2013年09月28日

人に尋ねたらズルになる フレンズ7-24その2

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オフィスに隠れていたのをロスたちに発見され、結婚式の会場に戻ってきたチャンドラーでしたが、「モニカは妊娠している」と話しているレイチェルとフィービーの会話を耳にした後、また行方不明になってしまいました。
[Scene: Monica's Hotel Room, Chandler and Monica's parents and Phoebe are there as Ross enters.]
モニカのホテルの部屋。チャンドラーとモニカの両親とフィービーがそこにいて、ロスが入ってくる。
ロス: Hi! (To Mrs. Bing) Hi! (Mr. Bing starts rubbing his arm.) Hi. Has umm, anyone seen Chandler? (どうも(こんにちは)! [ビング夫人(チャンドラーのママ)に] どうも! [ビング氏(チャンドラーのパパ)がロスの腕を撫で始める] どうも。あの、誰かチャンドラーを見た?)
ゲラーパパ: I thought he was with you. (チャンドラーはお前と一緒にいると思ってたんだが。)
ロス: He-he was with me umm, we're playing a little game, y'know? Hide-and-seek. (チャンドラーは確かに僕と一緒にいたんだよ。ちょっとしたゲームをしていてね。ほら、かくれんぼを。)
ゲラーパパ: You can't ask us, son. That's cheating. (私たちに尋ねちゃだめだぞ。それだとズルになる。)
ロス: (pause) You're right. Thanks for keeping me honest, Dad. ([間があって] そうだね。僕を正直でいさせてくれてありがとう、パパ。)
ゲラーパパ: Well, he better not come by here. He can't see the bride in the wedding dress. (チャンドラーはここに来ない方がいいよ。ウェディングドレスを着た花嫁を見ちゃいけないから。)
チャンドラーのママ: As I recall when we got married, I saw the groom in the wedding dress. (今思い出すと[そう言えば]、私たちが結婚した時、私はウェディングドレスを着た花婿を見たわ。)
チャンドラーのパパ: But that was after the wedding. It's not bad luck then. (でもそれは式の後だったわ。それなら不運じゃない。)
チャンドラーのママ: Honey, it isn't good luck. (ハニー、幸運でもないわよ。)

親族がいる部屋で、ロスは「誰かチャンドラーを見なかった?」と尋ねています。
I thought he was with you. は「チャンドラーはお前(ロス)と一緒にいるんだと、私は思っていたんだが」ということですね。
I thought と過去形にすることで、「そう思っていたんだが、実際は違う」というニュアンスが出ます。
ロスは、He WAS with me. のように、過去形の was を強調して話しています。
いや、確かにパパが言うように、実際、さっきまで一緒にいたんだけど、という感覚です。
ロスは、僕らはちょっとしたゲームをしてるんだよ、と言って、それは hide-and-seek だと言っています。
hide-and-seek は「かくれんぼ」のこと。「隠れる、そして、捜す」という言葉の通りの遊びですね。
新郎のチャンドラーが行方不明になったことを言えるはずもないので、「いや、ちょっとかくれんぼをしててさ、今、彼を捜してるところだから、どっかで見たかなぁ、と思って聞いてみたんだよ」というふりをしているわけです。
パパがその話を真に受けて返事しているセリフが面白いですね。
「お前は私たちに、彼の居場所を尋ねちゃだめだよ。それは cheating だ」と言っていますが、cheating は「不正行為」。
動詞 cheat が「だます」「ごまかしをする、不正をする、いかさまをする」という意味ですから、その動名詞が「不正行為(をすること)」になるわけですね。
フレンズでは、cheat は「浮気をする」という意味でよく登場しますね。
cheat on someone なら「(恋人・配偶者)に隠れて・内緒で浮気をする」という意味になります。
ちなみに、日本語の「(テストでの)カンニング」も、英語では cheating になります。
「カンニング」という和製英語は、形容詞で「ずるい」、名詞で「狡猾(こうかつ)、ずるさ、悪知恵」を意味する英単語 cunning から来たそうです。さらに、cunning の英語の発音は、「カンニング」というよりもむしろ「カニング」の方が近いですね。

cheat/cheating の英英辞典での語義を見てみます。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
cheat [verb] : to behave in a dishonest way in order to win or to get an advantage, especially in a competition, game, or test
例文1. He got caught cheating on the test.
例文2. You can't look - that's cheating.

つまり、「不正なやり方で行動すること、特に競技、試合(ゲーム)、テストで勝つ、または優勢になるために」。
例文1 は、「彼はテストで不正をしているのを[カンニングしているのを]見つかった」。例文2 は、「見ちゃだめだ。それはズルだよ」。

例文1 がテストで cheat をしているところを見つかった、という話で、まさにカンニングが見つかった話ですね。
例文2 は、今回のパパのセリフとよく似ていて、「〜しちゃだめだ。そんなことをしたらズルだぞ」というニュアンスになっているところも興味深いです。

「かくれんぼしている時に、相手がどこにいるかを尋ねちゃいけないぞ。そんなことしたらズルになる」と言ったパパに対して、ロスは、Thanks for keeping me honest. と言っています。
keep は「(〜の状態)を保つ、(〜の状態)にしておく」ということですが、意味を取る場合にはとりあえず「キープする」という言葉で解釈すると、雰囲気が掴みやすい気がします。
つまり、「僕を honest の状態にキープしてくれてありがとう」ということで、「僕がズルをしない、正直な人間であるように保ってくれてありがとう」と言っているわけですね。

パパは、he better not come by here. と言っています。
he better not は、he had better not の had が省略された形。
had better は「〜した方が良い」で、その否定形の had better not は「〜しない方が良い」という意味ですね。
had better do のように、had better の後には、原形不定詞(to do の形ではなく、do だけの to のない不定詞)が来ることになっているので、否定形にする場合には、had not better do ではなく、had better not do になることにも注意しましょう。
また、「〜した方が良い」という日本語訳で覚えている人が多いために、日本人が使い方を間違いやすい表現としても有名です。

研究社 新英和中辞典の用法の説明がわかりやすいので以下に引用させていただきます。

had better do
…するのがよい、…したほうがよい
用法
(1) 主語が1人称以外の時には忠告・命令、また時には威嚇の意味合いをもつので、特に2人称では目上の人には用いないほうがよい
(2) 《口語》 では had を略して I better go now. ともいい、さらに2人称では you を略して Better go now. ということもある


(1) の「忠告、命令、威嚇」のニュアンスがあることに注意したいですね。
今回の場合は、直接本人を目の前にして言っているセリフではなく、3人称(he)ではありますが、目上の人間であるロスのパパが、自分の娘の婿になる年下の人物の行動のことを言っているわけなので、had better で全く問題ないわけです。
(2) の説明にも、had better の had が省略されることが書かれていますね。

「チャンドラーはここに来ない方がいい」と言っている理由として、パパは「彼はドレス姿の花嫁を見ちゃいけないから」と言っています。
過去記事、花婿は花嫁のドレスを見てはいけない フレンズ4-20その6 で、
ロス: But I'm the groom, I'm not supposed to see the dress-- (でも、僕は花婿だろ。僕はそのドレスを見ちゃいけないことになってるから…)
というセリフがあったように、アメリカではそういう風習のようなものがあるのですね。

その話を聞いて、チャンドラーのママが、自分の結婚式を思い出す発言をしています。
日本語で「リコール」というと、「欠陥商品を回収する」「リコールで解任する」の方を思い浮かべる人が多いかもしれませんが(実際に、英語にもそういう意味がありますが)、ここでの recall は「〜を意識的に思い出す」という意味。
ですから、as I recall は「今思い出すと、そう言えば」というニュアンスになります。
ママは、隣に元夫がいるとわかっていてわざと、「そう言えば私たちが結婚した時、私は花嫁姿の花婿を見たわ」と言っています。
チャンドラーのパパはゲイなので、結婚式の時にも女装していたらしいことが、そのセリフでわかるわけですね。
皮肉を言われたとわかったパパは、「でもそれは結婚式の後だから、その場合は、bad luck じゃないわ」と返します。
「結婚式の前にドレス姿の花嫁を見てはいけない」と言われているのであって、後だから別に問題ないじゃない、と言いたいわけですね。
それに対するママの返しが面白いです。
二人の仲は険悪なものとなっているので、honey という呼び掛け語も心から愛しいと思ってのものではなく、イヤミっぽい感じです。
「結婚式前に見たんじゃないから、確かに bad luck じゃないかもしれない。でも、自分が結婚する相手が、ウェディングドレス姿で女装しているのを見るのが、good luck なはずもないでしょ」とママは言いたいわけですね。
「結婚式前にドレス姿を見てしまう」ことのジンクスうんぬんの話ではなく、「夫となる人が堂々と人前で女装している」という事実の運不運さの問題なんだけど、と、ママは言い返したことになるわけですね。


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posted by Rach at 08:52| Comment(0) | フレンズ シーズン7 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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