2013年07月17日

007とバットマンどっちがクール? フレンズ7-20その5

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[Scene: Monica and Chandler's, Monica is on the couch as Chandler disgustedly enters.]
モニカとチャンドラーの家。モニカはカウチに座っていて、チャンドラーは機嫌が悪そうに入ってくる。
チャンドラー: Ross is Batman! (ロスはバットマンなんだ!)
モニカ: Well, he did manage to keep his identity secret for a long time. (ふーん、ロスは長い間、まんまと自分の正体を秘密にし続けたのねぇ。)
チャンドラー: Rachel got Ross the tuxedo that Val Kilmer wore in Batman. Okay, Batman is so much cooler than James Bond! (レイチェルはロスに、ヴァル・キルマーが「バットマン」で着たタキシードを用意したんだ。いいか、バットマンはジェームズ・ボンドよりずっとかっこいいよ。)
モニカ: What are you talking about?! 007 has all those gadgets! (何言ってるの? 007 は、あんな小道具を持ってるじゃない!)
チャンドラー: Batman has a utility belt! (バットマンは多用途ベルトを持ってる。)
モニカ: 007 has a fancy car! (007 は、凝った・しゃれた・派手な車を持ってるわ。)
チャンドラー: Batman has the Batmobile! (バットマンは、バットモービルを持ってる!)
モニカ: 007 gets all the ladies. (007 には女性たちがいる。)
チャンドラー: Batman has Robin! (Pause) We get ESPN, right? (バットマンにはロビンがいる! [間があって] うちは、ESPN 入ってるよね?)
モニカ: How about you go put on your 007 tuxedo, and I'll make you a nice martini. (あなたは自分の 007 のタキシードを着たらどう? そしたら私はあなたに、素敵なマティーニを作ってあげるわ。)
チャンドラー: Actually, I don't like martinis. (実は、俺はマティーニが嫌いなんだよ。)
モニカ: How about a Yoo-Hoo with a funny straw? (おもしろストロー付きの Yoo-Hoo はどう?)
チャンドラー: Ooh, yum! (Runs into the bedroom.) (ああ、おいしそう! [寝室に走り込む])

チャンドラーは自分の結婚式で、ピアース・ブロスナン(007)のタキシードを着る予定。ですが、ロスが(映画でバットマンを演じた)ヴァル・キルマーのタキシードを着ると知って、プリプリ怒っています。
それで、家に帰るなり、「ロスはバットマンなんだよ!」とご機嫌斜めで言うのですが、それに対するモニカの返事に笑ってしまいますね。
その he did manage to keep his identity secret for a long time について。
manage to は「うまく〜する、どうにかして〜する、まんまと〜する」。
identity は「本人であること、身元、正体」で、keep his identity secret は「自分の正体・身元を秘密に保つ」、つまり、自分の正体を秘密にし続ける、という意味。
did は manage to を過去形で強調したニュアンスで、もし実はロスはバットマンその人だった、というのなら、今の今まで、ロスは長い間、自分がバットマンである、という正体を、友人や妹の私にもうまく隠し続けてたのねぇ、と言ってみせたことになります。

チャンドラーは、「バットマンはジェームズ・ボンドよりクールだ」と言うので、モニカは「そんなことないわ。007 の方がかっこいいわよ」と、チャンドラーをなだめようとします。
その後は、モニカが 007 の良いところを挙げる度に、チャンドラーが「でもバットマンの方がこんな風にかっこいい」とバットマンの長所を持ち出す、というやり取りが続くことになります。
こういう会話は、まさにサブカルネタのオンパレードになりますね。
007 もバットマンも、日本でも有名ですから、いちいち元ネタを紹介する必要もないかもしれませんが、参考資料として、以下にウィキペディアのリンクをいくつかはらせていただきます。
リンクや引用が多くなりうっとうしいかもしれませんが、なにとぞご了承下さい。

それぞれが挙げた長所は、小道具VS多用途ベルト、凝った車VSバットモービル、女性たちVSロビン。
まず、007 の all those gadgets というのは、腕時計、ベルト、ペンなどに特殊な装置が仕込まれているような、そういう小道具一式を指しています。
Q がボンドのために作ったものですね。
ガジェットという言葉は、もう日本語になっているので、分かった方も多いでしょうか。

バットマンのユーティリティベルトについては以下。
Wikipedia 日本語版: バットマン (架空の人物) ガジェット(装備)
以下に引用します。
ユーティリティベルト(万能ベルト)
バットマンが腰に巻いているガジェット携帯用ベルト。「フラッシュライト」「試験管」「呼吸フィルター」「レーザートーチ」など様々な道具が装備されている。シリーズによっては携行可能なのか疑わしいほどの量の装備が収納されており、「ブレイブアンドボールド」でミュージック・マイスターから皮肉られている。


Wikipedia 英語版: Batman's utility belt
英語版には、ベルトのイラストが載っています。
このユーティリティベルトも、いわゆるガジェットの一種なので、ガジェット部門で長所を主張し合っていることになります。

次に車の話。007 の a fancy car は、ミサイルを発射したりするあの「ボンドカー」のことですね。
Wikipedia 日本語版: ボンドカー

バットモービルについては以下。
Wikipedia 日本語版: Wikipedia 日本語版: バットマン (架空の人物) ヴィークル(乗り物)
引用させていただくと、
バットモービル(Batmobile)
すべてのシリーズに登場する、バットマン愛用の特殊車輌。登場作品によってデザインや機能はやや異なるが基本的につや消しの黒でカラーリングされた高性能な車であり、バットマンのヴィークルの代表格である。


ガジェット対決、車対決の後、モニカが「ボンドはいつも女性にモテモテじゃない」みたいに、gets all the ladies と言ったのに対して、チャンドラーが、「バットマンには(相棒の)ロビンがいるじゃないか!」とムキになって言うのには笑ってしまいました。
観客からは悲鳴にも似たような笑いが起き、モニカも目を丸くしてあきれている様子。
いつも、ゲイだと勘違いされて、同室だったジョーイとはゲイカップルに間違えられたりするようなチャンドラーですので、そのチャンドラーが、「大勢の女がなんだ。バットマンにはロビンっていう、最高の男がいるじゃないか」みたいに言ったのが、「大勢の女性に囲まれるよりも、ロビンがたった一人いてくれればそれでいい」と言っているよなゲイ的発言に聞こえてしまう、という面白さですね。

ゲイだと誤解されそうな発言をしてしまったことに気付いて、チャンドラーは、We get ESPN, right? と尋ねています。
ESPN は、過去記事、テレビをつけて音だけでも聞いといて フレンズ7-20その2 に出てきた、スポーツ専用チャンネルのこと。
芸能ネタにばかり反応していたことをレイチェルに指摘され、「もっと ESPN 見なさいよ」と言われたことをここで思い出して、「バットマンにはロビンがいる」という発言が、二人を同性愛っぽい視点で見ている感じがしてしまう、そんな俺はやっぱり芸能番組、見過ぎなのかな。スポーツ番組見なくちゃだめだよな、という意味で、「うちは ESPN を見られるよね、うちにそのチャンネル入ってるよね」という意味で、そう聞いたことになるでしょう。

そんなやりとりの後、モニカは、「(ロスがバットマンを着ようが、あなたは予定通り)007を着ればいいのよ。そしたら私はあなたにマティーニを作ってあげる」と言います。

マティーニと言えば、ボンドを思い出す人も多いでしょうか。
Wikipedia 日本語版: マティーニ
引用させていただくと、
007シリーズでジェームズ・ボンドが「Vodka Martini. Shaken, not stirred.(ウォッカマティーニを。ステアせずにシェィクで)」という台詞を決めるシーンがある。本来、ジンでつくるマティーニをウォッカで、おまけにシェイクして出せという意表を突いた台詞が受け流行となり、これは007シリーズの定番になった。

ボンドの "Vodka martini. Shaken, not stirred." というセリフは本当に有名で、私も過去記事、フレンズ2-5その2+007の話 で触れています。

ボンドのそのセリフにちなんで、モニカがせっかくそう言ったのに、チャンドラーは「俺、マティーニ嫌いなんだよね」みたいに返事します。
「それじゃあこれはどう?」みたいに次にモニカが言ったのは、a You-Hoo with a funny straw でした。

Wikipedia 英語版: Yoo-hoo
の説明にあるように、
Yoo-hoo is an American chocolate beverage.
つまり、「yoo-hoo は、アメリカのチョコレート飲料」ということです。

funny straw は「面白いストロー」ということですから、子供が好きそうな、ぐるぐるになった変な形のストローを指します。
Google の画像検索で、funny straws で調べると、そういう楽しいデザインのカラフルなストローの画像がたくさんヒットします。

チャンドラーはそれを聞いて、Yum! 「おいしそう!」と大喜び。
007 のようなマティーニよりも、楽しいストローがついたチョコ飲料の方に心惹かれるところに、チャンドラーのお子ちゃま具合が出ている、というオチになっているわけですね。

ちなみに、最後に余談となりますが、「バットマンはジェームズ・ボンドよりクールだ」というチャンドラー発言について、思い出したことがあります。
私はこれまでバットマンの映画を観たことがなかったのですが、今回、セリフでバットマンの話がいろいろ出てきたのが良い機会と思い、ヴァル・キルマーがバットマンを演じた映画「バットマン・フォーエバー」をDVDレンタルして観てみました。
その中で、今回のチャンドラーのセリフに通じるものを感じたセリフがあったのでご紹介します。

主人であるブルース・ウェイン(バットマン)の命令に逆らうことになるかもしれない、と思った、執事アルフレッドのセリフ。
アルフレッド: Oh, sir.... I could be fired for this. I'll go back to Buckingham Palace. (字幕:これで解雇されたら−− 英国王室に戻ります/音声:これでお暇を出されたら、イギリス王室に戻ります)

「私は今回のことで解雇される可能性がある。(解雇されたら)バッキンガム宮殿に戻ります」と言っているわけですが、go back to (戻る)と言っていることからも、元々そこで働いていたことがわかりますね。
「バットマンのところをクビになったら、英国王室に戻る」というのは、英国王室で働くよりもバットマンの下で働く方が名誉だと思っていることになり、今回のエピソードで、"Batman is so much cooler than James Bond!" 「バットマンは、ジェームズ・ボンドよりずーっとかっこいい!」と力説しているチャンドラーのイメージとも重なる気がしました。
王室のあるイギリスに対しての対抗心から出たアメリカン・ジョークとでも言ったら良いでしょうか。
アメリカ人が聞いたら、クスッと笑ってしまうセリフが楽しかったので、ここで併せてご紹介してみました。


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posted by Rach at 16:44| Comment(2) | フレンズ シーズン7 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Rachさんこんにちは。この場面はわかりやすかったのですが、私は昔BatmanをTVで1回何となく見ただけなので、Robinが女の子だと思ってしまい、モニカが半分焼き餅焼いてセリフに間ができたのかと思ってしまいました。なるほどそういうことだったのですね。でもBatmanDVD借りて観てしかも英国王室との関係を見出すRachさんはやはりただ者ではないですね。そこまで突っ込んで解説してるとは!Rachさんの好奇心と執念と親切心に敬服し乾杯です。

ところで、よく言われるようですが、確かにidentityという言葉は日本語に訳しにくいというかいろんな意味合いを持つ何か英語らしい単語ですね。IDとかidentificationというのと同様に身元、身分証明的な意味合いから、正体とか個性とか主体性とか独自性とか、その時の状況によりいろんな日本語が当てはまり、その人らしさを表現してる言葉でしょうが。でもidentityという英語で何となくわかってしまうような感じがします。
関係ないことですみません。



Posted by koroyakun at 2013年07月19日 06:51
koroyakunさんへ
いつも温かいコメントありがとうございます。

私もあまりバットマンについては詳しくないんですよ。アメコミヒーロー的なものはほとんど映画でも見てなくて(スパイダーマンも詳しくない)、でも別に苦手なわけでもなくて、たまたま見てなかった、というだけだったのですが…。
今回、007 VS バットマン、のネタが延々続くので(笑)、せっかくだからこの機会に、そうだ、せめてヴァル・キルマーがバットマンを演じた映画だけでも見てみよう!と思ったのですが、おかげさまでいろいろと収穫がありました。
この執事のアルフレッドのセリフは、いかにもアメリカンジョーク的で私のお気に入りです。

identity はかつて「自己同一性」とか訳されてもいましたが、逆に「それって何?」と言いたくなるような訳語ですよね。要は「その人がその人である、ということ」みたいなことで、今となっては「アイデンティティ」と書く方がピンと来る気がします。動詞の identity も「〜が…だと見極める、証明する、身元を明らかにする」ということですが、どんな訳語を持ってきても、そのものズバリを言い得ていない気がしてしまいます。

keep his identity secret も「彼自身が何者であるかということを秘密にしておく」という感じですよね。日本語から英語を想像するのではなく、頭にイメージを浮かべた上で、こんな感じで identity という単語をさらっと使えたらいいなぁ、と思います。
Posted by Rach at 2013年07月19日 11:55
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