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妊娠しているのはモニカではなく、レイチェルだと気付いたフィービーでしたが、レイチェルが「言わないで」という顔をするので、とっさに「妊娠してるのは私よ」とみんなに言ってしまいます。
その後、モニカとチャンドラーがいなくなったところで、二人だけで妊娠の件について話しているところ。
フィービー: Oh, my God! (もう、なんてことなの!)
レイチェル: Oh, thank you for doing that. I just can't deal with the stress just quite yet. (あぁ、ああしてくれて[とっさにあんな風に言ってくれて]ありがとう。ただ私はまだそのストレスをうまく扱えないのよ。)
フィービー: So instead you told me Monica was pregnant? (それでその代わりに、あなたはモニカが妊娠してる、って言ったの?)
レイチェル: You said that she was. I just didn't disagree with you. (モニカが妊娠してるって言ったのはあなたよ。私はただあなたに異議を唱えなかっただけ。)
フィービー: Sneaky. (卑劣ね。)
レイチェル: Oh yeah. (ええ。)
カメラマン: Smile, ladies. (笑って、お嬢さん。)
レイチェル: Oh! (They smile and the picture is taken.) Oh by the way? (あぁ! [二人は微笑んで、写真が撮影される] あぁ、ところで?)
フィービー: Uh-hmm. (うん。)
レイチェル: James Brolin? (ジェームズ・ブローリン(ですって)?)
フィービー: Oh, I know. I could only think of two names: him and Ed Begley Jr. and then.... I remembered he's gay, so.... (えぇ、そうね。2人の名前だけしか考えられなかったのよ。彼とエド・ベグリー・ジュニアと。それで…思い出したのよ、彼はゲイだって、それで…)
レイチェル: Ed Begley Jr. is not gay. (エド・ベグリー・ジュニアはゲイじゃないわ。)
フィービー: (intrigued) Really?! ([興味をそそられた風に] ほんとに?)
妊娠してるのはレイチェルだ、と気づいたものの、レイチェルの顔を見て、とっさに妊娠してるのは自分だ、と言ったフィービー。
レイチェルはそのことについてお礼を言っています。
I just can't deal with the stress just quite yet. の deal with は「〜を扱う、取り扱う、処理する、対応する、応対する、取り組む」といったニュアンス。
「妊娠した、とわかったそのストレス・緊張をまだ私は扱うことができない、対応することができないでいる」という感じですね。
instead は「その代わりに」なので、「妊娠の緊張に対処できないからって、それで妊娠したのはモニカだと言ったわけ?」みたいなこと。
You said that she was. は、You said that she was pregrant. で、「私が言ったんじゃなくて、そう言ったのはあなたよ」と言っていることになります。
I just didn't disagree with you. は「私はただ、あなたに disagree しなかっただけ」。
disagree は、agree 「同意する、賛同する」の反意語で、「同意しない、異議を唱える」。
not という否定語と、「不」の意味を表す接頭辞 dis- の組み合わせで、ちょっとわかりにくくなっていますが、私はモニカが妊娠してる、と言ったわけでもないし、積極的に「そうね」と同意(agree)したわけでもないし、ただ、それは違うわよ、と否定しなかっただけ、というニュアンスです。
私は肯定も否定もしてない、だから私には責任がない、みたいなことですね。
フィービーはあきれたように息を吸ってから、Sneaky. と言っています。
sneaky は「こそこそする、卑劣な」。
動詞 sneak が「こそこそと入る・出る」という意味で、人を表す接尾辞 -er をつけた sneaker は「こそこそする人、卑劣な人」という意味になります。
また、靴の「スニーカー」という意味もありますが、それは靴底がゴムになっているために足音が出ないことが語源となっているようですね。
Wikipedia 日本語版: スニーカー の「スニーカーという言葉」にも以下のように説明されています。
語源としては英語の"Sneak"(忍び寄る)から派生している。靴底の堅い革靴と違い、柔らかい素材でできたスニーカーを履けば、後ろから音をたてず静かに忍び寄ることができるということから名付けられた。
ということで、すっかり日本語になっている「スニーカー」という言葉から、動詞 sneak、形容詞 sneaky も同時に覚えてしまいましょう、というお話でした。
その後、「そう言えばフィービーはさっき、(お腹の赤ちゃんの父親の名前として)ジェームズ・ブローリンの名前を出してたわね」とレイチェルは言います。
「私が思い出すことができたのは2人の名前だけで」みたいに言ったフィービーは、「彼(ジェームズ・ブローリン)とエド・ベグリー・ジュニア」の名前を出した後、「エドはゲイだって思い出したから、それで(ジェームズの名前を出したの)」みたいに言っています。
「エドはゲイじゃないわよ」と言われて、何だか嬉しそうなフィービーが面白いですね。
その、エド・ベグリー・ジュニアというのはこの方。
Wikipedia 日本語版: エド・ベグリー・ジュニア
Wikipedia 英語版: Ed Begley, Jr.
名前に「ジュニア」とついているのは、お父さんが同じ名前なのでそれを区別するためですが(ロバート・ダウニー・ジュニアなどもそう)、この方のお父さんも俳優さん(それも「渇いた太陽」でアカデミー助演男優賞を受賞している有名な俳優さん)のようですね。
ウィキペディアの説明にもあるように、2回結婚してお子さんが3人とのことなので、レイチェルが言うようにゲイではないわけですが、「フィービーが勝手にゲイだと思い込んでいた」というのが笑いのポイントのようです。
「ベジタリアンで環境保護主義の活動家としても知られる。」とありますが、そこが、フィービーが彼にこだわる理由のようですね。
フィービーもベジタリアンで、環境保護主義者、動物愛護主義者の面がありますから、その方面で有名な人の名前が頭に浮かんだ、というところです。
このエド・ベグリー・ジュニアの名前ですが、実はシーズン1の最終話、フレンズ1-24 のセリフにも出てきているんですよね。
過去記事では解説していなかった部分であり、また、エドが「環境保護主義の活動家」であると知っているとより楽しめるセリフになっているので、彼の経歴と併せて説明させていただきますね。
フレンズ1-24 のワンシーン。
ロスが中国に旅立った後、ロスが自分のことをずっと想ってくれていたと知り、ロスのことが頭から離れなくなってしまったレイチェル。
そんな気持ちのまま、別の男性(カール)とバルコニーでお酒を飲んでいる時に、カールが一人でしゃべっていたセリフがこれ。
カール: I'm just saying, if I see one more picture of Ed Begley Jr... in that stupid electric car, I'm gonna shoot myself! I mean, don't get me wrong. I'm not against environmental issues, per se.... it's just that guy! (俺はただこう言ってるだけなんだよ、もしエド・ベグリー・ジュニアの写真をあともう1枚見たら…その彼があのばかげた電気自動車に乗っている写真をあともう1枚見たら、俺は銃で自殺するだろうね。つまり俺が言いたいのは、あぁ誤解しないでくれよ。俺は、環境問題そのものに反対してるんじゃないんだ。ただ、あの男なんだよ[あの男のせいなんだよ、あの男が問題なんだよ]。)
このカールのセリフからも、「エド・ベグリー・ジュニア」は、電気自動車に乗るなど、環境問題に積極的に関わる人だということがわかりますね。
ここで改めて、エドの経歴を見てみると、彼は、1980年代に放映されていたボストンの病院を舞台にした医療ドラマ「St. Elsewhere」の Dr. Victor Ehrlich 役などで有名な俳優さんです。
環境保護活動家としても有名な彼は、「二酸化炭素排出量を抑えた生活を送る」というコンセプトのリアリティーショー「Living With Ed」にも主演しています。
Wikipedia 英語版: Living With Ed
IMDb: Living with Ed (2007– )
おまけのトリビア、、ですが、エドはその番組に奥さんのレイチェル・カーソンと一緒に出演しているのですが、そのレイチェル・カーソンというのは、環境問題を告発した1962年の著書「沈黙の春」(Silent Spring)で有名な生物学者のレイチェル・カーソンその人、、ではなく!(こちらのカーソンは1907年生まれなので、そもそも年齢が違い過ぎますがw)、たまたま同姓同名なだけ、のようです。
でもどちらも環境問題に熱心という点で共通しているのは興味深いですね。
この番組は 2007年開始なので、フレンズ1-24 の放映時(1995年)にはまだそのリアリティーショーは始まっていませんでしたが、当時から「環境保護活動家」として有名だった、ということです。
カールも「エドが電気自動車に乗っている写真」の話をしていることから、その当時から電気自動車などの環境に優しい乗り物を使っていたこともわかります。
be against は「…に反対している」で、「…に賛成している」は be for になりますね。environmental issues は「環境問題」、per se は「それ自体は」。
電気自動車のことで文句を言った後、「俺は別に環境問題そのものに反対してるんじゃなくて、エドが問題なんだよ」と言っています。
環境問題に疎い人、というイメージを持たれたくないので、「誤解しないでくれよ」と言っているのですね。
ということで、エドの説明が長くなってしまいましたが、そんな風に「環境問題」の流れでよく引き合いに出される有名人なので、サブカルネタとして知っておいたら楽しいかもしれませんよ、というお話でした。
フレンズでも、シーズン1の終わり、シーズン8の始めに名前が出てきたわけですが、そんなに長い時間を経て再び名前が引き合いに出されるところを見ても、彼がかなりの有名人であることがわかる、ということですね。
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2013年10月16日
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