Wikipedia 英語版: All Cried Out これは、Alison Moyet の曲。
Wikipedia 英語版: All Cried Out (Lisa Lisa & Cult Jam song) これは、Lisa Lisa & Cult Jam の曲と、Allure によるそのカバー曲。
そのフォーラムでの以下の説明が、all cried out の意味をよく説明してくれていると思いました。
You come to a point when it is no longer possible physically to cry any more.
つまり、「これ以上泣くことが、もう(もはや)物理的に不可能であるというポイント(地点・程度)に到達する」。
もうこれ以上泣けない状態、が、all cried out だということですね。
be all cried out=泣き尽くす、だと理解すればそれでとりあえずの解釈は終了ですが、ただ be cried という形になっているのがやはりどうしても気になってしまうところだと思います…ので、おまけとして少しその部分についても見解を述べてみます(確信はありません)。
cry が「泣く」で、どうして、be cried も「泣く」という意味になるか?については、cry は「泣く」という自動詞と共に、他動詞として、「cry oneself+補語」や「cry oneself to 〜」の形を取ることができるから、だという気がします。
研究社 新英和中辞典では、
cry (他動詞)
2 〔+目+補〕[〜 oneself で] 泣いて〈…の状態に〉なる
The boy cried himself asleep. 少年は泣いているうちに眠ってしまった.
I cried myself blind. 目を泣きつぶした.
3 〔+目+to+【(代)名】〕[〜 oneself で] 泣いて〔…の状態に〕なる
The baby cried itself to sleep. その赤ん坊は泣いているうちに眠ってしまった.
Macmillan Dictionary では、
cry yourself to sleep (=cry continuously until you sleep): I cried myself to sleep at night for weeks after we broke up.
つまり、「cry yourself to sleep は、眠るまで継続的に泣く」、例文は、「私たちが別れた後、私は夜、数週間、寝るまで泣き続けた」。
そういう、cry oneself のような他動詞のニュアンスがあるので、be cried out の形でも、「泣く」という意味になるんだと思うのです。
フレンズ1-1 の追加記事、head=be headed フレンズ1-1その7 で、head = be headed になるという不思議さについての記事を書きましたが、それと同じ感覚かな、と私は思いました。
英語で「さあ始めましょう」と言う場合には、Let's start. よりも、Let's get started. がよく使われたりもしますよね。
そんな風に、「自動詞の意味があるのに、あえて他動詞の意味を過去分詞にして使う」という用法が英語にはあって、この be (all) cried out もその一種なのだろうと私は思った、ということです。
(ご質問その2) You'd think, wouldn't you? について
ウェイター: And for the gentleman? (それで、男性の方々は(ご注文は何になさいますか)?)
ジョーイ: Yeah, I'll have the Thai chicken pizza. But, hey, look, if I get it without the nuts and leeks and stuff, is it cheaper? (そうだな、俺はタイ・チキン・ピザをもらおう。でもさ、ねぇ、もしその(本来はついている)ナッツやリークとかなしで頼んだら、安くなる?)
ウェイター: You'd think, wouldn't you? Miss? (あなたは…[訳は以下略]。(女性陣の方を向いて) 女性の方々は(ご注文は)?)
このセリフは、You would think, wouldn't you? ということで、You would think を付加疑問文にした形になります。
このような you would think は、英英辞典に意味が載っていました。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
you would think (that) also you/I would have thought (that) : used to say that you expect something to be true, although it is not
例) You would think she might have thanked us.
つまり、「(実際には)真実ではないけれども、何かが真実であると期待することを言うために使われる」。
例文は、「彼女が我々に感謝したと君は思うかもしれないが(実際には違う)」
この場合も、「お客様(ジョーイのこと)は、トッピングを減らせば安くなると思っているかもしれませんが、実際にはそんなことはありえないですよ」と言いたいようですね。
ウェイターと客なので、あまり失礼な訳もそぐわないと思いますが、本音としては、「へぇ、あなたはそんな風に思うわけね(んなわけないだろ)」という感覚なんだろうと思います。
You think? なら「あなたはそう思うの?」ということで、それだけでも「へぇ、君はそう思うんだぁ〜(私はそうは思わないけど)」という感覚を出すことは可能だと思いますが、そこに would をつけることで、より一層、「君なら・君の場合はそんな風に思うんだ・考えるんだ(普通はそんな風に考えないと思うけど)」というニュアンスが強く出るのだと思います。
言葉としては「あなたはそう思うんですねぇ〜」という感じで、言外に「あなたの思い通りにはいかないけどね」という気持ちを出しているセリフになると思いました。
(ご質問その3) That's gotta suck. について
ロスの好きなバンドのコンサートが誕生日プレゼントと聞いて、一瞬心が動くものの、「みんな一緒に過ごすことが一番大切だよね」と友情を優先させようとするロス。しかし、気まずい雰囲気が流れてしまい、チャンドラーが話題を変えようと言ったセリフが以下。
チャンドラー: So, the Ebola virus. That's gotta suck, huh? (それで、例のエボラウイルス。あれって…[以下略])
話題を変えるにしても、あまりに唐突にエボラウイルスが出てきたこと、また、どうせ話題を変えるならもっと明るいトピックにしたらいいのに、そんな重病を持ち出したこと、などのズレ具合が面白さのポイントになっているのでしょうね。
gotta = got to で、That's gotta suck. は、That has got to suck. になると思います。
has got to = has to で、つまり、have to の意味で使っていることになります。
have to do は「〜しなければならない」という意味ですが、must と同じように、have to be の形だと「〜に違いない」という意味でも使われます。
研究社 新英和中辞典では、
have to do [be]
(3) [〜 to be, 〜 to have been で用いて] 《口語》〈…に〉ちがいない, きっと〈…〉のはずだ
This has to be the best novel of the year. これは今年の最もすぐれた小説にちがいない.
Judging by the noise, there has to have been an explosion. 音から判断すると爆発があったに相違ない.
普通は、「〜にちがいない」の場合は、have to be のように be動詞が繋がることが多いのですが、suck = be (very) bad の意味なので、今回のセリフは、Ebola virus must be very bad. みたいな意味で言ったのだと思われます。
「でなければならない」の方ではなくて、「エボラウイルスって、最悪に違いないよな、きっと最悪だよな」という「ちがいない」の意味の方だろうと。
お互い気まずい雰囲気になっているところに、「ところでさ、エボラウイルス、あれって絶対最悪だよな」という救いようのない話をしたところが、チャンドラーっぽい気がするのですね。
(ご質問その4) Mr. Roper って誰?
これは正式なご質問ではありませんが、コメント内で触れられていたので書かせていただきます。
Mr. Roper というのは、アメリカのシットコム Three's Compony の登場人物のようですね。
Google のサーチボックスに、Mr. Roper と入れると、グーグル・サジェスト機能で、候補として Mr. Roper three's company という言葉が表示されました。
このドラマは、フレンズで何度か言及されている作品ですので、それを使ったサブカルネタである可能性が高いと思ったわけです。
Wikipedia 英語版: Three's Company を見ると、Mr. Roper は、主人公3人が借りているアパートの大家さんであることがわかります。
チャンドラーは、「(今デートしてる)ジェイドという女性は、俺(チャンドラー)の電話番号を元彼ボブの電話番号だと思ってるから、俺の番号としてロスの番号を伝えたんだよ」みたいなことを言っていますね。そんなややこしいことを言われたので、
ロス: Hey, tell me again. What do I do when Mr. Roper calls? (なぁ、もう一度言ってくれよ。ローパーさんが電話してきたら、僕はどうすればいいの?)
と返したことになります。
今回の 2-5 より後のエピソードになりますが、フレンズ2-22その6+Three's Companyの話 で、その Three's Company というシットコムについて解説しています。
ここでは簡単に一言だけ説明しておくと、Three's company は「アパートの1室に住んでいる女性2人男性1人と、それを取り巻く人々のドタバタコメディ」みたいなもの。
私は実際にこのドラマを見たことはないのですが、その設定を考えると「大家さんが電話してくる」という状況はちょくちょく出てきそうな気がします。
ロスの電話番号がチャンドラーの電話番号ということになっているこの状況が、Three's company のドタバタに似た感じがするので、その登場人物の名前を出して、「なんか、Three's company 並みのややこしいドタバタになってるな」と言いたかったということだろうと思いました。
ご質問に対する私の解釈・見解は以上です。
ここまで読んで下さった方、ありがとうございました。
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役に立ちました。
英語の勉強になってうれしいです。
またきますね。
受動態じゃなかったんですね!もっと柔軟に考えないといけないですね。もう泣き切ったからティッシュ要らん、というのは最初に映像見た時にそんな感じかなーと思ったんですが、スクリプト見て、ハテ?それやと意味が通らんか…となったんですよね。。。ドラマの映像や、話の流れから察したものも大切にしようと思いました!
他もよくわかりました。ローパーさんもよくわかりました。22まで進めるよう、がんばります。
役に立ったと言っていただけて光栄です。ありがとうございます。
kさんへ
こちらこそ、お返事ありがとうございます。
まさに「もう泣き切ったからティッシュ要らん」ということだったようで、先入観なしの映像から最初に感じたイメージ、というのは意外と当たっていたりするものなんですよね。
Three's Company というシットコムそのものは知らなくても、フレンズで何度か言及されると、元ネタにピンと来たりして、それがとても嬉しかったりします。そういうのも、シリーズ物コメディーの楽しみの一つですよね。
検索から入ったので古い記事への反応で恐縮です。
Three's Company の件で、
アメリカに住んでいる時、気に入って観ていたので少し補足させていただくと
ドタバタの原因に共通点があって、 misunderstanding なんです。
これがこのシットコムのキモで、各エピソードの最後でその誤解は解けるのですが、その過程が最高に面白いんです。
で、friendsでも Jade がチャンの電話番号を誤解してますよね、しかもロスと元彼の3人の番号が入り混じっているのでまさに Three's Company だ…って感じなんだと思います。
youtube かなんかでどれか観てみてください。
きっとこのドラマ、気に入ると思います。
コメントありがとうございます。
検索で見つけて下さったのですね。こうして昔の記事にコメントいただけるのはとても嬉しいです。
Three's Company の件、詳しい情報をありがとうございます。ドタバタの原因が misunderstanding である、というところが、「まさに Three's Company だ…って感じ」なんですね?
Three's Company をご存知の方だと、この状況で Mr. Roper の名前が出てくると、大ウケできてしまうわけで、元ネタを知っているからこそ楽しめる、という典型的な例ですね。
フレンズではよく引き合いに出される作品なので、私も見てみたいな、と思っています。
興味深いコメント、ありがとうございました(^^)