2013年11月18日

got another think coming フレンズ8-2その6

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チャンドラーとモニカが仲直りしたところで、ロスは帰ろうとしています。
ロス: Well, I'm gonna go get these (the floral bouquet he walked in with) in some water. (僕はこれ[部屋に入ってくる時に持っていた花のブーケ]を水に差してくるよ。)
フィービー: Wait, you stole those from these people's wedding? (待って、その人たちの結婚式からその花を盗んで来たの?)
ロス: No-no, I took them from the hotel lobby. Yeah, they think they can charge me for some dirty movie and a bag of Mashuga nuts, they got another think coming. (Starts to leave.) Hey! My sweater! I've been looking for this for like a month! (違うよ。僕はこれをホテルのロビーから取ってきたんだ。そうさ、ホテルのやつは、僕に、あるエッチな映画とマシューガナッツ1袋分を請求できると思ってるようだけど、それは大間違いだ[そうはいかないからな]! [立ち去ろうとする] あれ! 僕のセーターだ! このセーターを1ヶ月くらいずっと探してたんだよ!)
(He exits leaving a stunned Phoebe and Monica.)
ロスは、ショックを受けた様子のフィービーとモニカを残して出て行く。
モニカ&フィービー: Oh, my God!! (なんてこと!!)
ジョーイ: (slow on the uptake) Oh, my God! ([飲み込みが遅い(様子で)] なんてこった!)

ロスは花を水に入れて(差して・生けて)くるみたいに言っています。
偽の写真を撮影したその結婚式から盗んで来たの?と尋ねるフィービーに、「違うよ、ホテルのロビーから取って来たんだ」と答えるロス。
今回のエピソードでは、ロスが部屋のトイレタリーを「こういうのは部屋代に組み込まれてるもんだから、持って帰るのは当然の権利だ」みたいにどっさり持ち帰っていた様子が描かれていたこともあり、「ホテルのロビーから花を取ってきた」という発言もその一環か、、しかしさすがにそれはやり過ぎじゃないの?という印象も受けるのですが、ロスのその後の説明で、ロビーの花を持ち帰ったのには、彼なりの理由があったことがわかります。

Yeah, they think they can charge me for some dirty movie and a bag of Mashuga nuts, they got another think coming. について。
まずは、nuts までの前半部分を見てみます。
「彼ら、つまりホテルの人間は、彼らが僕に〜の支払いを請求することができると思っている」ということで、何の代金かと言うと、「あるダーティーな映画と、1袋のマシューガナッツ」。
この場合の dirty は「やらしい、エッチな、みだらな」という意味ですね。
「ホテルのやつらは僕に(身に覚えのない)代金を請求できると思ってやがるんだ」みたいに言った後、その代金の対象として、for some dirty movie... と聞こえた瞬間に、観客や視聴者は、今回のエピソード冒頭に「見てもいない映画とナッツ代」を請求されて怒っていたレイチェルとフィービーの姿を間違いなく思い浮かべたはずです。
ジョーイはロスの部屋でも全く同じことをやっていた、映画はまた違う映画だったのでしょうが、それもまたエッチな映画だったw、そして食べたのはまたしてもマシューガナッツだった(ジョーイはどんだけマシューガナッツが好きやねん^^)、そういう「前に出てきたネタをまたぶり返す」というコメディーの王道がここで出てきたわけですね。

ロスのセリフの後半の、they got another think coming. について。
DVD英語字幕では、この部分は字幕になっていないのですが、ネットスクリプトでは、they got another think coming. と表記されています。
前回の記事、フレンズ8-2その5 に出てきたロスのセリフ、didn't see that coming とよく似た形で、構造としては同じものに分類されるでしょう。
最初、they got another think coming. というフレーズを文字で見た時に、「これって、think じゃなくて、thing の間違いじゃないの?」と思ったのですが、、私と同じような違和感を感じた方もおられるでしょうか?
さきほど、didn't see that coming の構造と似ている、と説明したように、another 〜 coming となった場合には、another の後ろは名詞が来るべきで、「考え」という名詞にしたい場合は、think ではなく、thought になるのでは?と思うわけです。
だからこれは、think と発音がよく似た thing のタイポだと考えると、「別のこと・ものが来る(状態になる)」ということで、文法的にも意味的にもオッケーなんじゃない?と思ったのですね。
そう仮説を立てた上で、Google 検索をしてみたところ、実はこのフレーズは、got another think coming の方が(限りなく)正解であるらしいことがわかりました!

Wordreference Forums という以下の語学フォーラムでは、まさにこのトピックが取り上げられていました。
You've got another 'thing' / 'think' coming? : Wordreference.com
つまり、「このフレーズは、thing と think どっちが正しいの?」というスレッドで、ネイティブスピーカーの間でも意見が割れていたりして、どっちが正しいかでモメるフレーズの典型のようですね。

手持ちの辞書でどう出ているかを以下に調べてみました。
研究社 新英和中辞典では、
think 【名】[単数形で] 《口語》 考えること、考え、一考
Have a think about it. ひとつ考えてみてください。
If you think I'm going to help you again, you’ve got another think coming. また助けてもらえるものと思ったらそれこそ考え違いというものだ。 (注:相手の申し出を強く拒絶する時などの言葉)


この英和辞典の説明が、日本人学習者には一番納得できそうですね。
think は基本的に動詞で、「考え」という名詞の場合には、thought を使うわけですが、この用例の think だけが例外で、このフレーズでは think を名詞として使っているということになります。
まさに例文が今回のロスのセリフのニュアンスと同じですよね。

英英辞典の Macmillan Dictionary では、think で載っています。
if someone thinks something, they have another think coming (SPOKEN) : used for saying that someone believes they know what will happen, but they are wrong
例) If she thinks I'll help her, she has another think coming.

つまり、「ある人が自分には何が起こるかわかっていると信じているが、その人は間違っている、と言うために使われる」。
例文は、「私が彼女を助けると、もし彼女が思っているとしたら、それは間違いだね」。

そして、LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、think/thing の両方で! 載っているんですよねぇ、、
if somebody thinks (that)..., they've got another think/thing coming! : used to tell someone that if they think something is going to happen, they are wrong
例) If they think they're going to win, they've got another think coming!

つまり、「ある人が何かが起こるだろうと思っているとしたらそれは間違いだ、とその人に言うために使われる」。
例文は、「彼らが勝つと思っているとしたら、それは間違いだよ!」

アカデミックな辞書である LAAD に、think/thing の両方で載っているということは、まぁ、どっちを使っても間違いではない、、ということになるわけですかねぇ?
どちらかと言うと、think の方が一般的のようではありますが。
直訳すると、「もし誰かが…と思っているとしたら、彼らには別の考えがやってくることになるよ」という感じになるでしょう。
今持っている考えとは別の考えがやってくる→今の考えは間違っている、ということになるわけですね。
ということで、ロスのセリフは、「(請求される覚えのない)エッチな映画やナッツの代金を請求できると思ってるようだけど、それは間違いだ、それは考え違いだよ」みたいに言っていることになります。

そんなことを言いながら部屋を出ようとするロスは、そこに置いてある赤いセーターに気づいて、「僕のセーターだ! 1ヶ月くらい探してたんだよ!」と言って、それを掴んで去って行きます。
今回のエピソードは、「レイチェルのお腹の赤ちゃんのパパは、この赤いセーターを着ていた人」だということがわかって、ずっとそのセーターの持ち主を探すお話だったのですが、最後になってそのセーターがロスのものであったとわかった、つまり、レイチェルの赤ちゃんのパパはロスだった!ということがわかったことになります。
ですから、My sweater! と言った時に、観客からものすごい歓声が起こり、「1ヶ月くらい探してた」という発言がさらにダメ押しになった形で、観客が大喜びしているわけですね。
フレンズファンがずっと見守ってきた「ロスとレイチェル」に子供ができたことがわかった瞬間ですから、盛り上がらずにはいられないというところでしょう。

モニカとフィービーはロスがパパだとわかって驚愕の表情を浮かべていますが、横でジョーイは、にやーっとした顔で笑っています。
おー、意外とジョーイはすんなり受け止めて余裕の表情をしてるなー、、と思っていたら、ジョーイはしばらーくしてから、目をかっ開いて、驚愕の表情となり、ロスが今出て行ったドアを指さしています。
最初笑っていたのは、ロスがパパであることに前から気付いていたとか、想定内のことだったから驚かなかった、とかではなくて、ロスが赤いセーターの持ち主→ロスがレイチェルの赤ちゃんのパパ、であることがジョーイの頭の中でとっさに結びつかなかったから(笑)だったのですね。
ト書きの slow on the uptake というのがまさにそういう意味で、研究社 新英和中辞典では、以下のように出ています。
uptake 【名】《口語》 [the 〜] 理解(力) (注:通例次の句で)
quick [slow] on the uptake 理解の早い[遅い]、ものわかりのよい[悪い]


まさに直訳通りの「理解(力)においてトロい」みたいな意味になります。
赤ちゃんのパパがロスだとわかったことはファンにとっては嬉しいニュースだったでしょうし、その衝撃の事実を知った時に、ジョーイだけワンテンポ遅れて(笑)気付いてくれたりするのも、フレンズのお約束なわけで、シーズン8まで見てきたからこそ楽しめるシリーズものの醍醐味だという気がしました(^^)


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posted by Rach at 15:25| Comment(0) | フレンズ シーズン8 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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