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チャンドラーとモニカは新婚旅行中で、その留守中に彼らの部屋に入ろうとするジョーイとフィービーでしたが、二人とも合い鍵を没収されていたことに気付きます。
信頼されていないことに腹を立てたジョーイは、管理人に合い鍵で開けてもらおうと、電話で「ガス漏れだからドアを開けて欲しい」と頼んだ、その後のシーン。
(They hear a knocking sound coming from the hallway and go to investigate.)
(部屋の中で話していた)ジョーイとフィービーは、廊下から叩く音が聞こえたので、調べに行く。
ジョーイ: What the hell is that? (あれは一体何?)
(They go into the hallway and see Mr. Treeger watching one of New York's bravest breakdown Monica and Chandler's door with an ax.]
二人は廊下に行き、そこで、ニューヨークの勇者の一人が斧でモニカとチャンドラーのドアを壊すのを見ている(管理人の)ミスター・トリーガーを目にする。
ジョーイ: Whoa! Whoa! Whoa! Treeger, what are you doing? (ちょっと、ちょっと、ちょっと! トリーガー、何やってんだよ?)
トリーガー: You said there was a gas leak in here. (ここでガス漏れがあるって、あんたが言ったんだ。)
フィービー: Well, why don't you use your key? (あなたが持ってる鍵を使ったらどうなの?)
トリーガー: Because by the time I find it on this thing (Holds up a huge key ring with a thousand keys on it), the whole place might have exploded. If that happens at another building that I manage, people are gonna start asking questions. (To the fireman) Come on! Hurry up. (だって、この中にそのカギを見つけるまでに [1000個ものカギがついている大きなキーリングを掲げて] その場所全部が爆発しちまうかもしれないから。俺が管理するもう一つの[また別の]ビルでそんなことがもし起こったら、人は質問し始める[問い詰める、疑問を投げかける]ことになるだろうね。[消防士に] ほら! 急いで!)
(With a final swing the door gives way.)
最後の一振りで、ドアは崩壊する。
フィービー: Oh! We could have done that. (まあ! そんなことなら私たちにもできたのに。)
部屋の中で話していると、廊下からガンガンと何かを叩く音が聞こえたので、ジョーイとフィービーは廊下に出て確かめることにします。
They go into the hallway and see Mr. Treeger watching... のト書きは長いですが、基本的な構造は、「ある人が斧でドアを壊すのを、トリーガーが見ている、という様子を目にする」ということになります。
one of New York's bravest を直訳すると、「ニューヨークのもっとも勇敢な人の一人」ということで、このエピソードは、911テロの後だったこともあり、WTC で人命救助を行った消防士のことを、(the) bravest 「もっとも勇敢な人たち」と表現したことになるでしょう。
ト書きの書き方では、one of New York's bravest breakdown... となっていて、それをひとまとまりの言葉だと思うと、「ニューヨークのもっとも勇敢な破壊の一つ」みたいに訳してしまいそうになりますが、breakdown は動詞として使っているようです。
breakdown と一語にしてしまうと「破壊、崩壊、故障」という名詞のように見えてしまうので、文法的に細かい話をすると、ここは、break down のように句動詞(phrasal verb)として、break と down の間にスペースを入れて、2語に分ける必要があるはずだとは思います。
ネイティブはこの言葉の「並び、配列」から、breakdown の部分が動詞であることがわかるので、スペースのあるなしに頓着しない、ということになるのでしょう。
実際、話し言葉として言う場合には、breakdown でも break down でも音は同じなので、ついスペースなしの breakdown と書いてしまった、みたいなことでしょうね。
そういうネイティブならさらっと流せるところが、日本人英語学習者の場合だと、breakdown と書かれてしまうと「名詞」だと思い込んでしまって、このト書きの文章の構造がわからなくなってしまう恐れがあるように思いました、、ので、ちょっとしつこく説明させていただきました^^
つまりこのト書きは、see A watching B break down 「B が破壊するのを A が見ている(観察している)のを目にする」という構造だということですね。
消防士が斧でドアを壊しているので、ジョーイは「何やってんだよ!?」と驚きの声をあげています。
a gas leak は「ガス漏れ」。情報をリークする、のように leak 「漏らす、漏えいする」という言葉は日本語になっていますので、わかりやすいですね。
合い鍵で開けてもらおうと管理人に電話したのに、どうして持ってる合い鍵で開けてくれないの?みたいにフィービーは言っています。
合い鍵を使わない理由を管理人のトリーガーが説明していますね。
this thing と言って掲げて見せたのが、ト書きにあるような、「1000個(くらい)のカギがついた巨大なキーリング」。
このキーリングについている、大量の鍵の中から it (=目的のもの、この部屋の合い鍵)を見つける時までには、この場所全体が爆発してしまっているかもしれない、と言います。
こんな風に、大量の合い鍵を見せるシーンを見ていると、初期のエピソードの、フレンズ1-9その4 を思い出した方も多いかもしれませんね。
中に鍵がある状態でモニカの部屋のドアがロックされてしまって、ジョーイの持っているスペアキーをいろいろ試してみるというシーンがあり、
ジョーイ: I got one keyhole and a zillion keys! You do the math. (一つの鍵穴に対して、数え切れないくらいのカギがあるんだ。計算してくれよ。)
というセリフもありました。
「鍵を開けて欲しいのに、どうして合い鍵を使わないの?」と来ると、「合い鍵がこんなにあって、どれだかわからない」というオチになるのは、典型的なジョークだということです。
トリーガーのセリフは、この後の部分がまた面白いです。
If that happens at another building that I manage, people are gonna start asking questions. を直訳すると、「俺が管理するもう1つのビルで、そんなことが起こったら、人々は質問し始めることになるだろう」。
このセリフは、another がポイント。
トリーガーは、ガス漏れが手遅れになって爆発することを恐れているから、斧でドアをたたき割るという方法を選んだわけです。
If that happens の that 「それ、そんなこと」とは、「(ガス漏れによって)爆発してしまうこと」。
トリーガーは、「このガス漏れでここが爆発したら」ということを、「もし、”もう1つのビルで”そんなガス爆発が起きたら」と表現していることになります。
つまり、今ここで爆発を起こしてしまうと、「自分が管理しているビルで、ガス爆発が起きたのが2回目になる」と言っているわけですね。
「もう一つの」というより、「また別の」と言った方がわかりやすいかもしれません。
トリーガーは前にも自分が管理人をやっているビルで爆発が起こったことがあるから、もう1回、そういうガス爆発を起こしてしまうと、何らかの因果関係、つまり、管理人としての責任や問題を追及されてしまう、と言いたいわけですね。
一度だけなら運悪く、で済むところを、トリーガーの管理するビルで2件もガス爆発があったとなると、管理人の責任が問われる、「これはどういうことなのかね?」と質問攻めにあうことになる、という意味で、people are gonna start asking questions. と表現しているわけです。
前回の時は「不運な事故」で済んだけれど、2回もやったら偶然や事故では済まない、人々は今度は俺にいろいろ質問してくることになるだろう、取り調べを受けたり、責任を追及されることになるだろう、と言っていることになります。
DVD の日本語訳は、
(字幕) 俺が管理するビルは 爆発が多い/(音声) 俺が管理するビルがまたふっとんだら、悪い噂が立つだろう?
となっていましたが、「またふっとんだら」の「また」がポイントだと言うことです。
このセリフに関しては、トリーガーのセリフの another を聞いて、「アナザー、って、前にも一回同じようなことをやってるんかいっ?!」とツッコミを入れたくなった人は、そのジョークを理解できていたことになるわけですね。
とうとう、斧でドアが壊され、ドアは開いたことにはなるのですが、それを見ていたフィービーが、We could have done that. と言うのも面白いです。
could have p.p. (過去分詞)は、「やろうと思えばできた(のにやらなかった)」というニュアンス。
合い鍵で開けてもらおうと管理人を呼んだってのに、斧を使って力ずくでドアを叩き壊すんだったら、別にわざわざ管理人を呼ぶこともなかったわ、そうやってドアを開けるってわかってたら、私たちがそうしたのに、私たちだけでできたのに、という気持ちですね。
DVD の日本語訳では、
(字幕) 頼み損ね/(音声) 私たちでもできたわ。
となっており、まさに「頼んで損した、わざわざ頼むまでもなかった」というのが、We could have done that. 「そんなことなら私たちでもできたのに」のニュアンスになるわけですね。
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