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[Scene: Monica and Chandler's, Monica and Chandler are working on the seating chart as Ross enters carrying his tux around.]
モニカとチャンドラーの家。モニカとチャンドラーは座席表に取り組んでいるところ、そこにロスが自分のタキシードを持って入ってくる。
ロス: Hey! (やあ!)
モニカ: You just carry that around? (ロスはそれを持ち歩いてるの?)
ロス: Yes. I find it to be something of a conversation piece. (そうだよ、それがちょっとした話の種になるってわかってね。)
モニカ: Between you and...? (会話って、あなたと誰との…?)
ロス: Gunther. (To Chandler) Hey-hey! Why don't we put them on? Y'know get a picture of Batman and James Bond, together. (ガンターとの。[チャンドラーに] ねぇねぇ、タキシードを着てみないか? ほら、バットマンとジェームズ・ボンドの写真を一緒に撮ろうよ。)
チャンドラー: I would, but mine doesn't fit. The pants are a little tight. (そうしたいんだけど、でも俺のタキシードは合わないんだよ。パンツがちょっとキツくてね。)
モニカ: A little tight? I could see double-oh and seven in those things. (ちょっとキツい? 私にはあのパンツの中に、ダブルの O (オー)と、セブンが見えたけど。)
ロス: Well, that stinks. I was looking forward to us wearing our celebrity tuxes together. (あぁ、それはダメだね。僕たちがセレブのタキシードを一緒に着るのを、僕は楽しみにしてたのに。)
チャンドラー: Well, does that mean that you're not gonna be wearing yours? (ふーん、それって、ロスはお前のそのタキシードを着ないっていうことか?)
ロス: What are you kidding? It's Batman's tux!! (冗談だろ? バットマンのタキシードだぞ!)
チャンドラー: (standing up) Let me try it on! ([立ち上がって] 俺にも試着させてくれよ!)
ロス: Okay. But just the jacket. Double-oh and seven are not gettin' in there. (いいよ。でも、ジャケットだけだぞ。ダブルの O (オー)と、セブンは、そのパンツには入らないよ。)
チャンドラー: (trying on the jacket) Okay. Holy double-vented comfort, Batman! ([ジャケットを試着して] いいぞ。すっごいダブルベント(サイドベンツ)の快適さだ、バットマン!)
carry around は「持ち歩く」という感覚ですね。
タキシードをいつも持ち歩いてるの?と聞かれたロスは、「それ(タキシードを持ち歩いていること)が、something of a conversation piece であるとわかる」みたいなことを言っています。
something of a は「ちょっとした〜」、conversation piece は日本語でいう「話の種」という意味になります。
ロスはタキシードを持ち歩くことで、「それ何?」「あぁ、これは友人の結婚式に着るタキシードなんだけど、実はこれ、ヴァル・キルマーが着てたタキシードなんだよね」みたいに、話のきっかけになるってわかったんだよ、と言いたいわけです。
「そういう会話、例えば誰との間で弾んだの?」みたいに聞かれたロスが、ぼそっと「ガンター」と答えるのが面白いです。
いろんな人と会話が盛り上がったのかと思いきや、実はガンターだけだった…という寂しい話だったわけですね。
僕もタキシードを持ってきたから、二人で一緒にセレブのタキシードを着てみようよ、とロスは提案します。
チャンドラーは、「俺もそうしたいけど、でも、俺のタキシードは(俺に)合わない、フィットしないんだよね」と言って、パンツが少しタイト・キツいんだよ、と説明します。
チャンドラーが a little tight と言ったのを受けて、モニカは「ちょっぴりキツい、ですって?」みたいに聞き返しています。
その後のセリフは、ちょっとお下品(笑)ながらも、しっかり 007 ネタになっているのが笑えますね。
in those things という複数形は、in your pants のことですね。
those のように「あの、あれらの」となっているのは、今、目の前でそのパンツをはいているのではなく、前にはいた時の過去のイメージを頭に思い浮かべているので、「あの時はいていたあのパンツには」という感覚の「距離感」から、those が使われているということになるでしょう。
あなたがあのパンツをはいていた時、私にはそのパンツの中に、「O (オー)が2つと7」が見えたわ、と言っていることになりますが、それはつまり(ちょっと露骨な表現になってしまいますが)「玉2つと棒」みたいなことを言っているわけですね。
「あのパンツが”ちょっぴりキツい”ですって? 実際は、ものすごくキツくて、中身がくっきり浮き出てたじゃない」みたいなことを、007 という文字を使って表現してみせたことになります。
チャンドラーが「パンツがキツくて、もうはけない」みたいなことを言うので、ロスは残念がっています。
stink は「悪臭がする」という動詞ですが、ここでは「ひどい、まずい、だめだ」というニュアンス。
I was looking forward to us wearing our celebrity tuxes together. について。
I'm looking forward to doing で「〜するのを楽しみにしています」という決まり文句で、I'm really looking forward to seeing you. 「あなたにお会いするのを本当に楽しみにしています」のように使いますね。
ここでは、I was と過去進行形になっているので、「僕は〜するのを楽しみにしていたのに(実際にはそれができなくなって残念だ)」というニュアンスが出ます。
また、look forward to... は、to の後ろは動詞の原形ではなく名詞が来るため、「〜するのを楽しみにしている」と言いたい場合は、doing のような動名詞の形にしないといけませんね。
to があるために、to do のような to不定詞のイメージで、look forward to do という形にしてしまいそうになる日本人英語学習者が多いため、文法の間違い探しによく登場する項目でもあります。
今回は、to の後が、us wearing となっていて、ただ「タキシードを着ることを楽しみにしている」ではなく、「”俺たちが”タキシードを着ることを楽しみにしている」という主語が入っています。
wearing という動名詞の主語として、目的格の us が使われており、このように「動名詞の意味上の主語を目的格で表す」というのも、口語英語の特徴の一つですね。
一緒に着られなくて残念だ、というので、「それは、お前も着ない、って意味か?」みたいにチャンドラーは尋ねますが、ロスは「冗談だろ。バットマンのタキシードなんだから、お前が着ようが着まいが、僕はもちろん着るに決まってる」みたいな返事を返します。
俺にもバットマンのタキシードを試着させてくれ、というチャンドラーに、ロスは「いいけど、ジャケットだけな」と言って、また「ダブルのオーとセブン」ネタを持ち出すのが、いかにもコメディというところです。
「ダブルのオーとセブン」は、その中には入らない、みたいなことを言っているわけですが、それはつまり、着るのは上のジャケットだけで、パンツははかせないぞ、下半身のパンツにお前の「ダブルのオーとセブン」を入れるわけにはいかないんだ、みたいなことを言っていることになります。
チャンドラーは上着だけ借りてそれをはおってみせた後、Holy double-vented comfort, Batman! と言っていますね。
まず、double-vented から説明しますと、vent は「スリット」のこと。
研究社 新英和中辞典では、
vent 【名】【C】 ベンツ、スリット 《上衣の背または両わき、スカートの裾(すそ)などに入れる切り込み》
語源:ラテン語「裂け目」の意
と出ています。
Wikipedia 日本語版: 背広 | ベント(vent) では、
馬乗り用の後裾の切込み。ないのがノーベント、中央に一本がセンターベント(日本名「馬乗り」)、両脇にあるのがサイドベンツ(同「剣吊り」)、また鍵状となっているフックベントもある。
紳士用ジャケットのことはよくわからないのですが、両脇に切込みがあるサイドベンツ、というのが、今回の double-vented のことなんだろうと思います。
サイドに2つベントがあるので、着た時にラク、という意味で、「ダブルベントになった快適さ・心地よさ」と言っているのが、double-vented comfort なのでしょう。
そして、このセリフのポイントは、Holy .... Batman! の部分にあります。
実はこれ、バットマンの相棒ロビンの口癖、というか、決め台詞(?)なのです。
そもそも、Holy ...! というのは、驚いた時などによく使われる感嘆表現ですね。
中でも、Holy shit! はよく聞きますね。
shit は「大便、うんち」ですから、かなりお下品な表現なのですが、私のデータベースによると(笑)、「プリティ・ウーマン」「バック・トゥ・ザ・フューチャー」「愛と青春の旅立ち」「ターミネーター」で使われているのを聞きました。
ピクサーアニメの「カーズ」では、Holy shoot! というセリフになっていて、これは恐らく、子供も見るアニメで shit はいかん、ということになって、shit の婉曲語である、shoot で代用した、ということだと思われます。
そんな風に、Holy ...! は驚いた時に使われる表現なので、普通の場合だと、チャンドラーもその驚きを Holy という言葉で言ってみせた、というだけのことになるのですが、今、バットマンのタキシードを着てみてそれを言った、というのがここでの最大のポイントで、ただの大げさな驚きのセリフではなく、バットマンの相棒ロビンの口癖・決め台詞だからこそ、面白いわけです。
Wikipedia 英語版: Batman (TV series) | After the cliffhanger
に、その口癖についての説明があります。
引用させていただきますと、
Robin, in particular, was especially well known for saying "Holy (insert), Batman!" whenever he encountered something startling.
訳しますと、「特にロビンは、何かびっくりさせるようなことに遭遇した時にはいつでも、"Holy 〜 Batman!" と言うことで有名であった」。
同じウィキペディアの Regular cast の Robin の説明でも、
Burt Ward as Dick Grayson / Robin: Batman's faithful partner and "boy wonder", noted for his recurring interjections in the form of "Holy ________, Batman!"
つまり、「ロビン:バットマンの誠実なパートナーで「ボーイ・ワンダー(天才少年)」、"Holy ... Batman!" の形で、何度も繰り返される叫び(感嘆)で有名」。
Legacy の部分では、ヴァル・キルマー主演の映画「バットマン・フォーエヴァー」で、クリス・オドネル演じるロビンが、その決まり文句を言ったことが詳しく説明されています。
冒頭部分の説明では、
A line spoken by Robin (Chris O'Donnell) in Batman Forever is a homage to the television Robin's catch-phrase exclamations that started "Holy" and sometimes ended "Batman!"
映画「バットマン・フォーエヴァー」で、ロビン(クリス・オドネル)によって言われたセリフは、Holy で始まり、時には Batman! で終わる、テレビシリーズのロビンのキャッチフレーズとなる感嘆の叫びに対する敬意である。
訳すと堅苦しいですが(笑)、要は、テレビシリーズへのリスペクトとして、テレビシリーズの時のロビンの口癖・決め台詞を新しい映画のロビンにも言わせてみた、という、シリーズものにありがちな、ファンサービスがあったということですね。
ウィキペディアのその続きにはこうあります。
During the movie, Robin says "Holy rusted metal, Batman!" after the duo climb onto twisted metal girders beside some water.
つまり、「その映画の中で、ロビンは言う、"Holy rusted metal, Batman!" と。バットマンとロビンの二人組(デュオ)が、水のそばのねじれた鉄のけたによじ登った後で」。
実際に私もその映画をDVDで観て、そのセリフは確認済みです^^
時間にして 1時間43分52秒頃、ラストに近い時間帯のシーンで、水からそのけたによじ登ったロビンが驚いた声でそう叫んでいました。
ロビン: Holy rusted metal, Batman! The ground, it's all metal. It's full of holes. Holy.
と興奮気味に叫び、バットマンはただ相槌を打っているだけ(笑)というやりとりだったのですが、最後にダメ押しでまた Holy. と言ったのも、「お約束」な感じでファンならクスっと笑えたセリフだったでしょう。
たかが Holy... のセリフに、説明を長々と書いてしまいましたが、これがロビンの口癖だとわかるかどうかで、このセリフの面白さが全然違ってきます。
007 のタキシードの話では、「ダブルのオーとセブン」ネタでイジられまくったチャンドラーが、バットマンのタキシードを着た直後に、ロビンのセリフで大げさに感動してみせる、というのが、いかにもフレンズっぽく、「もしかしてそれが言いたいがためだけに、ジャケットの試着をせがんだ?」とも取れる、、というか、それはつまり、チャンドラーにそのセリフを言わせたくて、ここでチャンドラーがバットマンのジャケットを借りる話に持って行った、という脚本の妙、が感じられる気がして、個人的にとても面白いシーンでした。
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初めてメールします。
現在、NZに仕事で滞在しており、フレンズの再放送を楽しんでいます。昨日ちょうど7−20が放送されました。
毎回お約束の下ネタですが、OO7が「玉2つと棒」との解釈は新鮮で笑ってしまいました。
私の解釈では、スーツのサイズには「ダブルO体」という表記の仕方があり、ダブルO体のうち、更に3〜10まで分類されます。つまり「ダブルOの7」はかなり太めのサイズということになります。
この点を、モニカがからかったのだと思っていたのですが、「玉2つに棒」の方が遥かに面白いので、さすがと膝を打ちました。
このへんの発想は、40代主婦ならではですね。
これからも頑張ってください。応援しています。
コメントありがとうございます。NZ ではフレンズが再放送中なのですね。
スーツのサイズに「ダブルO体」というのがあるのですか。それは知りませんでした。
Double-oh and seven are not gettin' in there.
というセリフだけなら、「かなり太めのサイズはそのパンツに入らない」という意味にも取れるのですが、
I could see double-oh and seven in those things.
の I could see という言い回しに、double-oh and seven (で表わされる)何かがパンツの中に”見えた”という感じが出ていると思ったのです。
自分でも「解釈が飛躍し過ぎかなぁ」と思わないでもなかったのですが、この部分、DVDの日本語字幕も、
ダブルの玉と 7の形の棒がくっきりよ
となっていましたので、「やっぱりそういうことだったみたい^^」と納得したわけですね。
pants 部分の下半身の話題ですし、そういう部分を英語で balls と表現することもありますし(笑)、00 and 7 を「玉2つに棒」というジョークにするのは、とてもフレンズっぽい気がしました。
応援のお言葉もありがとうございます。これからも頑張りますね!(^^)