2013年07月15日

俺の特別感が減っちゃう フレンズ7-20その4

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[Scene: Central Perk, Chandler is on the couch reading as Ross enters carrying a garment bag.]
セントラルパーク。チャンドラーはカウチで読書中、ロスがスーツ袋(衣装バッグ)を持って入ってくる。
ロス: Hey! Guess what I got for your wedding! (Holding up his garment bag.) (ねえ! チャンドラーの結婚式のために、僕が何をゲットしたと思う? [衣装バッグを掲げる]
チャンドラー: A freakishly thin date with a hanger for a head? (頭にハンガーがついた(頭がハンガーの)異常にやせたデート相手か?)
ロス: No. Rachel hooked me up with a tux! But not just any tux. Batman's tux! (いいや。レイチェルが僕にタキシートを見立ててくれたんだ! でもただのタキシードじゃないんだぜ。バットマンのタキシードだ!)
チャンドラー: What? (何だって?)
ロス: That's right! Made expressly for Val Kilmer, and worn by him in the hit film… that Batman film he was in. (その通り! 特別にヴァル・キルマーのために作られた、そして彼が着た[着用した]、あのヒット映画で…彼が出てたあのバットマンの映画でね。)
チャンドラー: You can't wear that! I'm wearing the famous tux! James Bond's tux! (ロスはそんなの着ちゃだめだ! 俺が有名なタキシードを着る予定なんだよ! ジェームズ・ボンドのタキシードを!)
ロス: So? (それで?)
チャンドラー: So-If you wear that, you'll make mine less special. (それで、もしお前がそれを着たら、お前のせいで、俺のタキシードの特別さが減ってしまうんだよ。)
ロス: Well, you need something to make this day special? Hello! You-you-you have the most special thing of all! You are marrying the woman you love. (お前はこの日を特別にする何かが必要なのか? もしもし? お前は全ての中で最も特別なものを持ってるじゃないか! お前が愛する女性とお前は結婚するんだぞ。)
(Chandler mimics him.)
チャンドラーはロスのセリフを(ドナルドダックみたいな声でバカにしたように)真似る。
チャンドラー: Please, don't take away my cool thing. Please?! Pretty please?! (お願いだから、どうか俺のかっこいいところを持ってかないでくれよ。頼むよ。一生のお願いだよ!)
ロス: "Pretty please?" Not very uh, 007. (「一生のお願い」だって? あんまり(or 全く)007らしくない。)
チャンドラー: Look, it's my wedding day, okay? If you were getting married I would never do anything to upset you. (なぁ、俺の結婚式なんだぞ。だろ? もしお前が結婚する予定だったら、俺はお前を困らせるようなことは絶対に何もしないぞ。)
ロス: When I got married, you slept with my sister. (僕が(ロンドンで)結婚した時、お前は俺の妹と寝たじゃないか。)
チャンドラー: That was pretty 007. (それって、かなり007(的)だよな。)

スーツの入った袋を持ってコーヒーハウスに入ってきたロスは、Guess what I got for your wedding! と尋ねています。
直訳すると、「僕が君の結婚式のためにゲットしたのは何か、推測してみて・当ててみて」という感じですね。
衣装バッグを掲げているので、「君の結婚式のためにこれをゲットしたんだけど、中身は何だと思う?」みたいなことを嬉しそうに聞いているわけです。

Guess what...? 「何だと思う?」みたいに聞かれたら、面白いことを言わずにはいられないチャンドラーは、ここでもジョークで返しています。
そのチャンドラーのセリフ、A freakishly thin date with a hanger for a head? について。
freakishly thin は「異常に・異常なほど、やせた」、with a hanger for a head は「頭の代わりにハンガーがついた」という感覚ですね。
date はいわゆる「(男女の)デート」という意味もありますが、ここでは、「やせた」という形容詞がついていることからも、「デート相手」という人間を指していることになります。
ですから、チャンドラーは、「頭の代わりにハンガーがついた、異常なほどやせたデート相手をゲットしたのか?」と返したことになります。
スーツが入っている典型的な袋を見て、「俺の結婚式に同伴するデート相手として、頭の部分がハンガーになった、超薄っぺらい人をゲットしたのか?」みたいに茶化したわけです。

ロスは、レイチェルが僕にタキシードを提供してくれた、見立ててくれた、と言って、「ただのタキシードじゃない、バットマンのタキシードなんだぞ」と自慢します。
驚くチャンドラーに、ロスは自分のタキシード自慢を続けています。
expressly は「特別に、わざわざ」なので、Made expressly for Val Kilmer は、「ヴァル・キルマーのために特別に作られた、あつらえた」。
いきなり Made で始まり、その後、and worn by him と続いているのは、This tux was made expressly.... and (was) worn by... ということで、この話の流れで明白な主語を省略している形となります。
worn by him in the hit film を直訳すると、「ヒット映画でヴァル・キルマーによって着られた」みたいになりますね。
そこまで受動態を出し過ぎると日本語では不自然になりますが、やはり英語では、「このスーツ」の説明をしたい場合だと、「特注で作られた」「彼によって着用された」と表現するのが自然なわけです。

the hit flim... と言った後、that Batman film he was in 「彼が出ていたあのバットマンの映画」と説明しているのが面白いです。
「あのヒット映画で着てた服なんだよ!」みたいに自慢しておきながら、その映画のタイトルを知らない、ということがこのセリフでわかるわけですね。
ちなみに、その「ヴァル・キルマーが出ていたバットマンの映画」のタイトルは、1995年の『バットマン フォーエヴァー』(原題:Batman Forever)になります。

ロスがバットマンのタキシードを着る、というのをチャンドラーは必死に止めようとしています。
俺は007のタキシードを着るのに、ロスがバットマンのタキシードを着たら、俺のが less special になっちまうじゃないか!みたいに抗議していますね。
結婚式の主役である新郎として特別でいたいのに、俺のタキシードのスペシャルさを減らさないでくれ、みたいなことになります。

ロスは「お前はすでに特別なものを持ってるじゃないか。愛する女性と結婚するんだから」みたいに、ロスはかっこいいことを言ってかわそうとするのですが、チャンドラーが小馬鹿にしたように、ロスの様子を口真似する様子から、「何きれいごと言って逃げようとしてんだよ」みたいに思っていることがわかりますね。

don't take away my cool thing は、「俺のクールな・かっこいいこと・ところを取り去らないでくれ」ということですね。
日本語で言うと、「俺のいいところ・おいしいところを持ってかないでくれよ」というところでしょう。
Please! 「どうか、お願いだから」という言葉を2回使った後、Pretty please?! とも言っていますね。
英辞郎では、以下のように出ています。
pretty please
〈話〉本当に[一生の]お願い◆子どもや女性が使うことが多い。◆pretty は considerable amount of の意味と考えられる。

英辞郎では、pretty please の他に、pretty please with sugar on it, pretty please with sugar on top などの表現が同じ意味の言葉として挙げられています。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
pretty please : (spoken, humorous) said to emphasize that you really want something when you are asking someone for it
つまり、「(話し言葉、ユーモラス) 誰かに何かを頼んでいる時に、それが本当に欲しいと強調するために使われる」。

「一生のお願い」みたいな必死にお願いするようなセリフは、クールな 007 には似つかわしくないなぁ、みたいにロスは言っています。
very 007 だと「まさに 007 (らしい、っぽい)」となりますね。
そして、その very を not で否定した形の not very は、通常なら、「とても〜というわけではない」→「あまり〜ではない」という感じの部分否定のニュアンスになりますが、実際の用例としては、not very で「全否定」(全然〜でない、全く〜でない)という意味でも使われるようです。

研究社 新英和中辞典では、
very=[否定文で]
1 あまり[そんなに](…ではない)
“Are you busy?”―“No, not very.” 「お忙しいですか」「いや, 別に」
2 [正反対の意味を婉曲に表わして] 全然[ちっとも](…でない)
I'm not feeling very well. 全然気分がすぐれない。


LAAD では、
not very
a) only slightly
例) I'm not very worried about it.
b) used before a quality to mean exactly the opposite of that quality
例) She's not very smart (= she's fairly stupid).

つまり、a) は「わずかに、少しだけ」。例文は「私はそれについてあまり心配していない」。b) は「その性質の正反対を意味するために、性質の前(の位置)で使われる」。例文は「彼女は全然賢くない(=彼女はかなり・きわめて愚かである)」。

今回のロスのセリフについては、「一生のお願いなんて言葉、”あんまり”007らしくないよな」と言いながら、「全然007っぽくないじゃん、007のイメージとは真逆の言葉じゃん」みたいにからかっているニュアンスなんだろうと思います。

チャンドラーは「もしお前が結婚する予定なら、俺はお前を困らせるようなことはしないのに」、つまり、「俺がお前の立場なら、そんな嫌がらせみたいなことはしないぞ」と言います。
それに対してロスは、「僕のロンドンでの結婚式の日に、お前は妹のモニカと寝たじゃないか。あれは十分、僕を upset させたぞ」みたいに返します。
それに対するチャンドラーの返事が面白いですね。
「妹と寝たってことが、かなり007っぽい、007らしい」ということで、モテ男の007は、映画の中でも、いろんな女性と寝たりしていることを持ち出して、「友人の妹と寝る、なんて、いかにも007っぽいじゃないか」と言っているわけですね。


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posted by Rach at 09:07| Comment(3) | フレンズ シーズン7 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
もののけ姫大好きヤックルですw
久しぶりの投稿です( ^^)

今回の報告は、わたくしヤックルはまだカナダで楽しく過ごしています!ということと、Rachさんのブログから英語を学んで実践していますよ!ということですw

昨シーズン、カナダで無事スキーインストラクター試験に合格しました。
レベルが1〜4まであり、スキーの技術的には渡航前から3,4ほどのレベルがあったのですが、ティーチングの試験があるので少し苦戦しました。

ティーチングはもちろん英語ですので、困難を極めましたがRachさんのブログで勉強しつつ、無事レベル3まで合格しました!

レベル3以上はカナダ以外、ニュージーランドやオーストラリアでもQualifiedされているのでとても嬉しいですw国際資格です( ^^)
いぇーい

お久しぶりでしたが、感謝の気持ちを伝えさせていただこうとご挨拶させていただきました!

ブログ八年は凄いですね
頑張ってください
Posted by ヤックル at 2013年07月15日 11:26
こんにちは、ずいぶん前に来させていただきましたが、お久しぶりです。
最近私もフレンズブログを作ってしまいました。

ちょっと質問なんですが、
耳が変わった感じってありましたか?

ずっとフレンズを見ていましたが、
いつからか、ふと気づくと、今まで気にならなかった音が
気になるようになっていました。
特にはっきり感じたのが、レンブラントの
テーマソングで、極端な言い方をすると、
昔は、メロディしか聞こえてなかったのが、
リズムを刻むパーカッションなどの音が
やたらに聞こえてきて気になってしかたなかったです。
もしかして、これが英語を聞き取れる聴力なのか??
と思いました。
聞き取り能力が変わった実感はないんですけどね(^^;)

どう思われますか?
Posted by らんち at 2013年07月16日 15:12
ヤックルさんへ
お久しぶりです。そして、嬉しいご報告、ありがとうございます!
英語圏でスキーのインストラクターができるという国際資格に合格されたなんて! すごいです! 素晴らしいです!! 私も一緒に喜ばせて下さい。
いぇーい(^^)
本当におめでとうございます!

私のこのブログが、ヤックルさんの英語学習のどれほどのお役に立てたかはわかりませんが、そのように言っていただけたこと、私の方こそ感謝の気持ちでいっぱいです。

ブログは8周年を迎えましたが、ヤックルさんのその素敵なニュースが聞けたことを励みに、この先も頑張って続けていきます!
ヤックルさんのカナダ生活もますます充実したものになりそうですね。どうか、楽しい日々をお過ごし下さい。
嬉しいお知らせと温かいお言葉、ありがとうございました!


らんちさんへ
お久しぶりです。コメントありがとうございます。
よく「英語の音と日本語の音は周波数が違う」というようなことを言いますよね。聞こえない音は脳が雑音として処理してしまうという話も聞きます。日本語とは異なる「英語の音」に慣れるということは、やはり、それまで聞こえなかった音を聞き取る聴力がついた、ということになるのでしょう。
私もそういう「耳が変わった感じ」というのはあります。音楽を聞いた時に、確かに余計にそれを感じたりしますね。

そして、フレンズブログを作られたのですね。フレンズでの英語学習は本当に楽しいですよね。ブログ頑張って下さい。私も頑張ります。
お互い、これからもフレンズで楽しく英語学習を続けて行きましょう!(^^)
Posted by Rach at 2013年07月17日 14:20
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