2013年09月30日

逃亡の恐れがある人とかくれんぼ フレンズ7-24その3

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(Monica enters.)
(ウェディングドレスを着た)モニカが部屋に入ってくる。
ロス: Oh, my God! Monica! (わぁ! モニカ!)
モニカ: I know! Hey, how's Chandler doin'? (そうでしょ![わかってる!] ねぇ、チャンドラーはどうしてるの?)
ロス: Great. He's doing great. Don't you worry about Chandler. (バッチリだ。彼はいい感じだよ。チャンドラーのことは心配しないで。)
モニカ: Are you okay? (ロス、大丈夫?)
ロス: Uh-huh. (ああ。)
モニカ: Well, you're-you're sweating. (ロスは汗をかいてるわ。)
ロス: These-these are beads of joy. (これは、これは喜びのしずくだよ。)
モニカ: Oh, that's sweet. Don't touch me. (まあ、それって素敵ね。(でも)私には触らないで。)
ロス: Uh, Phoebe, can I see you for a second? (あの、フィービー。ちょっといいかな?)
フィービー: Yeah! (ええ!)
(They both go out into the hall.)
二人は廊下に出る。
フィービー: What's going on? (どうしたの?)
ロス: Chandler's gone again! (チャンドラーがまた逃げ出したんだ!)
フィービー: Oh, my God! Why would you play hide-and-seek with someone you know is a flight risk?! (なんてこと! どうしてあなたはかくれんぼなんかしたの? 逃亡の危険性があるとわかってる人と!)
(Ross just glares at her.)
ロスはただ、フィービーを見つめる。

ウェディングドレスを着たモニカを見て、兄のロスは感動したように、Oh, my God! と言っています。
I know! というのはモニカの口癖で、「知ってる、わかってる、そうでしょ!」みたいな感覚。
ここでは、モニカの美しいドレス姿に感動し、言葉が出ないロスの様子に、「ロスが言いたいことはわかってるわ、声も出ないほど感動してくれてるのよね」みたいな感じで、I know! と言っていることになります。

how's Chandler doin'? のようにチャンドラーの様子を尋ねるモニカに、ロスは、He's doing great. だと答えます。
「いい感じだよ、元気にやってるよ」ということですね。
そう言った後、わざわざ、Don't you worry about Chandler. とも付け加えています。
Don't you worry... という形になっていて、学校で習った文法事項で解釈しようとすると、「…を心配しないんですか?」のような否定疑問文のように思われる方もおられるかもしれませんが、これは否定疑問文ではなく、否定の命令文になります。(そのため、文章も最後に疑問符 ? がついていませんよね。)

Don't worry about Chanlder. 「チャンドラーのことは心配しないで」のような通常の Don't で始まる否定の命令文に、強調のための主語 you を加えて、You don't worry about Chanlder. の形にし、それをさらに強調のために倒置にした形、が、Don't you worry about Chandler. になります。
モニカはただ、挨拶代わりに「チャンドラーはどうしてる?」と尋ねただけなのに、「いやもう、チャンドラーのことは全然心配しないでいいからね!」と必要以上に Don't worry を強調しているところに、ロスの本音が見えているわけですね。

ロスの様子が何だかおかしいのを見て、モニカは Are you okay? とロスの気分や具合を尋ねています。
You're sweating. は「あなた、汗をかいてるわ」ということですね。
sweat は名詞で「汗」ということですが、熱い時に出る汗だけではなく、「冷や汗、心配」という意味にもなります。
No sweat. だと「楽勝。簡単」や「平気だよ。心配ないよ」という意味で使われます。
前者は「苦労のための汗をかく必要がない」、後者は「心配して汗をかく必要がない」という感覚ですね。

妹の結婚式というめでたい席で、妙な汗をかいている、とモニカは感じたようで、兄のロスはモニカを心配させまいと、「この汗は、beads of joy だよ」と説明しています。
bead はいわゆる「ビーズ、ガラス玉」のことで、「ビーズ」というカタカナ英語は、英語の beads という複数形から来たのですね。
またそういう「(ガラス)玉」のイメージから、「(露、汗、血などの)しずく、玉」という意味にもなります。
beads of sweat なら「玉の汗」、beads of dew なら「露(つゆ)のしずく」ですね。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
bead : a small drop of liquid such as water or blood
例) Beads of sweat appeard on his forehead.

つまり、「水や血などの液体の小さなしずく」。例文は、「玉の汗が彼の額に浮かんだ」。

「汗をかいてるわよ」と指摘されて、「うん、玉のような汗をかいてるんだ」という代わりに、「これは、玉のような喜びのしずくだよ」と表現し、「あんまり嬉しくて、それが汗になっちゃった」と言ってみせたわけですが、beads of... とくれば、その後を joy だと言ってみても、汗だくのロスを見たら、beads of sweat を連想してしまいますよね。
「モニカの結婚が嬉しくて、それが喜びのしずくとなってるんだ」という言葉そのものには、モニカも「それって素敵ね」と感謝するものの、その後、容赦のない感じで、「(でも)私には触らないでね」と言っているのが、モニカっぽくて面白いなと思います。
私の結婚で喜んでくれるのは嬉しい、でも、汗まみれの手でドレス姿の私に触れないでね、と釘を刺している感じですね。

ロスはフィービーを廊下に呼び出し、「チャンドラーがまた逃げ出した」ことを説明します。
それを聞いた後のフィービーのセリフが面白いですね。
Why would you play hide-and-seek with... は「なぜあなたは…とかくれんぼなんかしたりしたの?」という感覚。
そのかくれんぼの相手のことを、someone you know is a flight risk と表現しています。
someone (you know) is a flight risk と表現するとわかりやすいかと思いますが、「フライトリスクであるとあなたが知っている[わかっている]人」という感覚になります。
「フライト」というと、「飛行機のフライト」のように「飛ぶこと、飛行、空の旅」みたいな意味がまずは頭に浮かびますが、この場合は「逃亡、逃走」という意味。
つまり、flight risk とは「逃亡する危険性」という意味になります。

研究社 新英和中辞典では、「飛行」の flight と、「逃亡」の flight が別の項目として載っていますが、「飛行」の方は、fly 「飛ぶ」の名詞形で、「逃亡」の方は、flee 「逃げる、逃亡する」の名詞形だと説明されています。
このセリフの flight risk は flee 「逃亡する」から来た方の flight だということですね。
さきほどロスが自分のパパに、「チャンドラーとかくれんぼをしてて」という話をしていたことをここで持ち出して、「チャンドラーがまた逃げた、だなんて、チャンドラーとかくれんぼしてたら、知らないうちに逃げ出しちゃう可能性あったじゃない。どうして、逃げた前科のある彼とかくれんぼなんかしてたのよ!」とフィービーは怒っていることになります。
パパに「僕たちかくれんぼをしてるんだ」と言ったのは、パパにチャンドラーが逃亡したことを知らせまいとしてのことだったのに、パパだけでなく、フィービーまでその話を真に受けて、「逃亡体質の人とかくれんぼするなんて、あなた、何考えてたのよ!」みたいに一人で怒っているフィービーを、ロスもあきれた顔で見つめるしかない、というオチになっているわけですね。


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posted by Rach at 13:22| Comment(2) | フレンズ シーズン7 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Rachさんこんにちは。
いつもお世話になります。
ちょっと本質とはずれた質問で申し訳ないのですが、もしお分かりであれば教えてください。今回のシーンで私のDVDでは、ある「場面」が抜けていたのです。

「モニカ: Are you okay? 」のセリフから
「モニカ: Oh, that's sweet. Don't touch me. 」までが抜けていて、解説読んでいてあれ?と気が付いたのですが、自分のが廉価版だからかな?と思いました。いまさらながらですが、そういうこともあるのでしょうか?

それにしてもこれだけ曲者の親がそろうと一つ一つのセリフがみんな面白くて本当に笑ってしまいます。脚本も熱が入っていますね。
いろいろな質問やコメントが来てご多忙のところ、ずれた質問でお手数おかけします。
Posted by koroyakun at 2013年10月01日 06:35
koroyakunさんへ
コメントありがとうございます。「本質とはずれた」「ずれた」だなんてとんでもないです。「ずれた」というか「たるんでいた」のは私の方で、まさにご指摘の部分は、私の持っているDVDにもない部分です。ネットスクリプトに載っていたのを、そのままDVDにもあるものと勘違いして、書いてしまった、というのが真実です。きっと驚かせてしまいましたよね。ごめんなさい。

今回のような Part 1, Part 2 になるスペシャルでは、カットされているセリフも多いんですよね。私はこのブログ記事を書く前の準備として、ネットスクリプトとDVD英語字幕とを突合せして、タイポとか聞き間違いとかを訂正したり、手持ちのDVDではカットされているセリフをチェックしたりします。DVDではカットされたセリフは、解説にも使わないようにいつも気を付けていたつもりでしたが、今回はそのチェックをすり抜けてしまったようです。(多分、今回が初めて、、かな... hopefully)

我ながら怖いというか、不思議だなと思うのは、そのカットされたシーンを自分では観たような気になっている、ということです。ブログの解説を書きながら、「こんなシーンとセリフ、あったっけ?」とか全く思わなかったんですよ。汗をかいているロスと、その言葉に感動しながらも「触らないで」と容赦のないモニカの姿が今でも目に浮かんでくるようで(笑)、セリフを見て勝手に頭で映像化されてしまうのは、8年もこのブログを書いてるおかげか!?みたいに自分で笑ってしまいました。

購入またはレンタルでDVDをご覧になりながらフレンズ学習をされている方へ書いている記事なのに、自分でも気づかぬうちにネットスクリプトにあるのみのセリフ(北米版のDVDには含まれているようですが)を掲載してしまったのはいけませんでした。これからは気をつけます!

DVDを鑑賞されながら、拙記事をきちんと読んで下さっていることがよくわかるコメントで、とても嬉しく光栄でした。
いつも温かいコメントありがとうございます。これからもよろしくお願いします!(^^)
Posted by Rach at 2013年10月02日 11:33
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